ガーベラは、その鮮やかな色と均整の取れた美しい形で、世界中で愛されている花です。ガーベラの美しさを最大限に引き出すには、適切な育て方が大切。今回は、室内から庭まで、ガーベラを長く楽しむための方法を解説します。鉢植え、地植え、そして種からの栽培など、ガーベラの魅力を存分に引き出すコツも見ていきましょう。
ガーベラとは?基本情報
まずはガーベラの基本情報を知っていきましょう。
原産
ガーベラの原産地は南アフリカです。南アフリカに自生していた花を、イギリスの採集家が持ち帰り、王立植物園に寄贈したのが起源になったといわれています。その後ヨーロッパで交雑が重ねられ、その後アジアや南アメリカなど世界中で栽培されるようになりました。
ガーベラが日本に来たのは大正初期頃といわれています。
開花時期
ガーベラの開花時期は一般的に春から秋にかけてですが、気候や栽培環境によっては年間を通じて花を楽しむことも可能です。特に温室や室内で管理することで、冬季でも開花を維持することができます。
豊富な種類の色や大きさがある
ガーベラには多くの品種が存在し、花の直径は5cm程度の小型種から10cm以上になる大輪種までさまざまです。色も多彩で、一色のものから、花びらの端が異なる色になるバイカラーのもの、濃淡があるものまであります。
花言葉
ガーベラは、全般のものと、色別にも花言葉を持っています。全般の花言葉は「神秘」や「崇高美」。1本だけだと可愛らしさを感じますが、アレンジによって上品にもなり、その不思議な魅力が花言葉として表現されているといわれています。
色別には「希望」や「穢れなき心」「友情」など、前向きでポジティブな意味が並びます。また、その明るい色彩から「無邪気」や「燃える神秘の心」といった花言葉もあります。
これらの花言葉は、自分用にガーベラを買うほか、ギフトとしてガーベラを選ぶ際の参考になるでしょう。
ガーベラの育て方|地植え・鉢植え
ここからは、ガーベラの育て方を、地植え・鉢植え別に解説します。
地植えガーベラの育て方
ガーベラは日当たりと水はけの良い場所を選んで植えるようにします。西日ができるだけ当たらず、風通しも良いことが望ましいため、地植えする場合はこれらの条件がそろった場所に植えるようにしましょう。
一度植えたら移動させられないため、植える場所は慎重に選ぶようにしてください。
ガーベラの苗を植える場合、土を軽く盛り上げておいたり、砂や軽石を混ぜたりすることで排水性を高めるようにします。腐葉土やパーライトなどを加えて耕しておくと良いでしょう。
苗を植え付ける際、根を傷めないように注意しましょう。ポットに入っている苗を抜く場合、根鉢はほぐさないで植え付けます。
苗は浅く植え付けることで根腐れ防止になります。いくつかの種類のガーベラを植える場合、株の間を約30cm開けるようにしましょう。
鉢植えガーベラの育て方
ガーベラを鉢植えする場合、 鉢は底穴が開いているものを選びます。鉢のサイズは根詰まりを防ぐため、根が十分に広がる大きさにしましょう。
鉢植え用の土は、市販の培養土に軽石やバーミキュライトを混ぜて使用します。水はけと保水性のバランスを良くすることが大切です。
苗を植え付けた後のガーベラの鉢は、直射日光が強い場所は避けて風通しの良い半日陰の場所に置くようにしましょう。
地植え・鉢植え共通:水やり方法
ガーベラの基本的な水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えること。水はけの良い土であれば根腐れの心配は少ないですが、湿度が高い場所ではやりすぎないように注意が必要です。
水やりの頻度は季節や気温によって調整します。夏場は毎日、冬場は土が乾いてから数日おきに水を与えると良いでしょう。
地植えの場合は基本的に水やりは天候に任せてOK。ただし、雨が降らない日々が続き乾燥が激しい場合と、開花時期は水切れしやすいため、様子を見て与えるようにしてください。
地植え・鉢植え共通:肥料
