冬にも多肉植物を楽しみたい方に向けて、この記事では多肉植物の冬越しに向けた育て方のポイント(置き場所・水やり・肥料など)をご紹介します。寒さの厳しい時期でも元気に育ちやすい、おすすめの多肉植物の種類とあわせて参考にしてみてください。
多肉植物は冬越しもできる!育て方のポイントは?
砂漠の暑い環境で育つイメージも強いためか、多肉植物は冬には枯れると誤解されがちです。しかし実際には、多くの多肉植物は適切な育て方を意識することで冬越しができます。
多肉植物の冬の育て方で知っておきたいポイントは、以下の4点です。
- 前提:今から苗を選ぶなら「冬型」の品種がおすすめ
- 置き場所(屋外・室内)は自分の居住地域から決める
- 水やりの頻度は品種に合わせつつ少なめに
- 基本的に肥料は与えない
早速、それぞれ順番に見ていきましょう。
前提:冬に苗を選ぶなら「冬型」の品種がおすすめ
前提として、もし今から多肉植物を育て始めるのであれば、「冬型」と呼ばれる品種を選ぶのがおすすめです。
多肉植物は生育が活発になる時期により、大きく「春秋型」「夏型」「冬型」の3種類に分かれています。それぞれの特徴は以下の通りです。
【多肉植物の分類(春秋型・夏型・冬型)】
分類名 | 特徴 |
---|---|
春秋型 | 春もしくは秋によく育つ多肉植物。日当たりを好む品種が多い。育て方にクセが少なく、初心者向け。 |
夏型 | 夏によく育つ多肉植物。日当たりを好み、暑さにも強いが、猛暑日の直射日光には気を付けたい。 |
冬型 | 冬によく育つ多肉植物。見た目も育て方も品種ごとにさまざまで、調べる手間はかかるものの、ほかの型が元気を失いやすい冬にも瑞々しい姿を楽しめる。 |
春秋型や夏型の多肉植物であっても、休眠状態になって冬越しができるものはあります。
しかし、冬に楽しむ目的で多肉植物を探しているのなら、冬型の品種を選ぶことで成功しやすくなりますよ。初心者も育てやすい、おすすめの種類については後ほどご紹介します。
置き場所(屋外・室内)は自分の居住地域から決める
冬の多肉植物の置き場所(屋外・室内)は、「自分の居住地域がどのくらい寒いエリアか」から決めましょう。
寒さに強い冬型の多肉植物も、極端に気温が低い環境では元気を失います。
しかし一方で、多肉植物は寒さが厳しい環境の方が色鮮やかな苗になるともいわれており、できるだけ屋外に置きたいところでもあります。
目安として「昼間でも外気温が0度を下回る」あるいは「昼間の外気温が5度を下回り、霜や雪の影響が強い」といったエリアでは室内で育てるのが良いでしょう。
屋外と室内では多肉植物の冬越しの準備方法も変わります。自分の環境に適した方法をチェックしてみてください。
屋外での冬越しの準備方法
屋外で多肉植物に冬越しをさせるときは、ホームセンターや通販で「簡易温室」を入手しましょう。
簡易温室とは、中に入れた多肉植物を寒さや雪から守ってくれる小さなビニールハウスです。高さが50cm程度とコンパクトなものも市販されており、スペースの限られるベランダにも簡単に設置できます。
簡易温室に多肉植物を入れてあげれば、あとは後述の水やりなどに気を付けるだけで、冬越しに成功しやすくなりますよ。
1点だけ、簡易温室の内部に湿気や熱気がこもらないように、気温が氷点下を下回る日以外は日中に換気をしてあげることは忘れないようにしましょう。
室内での冬越しの準備方法
室内で多肉植物を冬越しさせる場合は、特別な道具は必要ありません。以下のポイントを押さえつつ、置き場所を決めてあげるだけで冬越しの準備は完了します。
【室内で多肉植物の冬越しをさせるときのポイント】
- エアコンの風を直接当てない
- ヒーターの風も直接当てない
- 窓越しに日光は当ててあげる
- しかし、窓のすぐ側には置かない(冷気で苗が弱るため。少し距離を開けて置く)
水やりの頻度は品種に合わせつつも少なめに
冬越し中の多肉植物の水やりは、少なめに行うのが◎です。
多肉植物はぷにぷにとした葉の中に水分を蓄えていますが、この水分の量が多いと耐寒性(寒さに対する強さ)が下がってしまいます。
あえて水やりを減らし、乾燥気味に育てることで、寒さに負けずに成長しやすくなります。
具体的な水やりの頻度は、品種と環境ごとに調節が必要です。
まずは目安として、春秋型や夏型の多肉植物は「月に1回程度」、冬型は「土の表面が完全に乾くたび」に水やりを行い、苗の様子を見守ってあげてください。
基本的に肥料は与えないようにしよう
多肉植物の冬越しでは、基本的に肥料は与えないようにしましょう。
特に、12〜2月ごろの真冬に肥料を与えると、たとえ冬型の多肉植物であっても負担が大きくなりやすい傾向にあります。
品種にもよりますが、肥料を与える場合は本格的な冬を迎える前の10〜11月、あるいは冬を終えた3〜4月のタイミングが◎です。
多肉植物用として市販されている肥料を、用法・用量を守って与えましょう。
冬に強い種類(冬型)の多肉植物おすすめ5選!
