地面を這うように成長していくグランドカバーの植物の中で、一年中緑を楽しめる常緑のグランドカバーをご紹介します。グランドカバーに常緑タイプを選ぶメリットについても解説。お庭にグランドカバーを植えようとお考えの方は、タイプ別にご紹介するグランドカバーの種類を参考にしてください。
常緑のグランドカバーとは?
地面を覆いながら成長するグランド(グラウンド)カバーの植物にはさまざまな種類があります。その中で、常緑(じょうりょく)タイプは、一年中緑色をキープする植物のことです。
常緑のグランドカバー用の植物を庭に植えると、冬でも枯れずに緑色を楽しめます。
グランドカバーに常緑葉を使うメリットは?
グランドカバーに常緑葉を使うメリットは、一年を通じて緑のカーペットが広がるため、冬の間でも庭が寂しい印象にならないことです。
ほかにも、常緑のグランドカバーには常緑以外のグランドカバーと同じように以下のようなメリットがあります。
- 雑草対策になる
- 土の乾燥防止
- 植物の種類によっては病害虫予防になる
- 地面の温度上昇を抑える
常緑のグランドカバーは、緑色で地面を覆うことで、視覚的にも癒しをもたらしてくれるでしょう。
次からは、常緑のグランドカバーをタイプ別にご紹介します。
踏みつけに強い常緑のグランドカバー6選
まずは、踏みつけられても枯れたり弱ったりしにくいタイプの常緑のグランドカバーを見ていきましょう。
ヤブラン
常緑性で多年草のヤブランは、いろいろな場所でよく目にする植物です。細長い葉は強く丈夫で、踏みつけられても強く成長します。
耐寒性・耐陰性ともに強いことから、どのような環境にも対応し、病害虫の被害もないのがメリットです。
ヤブランはほかのグランドカバーの植物に比べると草丈が長いため、丈の低い、地面を這うタイプのグランドカバーと合わせて植えると、1年中緑を保ちお庭のアクセントになります。
クローバー
クローバーはマメ科の植物で、三つ葉の形が可愛らしいのが特徴です。クローバーには、常緑のもの、紫がかったり赤みが強かったりするものなど種類があります。
クローバーは横にどんどんと広がる性質を持っているため、たくさん植えなくても増えていきます。日陰にも強く、どこに植えても元気に育っていくのがメリットです。
クローバーは繁殖力が強く、元気に成長すると他のエリアにも侵食する可能性があります。グランドカバーに使用する場合は、小さな庭よりも広大なエリアや大きな庭が向いているでしょう。
クローバーの葉は三つ葉だけではなく四つ葉もあります。庭のグランドカバーにして、幸運の四つ葉探しをするのも楽しそうです。
セイヨウシバ(西洋芝)
芝の種類の中で、冬でも枯れにくく緑色のじゅうたんを保てる種類が、セイヨウシバ(西洋芝)です。
セイヨウシバはコウライシバ(日本芝)と比べ草丈が高めで、踏みつけにも強く成長します。芝を敷くと雑草対策にもなります。セイヨウシバの種はホームセンターで買うことができるため、手軽に手に入りやすいのがメリットです。
生育旺盛なセイヨウシバは、どこまでも横に広がって伸びていきます。グランドカバー以外の場所へ広がるのを防ぐなら、レンガで囲うなどして、根が広がらない工夫が必要です。
クリーピングタイム
ハーブの一種であるクリーピングタイムは、地面を這いながら成長するほふく性の植物で、グランドカバーに向いています。
繫殖力が強く、どこでも元気に成長する常緑性のハーブのため、特別な管理が必要ありません。ハーブ特有のさわやかな香りも特徴で、虫除けにも効果が期待できます。
クリーピングタイムは、春頃に小さなピンクの花を咲かせ、緑とのコントラストを楽しめます。
ペニーロイヤルミント
ペニーロイヤルミントもハーブの種類のひとつです。繫殖力が強く、葉が小さいため、庭のすき間に植えても元気に成長します。
ミントに含まれているメントールの成分には、虫除け効果があります。ミントの香りも良く、特に花が咲いている期間は強く香ります。
