植物に元気を与えてくれる肥料は、園芸に欠かせない重要アイテムです。しかし、種類が多く、初心者がどれが良いかと迷いがちなアイテムでもあります。ここでは初心者の扱いやすい液体肥料について、その魅力と具体的なおすすめ品、よくある質問まで解説します。
初心者でも扱いやすい肥料「液体肥料」
「大切な観葉植物や花をより元気に育てたい!」そんな願いを叶えてくれるのが、液体の状態で市販されている肥料“液体肥料”です。
一般的に家庭の園芸で用いられる肥料は、“液体肥料(液体タイプ)”と“固形肥料(固形タイプ)”の2種類に分類できます。
このうち、初心者でも扱いやすいと好まれているのが液体肥料です。まずは、なぜ液体肥料が初心者にとって魅力的なのか見ていきましょう。
スピーディーに栄養を届けられる
1つ目の理由は、植物に素早く栄養を届けられるからです。
最初から栄養が水分に溶けている液体肥料は、固形肥料と比べて素早く植物に栄養が行き渡ります。
効果が表れるまでも早く、初心者にありがちな「本当にこれで大丈夫かな?」と不安な気持ちをスピーディーに解消できるのが魅力です。
初心者の間はなかなか効果が表れないからと勝手に肥料を追加して、“肥料焼け(植物の浸透圧が崩れ枯れる現象)”と呼ばれる「肥料のやりすぎによる異常」を起こしてしまいがちです。
素早く効果を実感でき、万が一やり過ぎた場合にもすぐに水で洗い流せる液体肥料であれば、このような失敗のリスクも最小限に抑えられるでしょう。
タイミングを選ばず手軽に使える
2つ目の理由は、液体肥料は基本的に使うタイミングを選ばず、気が向いたときにすぐに与えられるからです。
固形肥料の場合、植え替えや植え付け時に土へ混ぜ込んでおく“元肥(もとごえ)”と、育て始めた後の“追肥(ついひ)”の2段重ねで栄養を与える形が一般的です。
しかし、元肥はいつでも行えるわけではなく、植え替え・植え替え時にタイミングを合わせる必要があります。
また、根の働きが弱まる寒い時期など固形肥料を与えるべきではないタイミングもあるほか、土を使わないハイドロカルチャー(水耕栽培)のようなそもそも液体肥料しか与えられない育て方も存在します。
初心者が植物を元気にしたいと思ったときには、液体肥料が解決策となるケースが大半です。
失敗しない液体肥料の選び方
スピーディーに効果を実感でき、与えて良いタイミングも幅広い液体肥料であれば、自分が大切に育てている植物もきっと元気にしてくれます。
しかし、一口に“液体肥料”といってもさまざまなアイテムが市販されており、初心者には選びにくいものです。失敗しないための選び方をチェックしていきましょう。
「有機」と「無機(化成)」のどちらかを決める
まず行うべきは、“有機”と“無機(化成)”のどちらの肥料にするのか決めることです。
同じ液体肥料の中でも、どのような原料から作られたのかにより、それぞれ特徴が異なります。
有機肥料
魚粉や米ぬかのような動物・植物由来の原料から作られているのが有機肥料です。
効果の表れ方が比較的緩やかで、長期間持続します。根からの栄養吸収を想定しているものも多く、土の土壌改良にも役立つなど、液体ながら固形肥料に近い働きを持つ肥料です。
「もともと固形肥料を使うつもりだったが、タイミングを逃してしまった…」というときに活躍します。
無機(化成)肥料
鉱物など、動物・植物由来の原料以外から作られているのが無機(化成)肥料です。市販されている液体肥料の多くは、この無機(化成)肥料に分類されます。
効果の表れる速度と与えるタイミングを選びにくいという、上述した液体肥料の魅力をどちらも兼ね備えています。
さらに、有機肥料と比べて臭いが気になりにくく、室内で植物を育てている場合にもぴったりです。
また、価格面でも有機肥料と比較して安価に設定されている傾向にあります。初心者の場合、特別なこだわりがなければ無機(化成)肥料から選ぶと良いでしょう。
「ストレート」と「希釈」で使い勝手が異なる
液体肥料にはそのまま植物に与えられる“ストレートタイプ”と、水で薄めてから使用する“希釈タイプ”が存在します。
どちらも一長一短ありますので、自分に合いそうな方を選びましょう。
ストレートタイプ
ストレートタイプの魅力は、なんといってもそのまま植物に与えられる手軽さにあります。
器に出して希釈する必要もなく、思い立ったタイミングでそのまま説明書通りの量を与えるのみでOKです。
自分で量を調節しないため、濃度を間違えて肥料をやりすぎてしまう心配もありません。上手に希釈する自信がない方や、手軽さを追求したい方にぴったりです。
一方で、希釈タイプと比べるとコストパフォーマンスでは劣ります。
また、中級者以上の場合は自分で濃さを調節できない点がむしろ欠点となってしまう可能性もあり、注意が必要です。
希釈タイプ
原液に対して自分で水分を加えて、濃度を調節して与える液体肥料が希釈タイプです。
