ホテルのロビーをコンセプトにした、カジュアルに楽しめる“ストリートバー”
東京・池尻大橋駅から徒歩5分。駅前の商店街を抜け、目黒川にほど近い一角に佇むストリートバー「LOBBY」。運営するのは、インテリア、グラフィック、壁画製作など、空間にまつわるあらゆるビジュアルのデザインを手掛けているクリエイティブプロダクション「& Supply」だ。
コンセプトは、その名の通りホテルのロビー。「色々な人が介在し、肩肘張らず、思い思いの滞在の仕方ができる場所」を目指して名付られた。
店内は2つのセクションを自由に行き来できる設計で、入口すぐのスペースにはカウンター席とベンチが、店内奥のスペースには広めのテーブル席が配置されている。ここはアート作品の展示を行ったり、多目的に使えるスペースとなっている。ホテルのロビーというコンセプトの通り、居心地の良さとワクワクが同居する場だ。
生命力溢れるシンボルツリーがカウンターを彩る
お店に足を踏み入れると、まず目に入るのはカウンターにある馬酔木(アセビ)。まるで店内に一本の木が生えているようで、インダストリアルな空間に生気が宿る。「LOBBY」のシンボルツリーのような存在だ。
オーナーの井澤さん曰く、「馬酔木(アセビ)だけは入れようと最初から決めていました。元々この木が好きだったんです。生気のない空間だったので、生きているものを入れて空間を彩りたかった。それに、立派な枝ぶりとわさわさと広がった葉のおかげで見せたくない収納部分の目隠しにもなってくれるんですよ」
店内には他にも多数の観葉植物があるが、選ぶときの基準はあるのだろうか?
「入り口でハンギングしているコウモリランや鉢物も、感覚で選んでいます。LOBBYの内装は自分たちで手がけているので、直感に従えば自ずと店内にフィットする。唯一気をつけている点は、他のお店ではあまり見かけないものを選ぶことですかね」
馬酔木(アセビ)以外の植物は偶発的に増えていったそうだ。店内奥のスペースにあるドライフラワーのシャンデリアも、「& Supply」のメンバーが店内で写真展を開催したときにフラワーアーティストの方に作ってもらったものだそう。
「壁のグラフィックも今までに5回くらい塗り変えていて、みんなのやりたいことを反映しながら常に変化し続けている空間なんです」
観葉植物もインテリアも、アートのように自由に楽しむ
「& Supply」は「MYTONE」というホームグッズブランドも手がけており、店内のいたるところに置いてある。日常生活に色彩やアートをカジュアルに取り入れている海外の文化に触れ、日本にもその感性を持ち込もう、とブランドを立ち上げた。
「MYTONEとは“自分のトーン”のこと。暮らしの中に自分の色を入れて楽しもうよ!という思いをこめて作りました」
MYTONEのアイテムはどれもやわらかな色調で、描かれているモチーフも曲線的だ。制作する上でのこだわりを聞いてみた。
「まず、好き嫌いがはっきり分かれるような主張の強いアイテムは作りたくありませんでした。それで、抽象画をインテリアに落とし込むことにしたんです」
その言葉通り、それぞれの家のインテリアに合うよう、余白を残した絶妙なデザインが並ぶ。目を引くのにでしゃばらない、その空間に馴染んでいるのに余韻が残る。
「& Supply」のメンバーの感性がうまく混ざり合ってLOBBYという空間を作り上げている。完成形はなく、自由な感性で選んだ観葉植物が増えたり減ったり、人々が出入りする流動的なその姿がこの店らしい。
【Shop Data】
LOBBY
東京都目黒区東山3-6-15 1F
03-6457-5250
https://lobby-ikejiri.com/
https://www.instagram.com/lobby_ikejiri/