ペニーロイヤルミントは日当たりの良い場所で育てると元気に成長しますが、日陰でも成長の妨げになることはないため、グランドカバーにぴったりと言えるでしょう。
ハイゴケ
苔の種類であるハイゴケは、和風の庭によく合うグランドカバーです。ハイゴケは、地面を這うように繁殖します。
乾燥に強い種類でもありますが、基本的には苔と同じく湿度の多い場所を好みます。乾燥気味の土地で育てるなら水やりをすることで元気に緑色を保ってくれるでしょう。
苔の一種のため踏みつけに強い点も特徴です。
日陰でも元気に育つ常緑のグランドカバー11選
ここからは、日陰に植えても元気に成長するグランドカバーをご紹介します。
アイビー
つる性植物のアイビー(ヘデラ)は、壁面緑化に使用されるほかグランドカバーにもおすすめです。
アイビーは、地面の上を這いながら成長します。常緑で冬を越すため、グランドカバーに使用すれば一年中グリーンを保てるのがメリットです。耐陰性もあり、日陰でも元気に育ってくれます。
アイビーはさまざまな種類があるため、斑が入っているものをグランドカバーとして使用すれば、グリーンの中に白や黄色の斑がアクセントになり美しいでしょう。
セダム
多肉植物の種類のセダムもグランドカバーとしておすすめです。セダムは暑さ・寒さ・乾燥・日陰に強く、水やりもほとんど不要で育てられるため、初心者も管理しやすい点がメリットです。
セダムは根を深く張らないため、植え替え作業も簡単。場所を変えて植え直したいと思ったらすぐに作業できるでしょう。
セダムは種類が豊富で形もさまざまなものがあるため、ご自身の庭に合うセダムを見つけられます。
ワイルドストロベリー
常緑多年草のワイルドストロベリーは、野生種のイチゴでハーブの仲間でもあります。半日陰でもよく育つため、グランドカバーとして人気です。
ワイルドストロベリーは暑さ寒さにも強く、手軽に始められるのもポイントです。ほふくしながら横へ広がるため、広い範囲をカバーしてくれます。
葉のグリーンだけではなく、白い花や赤い実も可愛らしく、庭を彩ってくれるでしょう。
リュウノヒゲ
和風のお庭にも洋風のガーデンにもよく合う、常緑性のリュウノヒゲ。踏みつけに強いため、人がよく歩く場所や、駐車場などにも植えられており、グランドカバーにも向いています。
リュウノヒゲは日光の強さに左右されることがなく元気に育つため、どこに植えても成長するのがメリットです。リュウノヒゲが伸びると約30センチまでの高さになります。
リュウノヒゲは、「タマリュウ」や「ジャノヒゲ」などの呼び名もあります。夏には白い花が咲き、その後に青い実がつくことがあります。
ディコンドラ
ディコンドラは、ハートの形をした葉が可愛らしい常緑性の植物です。横に広がりながら伸びる性質を持っているため、グランドカバーに適しています。
ディコンドラは種類によって性質が異なり、日陰に植えるなら緑の葉が濃い、「ディコンドラ・エメラルドフォールズ」がおすすめです。
ディコンドラは踏みつけにはあまり強くないため、人通りが多くない場所に植えましょう。また、湿度にも弱いことから、風通しの良い場所を選んで植えてあげるのがおすすめです。
ラミウム
ホトケノザの仲間であるラミウムは、地面を這うようにしながら伸びる草です。ラミウムの葉の色は、銀色や黄色い斑が入っているものがあります。
ラミウムは耐寒性があり、寒い時期は葉の数が減るものの枯れることはありません。寒冷地の屋外でも問題なく育ち、日陰でもしっかりと根を張って葉を広げます。
グレコマ
常緑多年草のグレコマは、耐陰性が高いグランドカバー向けの植物です。日陰に植えるとよく伸びて、日向では葉が密集していきます。
グレコマの葉は特徴があり、丸みのある葉にさらに丸い切込みが入り可愛らしい雰囲気を出してくれます。
春になると紫色の小花が咲きます。茎が横に広がりながら地面を這うように伸びていくのが特徴です。丈夫な草のため、茂りすぎてしまう点には注意しましょう。
ツルニチニチソウ
ツルニチニチソウは、つる性の多年草です。日陰・乾燥・暑さに強く、グランドカバーとして使ったり、花壇の縁取りに使ったりもできます。
