「千日紅(センニチコウ)を育ててみたいが、何から手を付ければ良いのかわからない」そんな悩みを抱えている方に向けて、この記事ではゼロからできる千日紅の育て方、育てる前に知っておきたい特徴をご紹介します。よくあるQ&Aとあわせてぜひ参考にしてみてください。
丸い花が可愛らしい夏の園芸植物「千日紅(センニチコウ)」
千日紅(センニチコウ)はこんもりと咲く姿が愛らしい花です。ヒユ科センニチコウ属に分類され、熱帯地方を原産地としています。
千日紅を育てる前には、以下の3点の特徴を知っておくとより楽しめます。
- 6~10月と開花時期が長い
- 園芸で人気の品種は大きく3種類
- 花言葉は「不死」や「永遠の恋」などポジティブ
早速、それぞれ順番に見ていきましょう。
6~10月と開花時期が長め。夏のベランダや庭に◎
千日紅は6~10月ごろの梅雨から秋にかけて花を咲かせる植物です。
暑さにも日差しにも強いため初心者でも育てやすく、日本では夏のベランダや庭を飾る花として愛されています。
豆知識として、千日紅の花のように見えている部分は、実は花ではありません。
厳密には「苞(ほう)」と呼ばれる葉であり、千日紅はこの苞が紫・白・ピンク・赤などとカラフルに色付き、私たちの目を楽しませてくれます。
園芸で人気の品種は大きく3種類
千日紅は100種類を越えるほど品種が豊富な花でもあります。園芸では、以下の3種類のタイプが特に人気を集めています。
【園芸で人気の千日紅のタイプ】
名称 | 特徴 |
グロボーサ種 | 古くから愛されている、もっともメジャーな品種。ピンクや白、紫に色づく一年草。背が低いものが多い。 |
ハーゲアナ種(キバナセンニチコウ) | 背が高く伸び、赤や黄に色づく品種。多年草だが、日本では寒さに耐えられないことから一年草扱いをされている。 |
プルケラ種(ファイヤーワークス) | 近年登場した、スパイシーな香りが特徴の品種。背が高く伸び、ピンク色の大きな花が咲く。「宿根千日紅」とも呼ばれる多年草。 |
どの品種も頑丈で育てやすいため、好きなものを選んで構いません。しかし迷ってしまう場合は、歴史があり育て方も広まっている「グロボーサ種」がおすすめです。
花言葉は「不死」や「永遠の恋」などポジティブ
そんな千日紅の花言葉は「不死」や「永遠の恋」、「色褪せぬ恋」といったポジティブな内容です。
千日紅の花持ちが良く開花期間が長いという特徴から、このような素敵な花言葉が付けられたといわれています。
友人や知人におしゃれに贈る、縁起の良い花のギフトとしても◎です。
【初心者向け】千日紅(センニチコウ)の育て方
ここからは千日紅の育て方をご紹介します。今回は初心者も挑戦しやすいゼロからの手順を見ていきましょう。
「地植え」と「鉢(プランター)」のどちらかを選ぶ
まず行うべきは、「地植え」と「鉢(プランター)」のどちらで千日紅を育てるのかを決めることです。
地植えと鉢(プランター)は、以下の通り特徴が異なります。
【千日紅の地植えと鉢(プランター)の違い】
育て方 | 特徴 |
地植え | 庭や花壇などの地面に直接植え付ける方法。水やりがほぼ不要であるなど育てやすいのが特徴。一方で、場所を移動させられないため、トラブル(例:台風や害虫被害)への対応は難しい。 |
鉢(プランター) | 鉢やプランターに千日紅を植え付ける方法。大雨の前に室内へ入れるなど、鉢ごと移動させられるのが魅力。ただし、地植えよりも丁寧な世話が求められる。 |
千日紅の場合は地植えと鉢(プランター)のどちらを選んだとしても、初心者でも十分に育てられます。希望する置き場所や自分のイメージに合わせて選択してみてください。
育てはじめ方は「種」と「苗」の2種類
地植えか鉢植えかの選択が終わった次は、種と苗のどちらから千日紅を育てるのかを選びましょう。
種から
ゼロから自分だけの千日紅を育てられるのが、種から育てる方法です。千日紅の種まきは4月の中旬から5月にかけて、以下の道具と手順で行います。
- 【千日紅の種まきに必要な道具】
- 千日紅の種
- 育苗トレイ
- 種まき用の土
- 霧吹き
- STEP1:育苗トレイに種まき用の土を入れる
- STEP2:指で土に薄い溝をつくり、種を重ならないようにまく
- STEP3:種が隠れるように、薄く土を被せる
- STEP4:発芽するまでは日陰に置き、土が乾かないように霧吹きで小まめに水をやる
1週間ほどで発芽した後は、明るい日陰に移しましょう。その後、大きめの葉が2~3枚になったころに次の「苗から」と同じ手順で植え付けます。
なお、地植えで育てる場合は、5月以降であれば庭の土や花壇に直接種をまいてもOKです。
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苗から
種まきで発芽させた苗が大きくなった、あるいは園芸ショップなどで苗を購入した場合は、以下の道具と手順で植え付けましょう。
- 【千日紅の植え付けに必要な道具】
- 植木鉢もしくはプランター(※鉢植えのみ。現在の苗よりも一回り大きなもの)
- 鉢底石(※鉢植えのみ)
- 鉢底ネット(※鉢植えのみ)
- 水はけの良い土
- 遅効性肥料
- 腐葉土(※地植えのみ)
- STEP1:新しい鉢(もしくはプランター)の底に鉢底ネットを敷く
- STEP2:ネットが隠れる程度まで鉢底石を入れる
- STEP3:肥料と混ぜ合わせた土を鉢の7割ほどまで入れる
- STEP4:現在の鉢から千日紅を優しく取り出す
- STEP5:根の周りの土をできるだけ崩さないように気を付けつつ、新しい鉢に移動させる
- STEP6:鉢のふちから2cmほどの高さまで残りの土を入れる
- STEP7:一度たっぷりと水やりを行い、土の中で千日紅を固定してあげれば完了!
