観葉植物を育てていると、“マルチング”という言葉を聞いたことがあるかもしれません。観葉植物の土隠しをする方法のことですが、一体何のために行い、どんな効果があるのでしょうか?今回はマルチング(土隠し)のメリット・デメリットや、マルチング素材の種類、おしゃれなやり方などをご紹介します。
観葉植物の土を隠す“マルチング”とは?
マルチングは観葉植物をグッとおしゃれにしてくれるため、どんどん人気が出ている土隠しの方法です。
おしゃれさだけでなく、観葉植物を育てるにあたって嬉しい効果もあれば、気をつけたい注意点もあります。
まずは、マルチングとはどのようなものなのかを、詳しく見てみましょう。
マルチングとは園芸素材で土の表面を隠すこと
マルチングとは植物を植えた土の表面を、マルチング素材と呼ばれる園芸素材で覆い隠すことです。
畑などの作物に施されることが多く、黒や白のビニールが土の表面に覆いかぶさっている光景を見たことはありませんか?あれがまさにマルチングです。
畑の雑草防止や土の管理に便利なため行われており、室内で育てる鉢植えの中の観葉植物でも、マルチングの恩恵を存分に受けることができます。
そのため最近では、観葉植物にもマルチングを行う人が増え、それにともないマルチング素材の種類も増えてきました。
では実際に、マルチングにはどんな効果があり、何に注意をしなければいけないのかチェックしてみましょう。
マルチングをするメリット
まずは、マルチングを行うことで得られるメリットをご紹介します。
害虫の侵入を防ぐ
観葉植物は適度な室温の中にあり、土には湿度があるため、害虫が寄ってきやすい環境下にあります。
そのため、ちょっと油断をすると虫が大量発生している、ということもよくあるのが困りものです。
しかし、マルチングをすることで、虫が好む土を隠すことができます。虫が寄ってきにくくなるうえに、植物の根元に卵を産みつけられる心配もぐんと減らせるのです。
水やり時の泥跳ねから病気になるのを守る
観葉植物を健康的に育てるためには、病気にさせないことが重要です。植物によってさまざまな病気がありますが、原因のひとつに“水やり時の泥跳ね”があります。
土の中には病原菌が多く存在しており、それが水やりの勢いで跳ねて、茎や葉につくことで病気を引き起こしてしまうことがあるのです。
しかし、マルチングをすることで水やり時に土の跳ね返りがなくなり、病気にかかる可能性を下げることができます。
土の急激な温度変化を抑える
室内で育てている観葉植物でも、季節や気候によって土の温度は変化します。
急激な温度変化は観葉植物に悪影響なので、なるべく均一に保てるようにしたいとき、マルチング素材が有効です。
土に直接外気が触れないので、室温の影響を受けにくくなります。そして、マルチング素材が太陽の光を吸収すると、日が沈んでからもゆっくりと温度を下げるので、温度変化に左右されずらくなるのです。
水分を蒸発しにくくしてくれる
気温が高かったり乾燥していたりすると、水やりをしてもすぐに水分が蒸発してしまい、水やりの頻度を増やさなければいけません。
しかし、マルチングをすれば土の蓋になるので、水分が蒸発しにくくしっかりと水やりができます。湿度が高い方が良い植物などには特におすすめです。
雑草が生えにくくなる
マルチングは土に直接光が当たるのを防ぐため、雑草が生えにくくなります。マルチングを行う前に、念入りに雑草の処理をしておくことで、さらにその効果を発揮できるでしょう。
何と言ってもおしゃれ
観葉植物用のマルチングは、なんと言っても見た目がおしゃれです。マルチング素材で土を見えなくすることで清潔感が増し、よりスタイリッシュな演出ができます。
マルチング素材を選ぶ際も、見栄えを重視して選んでみると、より観葉植物を育てる楽しみが増えるでしょう。
マルチングをするデメリット
観葉植物を見栄え良く、育てやすくしてくれるマルチングですが、行う際には気をつけたいポイントもあります。
水やりのタイミングがわかりにくい
マルチングをすると土の状態が見えていないため、水やりのタイミングが分かりにくくなります。
観葉植物を育てるうえで、土の状態を確認することは重要なので、マルチングをすることでそれを怠りがちになってしまうのは危険です。
マルチング素材を動かしながら、こまめに土の乾き具合などをチェックして、適切な水やりのタイミングを見極めるようにしましょう。
