「固形肥料を使ってみたいがどう選べば良いのかわからない」「液体肥料とどっちが良いのかも知りたい」という方に向けて、この記事では固形肥料の特徴や使い方、液体肥料との違い、おすすめアイテムとその選び方をご紹介します。知っておきたい注意点とあわせて見ていきましょう。
観葉植物に栄養を与えるアイテム。固形肥料とは?
固形肥料とは、観葉植物や花、果物や野菜に栄養を与えるためのアイテムです。
文字通り「固形」であり、そのまま土の上に置いたり、あるいは植え替え・植え付け時に土に混ぜ込んだりして使います。
前提として、家庭園芸用の肥料は固形肥料と次項目の「液体肥料」の2種類に大別できます。両者はどちらかが優れているのではなく、特徴を理解した使い分けが大切です。
固形肥料は液体肥料に比べて、緩やかに長期間に渡って効果を発揮するのが特徴です。なかには1年間効果が持続するものもあるなど、手間の少ない形で植物に栄養を与えられます。
液体肥料との違い
液体肥料とは、固形肥料と同様にさまざまな植物に栄養を与えるためのアイテムです。名前の通り「液体」であり、主に苗の根元の土にかける形で利用します。
液体肥料は固形肥料と比べて速効性があり、すぐに栄養を与えられるのが魅力です。一方で、効果時間は短く、必要に応じて何度も施肥しなくてはならない欠点があります。
ここまでの固形肥料と液体肥料の違いをまとめると、以下の通りです。
【固形肥料と液体肥料の違い】
名称 | 特徴 |
---|---|
固形肥料 | 固形であり、土の上に置いたり混ぜ込んだりして利用する。緩やかに、長期的に効果を発揮してくれるのが魅力。 |
液体肥料 | 液体であり、主に株元の土にかける形で利用する。効果が出るまでが素早く、今すぐに栄養が必要なときに活躍する。 |
初心者の場合、以下を目安にどちらの肥料が良いか選択してみてください。
- これから植物を育て始めるなど、長期間栄養を与えたい→固形肥料
- 開花前の一押しなど、今すぐに効果を発揮して欲しい→液体肥料
この記事では、固形肥料についてご紹介します。液体肥料の特徴、選び方、おすすめアイテムについては以下の記事をご確認ください。
自分の観葉植物にぴったりな固形肥料の選び方
それでは、自分の観葉植物にぴったりな固形肥料を見つける方法を見ていきましょう。以下の手順を意識することが大切です。
- まずは「どの植物向けの固形肥料なのか」を確認
- 有機肥料と無機肥料(化成肥料)の違いを知る
- 種類と使い方(植物への与え方)も調べる
- 「元肥用」か「追肥用」かもチェック
まずは「どの植物向けの固形肥料なのか」を確認
固形肥料選びで最初に確認しておきたいのが、「どの植物向けの肥料なのか」です。
市販の固形肥料には、バラ用や多肉植物用など、特定の植物へ与えることを想定したものがあります。商品説明をよく読み、自分の植物に使える固形肥料を選ばなくてはいけません。
もし難しいと感じる場合は、「すべての鉢物にOK」などと多様な植物に対応した固形肥料を探してみましょう。
後述のおすすめアイテムの中にも、幅広い植物に使える固形肥料をセレクトしています。
有機肥料と無機肥料(化成肥料)の違いを知る
次に知っておきたいのは、有機肥料と無機肥料(化成肥料)の違いです。
固形肥料は素材や原料の違いから「有機」と「無機(化成)」の2種類に分かれており、それぞれ以下の通り特徴が異なります。
【有機肥料と無機肥料(化成肥料)の違い】
名称 | 特徴 |
---|---|
有機肥料 | 米ぬかや魚粉といった動物・植物由来の原料でできた肥料。効き目が優しい傾向にあり、幅広い植物に与えやすい。ただし、害虫が発生したり、臭いが気になったりすることも。 |
無機肥料(化成肥料) | 主に鉱物を原料とする肥料。害虫が湧きにくく、臭いも気になりにくい。コストパフォーマンスが良いアイテムも多い。 |
現在は扱いやすさと価格面のお手頃さから、市販の固形肥料は無機が主流です。
「オーガニックにこだわりたい」など特別な場合を除けば、基本的には無機を選択すると良いでしょう。
種類と使い方(植物への与え方)も調べておこう
続いて、固形肥料の種類(形状)と使い方も調べておきましょう。
一口に固形肥料といっても、実は3種類の形状に分かれており、それぞれ植物への与え方が異なります。
【固形肥料の種類(粒状・錠剤・粉状)の違い】