希釈タイプの魅力は圧倒的なコストパフォーマンスにあります。
商品や育てる植物にもよりますが、2,000倍(原液1:水2,000)のような高比率で希釈するケースも多く、少量の原液から驚くほどたくさんの肥料が作れます。
園芸に慣れた方であれば、自分で濃度を調節することで植物にとって理想的な肥料を作りやすいのもポイントです。
コスト重視の方や上手に使いこなす自信のある方は、希釈タイプが良いでしょう。
用途が合っているか確認しよう
有機か無機(化成)か、ストレートか希釈か決められた後は、最後に用途を確認しておきましょう。
一口に家庭用の液体肥料といっても対応植物は商品ごとに異なり、観葉植物用、野菜用、花用、水耕栽培用など多種多様です。
自分の育てている植物にふさわしい液体肥料を探す必要があります。
なかには、実や花を大きくするためのものや野菜を美味しく育てるためのもの、植物のストレスをブロックしてあげるためのものなど、より詳細な目的が定められている液体肥料も存在します。
商品説明をしっかりと確認しつつ、吟味していくのが失敗しないコツです。
初心者向け使いやすい液体肥料11選!
ここからは、通販で手に入る初心者でも扱いやすい液体肥料をご紹介します。自分の植物に合いそうなものはあるか、ぜひ参考にしてみてください。
【ハイポネックス】原液 160ml
まずご紹介するのは、老舗ブランド『ハイポネックス』の希釈タイプの液体肥料です。
1962年に前身となる丸和化学株式会社を設立した『ハイポネックス』は、液体肥料界隈で抜群の人気を誇るメーカーとして知られています。
こちらは『ハイポネックス』の中でも初心者向けに特化した液体肥料で、庭植えの植物から野菜までさまざまな品種に対応しています。
「扱いやすい王道の1本が欲しい」という方にぴったりです。
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【ハイポネックス】ストレート液肥 観葉植物用
同じく『ハイポネックス』から、こちらは観葉植物向けに特化したストレートタイプの液体肥料です。
観葉植物にふさわしい濃度となるよう最初から希釈されており、そのまま与えられます。自分で希釈して利用するのが不安な方の手軽な1本として活躍しますよ。
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【ハイポネックス】 野菜の液肥 450ml
「有機と無機の良いところをひとつにした」というユニークな液体肥料がこちらの“野菜の液肥”です。
株を丈夫にしてくれる無機成分だけでなく、コラーゲン由来のアミノ酸を含んでおり、野菜を健康に美味しく育ててくれます。
果菜、根菜、葉菜、ハーブとこれ1本で多くの野菜を元気にできる液体肥料です。
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【ハイポネックス】ハイポネックス 専用液肥 開花促進
花を咲かせる植物を育てている場合にぴったりなのが、“ハイポネックス 専用液肥 開花促進”です。
たっぷりの養分が含まれた高濃度の液体肥料で、適量を希釈して与えます。栄養を受け取りより元気になった植物は、これまでよりも美しい花をたくさん咲かせてくれるでしょう。
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【ハイポネックス】ハイポネックス ストレスブロック 500ml
“ハイポネックス ストレスブロック”は、植物のストレスをブロックしてくれるという面白いコンセプトの液体肥料です。
肥料成分のほかにミネラルやフルボ酸、アミノ酸やビタミンが配合されており、植物の栄養不足を手広くカバーしてくれます。
日照不足・乾燥・多湿・気温の異常など、植物にありがちな環境のストレスを軽減してくれますよ。
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【エコゲリラ】おうちのやさい
『エコゲリラ』の“おうちのやさい”は、「あらゆる野菜にこれ1本!」がコンセプトの液体肥料です。
「大きく育たない」「美味しくない」「水耕栽培に失敗する」といった野菜育てにありがちな悩みをまとめて解決してくれます。
メインの用途は野菜用ですが、観葉植物や花にも効果があるという優れものです。
「ひとつの液体肥料で育てている植物すべてをカバーしたい!」という贅沢な願いも、この液体肥料であれば叶えてくれるかもしれません。
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【住友化学園芸】肥料 花工場原液 1200ml
大手ブランド『住友化学園芸』から、こちらは花用の液体肥料をセレクトしました。
従来は5:10:5のバランスで配合されていた3種類の肥料成分(硝酸性窒素・アンモニア性窒素・尿素)を、8:10:5の新比率で整えたという一品です。