湿度が高くなり通気性が悪くなる
土を覆うことで水分を閉じ込める働きのあるマルチングですが、土の表面が常に多湿状態になりやすく、それがデメリットとなることがあります。
適度に乾燥させないとカビや虫の原因となったり、最悪根が腐ってしまったりということもあるので、通気性の良い場所に置くことを心掛けてみてください。
乾燥を好む観葉植物には注意
マルチングを行うと、基本は土が乾きにくくなるので湿度に弱い植物には向いていません。
サボテンなどの多肉植物やユーカリなどは多湿な環境を嫌うので、マルチングをする際は十分に注意をするようにしましょう。
種類が豊富なマルチング素材!それぞれの特徴を知ろう
それでは実際に、マルチングができる素材にはどんな種類があるのか、それぞれの特徴を見てみましょう。
樹皮や木でできたバークチップやウッドチップ
松の樹皮からできたバークチップ、さまざまな木からできたウッドチップは、見た目がよく似ていて温かいぬくもりを感じられるマルチング素材です。インテリアバークなどと呼ばれることもあり、マルチング素材の定番でしょう。
そのため、ホームセンターなどにも種類が豊富で、インターネットでも気軽に購入できます。自然素材のため時間の経過とともに腐食土となるため、植物の育成を補助する役割も期待できます。
【プロトリーフ】バークチップM 5L
【ガーデナス】兵庫県産スギ・ヒノキウッドチップ Aタイプ
ヤシの実の繊維でできたココヤシファイバー
ヤシの実の繊維でできた、ふわふわとした見た目のマルチング素材なのが、ココヤシファイバーです。ロープやたわしなどの原料でもあり、実は身近な素材なので見たことある方も多いでしょう。
柔らかさと上品さがあり、ホテルなどに置いてある観葉植物にもココヤシファイバーが良く使用され、見た目のグレードをアップさせてくれる素材です。
また、マルチング素材の中でも比較的通気性と水はけが良いので、初心者でも扱いやすいでしょう。
【プロトリーフ】ココヤシファイバー(ナチュラル)100g
かわいらしい胡桃の殻
かわいらしい雰囲気を演出してくれるのが、胡桃の殻のマルチング素材です。
胡桃の殻が半分にカットされた形状で、外側はごつごつとしていて中は空洞というバランスに、デザイン性の高さを感じます。
また、重なってもある程度空気の通り道が確保できるので、水やりしやすいのも特徴です。
胡桃はとても硬いので、マルチング素材の中でもかなり丈夫な種類でしょう。そのため長く愛用でき、コスパにも優れます。
砂利や石のように重くなく、女性や子供でも持ち運びしやすいというメリットも人気のひとつです。
【くるカラ】国産鬼くるみの殻
おしゃれ度が高いストーン系(玉石・化粧石)
無機質な雰囲気が作れ、観葉植物との絶妙なバランスがおしゃれなのが、玉石や化粧石などのストーン系素材です。
白や黒などをはじめカラーが豊富で、さらに丸いものや角ばったものなどサイズも好みのものを探しやすく、デザインを突き詰めたい方におすすめのマルチング素材と言えます。
また、熱や水分を保ちやすい性質があり、土の温度変化や水分の蒸発を阻止するのに力を発揮するでしょう。
他のマルチング素材と比べるとかなり重量があるので、鉢に入れてからの持ち運びなどは注意が必要です。
【プロトリーフ】マルチングストーンM
風情を感じる苔類
和の雰囲気を感じるのが、苔類でのマルチングです。盆栽などで使用されているのを見たことがある方が多いかもしれませんが、通常の観葉植物にも風情を与えてくれるのでおすすめですよ。
よく使用されているのが水苔で、乾燥させてコンパクトになっていますが、使用するときに水でほぐすことで柔らかくなるので、自由に形成して土の上にかぶせます。
水持ちが良いのが特徴ですが、同時に水はけも良いので、水やりもしやすく扱いやすいでしょう。また、土の代わりとして、水苔を植え込み素材として使用することも可能です。
【アイリスオーヤマ】水苔 最高級水苔
マルチングのやり方
マルチング素材は、ホームセンターや園芸店をはじめ、ネット通販や最近では100均などでも購入が可能です。
値段もそれほど高くないので、観葉植物を育てているなら、ぜひマルチングにチャレンジしてみてください。
ここでは実際に、マルチングのやり方をご紹介します。
用意するもの
- 好きなマルチング素材
- 土に混ぜる肥料
