「観葉植物を育てようとしたら、土にバーミキュライトを使うと書いてあったけれどよくわからない…」そんな方に向けて、ここではバーミキュライトの使い方や特徴を簡単に解説します。初心者が使いやすいバーミキュライトもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
バーミキュライト(Vermiculite)は園芸で使う土の一種
バーミキュライトは、観葉植物や花の栽培など園芸で使われる土の一種です。
厳密には、酸化マグネシウムや酸化ケイ素を主成分とする鉱物で、身近なところでは冬の必需品であるカイロの原料にも使われています。
バーミキュライトはさまざまな土のなかでも群を抜いて扱いやすく、主にほかの土に混ぜ合わせて使う「補助用土」として愛されています。
まずは、その特徴から簡単に見ていきましょう。
植物の生育に嬉しい5つの長所を持つ
バーミキュライトの特徴としてもっとも有名なのが、植物の生育に役立つ5つの長所を持っていることです。具体的には、以下の5つを兼ね備えています。
- 保水性
- 無菌性
- 断熱性
- 保肥性
- 軽量性
それぞれ簡単にご紹介します。
保水性
保水性は、水分を土の中に貯めこむ力を意味します。バーミキュライトは表面が蛇腹状にギザギザしており、すきま部分にたっぷりと水分を貯められる性質を持ちます。
屋外で植物を育てる場合、あるいは室内でも乾燥に弱い品種を育てる際には、いかにして長時間土の中に水分を維持するかが重要です。
バーミキュライトを混ぜることで、水の抜けにくい保水力の高い土を手軽に実現できます。
無菌性
無菌性は、土の中に菌がいない状態を指します。バーミキュライトは、製造の過程で700度以上ともいわれる高温にさらされるため、基本的に菌が存在しません。
植物の育てはじめや植え替え時のような、菌による病気が心配なタイミングで重宝されています。
断熱性
断熱性は、熱の伝わりにくさを意味します。バーミキュライトは内部が空洞なため、熱が伝わりにくいのが特徴です。
断熱性の高さは、植物の根っこを守るために役立ちます。たとえば夏の暑い日にも、外気の熱が根っこにまでは届きにくくしてくれるため、植物を労わりながら育てられます。
保肥性
保肥性は、肥料を土の内部にできるだけ留めておく性質です。バーミキュライトは水分同様に、肥料も土の中へ貯めておけます。
プランター栽培のような、容器に入れられる土の量が少なく、肥料が水やりで簡単に流れ出てしまいやすいシチュエーションで重宝します。
軽量性
最後の特徴である軽量性は、軽くて取り回しやすいことを意味します。
内部が空洞なバーミキュライトは非常に軽く、女性が一人で取り扱うのも簡単な土です。
「植物を育ててみたいけれど、あまり重労働なのは…」という方にもぴったりで、土全体の重量を軽くする目的でよく混ぜられています。
アメリカのアスベスト混入事件で話題に
上記のように、植物を育てるうえで嬉しい性質を多数持つバーミキュライトですが、実は「バーミキュライトは身体に悪いので使わない」と考えている園芸愛好家の方もいます。
これは1970~1980年ごろに、アメリカ産のバーミキュライトの中にアスベストが混入する事件があり、「今でも健康に悪いのではないか?」というイメージを持たれているためです。
実際には、2006年に国内の「労働安全衛生法施行例の改正」で“重量に対して0.1%以上のアスベストを含有するもの”は輸入や譲渡できなくなるなど、すでに厳しい規制が課せられています。
パーライトとは水はけの良さが違う
ちなみに、バーミキュライトとよく名前の似た土として「パーライト」と呼ばれるものがあります。
こちらは火山岩から作られる土で、バーミキュライトとは反対に「排水性(水を過度に貯めこまず放出する性質)」を持ちます。
バーミキュライトの使い方
それでは、バーミキュライトの使い方をご紹介します。バーミキュライトの使い方は、
- 補助用土
- 水耕栽培用の土
- 挿し木や種まき時の土
の3種類に大きく分類できます。
補助の土として混ぜる
もっとも主流な使い方が、ほかの土に混ぜ合わせる補助の土としての使用です。
バーミキュライトの魅力である保水性や軽量性などを土全体に持たせるため、適量を混ぜ合わせて使用します。
混ぜ合わせる対象の土や分量は、育てる植物によりまったく異なりますが、「基本となる土8:バーミキュライト2」ほどの割合で混ぜられるケースが目立ちます。
混ぜ合わせる方法は簡単で、軍手やスコップを用意して全体をまんべんなく混ぜていくのみです。
水耕栽培に使う
植木鉢やほかの土を使わず、透明なグラスなどを器に水の中で育てる「水耕栽培」にも、バーミキュライトは向いています。
水耕栽培では、「ハイドロカルチャー」と呼ばれる人工的な土のような物質を使って、根っこの位置を器の中で固定して育てます。
バーミキュライトは、このハイドロカルチャーの代わりとしても扱えるのです。
使い方も難しいことは何もなく、水耕栽培用の器の中で、植物の根をバーミキュライトで十分に固定してあげればOKです。
挿し木や種まき時の土としても活躍
そのほか、無菌性であることから、挿し木や種まき時のような病気のリスクが高いタイミングでの土としてもよく活用されています。
使い方は、保水性や軽量性を期待して補助用土として使う場合とほぼ同様です。注意点として、挿し木や種まき時は無菌性を保つために、土一式を必ず新品で揃えましょう。
初心者におすすめのバーミキュライト3選!
最後に、初心者の使いやすいバーミキュライトを3種類ご紹介します。
【瀬戸ヶ原花苑】バーミキュライト 3L
無菌性や保水性など、主要な性質をしっかりと満たしたバーミキュライトです。
ベランダでのガーデニング目的向けのバーミキュライトとして販売されていますが、ベランダ以外で育てる場合にも問題なく使用できます。
手掛ける『瀬戸ヶ原花苑』は、多数の高品質な土を自社生産している、1975年設立の老舗培養土専門メーカーです。
信頼性の高いバーミキュライトを使いたい初心者の方にぴったりですね。
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【瀬戸ヶ原花苑】バーミキュライト 10L
こちらは、上記と同じ『瀬戸ヶ原花苑』のバーミキュライトの容量違い版です。
10Lと大容量なため、たくさんの植物を育てている方に向いています。単純に、好みの容量の方を選んでしまって大丈夫です。
初心者の場合はどれだけ使うのかわかりにくいケースも多いでしょうから、余裕を持って大きめな方を選ぶのも良いですね。
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【大宮グリーンサービス】プレミアムソイル バーミキュライト 5L
コストパフォーマンスを重視したい方には、こちらの“プレミアムソイル”と名付けられたバーミキュライトがおすすめです。
他社のバーミキュライトと比べて非常に価格が安く、ワンコインで気軽に試せます。この価格帯でしたら、失敗を恐れず挑戦しやすいですね。
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バーミキュライトを活用して、植物を元気に育てよう
植物にとって、土は自身の健康状態を大きく左右する重要な要素です。適切な土を用意しなければ、ほかの生育環境が整っていても健康に育てることは難しいでしょう。
バーミキュライトの5つの性質を活用して、大事な植物を健康に育ててくださいね。
なお、観葉植物の土に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひあわせてご確認ください。