ユーカリは大きく育つというイメージを持っている人が多いと思いますが、工夫次第では観葉植物として屋内で楽しむことも可能です。葉に爽やかな香りがあり、剪定した葉をリースにしてもかわいい人気のユーカリを、今回は室内で育てる方法を紹介します。
ユーカリってどんな植物?
ユーカリはオーストラリアやニュージーランドなどが原産の常緑高木です。ユーカリと言えば、コアラが木に登って葉っぱを食べているかわいらしいシーンが思い浮かびますね。
やや銀色がかった緑色の葉が美しいユーカリは、砂漠の緑化にも使われるとても生命力の強い木です。
コアラが食べるユーカリの葉
600種類以上もあるといわれているユーカリのなかで、実際にコアラが食べるのは30種類程度です。
ユーカリには青酸配糖体という青梅にも含まれる成分が含まれているため、他の動物はその葉を食べることができません。おとなしい性質のコアラはこの成分を解毒する方法を身につけることで、生き残るすべを得たといわれています。
その一方で、ユーカリに含まれるシネオール(ユーカリプトール)という成分には高い抗菌性があり、風邪や感染症を予防する効果があります。
さらに、シネオールには精神を安定させるなどの効果もあることからハーブティーとして飲まれることもあるのが、ユーカリのおもしろいところです。
シネオールはユーカリの葉からただよう爽やかな香りの正体でもあり、蚊やダニに対する虫除け効果も持っています。
ユーカリの種類
ユーカリには600種類以上もの仲間があるといわれています。ただし、そのなかで観葉植物として室内で育てることが可能なものは数種類に限られます。
種類によっては背丈が50mほどにもなるユーカリですが、これからご紹介するものはそこまで大きくなることはなく、しっかり工夫をすれば室内でも育てられるでしょう。
レモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ)
ユーカリには、大きく分けると葉の先がとがっているタイプと葉の形が丸いタイプがあります。レモンユーカリは先のとがった葉を持つタイプ。
少し光沢のある葉からレモンのような良い香りがするため、とても人気の品種です。葉の色は銀色がかっており、幹の色も薄いので涼しげな印象です。
屋外で育てる方が育てやすいといわれるユーカリですが、耐寒性が低いレモンユーカリは屋外で冬越しをするのが難しいため、観葉植物として育てるのに向いているとも言えます。
ユーカリ・ポポラス
ユーカリ・ポポラスは葉の形が丸いタイプですが、先端が少しくびれているため、まるでハートの形のようにも見えます。比較的緑色が強い葉の色をしており、みずみずしい雰囲気を持っているのがユーカリ・ポポラスの特徴です。
また、ユーカリの中では比較的成長速度が緩やかだといわれており、その点では観葉植物にするのに向いているともいえるでしょう。
ユーカリ・グニー
ユーカリ・グニーは若いころには丸い形の葉をつけますが、成長に伴って先のとがった葉をつけるようになります。やや小さい銀色がかった緑色の葉をつけるユーカリ・グニーはおしゃれな雰囲気が人気。
観葉植物として育てるとナチュラルテイストなお部屋によく合います。
剪定後の枝もリースにして楽しむことができるユーカリ。そのなかでもユーカリ・グニーは葉が小さめなので、リースにするのにうってつけと言えるでしょう。また、ユーカリ独特の爽やかな香りが比較的強いため、香りも一緒に楽しむことができます。
観葉植物としてユーカリを室内で育てるときのポイント
ユーカリは日光が大好きで湿度にも弱いため、観葉植物として室内で育てるには工夫が必要です。これから室内で育てるためのポイントについて解説するので参考にしてみてください。
室内でユーカリを育てるのは少し難易度が高めですが、観葉植物を育てるのに慣れた方はぜひ挑戦してみてください。難しいからこそ、上手くいったときの喜びはひとしおです。
愛情をもってしっかり育てることができれば、ユーカリもきっとそれに応えてくれるでしょう。
また、ユーカリには青酸配糖体という成分が含まれているので、家にペットや赤ちゃんがいる場合には口に入れないように注意するなどの配慮が必要です。
必ず日当たりの良い乾燥した場所で
ユーカリは日の光を好むので、室内に置く場合でも必ず日当たりのよい場所に置くようにしましょう。半日陰でも大丈夫といわれているユーカリ・ポポラスでも、レースのカーテン越しに光を浴びられるようにしておきます。
お天気の良い日には外に出して日の光にあててあげるなどの工夫も必要でしょう。