マルチングの手順
観葉植物へのマルチングは簡単なので、初心者でも気軽に行うことができます。その手順を見てみましょう。
マルチング素材を選ぶ
マルチング素材は基本的に、観葉植物や部屋の雰囲気に合わせて選ぶのがおすすめです。
繊細な植物に使用するなら、水はけや通気性の違いを見極めて、より効果的な素材を選んだ方が良いですが、そこまで大きな違いはありません。
素材の種類より、マルチングを施してからどうケアするかが重要です。デザインやカラー、素材感などから好みのものを選ぶことで、観葉植物を育てる楽しみが増えます。
素材が決まったら必要な量を考えて、適切な内容量のものを購入しましょう。
マルチングの前に土の手入れ
マルチングを行うと土の手入れがしにくくなるので、マルチングの前にしっかりと手入れをしておくことが重要です。
具体的には、雑草などはすべて取り除き、穴や凸凹などがないよう土を平らにならしておきます。
また、肥料や防虫剤を使用する場合も、マルチングの前に行っておきましょう。
マルチング素材で土を覆う
土の手入れができたら、あとは選んだマルチング素材を土の表面に被せていきましょう。特に難しいことはなく、好きなようにマルチング素材を置いていけばOKです。
ただ、大量のマルチング素材で覆ってしまうと、土の状態を見るのが大変になってしまうので、丁度土が覆える程度の量にとどめておくのがおすすめです。
マルチングを行ってからの注意点
最後に、マルチングを行ってから気をつけたいポイントを、チェックしておきましょう。
土が乾きにくいので水はやりすぎない
観葉植物を元気に育てるためには、適切な水やりが必要不可欠です。この“適切な”というのが難しく、植物の種類や環境などで大きく異なります。
そして、マルチングを行うことで、より水やりのタイミングが分かりにくくなるので、水のやりすぎには注意が必要です。
そのためには、こまめにマルチング素材をどかして、土の状況を見てみましょう。湿度を好む植物には土が乾ききる前に水をやり、乾燥を好む植物には土の表面の渇きを確認してからあげるのがポイントです。
また、マルチング素材を一度動かしてから水やりをするのもおすすめです。土の状態が確認できるだけでなく、マルチング素材が水に濡れることで劣化するのも防げます。
風通しを良くしてカビの発生を抑える
マルチング素材によっては、よく水分を給水ししっかりと保湿する種類もあります。
その環境が観葉植物にベストであっても、マルチング素材自体にカビが生えてしまうこともあるので注意が必要です。
カビ対策をするには、なるべく風通しの用意所に置いたり、水やりの際にマルチング素材を洗ってあげたりするのも効果的ですよ。
また、観葉植物の種類によっては、定期的に鉢を植え替えることでも防げるでしょう。
土に還るマルチング素材は補充が必要
バークチップやウッドチップなどの自然系のマルチング素材は、土に還る性質があるので、時間と共に目減りしていきます。
環境に優しく、観葉植物の肥料にもなるので嬉しい効果ですが、やがて土があらわになってしまうので、定期的につぎ足していく必要があるでしょう。
そのため、土に還るマルチング素材は消耗品と割り切り、買い足しが必要です。
逆に虫を呼び寄せることもある
虫を寄せつけないようにとマルチングを施しても、場合によっては虫を発生させてしまうこともあります。
特に自然系のマルチング素材はもとから虫が入り込んでいる場合もあり、心配な場合は殺虫剤と併用するのがおすすめです。
また、多湿な環境を好む虫も多く、受け皿に水をためっぱなしにしていたり、換気をほとんどしていなかったりとケアを怠れば、逆に虫を引きつけてしまいます。
マルチングをしても、しっかりと防虫対策をするようにしましょう。
マルチング素材を使って観葉植物の土隠しをしてみよう!
観葉植物の土隠しができるマルチングは、見た目がおしゃれなだけでなく、温度や水分を保ちやすくしたり、虫や病気から守ったりと嬉しい効果がたくさんあります。
さらにマルチングに使用する素材の種類も豊富なので、「うちの観葉植物に合うのはどれかな?」などと、選ぶ楽しみも増えるでしょう。
マルチングを行うにあたり、難しいことはほとんどなく、マルチング後に適度なケアをしてあげることで失敗もなくなります。
観葉植物の育成をより楽しむ方法のひとつとして、ぜひマルチングを活用してみてください。