名称 | 特徴 |
---|---|
粒状 | 小さな石のような粒状。土に混ぜ込んだり、あるいは土の上にばらまいたりして与えるアイテムが主流。効果の効き目が長い傾向にある。 |
錠剤 | 飲み薬のように成形された錠剤。土の上に置くだけで良いアイテムが多い。個数が明確で、初心者でも量を間違えにくいのが魅力。 |
粉状 | 粒と呼べないほど細かに砕かれた粉状。土に混ぜ混む以外に水で溶かして与えることもある、液体肥料と固形肥料の中間のような存在。 |
固形肥料を探している場合、基本的には「粒状」か「錠剤」を選ぶのがおすすめです。特に錠剤は、園芸入門者でも量を間違えにくく、使い方も簡単です。
「元肥用」か「追肥用」かもチェックしよう
見落としがちなポイントとして、現在選ぼうとしている固形肥料が「元肥」と「追肥」のどちら用なのかもチェックしておきましょう。
元肥(もとごえ)とは、植物を育て始めるときにあらかじめ与える肥料を指します。苗の植え付けや植え替え時に、土に混ぜ込むなどする肥料です。
一方、追肥(ついひ)とは、植物の成長に合わせて追加で与える肥料を指します。固形肥料の場合は、特定の時期に土の上に置く「置き肥」が有名です。
自分が行いたい肥料やりに適した固形肥料を選ぶことで、しっかりと効果を期待できます。
まだどちらを行うのか決めていないときは、両方に使えるものとして販売されている固形肥料を選ぶのがおすすめです。
園芸初心者も扱いやすいおすすめの固形肥料10選!
ここからは、園芸初心者も扱いやすいおすすめの固形肥料をご紹介します。無機(化成)・有機に分けて、それぞれ見ていきましょう。
無機(化成)タイプの固形肥料5選!
無機(化成)タイプの固形肥料は、扱いやすく、コストパフォーマンスにも優れています。ここでは初心者でも気軽に挑戦しやすい、クセの少ない一品を厳選しました。
【ハイポネックス】マグァンプK 中粒
最初にご紹介するのは、植え付けや植え替え時に土に混ぜ込む元肥用の固形肥料、“マグァンプK 中粒”です。
土に一度混ぜ込むだけで約1年間も効果が持続し、植物に元気を与えてくれます。幅広い植物に対応しており、複数の種類の花を育てている方にも◎です。
また、花を咲きやすくするだけでなく根の生育を良くする効果もあり、苗の活力全体の底上げをサポートしてくれます。
【ハイポネックス】虫を予防するマグァンプD
同じく『ハイポネックス』の“虫を予防するマグァンプD”は、上記のマグァンプKに害虫予防効果をプラスした優れものです。
付属のスプーンで粉をすくい、植え付け時に土に混ぜ込むか、生育中の植物の株元にばらまくと、約1ヶ月間肥料&殺虫効果が発揮されます。
ベランダなどの害虫が気になる場所で観葉植物を楽しみたい方に◎です。
【住友化学園芸】エードボールCa
あらゆる鉢物(鉢で育てている植物)への対応をうたう、使いやすい固形肥料が“エードボールCa”です。球状に成形された追肥用の固形肥料で、土に置くだけで2〜3ヶ月間効果を発揮してくれます。
ラベルには鉢の大きさに合わせた適切な使用量が記載されており、初心者でも試しやすいのが魅力です。
臭いもなく害虫を呼ぶ心配も少ないため、室内で観葉植物を育てているときに重宝します。
【花ごころ】グリーンそだちEX IBのチカラ
“グリーンそだちEX IBのチカラ”は、観葉植物から野菜まで多くの植物に使える白粒の固形肥料です。追肥として、土に指定量の粒を乗せるだけで約1ヶ月間効果が持続します。
「イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)」と呼ばれる、根に優しく無臭&清潔な肥料成分を採用しているのも特徴です。
窒素やカリウム、リン酸にマグネシウムなど、必要な栄養素をバランス良く与えられます。
【ハイポネックス】錠剤肥料 観葉植物用
見た目が可愛らしく、使っていて楽しい気分になれそうな固形肥料が『ハイポネックス』の“錠剤肥料 観葉植物用”です。ハート型の錠剤に加工されており、土の上に置くだけで1ヶ月間効果が続きます。
普通の固形肥料はどうしても土っぽく、野暮ったい印象がありますが、こちらの一品であれば空間のアクセントとしておしゃれに決まりそうです。
リビングのテーブルなど、目につきやすい場所で観葉植物を育てている方に向いています。
有機タイプの固形肥料5選!
