植物を元気に育てるうえで必要なのが肥料を与えることです。今回は、さまざまな種類がある肥料の中から「緩効性化成肥料」について解説します。使い方についてもご紹介しますので、これから植物の肥料の購入を検討している方は参考にしてください。
緩効性化成肥料とは?
緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)とは、化成肥料の一種です。緩効性肥料と化成肥料とは以下の通りです。
- 緩効性肥料:肥料の成分が土の中に少しずつ溶けていき、効果が長く穏やかに続く肥料のこと。植物の生育に合わせて効いていく。
- 化成肥料:化学肥料の一種。無機質を原料にして、化学的な加工を加えたもの。
緩効性肥料には、植物の三大栄養素といわれる窒素・リン酸・カリが含まれます。緩効性化成肥料は三大栄養素のうち、ひとつの成分に特化した肥料、「単肥(たんぴ)」を2種類以上混ぜ、さらに化学的な処理を加えたものです。
緩効性化成肥料の多くが粒状や固形状に加工されていて、効き方や成分により、主に2つの種類に分類されます。
- 肥料の表面を覆い、肥料が溶けだす量を調整でき効果が続くように加工した緩効性化成肥料
- 植物の根から出る成分(根酸)にしか溶けない「く溶性」と、微生物にだけ分解する「不溶性」成分をミックスした緩効性化成肥料
どちらも植物に与えることで、肥料の持続期間を調整できる特徴があります。
緩効性化成肥料は、元肥・追肥どちらにも使用可能です。
緩効性化学肥料と緩効性化成肥料に違いはある?
緩効性化成肥料とともによく耳にするのが、緩効性化学肥料です。両者は違うというよりも、緩効性化成肥料は、緩効性化学肥料に含まれています。
化学肥料は、無機養分をひとつだけ含む単肥と、窒素・リン酸・カリの栄養素から二つ以上の成分を含む複合肥料の二つに分かれていて、化成肥料は化学肥料の複合肥料に含まれます。
緩効性化成肥料のおすすめ4選
ここからは、緩効性化成肥料の中のおすすめを〇つご紹介します。
【サンガーデン】一発肥料
“一発肥料”は、元肥として使えば追肥の必要がない種類の緩効性化成肥料です。初めて植物を育てる方や、手間をかけずに育てたい方などには、追肥の手間が省けます。
“一発肥料”には植物用や、特定の野菜に特化した種類もあります。元肥に混ぜて作物を植えれば、収穫まで追肥の必要がないため、家庭菜園でいろいろな種類の野菜をたくさん育てている方にもおすすめです。
【住友化学園芸】マイガーデンベジフル
住友化学園芸が商標登録をしている“マイガーデン”は、粒状の緩効性化成肥料です。“マイガーデンベジフル”は野菜や果物専用。マイガーデンシリーズには他にも草花や庭木、果樹など植物用のものもあります。
“マイガーデン”の特徴は、栄養分を効率よく吸収させる成分入りの緩効性肥料として特許を取っていることです。その成分とは腐植酸といい、肥料を吸収しやすい・土の保水性や通気性を高める・土を元気にするなどの特徴があります。
“マイガーデン”の緩効性化成肥料は表面が樹脂コーティングされていて、植物の生育や土の温度に合わせて肥料が溶けだす量が調整されます。
また、コーティングされていることで肥料が根に直接触れることがなく、肥料焼けも防げます。
マイガーデンは元肥・追肥どちらも使用可能です。
【ハイポネックス】マグァンプK
“マグァンプK”は追肥用の緩効性化成肥料で、固形肥料を土にばらまいて使います。追肥に使うことで効果は約2ヶ月です。
追肥用のため、すでに植えてある植物の株近くに施すことで、成分がゆっくりと土に溶けていき、土の中の根を元気にしてくれます。
“マグァンプK”に含まれる成分、リン酸は、丈夫な根を作ってくれ、さらに実や花の付きもよくしてくれます。
成分が土に溶ける速度は気温による影響を受けにくいため、気温が低いときでもその成分を保ってくれます。また、根に出る成分(根酸)によって成分が溶けだすため、根を傷めたり、肥料焼けする心配もありません。
【花ごころ】グリーンそだちEX IBのチカラ
観葉植物を含むあらゆる植物に使える、“グリーンそだちEX IBのチカラ IBのチカラ”。無臭のタイプで、室内で育てる観葉植物にも安心して使えます。
IB肥料とは、世界で効果が認められる「イソブチルアルデヒド縮合尿素」を配合した肥料のこと。肥料成分が無駄なく、ゆっくりと溶けだします。
“グリーンそだちEX IBのチカラ IBのチカラ”には三大栄養素(窒素・リン酸・カリ)がバランスよく含まれていて、花が咲く植物は花付きを良くしてくれます。ほとんどの植物に使えるため、常備しておく肥料にもおすすめです。
IB化成肥料を与えるタイミングは、植え付けや植え替えの約2週間後。肥料は1ヶ月効き目が継続します。
緩効性化成肥料の使い方
緩効性化成肥料の多くは、元肥・追肥の両方に使用可能です。おすすめの使い方は元肥です。植物の生育初期を支えるのに元肥は大切な役割を果たします。植物によって苗の成長速度は異なるため、元肥には成長に合わせて緩やかに効く緩効性化成肥料がおすすめです。
元肥に緩効性化成肥料を使う場合は、根が浅い植物には土に肥料を混ぜ込み、根が深い植物には植え付けるときの穴に肥料を入れると良いでしょう。
緩効性化成肥料を追肥に使用する場合は、栽培期間の長い樹木や野菜、冬に休眠期を迎える観葉植物に使用しましょう。
緩効性化成肥料はどこで買える?
緩効性化成肥料は、チェーン展開するホームセンターや園芸店などで購入可能です。ただ、特定の野菜や植物に特化した緩効性化成肥料は、農業や園芸品を多く取り扱うホームセンターの方が見つかりやすいかもしれません。
店舗に希望の緩効性化成肥料の商品が見つからない場合は、通販サイトを探してみましょう。
大手のECショップ(楽天市場・Amazonなど)でも肥料を販売していることが多く、ショップのセール期間中に合わせれば、店舗よりも安く購入できることもあります。
店舗とネットショッピングを上手に利用しながら、希望する緩効性化成肥料を見つけてください。
緩効性化成肥料を上手に使って植物を元気に育てよう
緩効性化成肥料は、ゆっくりと穏やかに植物に効いていく種類の肥料です。肥料を与える植物によって元肥・追肥と使い分ければ、植物を過度に傷めることなく高い効果をあげられます。
植物に肥料を与えるのに慣れていない方や、初めて植物を育てる方は、まず緩効性化成肥料から始めてみるのも良いでしょう。