ナメクジをそのまま放置してしまうと、大切な草花が食べられてしまったり、病気になり枯れてしまう恐れもあるため、すぐに駆除することが大切です。本記事では、ナメクジを駆除する方法や発生を防ぐ方法、おすすめの薬剤を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ナメクジの駆除前に|知っておきたい基礎知識
ナメクジは、害虫といわれることから、昆虫の一種だと勘違いされることもありますが、腹足綱ナメクジ科の軟体動物です。
体長は5cmから7cm程度。湿った環境を好み、梅雨や台風など雨が続くと姿をよく見かけるようになります。
体表は粘液に覆われており、ナメクジが通った後には、ヌルヌルとした白い粘液の這い跡が残ります。
正しい駆除方法で大切な植物を守るためには、事前にナメクジの生態を知っておくことが大事です。まずは、駆除前に知っておきたいナメクジの3つの特徴から見ていきましょう。
放置は危険!植物が食害されるだけでなく、疾病被害の恐れも
ナメクジは、昼間は石の下や鉢の底などに隠れていますが、夜になると這い出してきて植物を食害します。
雑食性であるため、さまざまな植物の葉や花、果物などを食害しますが、特に蕾や新芽を好むため、植物の生育に悪影響を及ぼしてしまいます。
また、ナメクジには広東住血線虫という寄生虫が寄生していることもあり、植物だけでなく人に悪影響を及ぼす可能性があることをご存知でしょうか?
ナメクジが食害した植物を口にしたり、ナメクジに直接触れたまま手を洗わないでいると、寄生虫が人体に侵入して好酸球性髄膜脳炎を発症する恐れがあります。
好酸球性髄膜脳炎を発症すると、激しい頭痛や発熱、知覚異常などの症状に悩まされたり、まれに失明や知的障害といった後遺症を残すこともあるため注意が必要です。
ナメクジは、傷のある手で直接触れてしまうと線虫に寄生されてしまう恐れがありますので、直接ナメクジに触れることは避けてください。
もし直接触れてしまった場合やナメクジが食害した植物に触れた後は、しっかり手を洗うようにしましょう。
湿気が多い時期に発生しやすい
ナメクジは湿った環境を好み、梅雨の5月下旬頃から6月中旬や、台風が発生しやすい9月下旬から10月中旬など、雨が続く時期になると発生します。
ナメクジを予防するのであれば、梅雨入り前や台風が発生する前に行うのがおすすめです。
安全にナメクジを駆除する方法
ナメクジを安全に駆除する効果的な方法は、以下の8つです。
- 塩や塩水で駆除する
- 熱湯をかけて駆除する
- 酢・クエン酸・木酢液をかける
- 重曹・砂糖・小麦粉を振りかける
- 消毒用アルコール(エタノール)をスプレーする
- コーヒーをかける
- ビールでおびき寄せて駆除する
- 市販の駆除剤を使用する
市販の駆除剤を使用するほか、家庭にあるものでもナメクジを駆除することができます。それぞれ順番に見ていきましょう。
塩や塩水で駆除する
有名なナメクジの駆除方法が、「ナメクジに塩をかける」という方法です。
ナメクジの体の約90%が水分でできており、半透膜と呼ばれる薄い膜でできています。この半透膜は、水は通すものの、水に溶けた塩を通すことはできません。
濃度の違う食塩水を半透膜で隔てると、薄い方から濃い方へと水を通して両方の濃度を同じにしようとする力(浸透圧)が働くため、ナメクジに塩をかけるとナメクジの体は小さくなります。
脱水状態が長く続くとナメクジはやがて死に至りますが、水分を与えるとナメクジは復活してしまいますので注意しましょう。
酢・クエン酸・木酢液をかける
酢・クエン酸・木酢液をかける方法でも浸透圧によって、ナメクジを駆除することが可能です。
酢・クエン酸・木酢液を使う場合は、50%ほど薄めてスプレーして使うと良いでしょう。浸透圧によってナメクジの体内から水分が抜け、ナメクジは動かなくなります。
消毒用アルコール(エタノール)をスプレーする
消毒用アルコール(エタノール)をスプレーで吹きかけることでも、浸透圧によってナメクジを駆除することが可能です。