ここでは有機のみ、あるいは有機入りの固形肥料をセレクトしています。有機タイプの固形肥料は、大切な植物に優しく栄養を与えられるのが魅力です。
【サンアンドホープ】ぼかし完熟 有機100%肥料
『サンアンドホープ』の“ぼかし完熟 有機100%肥料”は、肉・魚・植物の粕などに菌体肥料を配合し、発酵させた固形肥料です。元肥にも追肥にも利用でき、根に優しい形で植物に栄養を与えられます。
野菜のうま味を引き出せる成分「アミノ酸」も含まれているため、口に入る植物を育てている際にも◎です。
ペレット状に加工されていて、有機肥料ながら扱いやすいのも嬉しいですね。
【オザックス】バットグアノ 1kg
有機100%で作られたナチュラルな固形肥料が、『オザックス』の“バットグアノ”です。
天然の有機リン酸やカルシウムが含まれており、花や野菜の生育向上と土壌の改善を期待できます。粒状タイプで手軽に撒きやすく、土に混ぜ込みやすいのも特徴です。
【タクト】 バイオゴールドオリジナル
人が食べるサプリメントやプロテインのような、おしゃれな袋に入っているのが『タクト』の“バイオゴールドオリジナルです。「すべての植物に簡単に使える」と掲げており、観葉植物はもちろん盆栽などにも与えられます。
窒素・リン酸といった栄養成分に加えてミネラルも豊富で、食べられる植物の美味しさを引き上げてくれます。
使い方も簡単で、追肥として根元に粉を撒き、2ヶ月ほどでなくなるたびに再び撒くだけでOKです。
【住友化学園芸】マイガーデンベジフル粒700g 野菜
美味しい野菜や果物の元肥にも追肥にも活躍してくれるのが、『住友化学園芸』の固形肥料“マイガーデンベジフル”です。特許技術を用いており、土にばらまくだけで3〜4ヶ月もの間、苗に栄養を与えてくれます。
大手ブランドの商品であるため、信頼性が高いのも嬉しいポイントです。価格も手が届きやすく、まずは気軽に固形肥料を試してみたい方にも向いています。
【みのわ農園株式会社】有機肥料固形スティック 24本入り
最後にご紹介するのは、扱いやすいスティックタイプの固形肥料です。
魚粉や医王石、鶏糞や蟹殻などのこだわりの素材から作られており、有機肥料ながら臭いがほとんど気になりません。
使い方も簡単で、土に挿して埋め込むだけで約3ヶ月間かけてじわじわと溶け出します。「3号鉢なら3本」のように挿す本数が決まっていて、間違えにくいのも配慮が行き届いていますね。
固形肥料に関する知っておきたい注意点
最後に、固形肥料に関する、知っておくべき注意点を見ていきましょう。
頻度・量・時期は必ず説明書の記載内容を守ろう
固形肥料を与える際には、肥料の頻度・量・時期などは必ず説明書の記載内容を守りましょう。
肥料は植物を健康にしてくれるものですが、与えすぎるとかえって毒となります。
特に、肥料のやり過ぎにより根の浸透圧が壊れて枯れてしまう「肥料焼け」は、初心者にありがちな失敗です。
複数の製品(肥料)を同時に与えるのは避けよう
固形肥料を与える頻度・量・時期を適切に守るための工夫として、複数の製品を同時に与えることは避けましょう。
たとえば、A社の固形肥料とB社の固形肥料など複数の肥料を利用すると、説明書通りのコントロールが難しくなります。
少なくとも自分で適量を判断できる園芸上級者になるまでは、一種類の固形肥料のみを与えるように意識してみてくださいね。
固形肥料を使って大切な観葉植物に元気を与えよう!
この記事では固形肥料について、液体肥料との違いや初心者向けの選び方、有機・無機(化成)別のおすすめアイテムをご紹介しました。
固形肥料は液体肥料よりも緩やかに、長期間に渡って効果を発揮してくれる便利なアイテムです。一方で、効果の速効性では液体肥料の方が優れています。
自分の育てている観葉植物や目的に応じて、適切な方を与えてあげてくださいね。また、肥料を与える頻度や量、時期を守るなど、ご紹介した注意点にもご留意ください。