植え付けの際は遅効性肥料を加えるのがおすすめです。その後、液体肥料を2週間に1回の頻度で与えてください。
花付きを良くするためには、肥料切れが起きないように注意しましょう。
地植え・鉢植え共通:枯れた花のお手入れ
ガーベラの花が枯れたら早めにカットします。茎の根元近くから切ることで次の花の成長を促します。また、花がらや枯葉もこまめに摘み取りましょう。
枯れた花や葉のお手入れは、病害虫の発生を防ぐためにも大切です。
ガーベラの病害虫予防・対処方法
ガーベラの病害虫の種類は以下の5つです。
- うどんこ病:白い小麦粉のように見えるカビが葉や茎に発生する
- 灰色かび病:葉が黒くなったりシミのような斑が現れたりする
- 白絹病:菌糸が網のように張りつき植物を枯れさせる
- アブラムシ:新芽に寄生し汁液を吸う
- ハダニ:葉裏に寄生して汁液を吸う
これらの病害虫の予防法としては、植物の日当たりと風通しを良くすることです。白絹病の発生防止のためには、高温多湿の状況を避けて、鉢植えの場合は根詰まりを避けるようにすることも有効です。
もし病害虫が発生してしまった場合は、うどんこ病・灰色かび病・アブラムシ・ハダニの場合は「酢」が原料の製品を散布することで駆除できる場合があります。
白絹病の場合は駆除が難しいため、株ごと抜き取って廃棄または焼却処分します。白絹病が発生した土にほかの植物を植えると、菌がまだ生きている場合再び病気にかかる可能性があるため、土を消毒してから植えるようにしてください。
ガーベラは植え替えが必要?
鉢植えのガーベラの根が鉢いっぱいに広がったり、土が劣化したりしている場合は植え替えが必要なタイミングです。植え替えに適した時期は一年の間で3〜4月と9月〜10月頃が良いでしょう。できれば毎年植え替えすることで、花の咲きが良くなります。
植え替えする際はまず大きめの鉢を用意します。できればひと回り大きな鉢を用意してください。植え替えするガーベラの根をやさしくほぐし、水はけが良い土を入れた鉢に植え替えます。
植え替えをする際、ガーベラの下の方についている芽に土がかぶらないよう、穴は深く掘らないように気を付けましょう。
ガーベラの株分け方法
ガーベラは株分けで楽しむこともできます。株分け方法をご紹介します。
株分けのタイミングは春か初夏にかけてです。この時期は株が活発に成長するため、株分け後の回復も早く、植物にとってもストレスがないでしょう。
ただし、花が咲いている時期の株分けは、株を弱らせてしまう可能性があるため避けてください。
株が大きくなり、成長点が増えてくるのも株分けができる合図。成長点とは、ガーベラの株の中心部のことです。ガーベラの葉はこの株の成長点を起点として葉が放射線状に伸びていきます。
株分けの際の準備物を見ていきましょう。
- 株分けするガーベラ
- 肥料(緩効性化成肥がおすすめ)
- 剪定ばさみ
- スコップ、ジョウロ
株分けしたガーベラは鉢植え・地植えどちらも可能です。鉢植えする場合は以下のものを準備しておくと良いでしょう。
- 5号以上の鉢
- 水はけの良い土
- 鉢底ネット、鉢底石
ガーベラの株分け手順は以下の通りです。
- 鉢からガーベラの根を外して土を落とします
- 成長点ごとに根がつくようにハサミなどを使って慎重に切り分けます
- それぞれの株を鉢または地面に植え付けます
成長点ごとに均等に根がつくように株分けできるのが理想ですが、もし根がついていない成長点がある場合は、小さな鉢またはポットに植えて、根を大きくしてから植え付けるのがおすすめです。
ガーベラの冬越し
温暖な地域では地植えのままで問題ありませんが、寒冷地では鉢植えのガーベラを室内に取り込むか、地植えの場合はマルチングをして株を保護をします。
マルチングとは、植物の根元周りを草や小枝、小石などで覆うことです。
鉢植えのガーベラを冬場の室内でする場合、明るい窓辺に置き、温度を5℃以上に保ちます。水やりは控えめにし、土の乾燥を確認してから行いましょう。
ガーベラは種から育てられる?
