冬になると育てられる花の種類が限られ、「花壇や庭が寂しくなってしまう」と悩む人も少なくないでしょう。実は、寒さ厳しい冬であっても美しい花を咲かせてくれる植物はたくさんあります。本記事では、冬に咲く花を15種類ご紹介しますので、冬もガーデニングを楽しみたいという方は、参考にしてみてください。
冬に咲く花の特徴
冬に花を咲かせる植物の特徴は、品種によって異なりますが、全体的には以下のような特徴を持ちます。
- 耐寒性があるものが多く冬場も育てやすい
- 耐暑性は弱いことが多い
- 種類は少ないがバリエーション豊富
耐寒性があるものが多く冬場も育てやすい
冬に花を咲かせる植物の全てに耐寒性があるわけではないですが、耐寒性があり丈夫な種類が多いのが特徴です。
手間をかけずに育てられるため、ガーデニング初心者でも無理なく育てられます。
耐寒性とは、0℃以下の環境に耐えられる性質のことです。寒冷地で越冬できる場合は耐寒性が強く、暖地でなければ越冬できない場合は耐寒性が弱いといいます。
- 耐寒性(強):積雪に耐え、屋外での越冬可能。
- 耐寒性(中):0℃前後の気温に耐え、霜除けをすれば屋外で越冬可能。
- 耐寒性(弱):最低5〜10℃以上の気温が必要。
(参考:サカタのタネ園芸通信 耐寒性)
耐暑性は弱いことが多い
冬に花を咲かせる植物は、耐寒性があっても暑さには弱い傾向があります。特にヨーロッパのような冷涼な地域原産の植物は、耐暑性が弱い品種が多く、高温多湿な環境には向きません。
多年草とされていても、日本の気候では一年草扱いとなるものも多いため、しっかり確認しておきましょう。
種類は少ないがバリエーション豊富
冬の花として有名なものに、パンジー、ビオラ、プリムラ、ポインセチア、シクラメンなどがあります。
冬に花を咲かせる植物は、ほかの季節と比較すると少ないものの、花色や模様などのバリーション豊かな種類も豊富です。
寄せ植えをしたり、色違いの花を組み合わせるなど工夫すれば、冬でも自宅の庭や花壇を色とりどりの花で彩ることができるでしょう。
冬に咲く花おすすめ15選!
冬に咲く花のおすすめを15種類ご紹介します。一年草・多年草・樹木などさまざまな種類がありますので、組み合わせてみたり庭のテイストや好みに合わせて育てたい花を探してみてください。
パンジー・ビオラ
- 学名:Viola
- 分類:スミレ科スミレ属
パンジー・ビオラは、かつては大輪のものをパンジー、小輪で株立ちになるものをビオラと区別していました。しかし、現在では複雑に交雑された園芸品種が多数登場し、区別することが難しくなっています。
10月下旬〜5月中旬までと開花時期が長く、さまざまなカラーや模様の花を咲かせるため、寂しくなりがちな冬の庭や花壇には、なくてはならない存在です。
日当たりが良く風通しのよい場所で管理します。ジメジメした環境を苦手とするため、水捌けの良い土壌を選び、加湿にならないよう注意しながら水やりをしてください。
形態 | 一年草 | 原産国 | ヨーロッパ |
開花時期 | 10月下旬~5月中旬 | 花色 | 紫、青、赤、白、ピンク、オレンジ、黒、複色など |
耐寒性 | 強い | 耐暑性 | 弱い |
ノースポール
- 学名:Leucanthemum paludosum
- 分類:キク科フランスギク属
ノースポールは、北アフリカ原産の一年草で、花の中央部分が黄色で、マーガレットに似た花の姿が特徴です。株はボール状に育ち、最盛期になると株一面に花を咲かせます。
12月〜5月と開花期が長く、白と黄色というクセのなさから幅広い用途で使える人気の品種です。
通常は日当たりの良い場所で管理しますが、冬の寒さが厳しい時期は、冷たい風が当たらないよう南向きの軒下などで冬越しさせましょう。
形態 | 一年草 | 原産国 | 北アフリカ |
開花時期 | 12月~5月 | 花色 | 白(中心は黄色) |
耐寒性 | 普通 | 耐暑性 | 弱い |
プリムラ・ポリアンサ
- 学名:Primula Polyanthus Group
- 分類:サクラソウ科 サクラソウ属(プリムラ属)
プリムラ・ポリアンサは、色鮮やかで豊富な花色と扱いやすさから、パンジー、ビオラ、シクラメンなどと並ぶ冬の人気の花となっています。
ポリアンサは本来多年草ですが、高温多湿に弱いため一年草として扱われます。涼しい場所で管理できれば、夏越しすることも可能です。