ここからは初心者でも冬越しをさせやすい、冬型の品種もある多肉植物をご紹介します。自分の部屋やベランダにもっとも似合いそうなものはどれか、ぜひ参考にしてみてください。
セダム
寒さに強い多肉植物の代名詞ともいえる存在が“セダム”です。
セダムには「タイトゴメ」や「カラスバミセバヤ」などの寒さの中でも活き活きと育つ品種が多く、冬の園芸にぴったりの多肉植物として知られています。
知名度が高く、国内でも多く流通しているため、簡単に手に入りやすいのも魅力です。通販やホームセンターはもちろん、100円ショップで見かけることもあります。
クラッスラ
小さく愛らしい葉や花を見せてくれるのが“クラッスラ”です。
銀色の葉がスタイリッシュな「小夜衣(さよごろも)」や、紅葉が美しい「茜の塔(あかねのとう)」など、冬にも鑑賞できる品種が存在します。
コンパクトな苗が多いクラッスラは、室内のプチスペースをおしゃれに飾りやすいのが特徴です。瑞々しい冬のインテリアとして多肉植物を育てたい方に向いています。
グラプトペタルム
“グラプトペタルム”は「朧月(おぼろづき)」や「秋麗(しゅうれい)」といった、冬によく育ち名前も格好良い品種が多い多肉植物です。
特に、朧月は氷点下でも元気に育つといわれるほど、冬向きの品種として知られています。
グラプトペタルムは葉がロゼット状(バラのように広がる形)に育つ品種が多いため、見た目が華やかなのも特徴です。
寂しい雰囲気になりやすい冬のベランダや室内を、明るく演出してくれます。
リトープス
“リトープス”は、石のような独特の見た目からファンの多い多肉植物です。
代表的な冬型の品種には「女仙(メセン)」があり、厳しい冷え込みの中でも元気に育ってくれると評判です。
リトープスは春になると脱皮がはじまり、一回り大きくなるユニークな性質を持ちます。ときには花が咲くこともあるなどさまざまな姿を鑑賞できる、育てていて愛着の湧きやすい多肉植物です。
アエオニウム
最後にご紹介するのは、カナリア諸島を主な原産地とする多肉植物“アエオニウム”です。冬によく育つ多肉植物の中でも特に有名な種類であり、初心者も安心して挑戦できます。
代表的な品種には、盆栽のようなシルエットが素敵な「黒法師(サンシモン)」や、黄〜ピンク〜赤と葉の紅葉が鑑賞できる「キウイ(夕映え)」があります。
品種によってまったく見た目の印象が異なるため、自分好みの苗を探すわくわく感もある多肉植物です。
冬に強い多肉植物で寒い時期にも園芸を楽しもう
この記事では、冬に強いおすすめの多肉植物と、冬越しに向けた育て方についてご紹介しました。
多肉植物は冬になると枯れるイメージも強いものの、適切な対策を進めることで冬越しができます。
気温や霜・雪の対策、水やりや肥料の調節など、ご紹介したポイントを参考にぜひ挑戦してみてくださいね。