また、オーストラリアやニュージーランドを原産とするユーカリは乾燥した気候を好みます。蒸し蒸しした湿気の高いところは非常に苦手。風通しの良いところに置くように注意しましょう。
種類によって耐寒性が異なる
南半球の暖かい気候で育つユーカリは寒さが苦手です。特にレモンユーカリは寒さに弱いので注意しましょう。
ユーカリの原産地であるオーストラリアやニュージーランドでは、最低気温が5℃を下回ることはほとんどありません。このことを念頭に置いて、原産地の気候に近づくように環境を整えてあげましょう。
湿度の低い乾燥した用土を選ぼう
ユーカリは生命力が強く砂漠の緑化にも使われるほどですが、湿気には弱いので注意が必要です。水はけの良い土、例えば市販のハーブ用の培養土などが向いています。
乾燥を好むので、水やりの頻度にも気をつけましょう。土が乾くまでは水やりを控え、頻繁に水やりをし過ぎないようにします。その代わり、1度の水やりでしっかり水をやるようにしましょう。鉢の底から水が流れ出るまでが目安です。
ユーカリのなかでもユーカリ・グニーは湿度に強いので、初めてユーカリを育てる人はユーカリ・グニーを選ぶようにすると安心です。
肥料は初めだけで大丈夫
ユーカリはとてもタフな植物です。日当たりと湿度にさえ配慮しておけば、多くの肥料は必要としません。
初めに緩効性肥料を土に混ぜておけばそれだけで十分です。むしろ肥料が多すぎると大きく育ち過ぎたり、病害虫の原因になることもあるので注意しましょう。
こまめな剪定と植え替えが必須
ユーカリは成長速度の速い植物ですが、観葉植物として育てる場合は大きくなりすぎるというのも困りものです。樹形を整え、ユーカリにとって非常に大切な日当たりや風通しの良さを保つためにも、不要な枝はこまめに剪定するようにしましょう。
また、根づまりを防ぐために大きめの鉢で育てると良いでしょう。さらに、1~2年に1度、より大きな鉢に植え替えるようにします。このとき通気性の良い素焼きの鉢を選ぶようにすると、湿度が高くなり過ぎるのを防ぐことができます。
深く根を張る性質を持っているユーカリですが、なかにはユーカリ・ポポラスのように根を横に伸ばすタイプのものもあります。そのようなタイプのユーカリは小さめの鉢では十分に根をのばすことができないので、大きめの鉢を用意するということが特に重要になってきます。
ユーカリの剪定と植え替え
ユーカリを丈夫に育てるために大切な剪定と植え替え。上手くするためにはコツを押さえておく必要があります。剪定や植え替えをするときのポイントについてまとめました。
剪定するときのポイント
まず剪定のタイミングですが、不要な枝をこまめに処理して枝が込み合うのを防ぐという意味では、真夏を除いていつでも行って大丈夫です。
ただし、樹形を整えるために大きく切り戻す場合はなるべくユーカリにとって負担にならないように、春か秋を選ぶようにしましょう。
剪定するときは枝の付け根や葉のすぐ上を切るのがポイントです。剪定した枝は挿し木にして増やしたり、リースにして楽しむことができます。
また、放っておくとどんどん成長してしまうユーカリは、ほどよく摘芯することも大切。新芽を摘んでやることで上方向に伸びる力をある程度抑えることができるため、観葉植物として管理しやすくなります。
植え替えするときのポイント
植え替えはできれば1~2年に1度、少なくとも3年に1度は行うようにしましょう。植え替えに適した時期は春から初夏にかけてです。
植え替えをするときは、古い鉢から取り出したユーカリの根を優しくほぐしながらチェックし、弱った根を切り落とします。大きな鉢に水はけのよい土を足して植え替えたら、しっかり水をやりましょう。しっかり根付くまでは、数か月程度日陰で様子を見ます。
ユーカリをもっと楽しみたい人へ!さまざまな活用方法
さて、ここまでユーカリを観葉植物として育てる方法をご紹介してきましたが、ここからは少し違った視点からユーカリの楽しみ方について解説したいと思います。
「魅力いっぱいのユーカリをもっと楽しみたい!」という人は、ぜひ参考にしてみてください。
風水的に最適なユーカリの置き場所
風水では、細くとがった葉は鋭く強い気で邪気を払う「厄除け」や「魔除け」、丸い形の葉は「調和」や「金運」を司るといわれています。さらに、ユーカリ・ポポラスのようなハート型の葉は、「人間関係」や「恋愛運」を司るといわれます。