千日紅の生育が活発な5~8月に行うのがおすすめです。植え付け後はできるだけ日当たりと風通しの良い場所に置いてあげましょう。
なお、地植えの場合は鉢の準備は必要ありません。植え付けたい庭・花壇の土に腐葉土を混ぜ込んだ後、15~20cmほどの間隔を空けて、優しく移動させてあげるのみでOKです。
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水やりはやりすぎない程度に
千日紅は乾燥を好む植物であり、水やりは少なめの頻度で行います。
春・秋は土が完全に乾いたのを確認した後に、鉢底から水がたっぷりと流れ出るほど与えてください。「頻度は少なめ、1回の水の量はたくさん」が成功のコツです。
真夏は土が乾きやすく、朝・夕の2回の水やりが必要なこともあります。小まめに手で土を触って乾きすぎていないか確認しましょう。
なお、地植えの場合は、普段は水やりをせずとも構いません。極端に晴れの日が続いた場合にのみ、たっぷりと水やりをしてあげてください。
肥料も植え付け時だけでOK
千日紅は乾燥と同様に、水はけが良く痩せた土を好む花でもあります。そのため、肥料は基本的に前述の植え付け時に与えるのみでOKです。
千日紅は肥料を与えすぎるとかえって花が咲きにくくなるため、気を付けてくださいね。
千日紅(センニチコウ)を元気に育てるためのポイント
続いて、千日紅を元気に育てるためのポイントを見ていきましょう。大切なのは以下の4点です。
- 花がら摘み
- 病気対策
- 害虫対策
- 剪定
花がら摘みを必ず行おう
千日紅の美しい姿を楽しむために、特に知っておきたいのが花がら摘みです。
千日紅は終わった花を人の手で摘んであげることで、次の花が綺麗に咲きやすくなります。これから咲く部分に栄養を集中できるためです。
花がら摘みは簡単で、下側が変色してきた花を根元から摘まみ取るのみで大丈夫です。
「間違って元気な花を摘むこと」と「いつまでも終わった花を放置すること」では後者の悪影響の方が強いため、迷った場合には思い切って摘んでしまいましょう。
「立ち枯れ病」などの病気に注意
千日紅は頑丈な花ですが、ときには病気にかかってしまうこともあります。特に気を付けておきたいのが「立ち枯れ病」です。
立ち枯れ病とは苗の下側から変色が進み、やがては腐って枯れてしまう病気です。根から症状がはじまるため、重症化するまで気が付きにくいトラブルとして恐れられています。
立ち枯れ病は土の中の病原菌を原因として発症するため、「植え付け時に新品の土を使うこと」と「風通しの良い場所に置くこと」で予防可能です。この2種類の対策は、ほかの病気を防ぐことにもつながります。
「ハダニ」などの害虫対策も忘れずに
病気と同じく気を付けておきたいのが害虫です。千日紅はハダニやナメクジの被害に遭うことがあります。
- ハダニ:苗から汁を吸う小さな害虫。乾燥が好き。放置すると大量繁殖し、苗が栄養失調になるため要注意
- ナメクジ:梅雨の時期に発生しやすい害虫。千日紅を食べてしまううえに、見た目の印象も×
対策として、風通しの良い場所に置き、1日1回のペースで「葉水(霧吹きで葉の両面の水を吹きかける手入れ)」を行いましょう。
そのうえで、ナメクジを予防できる市販の薬剤を使うと害虫被害に遭うリスクを大きく減らせます。
余裕があれば「剪定」にも挑戦してみよう
千日紅は一年草として扱われるため、剪定は行わなくてもOKです。しかし、余裕がある場合には「切り戻し」に挑戦すると、より綺麗に花が咲きやすくなります。
切り戻しは市販の剪定ばさみを用い、一箇所だけ飛び出ているなどの気になる葉の1~2cmほど上を切ってしまうだけで大丈夫です。
ポイントとして「脇芽(葉の付け根から横に伸びる茎)」には触らないようにすると、成功しやすくなります。
千日紅(センニチコウ)の育て方に関するQ&A
最後に、千日紅の育て方にまつわるQ&Aを見ていきましょう。
植え替えはした方が良い?
千日紅は、基本的に日本では冬に枯れる一年草として育てられます。そのため、植え替えをする必要はありません。
むしろ、あまり場所を移動させたり根を触ったりすると、千日紅の負担になることもあるため気を付けましょう。
冬越しはどうする?
前述の通り、千日紅は一年草として扱われる花です。冬には一度枯れ、翌年の春以降にまた新たな千日紅を育てる形となるため、冬越しの作業も必要ありません。
例外として、プルケラ種(ファイヤーワークス)の場合は、暖かい地域であれば冬越しができることもあります。
花が終わった秋に根元から苗を刈り取り、表面をマルチング(ビニールなどで覆う園芸手法)しておきましょう。
千日紅(センニチコウ)で夏のガーデニングを楽しもう!
この記事では千日紅について、特徴や初心者でもできる育て方、よくあるQ&Aをご紹介しました。
千日紅は暑さにも日差しにも強いなど頑丈で育てやすく、夏のガーデニング入門にぴったりの花です。
「乾燥気味に育てること」や「肥料を与え過ぎないこと」に気を付けつつ、ぜひ挑戦してみてくださいね。
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