鉢植えも地植えも楽しめるオリーブは、観賞用としてはもちろん、花を咲かせたり実を収穫したりと楽しみ方が多いのが魅力です。そんなオリーブが枯れてしまったら、ショックも大きいですよね。今回はオリーブが枯れてしまう原因と、復活方法をご紹介します。
オリーブが枯れているかもしれない!気をつけたい症状は?
まずはオリーブにどんな症状が出たら枯れている、または枯れかけているのかをチェックしましょう。
些細な症状も見逃さないことが、復活させる重要なポイントです。
葉が黄色や茶色に変色する・落ちる
一目でわかりやすいのが、葉の症状でしょう。
オリーブの木は常緑なので、葉が黄色や茶色に変色するのは枯れているサインかもしれません。また、葉が幹から落ちてしまうのも、弱っている可能性があります。
幹肌が茶色く乾燥している
幹が乾燥していたり、茶色く変色していたりする場合も、枯れている可能性があります。
大きな幹になると全体的に茶色くなり判断が難しいので、主幹の幹肌を少し削ってみましょう。中が緑なら、まだ復活の可能性があります。
しかし、中も乾燥して茶色いようであれば、株自体が枯れてしまっているかもしれません。
幹がぐらついている
幹が風に吹かれる程度でぐらぐらする場合は、根が枯れてしまっているサインかもしれません。
土に根を張る力が無くなり、栄養分なども吸収できないので、葉や幹にも何かしらのサインが出ている可能性が高いです。
根が完全に枯れてしまっていると復活は難しいので、そうなる前に対処しましょう。
オリーブの実に茶色い斑点ができている
オリーブは、実も注意して観察する必要があります。
実が変色していたり、茶色い斑点が出ていたりするようなら、病気のサインかもしれません。
オリーブは最初緑色に始まり、太陽にあたることで紫色へと変わっていきます。熟すと濃い紫色から黒へと変化するので、その移り変わりをしっかり見極めましょう。
オリーブが枯れる理由は?原因と復活方法をチェック
オリーブが枯れてしまう原因はいくつか考えられます。その原因に合わせた対処法を施すことで、再び元気な姿を取り戻すことができるかもしれません。
まずはどうして枯れてしまったのか、理由を知りましょう。
オリーブが枯れてしまう代表的な原因を10パターンご紹介するので、対処法と合わせてチェックしてみてください。
水やりが適切でなかった
オリーブの葉が落ちてしまう場合、水やりが適切でなかった可能性が高いでしょう。
オリーブは乾燥に強いため、あまり水やりをしなくても育てることができます。しかし、水が足りなさすぎると水切れし、栄養を節約するために葉を落してしまうのです。
反対に、水をあげすぎるとすぐに根腐れを起こしてしまうため、葉まで栄養が行き届かずに枯れてしまうこともあります。
対処法
オリーブに適切な水やりをするためには、季節を意識してみてください。夏と冬では環境が全く異なるので、それに合わせて水やりをする必要があります。
- 夏の水やり方法
オリーブは春から夏にかけて旺盛に生育するので、たくさんの栄養を必要とします。
また、夏にかけて日差しが強くなり、高温下では水も蒸発しやすいので、たっぷりと水やりが必要です。土の表面を見て、乾燥しているようなら水やりをしましょう。
鉢植えの場合は、鉢底から水が溢れるほどやるのが目安です。
屋外で地植えしている場合は、土の色が全体的に濃く変わるまであげましょう。
- 冬の水やり方法
冬になるとオリーブの生育は緩やかになるので、その分栄養も必要なくなります。
そこに夏と同じだけの水やりをすると栄養過多になり、水分を吸収しきれず枯れる原因になります。
日当たりが悪かった
オリーブは丈夫な植物なため、日陰でも育ちます。
しかし、まったく日が当たらない場所では成長が悪くなり、枝が細くなったり葉が茂らなかったりと貧弱になります。そして、最悪の場合枯れてしまうこともあるでしょう。
特に庭に植える際は、時間によってどの程度日光が当たるのかを把握してから、植える必要があります。
日光を当てることで大きく元気に成長させられるので、なるべく日の光が入る場所で育てるようにしましょう。
対処法
鉢植えの場合は窓際に置くなどし、1日数時間でも日光に当てます。直射日光は葉を変色させることもあるので、レースのカーテン越しなどが理想です。
日当たりの悪い場所に地植えをしてしまった場合は、日当たりの良い場所に植え直すのが良いでしょう。
寒さで弱ってしまった
オリーブは地中海や北アフリカが原産のため、温暖な気候を好み、寒さには弱い性質があります。
それでも、マイナス10℃までは耐えると言われているので耐寒性はあるのですが、マイナス5℃以下の気温が続くと枯れてしまう可能性が上がります。
オリーブは15~22℃程度の気温が適温です。冬の時期や寒い地域で育てていて、急に元気がなくなった場合は、寒さで弱った可能性があります。