斑が入っている種類もあり、日陰で育てることでより葉を美しく保つことができます。春頃には淡い青色の花が咲くことがあり、庭を爽やかな印象にしてくれるでしょう。
ツルニチニチソウの花の命は短く、1~2日で咲き終えてしまうことがほとんどです。ただ、咲き始めると次々に花が咲くため、長い期間観賞できます。
ワイヤープランツ
茎が細い針金のようになっているワイヤープランツもグランドカバーにおすすめです。耐寒性があり、植える場所によっては冬でも枯れずにグリーンの葉色をキープします。
霜にあたると葉が落ちてしまうことがありますが、土の下の根が元気であれば春に新芽を出してまた成長します。
ワイヤープランツは生育が旺盛で、グランドカバーにするとどんどん広がっていきます。伸びすぎると他のエリアに侵食する可能性があるため、適度に刈り込むと良いでしょう。
ツワブキ
グランドカバー向けには、ツワブキのように大きな葉を持つ植物もおすすめです。大きな葉で地面を覆うため、雑草対策にも使えます。
ツワブキは日陰でも元気に育ち、特別なお手入れは必要ありません。常緑多年草で、冬でも枯れませんが、もし寒さの厳しい地域で葉が枯れてしまったとしても、春には復活します。
ツワブキの花は黄色で、あまり他の花が咲かない冬に咲くため、庭に植えることで冬場も彩りを与えてくれるでしょう。
ラムズイヤー
羊の耳のような形をしていることから名付けられた、ラムズイヤー。緑の葉はふわふわの白い毛に覆われています。
ラムズイヤーはハーブの一種です。踏みつけには強くないため、人通りの少ない場所のグランドカバーや、花壇の縁取りなどにも使えます。
ラムズイヤーは約90センチの高さに伸び、春から秋にかけて薄紫色の花を咲かせます。日陰で育ちますが、湿度が高い場所は苦手なため、風通しの良い場所を選び、ときどき剪定しながら育てると良いでしょう。
日向に植えるのにおすすめの常緑グランドカバー3選
最後に、日向で元気に育つ常緑のグランドカバーを見ていきましょう。
ハツユキカズラ
常緑多年草のハツユキカズラは、緑色に赤と白の斑が美しく、這うように伸びるためグランドカバーに向いた植物です。斑の入り方は不規則で、まるで雪が降ったように見えることでこの名が付けられたそうです。
元々日本で自生しているテイカカズラという植物の園芸品種で、日本の気候に適応し、どのような環境でも元気に育ちます。
ハツユキカズラの葉の色はピンクから徐々にグリーンに変化していきます。ピンク色は新芽の時期なので、この時期を楽しむなら日が当たる場所で育てると良いでしょう。
フィカス・プミラ
フィカス・プミラは、小さくて丸い葉が可愛らしい常緑多年草です。つる性で、グランドカバーとして植えるほかに、壁や木、塀などにも広げてぐんぐんと伸びていきます。
フィカス・プミラには、斑入りのもの、入っていないものがあり、斑入りのフィカス・プミラをグランドカバーに使えば庭を明るくしてくれるでしょう。
繁殖力が強い種類のため、グランドカバー以外の場所にも根を伸ばします。一度根付くと抜くのは大変になるため気をつけてください。
ポリゴナム
ポリゴナムは丈夫なところがグランドカバー向きです。グリーンの絨毯を敷くように、地面をほふくしながら伸びていき、初夏から秋ごろにピンクの、金平糖のような形をした花を咲かせます。
ポリゴナムの葉は緑色で、種類によっては赤みを帯びた色やクリーム色などもあります。ポリゴナムの葉は秋になると紅葉するため、庭の色の変化を楽しめます。
ポリゴナムは1つの茎を約50センチに伸ばして広がっていくため、広い範囲のグランドカバーにおすすめです。
常緑葉のグランドカバーは1年中庭を明るくしてくれる
1年中緑色をキープしてくれる常緑性のグランドカバープランツは、色みが少なくなる秋冬の庭を明るくしてくれます。
花が咲くタイプや、斑が入る植物を選べば、アクセントやコントラストも楽しめるでしょう。
これからグランドカバーをお探しの方はぜひグランドカバー向きの常緑性の植物にも注目してください。