「植物の葉が真っ黒に染まってしまった!」「よく見ると、小さな害虫も付いている…」そんなときにはすす病の可能性が疑われるため、素早く適切に対処しなければいけません。この記事で、すす病の特徴と対策(予防&復活方法)、よくあるQ&Aを見ていきましょう。
実は病気ではない!植物のトラブル「すす病」
すす病は初心者が観葉植物を楽しむ際に、目にする機会の多いトラブルです。「病」と名前が付いていますが、実は病気ではないと知っていますか?
すす病は適切な対策を知っておくだけで、予防も復活も簡単に行えます。まずは「すす病とは一体何なのか?」から、順番に確認していきましょう。
害虫の排泄物にカビが生えた状態
すす病とは、害虫の排泄物にカビが生えた状態のことです。
カイガラムシやアブラムシなどの害虫は、植物に貼り付いた後、糖分を排泄物として出します。
そして、排泄物にカビが引き寄せられると、まるで「すす(炭)」が積もったかのように葉が黒く変色します。
この黒く変色した状態こそが、すす病です。害虫が主な原因であるため、春~秋に多く見られるほか、放置するとカビが周りにうつる(広がる)特徴も持ちます。
放置すると新たな害虫を引き寄せることに
すす病は放置すると範囲が広がるだけでなく、新たな害虫を引き寄せる原因にもなります。
これはすす病のもとである排泄物(糖分)が、アリなどの害虫にとってごちそうであるためです。
さらに、すす病の範囲が広がりすぎると今度は葉の光合成が阻害され、徐々に苗が弱ってしまいます。すす病を見つけたときには、素早く適切に対処することが大切です。
すす病にかかった植物の復活方法
では早速、すす病にかかった植物の復活方法を見ていきましょう。
すす病から復活させる方法は、「汚れをまとめて拭き取る」か「酷い箇所を剪定する」の2種類に大きく分かれています。
方法1:汚れをまとめて拭き取る
最初に試したい方法が、汚れをまとめて拭き取ることです。
前述の通り、すす病は害虫の排泄物にカビが生えた状態のことです。そのため、排泄物とカビをすべて拭き取ってしまえば、それだけで植物が復活することもあります。
植物の大きさにもよりますが、流水とゴム手袋をした手でこすり洗うようにして、汚れを取り除きましょう。
再発を防ぐためには、葉にくっついている細かな害虫まで一緒に取り除いてしまうことが大切です。
「ゴム手袋をしていても、害虫を手で触るのには抵抗がある…」という方は、古くなった歯ブラシやガムテープで先に害虫を取り除いてから、洗ってあげてくださいね。
方法2:汚れの酷い箇所のみ剪定する
- 流水も使いつつこすり洗ってもうまく汚れが落ちない
- 一部だけ、完全に真っ黒に変色してしまった葉がある
- 害虫がびっしりと付いて取れない葉がある
上記に当てはまる場合は、思い切ってトラブルの酷い箇所を剪定してしまうのもおすすめです。酷い箇所を切り離してしまえば、すす病とも上手にお別れできます。
すす病になった葉の剪定は、基本的には根元からバッサリ切ってしまうだけで大丈夫です。コツとして、ためらわずにバチンと切ることで苗のダメージを最小限にできます。
剪定が不安な方は右上の検索窓から、自分の育てている植物名で育て方や剪定の記事を検索してみてくださいね。
繰り返さないために|すす病の予防に行うべき対策
前述の通り、すす病は深刻な病のような見た目をしていますが、実際には汚れをとったり葉を剪定したりすることで簡単に治せます。
とはいえ、光合成の阻害により成長の邪魔にもなるため、できればかからないように予防しておきたいところです。
すす病の原因となる「害虫を寄せ付けないこと」を念頭に、以下の4つの対策を進めましょう。
- 風通しの良い場所に置く
- 葉水をする
- 市販の害虫駆除薬剤(オルトランなど)を塗布する
- 木酢液や重曹を塗布する
対策1:風通しの良い場所に置く
今すぐにでも行えるすす病の対策が、風通しの良い場所に植物を置くことです。
