植物の葉が突然真っ白に染まったときには、「うどんこ病」と呼ばれる病気が疑われます。うどんこ病は放置すると植物の栄養状態が悪くなったり、酷くなると枯れてしまったりする重大な病です。この記事で、概要や原因と対策、予防や治療に効果的なアイテム&薬剤を見ていきましょう。
うどんこ病はほとんどすべての植物がかかる病気!
観葉植物の病気の中でも、ユニークな名前から知名度が高いのが「うどんこ病」です。うどんこ病はほぼすべての植物がかかる、園芸中に見かけやすい病気として知られています。
うどんこ病の特徴は、大きく以下の2点です。
- うどん粉がかかったように白くなる
- 放置すると植物が枯れることも
それぞれ順番に見ていきましょう。
症状は「うどん粉がかかったように白くなる」
うどんこ病を患った植物は、まるでうどん粉を振りかけられたかのように葉が白く染まります。一度聞くと覚えてしまうユニークな名前は、この症状から名付けられたものです。
葉が白く染まる原因は、もちろんうどん粉ではありません。その正体は「カビ」です。白いカビが葉の表面で大量に繁殖することで変色しています。
そのため、うどんこ病になった葉は、別の場所にカビがうつらないように急いで剪定しなければいけません。
剪定の方法は植物の品種にもよりますが、葉の根元を剪定ばさみで切り、市販の癒合剤を塗るのみでOKです。
放置すると植物が枯れてしまうことも
うどんこ病は少しユーモラスな見た目&名前の病気ですが、放置するのはNGです。症状が広がると植物が栄養不足になり、花が咲かなかったり、ときには枯れてしまったりします。
野菜や果物などの食べられる植物の場合は、味が落ちてしまう点にも注意が必要です。
可愛らしい名前とは裏腹に、農家の方々や園芸愛好家を悩ませるやっかいな病気として恐れられています。
うどんこ病の原因と対策
では、うどんこ病の原因と対策を見ていきましょう。大きく以下の4点に気を付けることが大切です。
- 日当たりや風通しが悪い
- 窒素系の肥料のやり過ぎ
- 土が清潔でない
- 同じ植物をたくさん一緒に育てている
日当たりや風通しが悪い
最初に気を付けておきたいのが、日当たりと風通しです。苗を日当たりや風通しの悪い場所に置いていると、カビの活動が活発になり、うどんこ病にかかりやすくなってしまいます。
注意点として、うどんこ病は湿度が低すぎても発病する病気です。
風通しの良い場所に置きつつ、必要に応じて葉水(葉の両面に霧吹きで水をかけてあげる手入れ)を行い、適切な湿度を保ちましょう。
窒素系の肥料を与えすぎている
窒素を含む肥料を与える場合、量が多すぎないか再確認しておくことも重要です。
窒素系の肥料は植物を元気にしてくれますが、あまり量をやりすぎると、かえって苗が軟弱に育つことで知られています。
軟弱になった苗は、うどんこ病の被害にも遭いやすくなるため注意しなければいけません。
肥料は必ず用法・用量を守って与えましょう。また、冬のような植物の生育が止まる時期には、肥料を与えないようにしてくださいね。
土が清潔な状態ではない
見落としがちなポイントとして、土の状態にも気を付けましょう。
うどんこ病のカビは、土や落ち葉に混ざって生き延びることができるといわれています。
そのため、うどんこ病の再発に悩まされている方は、土を新品に変えるだけで解決する可能性があります。
また、土を清潔な状態にすることは、ほかの病気を防ぐ意味でも非常に効果的です。植え替え時には、できるだけ新品の土を使うと覚えておいてくださいね。
同じ植物をたくさん一緒に育てている
そのほか、うどんこ病は同じ植物を同時にたくさん育てているときにもかかりやすくなります。これは、同じ品種の植物にしかうつれないカビもいるためです。
たとえば、バラのうどんこ病のカビはバラ以外の植物では繁殖しないといわれています。
複数の植物を一緒に育てる場合はできるだけ多様な品種を選ぶことで、うどんこ病が蔓延するリスクを下げられます。
うどんこ病対策に役立つ身近なアイテム&薬剤5選
続いて、うどんこ病の対策で活躍する身近なアイテムと薬剤を見ていきましょう。
重曹
万能なお掃除グッズとして人気の重曹は、うどんこ病の対策にも役立ちます。重曹の成分である「炭酸水素ナトリウム」には、カビの活動を抑制させる効果が期待できます。