アルコールの他に、界面活性剤が含まれるキッチン用洗剤やトイレ用洗剤、洗剤用漂白剤のような酸や塩基の利用も効果があります。
重曹・砂糖・小麦粉を振りかける
浸透圧によってナメクジを駆除する際は、重曹・砂糖・小麦粉などを使うことも可能です。
ナメクジを見つけたら、家庭にあるもので試してみると良いでしょう。
熱湯をかけて駆除する
熱湯をかけると、ナメクジの体内のタンパク質が変形し死滅します。
熱湯が周囲の植物にかかると枯れてしまいますし、はねたお湯で火傷しないようご注意ください。
コーヒーをかける
コーヒーに含まれるカフェインには、ナメクジの神経系に影響を与えるといわれています。
コーヒーを使用してナメクジを駆除したい場合は、少し薄めに作ったコーヒーを直接ナメクジにスプレーしましょう。
ビールでおびき寄せて駆除する
ナメクジはビールが好きで、ビールを置いておくと匂いに惹かれて集まってきます。この習性を活かして、ナメクジを駆除することも可能です。
- ビール
- 空のペットボトル
- カッターもしくはハサミ
- 空のペットボトルを1/3程度カッターかハサミでカットする
- ペットボトルにビールを入れる
- ナメクジの出没しそうな場所に設置する
ビールを置いておくだけで溺死させることができますが、なかにはビールを飲んでそのまま逃げてしまうナメクジもいます。より効果を高めたい場合は、ビールの中に駆除剤を加えておくと良いでしょう。
市販の駆除剤を使用する
犬や猫がいても安全!ナメクジの発生を防ぐためにできること
犬や猫などペットを飼っているご家庭では、薬剤の使用に不安を感じることもあるでしょう。
ナメクジは安全な方法でも発生を防ぐことができます。安全にナメクジを防ぐおすすめの方法は、以下の7つです。
- 小まめに雑草を刈り取り、落ち葉や小石を拾っておく
- プランターや鉢の下の通気性をよくする
- アルカリ性の土壌を作る
- 卵の段階で熱湯をかける
- 銅線を鉢植えに巻き付けておく
全て取り入れると効果が高くなりますが、できることから取り入れてみてください。
小まめに雑草を刈り取り、落ち葉や小石を拾っておく
ナメクジは湿度の高い環境を好みます。庭の雑草や落ち葉、小石などが多いと、ジメジメしやすくなってしまいます。
ナメクジの発生を防ぎたい場合は、庭の雑草や落ち葉、小石を小まめに拾い、湿気が溜まらないよう注意しておきましょう。
プランターや鉢の下の通気性をよくする
プランターや鉢の下はジメジメしやすく、ナメクジが好む環境です。
ナメクジの発生を抑えたい場合は、プランターや鉢はメッシュ素材のラックの上に置く、デッキ用の水はけマットを使用するなど、プランターや鉢の下の通気性を改善しておくことをおすすめします。
アルカリ性の土壌を作る
ナメクジは酸性の土壌を好みます。そのため、アルカリ性の土壌を作ることで、ナメクジの発生を抑えることも可能です。
土壌が酸性に偏っている場合は、苦土石灰や消石灰を土に撒いたり混ぜ込むことで、アルカリ性の土壌に改良することができます。
卵の段階で熱湯をかける
ナメクジは繁殖力の高い生物であるため、卵が孵化してしまうと大量のナメクジが発生してしまいます。なるべく卵が孵化する前に駆除するのがおすすめです。
ナメクジは秋頃になると、土の中や落ち葉の積もった場所などに2mmから3mmの透明なビーズのような形の卵を産み付けます。
卵を発見したら、熱湯をかけて孵化する前に駆除しましょう。
コーヒーや茶葉で鉢植え周辺を囲う
ナメクジはカフェインを嫌う習性があるため、カフェインの含まれたコーヒーや茶葉を使って対策することも可能です。
例えば、緑茶や紅茶などの茶殻や、ドリップした後のコーヒー豆を乾燥させて、ナメクジによる被害を避けたい場所に置いておくと、ナメクジ忌避剤になります。
ただし、雨の続くジメジメした時期には、カビが発生する原因になってしまいますので、大量に撒くのではなく、土が隠れる程度に薄く撒く程度にしておきましょう。
ナメクジ駆除におすすめの人気薬剤8選!