対処法
関東より以南の気候なら、冬の寒さもそこまで問題視しなくて大丈夫でしょう。しかし、鉢植えで育てているなら冬場はなるべく室内に入れ、外には出さない方が賢明です。
特に夜の寒さは冷え込むので気をつけてください。
地植えをしている場合は、霜が降りるほど寒い日に注意してください。霜でオリーブが凍ったり、霜が溶けて必要以上に加湿されたりすると弱ってしまいます。
オリーブの根元に藁を敷くなどして対処するのがおすすめです。
実を収穫したい場合、ある程度寒い環境に置かないと花がつかないことがあります。適度な寒さは株を丈夫にしてくれるので、そこまで過保護にならないようにしましょう。
強風にさらされた
オリーブは根が浅いため、風に吹かれるのに弱い植物です。
特に幼苗の段階のものや、植え替え直後の苗は、強風にさらされて揺れているとその振動が根まで響き、根を傷つけてしまいます。
その結果根がうまく張れずに栄養が十分に吸収できず、根から枯れて取り返しがつかない状態になってしまうこともあるでしょう。
対処法
オリーブが幼苗のうちは、支柱を立てて保護するのがおすすめです。
園芸店やホームセンターなどでも気軽に購入できるので、支柱を立てて幹を紐で結び安定させましょう。
屋外で地植えをしているなら、支柱はマストです。
多湿な環境に置いてしまった
オリーブは乾燥を好む性質があり、じめじめと湿度が高い環境では病気にかかりやすくなります。
特に土が湿った状態が続くと根腐れを起こし、枯れる大きな原因になるでしょう。
湿度が高いと害虫が寄ってくることも多くなるので、オリーブはなるべく多湿な環境を避けて育てます。
対処法
多湿状態を防ぐためには、水やりのし過ぎに注意しましょう。
鉢植えの場合は受け皿に水をためないことが重要で、こまめに捨てる癖をつけてください。
風通しを良くすることで湿度が和らぐので、風の通る窓際などに置いたり、隙間を作るよう枝を剪定したりするのも効果的です。
肥料を与えすぎている
オリーブを元気に大きく育てるために、肥料を与えるのは効果的です。しかし、与えた分だけ効果が表れるわけではないので、与えすぎには注意しましょう。
既定量よりも多い肥料を一度に施してしまうと、土地の肥料濃度が上がり、それに驚いた根はいつもの役割が担えなくなります。
栄養や水を吸い上げる機能が低下し、最悪の場合枯れてしまうでしょう。これを“肥料やけ”といい、特に土の量が限られる鉢植えで起こりやすい現象です。
また、有機肥料を使用していると、病害虫の可能性も上がるので、肥料は適切な量を守ってください。
対処法
肥料を与えすぎてしまったと思ったら、まずは応急処置として肥料を撒いた部分の土を取り除きます。
追加で肥料分のない土を混ぜ、肥料が流れ出るように多めの水を与えてみましょう。
オリーブは3月、6月、10月の3回、生育期にあたる時期にのみ肥料を与えるのが適切です。オリーブ専用の肥料も売っているので、記載されている量を守り与えてください。
剪定をせずに葉が密集しすぎていた
オリーブは5~10m程度まで育つ植物なので、枝や葉も良く茂ります。
その光景はまさに元気そのものですが、枝や葉が密集した状態が続くと窮屈になり、次第に弱って枯れてしまうことがあります。
また、実をつけるのも難しく、なかなか実がつかないという場合も葉や枝が多過ぎるのかもしれません。
対処法
オリーブを育て始めて3年以上経過しているなら、剪定が必要です。年に3回程度、春から冬になる前までの間で剪定を行ないましょう。
1回目は春先、新芽が出やすいよう思い切って古い枝葉を切り落としてください。
2回目は新芽が出始めた初夏の頃、全体のバランスを見て樹形を整えましょう。ここで風が通りやすいように調整するのがおすすめです。
また、株本から伸びている枝は栄養を多く吸うので、適度に切り落として栄養がまんべんなく行き渡りやすいようにします。
3回目は、冬になるまでの間に伸びすぎた枝葉を落します。ここで微調整することで、冬場に向けて形の整った、風通りの良いオリーブの樹形ができるでしょう。
切り落とした枝に癒合剤を塗ると、病気などから保護することができておすすめです。
また、冬場の剪定や、枝葉の切り落としすぎは株に影響を与え弱らせることがあるので気をつけましょう。
土のバランスが悪い
オリーブはあまり土を選びませんが、適切な土というのはあります。
地植えの場合は土がさまざまな影響を受け、栄養バランスが丁度良く保たれやすいですが、鉢植えの場合は最初の土選びから植え替えなどのタイミングで、土の状態をチェックする必要があります。
土の状態が悪いと栄養が足りなくなったり、水はけが悪くなったりするので、葉が枯れたり根腐れを起こしたりするでしょう。
特に、葉先が黄色くなる症状は、マグネシウム不足か土が酸性化してしまったことが原因かもしれません。
オリーブに適した土作りが必要です。