使い方は簡単で、重曹1g:水500mlの割合で水溶液をつくり霧吹きで吹きかけてあげるのみです。
コツとして葉だけでなく苗全体に吹きかけるようにすると、周囲のカビをまとめて弱めることができます。
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木酢液
ホームセンターや園芸ショップで市販されている「木酢液(もくさくえき)」も、うどんこ病の対策に役立つグッズです。
木酢液とは、木材を炭に加工する際に生まれる水蒸気を冷やした液体です。園芸に向いたさまざまな成分が含まれており、害虫被害や病気の予防に活躍します。
うどんこ病の対策で使う際には、木酢液1ml:水50mlの割合で混ぜ合わせてスプレーしてあげる形が主流です。
ただし、成分量によっても変わるため、使用前には商品の説明書から用法・用量をよく確認しておきましょう。
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酢
ご家庭のキッチンにある「酢」も、うどんこ病の対策に使えます。
酢の主成分である「酢酸(さくさん)」は殺菌効果を持つうえ、植物の新陳代謝を高めてくれるともいわれています。
適量を与えることで、うどんこ病のカビをやっつけつつ、病気にかかりにくい健康な苗を目指すことが可能です。
酢30ml:水:500mlほどの割合で混ぜ合わせ、こちらも霧吹きで吹きかけてあげましょう。
GFオルトランC
「薬剤の力を使って、うどんこ病を強力に退治したい」そんな方には、『住友化学園芸』の“GFオルトランC”がおすすめです。
うどんこ病によく効くサプロールという抗菌剤が配合されており、植物の品種に合わせた量をスプレーすることで効果を発揮します。
防虫成分も入っているので、害虫問題も一緒に解決したい方にもぴったりです。
注意点として、すでに葉に症状が強く見られているときには、葉の成分が死んでしまっていることがあります。その場合はうどんこ病を退治しても変色は戻らないため、思い切って剪定しましょう。
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ベニカXファインスプレー
屋外で野菜や花を育てている方に向いている薬剤が、“ベニカXファインスプレー”です。
オルトランと同じ『住友化学園芸』の一品で、環境にもよりますが、殺虫殺菌効果が約1ヶ月間と長期間持続します。うどんこ病から植物を強力に守ってくれますよ。
メジャーな害虫であるアブラムシに効果を発揮してくれるのも嬉しいポイントです。園芸の悩みの多くをこのスプレー1本で解決できます。
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うどんこ病に関するよくあるQ&A
最後に、うどんこ病でよくあるQ&Aを見ていきましょう。
人体に影響はある?
カビと聞くと不安になりますが、うどんこ病の人体への影響はないと考えられています。うどんこ病にかかった野菜や果物も、見た目を気にしなければ食べることが可能です。
しかし、植物がうどんこ病にかかると、実が痩せ細るうえに味も落ちてしまいます。適切に予防をしておくことが大切です。
放置するとうつる?
前述の通り、うどんこ病はカビが原因の病気です。そのため、放置するとカビの範囲が広がり(うつり)、葉が次々に白く染まってしまいます。
また、特に同じ植物を一緒に育てている場合は、苗同士でもカビが広がります。1枚でも異常のある葉を見つけた段階で、速やかに剪定してあげましょう。
剪定以外の対処方法はある?
うどんこ病は、初期状態であれば市販の薬剤だけで治ることもあります。しかし、すでに葉の細胞が死んでいる場合は、カビを駆除しても色は戻りません。
対策が遅れて被害が広がると、対応も難しくなります。まだ範囲が狭い内に剪定してしまいましょう。
うどんこ病から大切な植物を守ろう!
この記事ではうどんこ病の原因と対策、治療と予防に効果のあるアイテムや薬剤、よくあるQ&Aをご紹介しました。
うどんこ病はカビが原因で、放置するとますます症状が広がってしまいます。
素早く剪定を行った後、ご紹介したポイントを参考に再びかからないように予防してあげてくださいね。