最後に、ナメクジ駆除におすすめの薬剤を8つご紹介します。
塩や酢など、家庭にあるものでもナメクジの駆除はできますが、広範囲に使えて効果が高いのは、やはりナメクジ専用の駆除剤です。
ナメクジを徹底的に駆除したい場合は、専用の薬剤を活用してみてください。
【ハイポネックスジャパン】ナメトール ナメクジ・カタツムリ用
“ナメトール”の有効成分は、天然の土壌にも存在する成分です。
そのため犬や猫がいる場所でも安心して利用でき、ナメクジが食べ残した粒は土壌微生物の働きで徐々に自然に戻ります。
雨や湿気に強く、湿った場所でも長く効果が続くのも嬉しいポイント。新しい製剤技術により、ナメクジに優れた誘引力と殺虫力があります。
【住友化学園芸】ナメ退治ベイト ペレット剤
“ナメ退治ベイトペレット剤”は、ばら撒いて誘い出す餌タイプの薬剤です。
ナメクジが発生しそうな場所にあらかじめ撒いておくだけで、物陰に隠れているナメクジを誘い出し退治できます。
雨が降って水を含むと粒は崩れてしまいますが、雨に強いため効果に影響はありません。
また、使用後に残る粒は植物性の有機物なので環境への悪影響はなく、芝生にも使えます。
【エムシー緑化】MICナメクジ退治
“MICナメクジ退治”は、天然素材でできた犬・猫のいる場所でも使える誘引殺虫剤です。脱水作用のある薬剤と異なり、ヌメヌメした廃回廊を残しません。
ナメクジに食べ残された粒は、微生物の働きで徐々にリン酸と鉄に分解され、土に戻るため安心です。
【アース製薬】ナメクジ撃滅
“ナメクジ撃滅”は、容器入りの駆除エサタイプの薬剤です。ナメクジの必須栄養素を配合しているため、食いつきが良くしっかり退治できます。
容器入りなので、薬剤に直接触れることがなく安心。置くだけと簡単に使える点もメリットです。雨に強く、効果は約1ヶ月持続します。
【フマキラー】ナメクジカダン
“ナメクジカダン”は、置くだけでナメクジを撃退できる薬剤です。エサはナメクジの好む半生タイムで、多くのナメクジを誘引できます。
薬剤に触れない安心容器入りで、雨や水がかかっても薬剤が流れ出ない設計。効果は1~3ヶ月ほど続きます。
【アースガーデン】お庭の虫コロリ
“お庭の虫コロリ”は、害虫に合わせて4種類の顆粒を配合した薬剤です。
緑色・赤色・茶色・黄色の4種の顆粒を混合しており、ナメクジのほか、ダンゴムシやムカデ、アリなどさまざまな害虫を駆除できます。
撒いた翌日から効果を実感できる、即効性の高さが特徴。庭や家の周辺のナメクジの出そうな場所に撒いてご利用ください。
【住友化学】スミチオン乳剤
“スミチオン乳剤”は、害虫に対して接触効果・食毒効果がある有機リン系の殺虫剤です。
有機リン系殺虫剤は、農作物や樹木などに発生する、さまざまな害虫の防除に効果があります。
幅広い害虫に対して効果があるため、ナメクジ以外に退治したい害虫がいる際におすすめの薬剤です。
【住友化学園芸】オルトランDX粒剤
“オルトランDX粒剤”は、浸透移行性の殺虫成分を2種類配合した薬剤です。
土の中に混ぜ込むだけで、根から茎や葉に成分が行きわたり、植物全体を害虫から守る予防的効果が続きます。
花や観葉植物、野菜など幅広い植物に使用可能です。
ナメクジを駆除して植物を元気に育てよう!
本記事ではナメクジ駆除についての基礎知識や具体的な駆除・発生を防ぐ方法、おすすめの薬剤についてご紹介しました。
ナメクジは塩や酢など浸透圧、コーヒーやお茶類のカフェイン、ビールでおびき寄せる、市販の薬剤を使用することで駆除できます。
市販の薬剤を使用する方法が最も効果的ではありますが、家庭にあるものでも退治できるため、実践しやすい方法でナメクジを駆除してみてください。