対処法
鉢植えの場合、まずは最初の土選びを慎重に行いましょう。オリーブは水はけが良いことが重要なので、パーライトなどの改良用土を混ぜるのがおすすめです。
自分で土の配合をするのが難しいなら、オリーブ用の培養土を購入すると良いですよ。
2年ほど同じ土を使用していると、だんだん水はけが良くなくなり、栄養バランスが崩れることもあるので、適度な植え替えも効果的でしょう。
地植えの場合は、雨の影響で土が酸性に傾いてしまうかもしれません。その場合は、石灰を撒くことで中和し、オリーブが好むアルカリ性に正すことができます。
マグネシウムが足りない場合は、苦土石灰を撒くのがおすすめです。
植え替えを失敗した
オリーブは生育が旺盛なので、鉢植えの場合は1~2年に1回は植え替えが必要です。
株の大きさより小さな鉢で育てていると窮屈になり、見た目も悪いですし、根がこれ以上伸びることができず根詰まりを起こすことがあります。
根詰まりをすると水をあげてもなかなか吸収しにくくなり、栄養不足になるでしょう。すると葉が枯れ始め、最終的には株ごと枯れてしまいます。
植え替えを行なっていても、やり方が正しくなかったり、根を傷つけてしまったりすると枯らす原因となります。
適度な頻度で、正しい植え替えが必要です。
対処法
オリーブの植え替えは、生育に合わせて1~2年に1回は行うようにしましょう。
植え替え時期は花が咲く前の春か、咲き終わった秋ごろがおすすめです。その時期に行うことで、株に負担を与えにくくなります。
植え替えはとにかく優しく行ない、無理に株を引き抜いたり、根についた土を雑に振り払ったりしないようにしましょう。
もし根を傷つけてしまったら、その部分はカットするようにしてください。
また、黒ずんだ根があれば根腐れをしているので、合わせてカットしましょう。
植え替えが終わったら、1週間程度はデリケートな状態です。
オリーブを育てるうえで気をつけたい病害虫
最後に、オリーブがかかりやすい病気や、つきやすい害虫についてチェックしましょう。
オリーブがかかりやすい病気
炭そ病は糸状菌というカビの一種で、葉や枝に灰白色や黒い円形の斑点が出ます。
オリーブの場合は実に茶色い斑点がつくのも特徴です。放っておくと被害が拡散し、葉や幹を枯らしてしまいます。
湿度や気温が高い梅雨の時期に発生しやすく、土がずっと湿った状態も危険です。
炭そ病にかかってしまった葉や枝、実は切って処分してしまいましょう。風通しが良い場所に置き、殺菌剤を撒いて対処してください。
梢枯病もカビの一種で、枝の先端から侵入し手茶色く変色させ、枝や葉を枯らして最終的には株全体を枯らします。
5~10月頃に発生しやすく、気をつけたいのは剪定後です。剪定した部分から菌が侵入しやすいので、切り口に殺菌剤を塗るのがおすすめです。
梢枯病にかかってしまった枝は、全部切り落としてください。
オリーブにつきやすい害虫
4~11月に発生しやすいオリーブアナアキゾウムシは、幼虫が幹の内側を食べてしまい、養分や水を吸い上げるのを妨げます。
ダメージが大きければそのまま枯れることもあるので、見つけ次第駆除しましょう。
ポイントとしては、幹に穴が空いていないか、根持ちにおがくずのようなものが落ちていないかです。
スミチオン乳化剤を散布すると駆除できますが、花や実にかかると枯れてしまうこともあるので注意してください。
名前の通り、葉の先を巻き込んで葉や果実を食べる害虫です。
特に柔らかい葉を好み、新芽を食い荒らされてしまうこともあるでしょう。湿度が高い場所を好むので、葉や枝を密集させないのがポイントです。
数が少ない場合はピンセットなどで取り、被害にあった部分は切り落とします。被害がひどい場合は、浸透性薬剤を散布して対処しましょう。
ネキリムシとは夜蛾(ヤガ)やコガネムシ、コメツキムシなどの幼虫の総称です。土の中で根を食害し、生育に悪影響を与えます。
土の中にいるため、存在に気がつけなければ被害はどんどん拡大し、オリーブが枯れるまで放置してしまうこともある、大変怖い害虫です。
しかし、土をちょっと掘り起こした程度の浅い部分に生息しているので、こまめにチェックしていれば気がつけることもあります。
春から秋に発生しやすいですが、あらかじめ苗や土に生息しているケースも多く、予防が困難なのが難点です。
ネキリムシを見つけたらすぐに駆除し、鉢植えの場合は土を入れ替えるのが良いでしょう。その後心配な場合は、殺虫剤を撒くのがおすすめです。
オリーブが枯れたら原因を知った上で対処法を試してみよう
乾燥に強いオリーブは、他の観葉植物より世話の手間が少なく、初心者でも育てやすい種類です。
しかし、悪条件が揃うと葉や幹の変色や、枯れ落ちることもあり、しっかり対処しないと株全体を枯らしてしまいます。
どうして弱ってしまったのかの原因を探り、正しい対処法で復活させましょう。