素早く植物に栄養が届き、綺麗な花をたくさん楽しめるようにしてくれます。
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【住友化学園芸】マイガーデン 液体肥料 650ml
同じく『住友化学園芸』の“マイガーデン”は、土壌改善を主目的にした珍しい液体肥料です。
モイスト成分の配合により、土の保水性と水の浸透性を高めてくれます。根から栄養や水分を吸収しやすい環境が整い、結果として植物が生き生きと過ごせるようになりますよ。
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【万田酵素】アミノアルファ プラス 100ml
こちらは有機物質を主原料とした液体肥料です。3年以上発酵させた植物性原料から作り上げ、光合成を促進させてくれる成分“マグネシウム”も配合しています。
累計で485万本(万田酵素植物用シリーズ)も出荷されている人気アイテムで、信頼性も抜群です。
ただし、植物に優しい液体肥料である代わりに、肥料成分そのものの含有量は少なめです。すでに固形肥料を与えていて追加の肥料を探している場合に使ってみてください。
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【ムーアンドプラント】オーガニックの液肥
植物の生命力をアップさせてくれる液体肥料“オーガニックの液肥”です。
北海道の乳牛から採れる成分を3年以上かけて熟成させ、無添加の液体肥料に仕上げています。有機JAS認定も受けており、地球に優しい一品です。
「あらゆる植物に対して時期を選ばずに使用できる」という優れもので、初心者でも安心して利用できます。有機タイプながら、臭いが控えめなのも嬉しいですね。
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【協和ハイポニカ】ハイポニカ液体肥料 1L(A・Bセット) KJA002
『協和ハイポニカ』の“協和ハイポニカ”は、プロにも愛用されている、中級者以上におすすめしたい本格的な液体肥料です。
A液とB液の2種類が入っており、水で希釈したうえでそれぞれを混ぜ合わせて与えます。
2本の液体を独立させているからこそ実現できる最適な配合により、植物をパワフルに元気づけてくれますよ。
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液体肥料に関するよくある質問
最後に、液体肥料に関するよくある質問をまとめてご紹介します。
自作で代用はできないの?
液体肥料は自作で代用することも可能ですが、基本的には市販品の利用をおすすめします。
自作肥料は本当に適量の栄養分が溶け込んでいるのか確認できないうえに、数ヶ月程度発酵させるなど作成に時間がかかります。
さらに臭いも強く、室内はもちろんマンションのベランダで作るのにも向いていません。
どうしても試してみたい方は、以下を参考に挑戦してみてください。
- 空のペットボトル
- 油かす
- 水
- 油かすと水を1対10の割合で溶かす
- ペットボトルの8割ほどまで溶かした液体を入れてフタをする
- 日陰に置き、週に1度かきまぜながら1~3ヶ月ほど発酵させる
- 臭いが強くなったら完了
使用頻度はどのくらい?
液体肥料の使用頻度は商品や植物によっても異なりますが、1~2週間に一度が一般的です。
注意点として、液体肥料は明らかな異常が表れてから使うよりも、定期的に決められた量を与えることをおすすめします。
植物が過度に弱っているときは、良かれと思って与えた肥料がかえって負担になってしまうケースもあるためです。
活力剤と肥料の違いって?
液体肥料とよく似たアイテムに“活力剤”が存在します。両者の違いは成分の種類や量、植物への働きかけの方法です。
市販されている肥料は、“肥料取締法”と呼ばれる「肥料内の含有成分や濃度についてのルール」を守ったもののみが販売されています。
肥料を名乗らず“活力剤”として販売する際には、このルールを守らなくても良いため、肥料の働きが期待できないアイテムも市販されているのです。
また、生理活性作用を高めるなど、そもそも肥料とは違うアプローチで植物を元気にしようとするアイテムも売られています。
肥料を探しているのであれば、間違えないように注意しましょう。
液体肥料で大切な観葉植物や花を元気にしよう!
効果を素早く実感しやすい液体肥料であれば、毎日大切に育てている植物もあっという間に元気にできます。
この記事でご紹介した原料の違いや使用方法の違い(ストレート・希釈)を意識して、扱いやすいものを見つけてくださいね。
また、初心者の間は、自分の植物向けではない用途の異なる液体肥料を選んでしまう失敗もありがちです。必ず自分の植物に合っているのかチェックしておきましょう。