植物に湧く害虫の多くは、ジメジメとした湿気の多い場所を好みます。そのため、ベランダや窓際など風通しの良い場所に置くことで、繁殖のリスクを下げることが可能です。
注意点として、受け皿に水を入れたままにしないことも覚えておきましょう。受け皿の水を放置すると、害虫の水飲み場になってしまいます。
対策2:葉水をする
一方で、植物に湧く害虫のなかには、ハダニのように実は乾燥を好むものもいます。そこで役立つ対策が葉水です。
葉水とは、霧吹きなどを使って葉の両面に水を吹きかける手入れです。ホコリなどのゴミも一緒に取り除けることから、害虫対策に有効なお世話として知られています。
葉水のふさわしい頻度は品種や環境にもよりますが、まずは1日1回を目安に行いましょう。
「ジメジメを好む害虫は風通しの良い場所に置くことで防ぎ、乾燥を好む害虫は葉水によって防ぐ」と二段構えで対策してくださいね。
対策3:市販の害虫駆除薬剤(オルトランなど)を塗布する
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より強力な対策として、害虫駆除用の市販の薬剤を使うのもおすすめです。
たとえば、『住友化学園芸』の“オルトラン水和剤”などを定期的に散布しましょう。すす病の原因となる害虫から、植物をパワフルに守ることができます。
ただし、成虫になったカイガラムシは薬剤が効きにくいことで有名です。すでに繁殖している状況では、一度物理的に取り除いてから予防をする必要があります。
成虫のカイガラムシの駆除については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
対策4:木酢液を塗布する
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子どもやペットがいるなど強力な薬剤を使うのが不安なときは、木酢液を活用しましょう。
木酢液とは木材を作るときに出る煙を冷やしたものです。害虫の嫌う成分が入っており、100倍~1,000倍に希釈して植物に吹きかけるのみで、防虫効果が期待できます。
木酢液はホームセンターや園芸ショップで市販されているため、ぜひ探してみてください。
観葉植物・花・果実のすす病でよくあるQ&A
最後に、植物のすす病でよくあるQ&Aを見ていきましょう。
すす病を放置するとうつる?
前述の通り、すす病は害虫の排泄物にカビが生えた状態のことです。そのため、放置するとカビがより繁殖して広がる、すなわち「うつる」ことがあります。
葉が黒く変色した段階で、速やかに対処を進めましょう。万が一、放置してアリのようなほかの害虫まで大量発生すると、初心者では対処が難しくなってしまいます。
すす病は人体にも影響がある?
葉が真っ黒になり、見た目にも恐ろしいすす病ですが、人体への影響は基本的にはないと考えられています。
果物がすす病になったときにも、水できちんと洗えば食べられるといわれているほどです。
とはいえ、すす病を放置しても良いことはひとつもありません。できるだけ早く大切な植物を助けてあげてくださいね。
重曹はすす病の予防に役立つ?
重曹がすす病の対策に役立つという声もありますが、実際の効果は不明です。
重曹は、アブラムシやアリの駆除には効果があるといわれているものの、カイガラムシを倒すのは難しいと考えられています。
オルトラン水和剤をはじめとする薬剤を使ったり、そもそもの置き場所を風通しの良い環境にしたりと、ほかの対策を重視してみてくださいね。
対策(予防&復活方法)を知ってすす病から植物を守ろう!
この記事ではすす病について、その特徴や対策(予防&復活方法)、よくあるQ&Aをご紹介しました。
すす病は、実は病気ではないですが、それでも放置してはいけません。光合成ができなかったりアリが湧いたりと、さまざまなトラブルの原因になってしまいます。
ご紹介した内容を参考に、大切な植物をすす病から復活させてくださいね。復活後は、繰り返さないための予防も丁寧に進めておきましょう。