ガーベラは苗の流通が多いですが、種から育てることも可能です。
種まき時期は春と秋頃が適しています。ただし、寒い地域は秋ごろに種まきすると、品種によってはうまく発芽しない可能性があるため、できるだけ春に種まきすると良いでしょう。
発芽適温の最低は15度で、20度〜25度を保てば1週間程度で発芽します。
種まきは以下の手順で行いましょう。
- 種まき用の土をポットや育苗トレイなどに入れて水で湿らせます
- 種を一粒ずつまき、その上に土を薄くかけます
- 日陰で管理します
- 発芽したら少しずつ日に当て、本葉が4~5枚出るまで待ちます
種は市販でも販売されています。また、既にガーベラをお家で植えている場合は、そこから種を採取するのも楽しいでしょう。
種の採取のタイミングはガーベラの花数が減り、開花シーズンが終わりに近付く頃です。花が盛んに咲いている間は種は取らずに花がらをしっかり摘み取っておきましょう。
晴れて空気がカラッとした日に行うことで種が湿り気や雨で腐ることを防ぎます。
開花シーズンが終わりになってきたら、花がらは摘まずにそのままにして種を育てます。花が枯れて、花の中心部が綿毛になってきたら、その綿毛をピンセットまたは手で抜いてみましょう。綿毛の先に種が付いてきます。
採取したガーベラの種は保存用の紙袋に入れて乾燥させて冷暗所で保存しましょう。
ガーベラの記念日は4月18日
4月18日は「ガーベラ記念日」といわれています。その理由は、日本で初めてガーベラの新品種が誕生したのがこの日だからです。
静岡県はガーベラの出荷量が全国一位。牧之原市や島田市、藤枝市などで盛んに生産されています。
静岡県ではこのガーベラ記念日に合わせて県内で記念イベントなどを行っています。
ガーベラの咲き方一覧
ガーベラにはいろいろな種類がありますが、ここでは咲き方の種類をご紹介します。
ガーベラの咲き方の種類は主に6つあります。
一重咲き
スタンダードな咲き方です。花びらの大きさは均一で放射線状に広がります。お花屋さんでよく見られる可愛らしいガーベラです。
半八重咲き
セミダブルともいわれている咲き方。一重咲きの中心に小さな花びらが重なりながら密集して咲いているのが特徴です。
八重咲き
半八重咲きより全体的に花びらが重なりボリュームのある花の姿が特徴。フルダブルともいわれます。花の中心は小さな花びらで、外に向かって大きな花びらが重なり合います。
カール咲き
ガーベラの種類の中で特に個性的なカール咲き。花びらが筒状にくるんと丸まっています。パスタシリーズと呼ばれることもあります。
ポンポン咲き
八重咲きよりもボリュームがあり、ポンポンと言う名前がしっくりとくる種類です。花弁は八重咲さきよりも多く、中心が盛り上がっています。
スパイダー咲き
ガーベラの花びらは楕円形が多いですが、このスパイダー咲きは、花びらがシャープなのが特徴です。とがった花びらが咲く姿はとてもユニークです。
ガーベラの主な品種一覧
ガーベラの品種をいくつかご紹介します。
ガーベラ・トレイシー
八重咲きのガーベラの品種で、ダリアにも似た見た目が人気です。薄いピンク色をしたものが多く、花びらの外側から中心にかけ、グラデーションのように色が濃くなっていきます。
ガーベラ・パスタベネチア
パスタシリーズでも1枚1枚の花びらが筒状に丸まっているのが印象的な、パスタベネチア。濃い目のピンク色の花びらで、それぞれの先端がクリーム色をしています。花びらの向きはいろいろで、花に表情があるのもユニークです。
ガーベラ・ブラックパール
ポンポン咲きの品種です。ビビッドな濃い赤に、黒色の芯のコントラストが美しく、可愛らしいガーベラとは違いシャープな印象です。
ガーベラの育て方のポイントを知って長く楽しもう
ガーベラは育て方のポイントを知っておくことで、地植えも鉢植えも両方簡単に行うことができます。
花を育てた後は種を採り、種からまた育てる楽しみもあります。咲き方の種類もいろいろあるため、ガーベラの種類をいくつか寄せ植えすれば、鉢や庭が賑やかになるでしょう。
ぜひこの記事を参考にしてガーベラをお家で育ててみてくださいね。