これをふまえると、とがった葉を持つレモンユーカリは、人の出入りする玄関や鬼門である北東方向、裏鬼門である南西方向に置くのが向いていると言えます。
ただし、合わせて考えなければならないのが日当たりの良い所を好むというユーカリの性質です。玄関や北東の方角は日当たりが悪いことが多いので、レモンユーカリのパワーを最大限に引き出すには南西方向に置くのが良いでしょう。
ユーカリに含まれる成分「シネオール(ユーカリプトール)」には空気清浄効果があるので、南西方向に置けば、しっかりと悪い気をはね返してくれそうです。
ユーカリ・ポポラスはハート型のかわいい葉が特徴。そんなユーカリ・ポポラスは人間関係や恋愛運のアップを狙って、南東に飾ってみてください。日当たりや風通しの良い窓際に置けば、良縁を運んできてくれることを期待できます。
ユーカリ・グニーは成長によって葉の形が変わるおもしろい品種ですが、観葉植物として育てるときには多くの場合若い木を用いるので、丸い形の葉であることが多いでしょう。
小さめの丸い葉がたくさんつくユーカリ・グニーは、金運を引き寄せるのにぴったり。金運を司る「西」に飾ってみると良いでしょう。ただし、強過ぎる西日には注意が必要です。
剪定後の枝もさまざまな方法で活用できる
ユーカリを室内で育てるにはマメな剪定が必要です。せっかくなら剪定した枝も有効活用してみましょう。
剪定した後の枝は、まず生花として1~2週間楽しむことができます。ユーカリの銀色がかった緑色の葉は、白や透明色のナチュラルテイストの花器に飾るととてもおしゃれです。
その後はリースにして楽しむのがおすすめです。生の状態からでもドライにしてからでも、自分のやりやすい方法でリースを作れます。生の状態から作ればやわらかく形にしやすいですし、ドライの状態から作れば縮む心配をせずに済みます。
ユーカリの枝はしっかりしていて形が崩れにくいため、逆さにして吊るしておくだけで簡単にドライにすることが可能。風通しがよく湿気の少ない場所に吊るしておけば、2~4週間で乾燥します。
爽やかな香りのおしゃれなリースを作って、お部屋を清々しく演出してみてくださいね!
通販で買えるユーカリおすすめ4選
ユーカリの苗は、通販でも買うことができます。たくさんの種類から好みのものを選べるので、じっくり探したい人はぜひ利用してみてください。
それでは通販で買えるおすすめのユーカリを紹介します。
【ランドプランツ】ユーカリ (グニー) 皿付テラコッタ Mサイズ オレンジ 陶器鉢
鉢に入っていて受け皿も付いている、そのまま飾れるユーカリ・グニーです。通気性の良い素焼きの鉢に入っているのがポイント。育て方マニュアルが一緒に届くのもうれしいですね。
【パリジェンヌ17】ポポラス 2個セット
並べて飾ってもおしゃれな小さなユーカリ・ポポラスの2個セット。ユーカリ・ポポラスはハート型のみずみずしい葉が魅力的で、ユーカリのなかでは比較的穏やかな香りがするといわれています。
【ランドプランツ】ユーカリ ポポラス (黒色) エッグ鉢 皿付 テラコッタ
通気性の良い素焼きの鉢に入っており、そのまま飾れるユーカリ・ポポラスです。黒い素焼きの鉢が個性的でおしゃれですね。1m前後の高さになるので、お部屋の中でも存在感を放ってくれることでしょう。育て方マニュアルも付いています。
【charm】(観葉植物)ユーカリ レモンユーカリ 3号(1ポット)
レモンのような良い香りがすることから人気のレモンユーカリです。小さめのサイズなので観葉植物として室内で育てるのにぴったり。レモンユーカリは耐寒性が低いので、冬場でも室温が5℃を下回らないように注意して育てましょう。
ユーカリを観葉植物として育てるなら「気遣い」と「思いやり」が大切
日光が大好きで乾燥を好むユーカリは、基本的には屋外で育てるのに適した植物です。ただし、しっかりと対策をすることで、屋内で観葉植物として育てることも可能です。
少し難易度が高いですが、植物を育てることに慣れた人はぜひチャレンジしてみてください。育てることが難しい分、上手くいったときには大きな喜びとなるでしょう。愛情をもってしっかり育てることができれば、ユーカリもきっとそれに応えてくれます。
また、大きくなりすぎて室内で育てることが難しくなったら、庭に植え替えても良いでしょう。室内とはまた違った魅力を見せてくれるかもしれません。ユーカリ・ポポラスのように背丈が2mを超えると花を咲かせるというタイプもあります。
銀色がかった緑色の葉がおしゃれで、爽やかな香りが人気を集めるユーカリ。魅力いっぱいのユーカリの木をぜひ育ててみてくださいね。