暑さから守るために、9月半ば頃までは半日陰で管理し、それ以降は日向で管理します。冷たい風に当たらなければ冬を越せますが、霜に当たると花が傷んでしまうため、軒下で管理しましょう。
形態 | 多年草(一年草扱い) | 原産国 | ヨーロッパ |
開花時期 | 11月~4月 | 花色 | ピンク、黄、オレンジ、白、紫、赤紫、赤、青、レンガ色、複色など |
耐寒性 | やや弱い | 耐暑性 | やや弱い |
カレンデュラ(キンセンカ)
- 学名:Calendula
- 分類:キク科キンセンカ属(カレンデュラ属)
カレンデュラ(キンセンカ)は、地中海沿岸地域を中心におよそ20種類ほどの原種がありますが、トウキンセンカという種類のものが最も多く栽培されています。
カレンデュラ(キンセンカ)は、12月〜5月までの長期に渡ってオレンジや黄色の暖色系の花を咲かせるため、冬の花壇や寄せ植えに彩りを添えてくれます。病気や気温の変化に強く育てやすいことから、初心者の方が育てる花としてもおすすめです。
日当たりと水はけに気を付けておけば、ほとんど放置しても元気に育てられます。
形態 | 一年草、多年草 | 原産国 | 地中海沿岸地域 |
開花時期 | 12月~5月 | 花色 | 黄、オレンジ、複色 |
耐寒性 | 強い~やや強い | 耐暑性 | 弱い~やや弱い |
オキザリス
- 学名:Oxalis
- 分類:カタバミ科カタバミ属(オキザリス属)
オキザリスは、南アフリカ、中南米を中心に分布しており、300を超える種類があるといわれ、種類によって性質や形状はさまざまです。
夜間や雨が降ると花が閉じ、日差しを受けると大きく開きます。満開になると株を覆うように咲き乱れる様子は、非常に見応えがあります。
オキザリスは種類が豊富なため、種類によって耐寒性が強いものや弱いものなどさまざまですが、半耐寒性の種類が多く、日当たりと水捌けの良い温暖な環境を好みます。
形態 | 一年草、多年草 | 原産国 | 南アフリカ、中南米 |
開花時期 | 種類により異なる | 花色 | 白、黄色、ピンク、紫、オレンジ、複色 |
耐寒性 | 強~弱 | 耐暑性 | 強~弱 |
アリッサム(スイートアリッサム)
- 学名:Lobularia maritima
- 分類:アブラナ科ニワナズナ属(ロブラリア属)
アリッサムは高温多湿に弱いため、日本では一年草として扱われるのが一般的ですが、最近は耐寒性と耐暑性ともに強く、1年中開花する多年草タイプのアリッサムも登場しています。
アリッサムというと白い花をイメージする方も多いと思いますが、赤、ピンク、オレンジ、紫などさまざまです。一年草タイプは耐寒性が弱いため、冷たい風や霜を避けて管理しましょう。
アリッサムは乾燥した環境を好み、高温多湿を嫌うため、水のやりすぎには注意が必要です。土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと水やりをしてください。
形態 | 一年草、多年草 | 原産国 | 地中海沿岸 |
開花時期 | ・一年草:2月下旬~6月上旬、9月下旬~12月上旬 ・多年草:周年 | 花色 | ・一年草:白、赤、ピンク、オレンジ、紫など、多年草:白、紫 |
耐寒性 | ・一年草:弱い ・多年草:普通 | 耐暑性 | ・一年草:弱い ・多年草:普通 |
シンビジウム
- 学名:Cymbidium
- 分類:ラン科シュンラン属(シンビジウム属)
シンビジウムは、東南アジアとヒマラヤに分布する花が大きく美しい原種をかけあわせた洋ランの一種です。
ランは管理に手間がかかるものも多いですが、シンビジウムは丈夫で比較的寒さにも強く、定期的に植え替えを行い、明るい場所で管理すればよく育ち花を咲かせます。
冬から春にかけて開花し、長いものだと3ヶ月近く咲いていますが、長期間花を咲かせ続けると株が弱ってしまうため、満開になったら1ヶ月程度で切り取る方が良いでしょう。
形態 | 多年草 | 原産国 | 東南アジア |
開花時期 | 12月~4月 | 花色 | 白、ピンク、オレンジ、黄、緑、茶、複色 |
耐寒性 | やや弱い | 耐暑性 | 強い |
クリスマスローズ
- 学名:Helleborus × hybridus
- 分類:キンポウゲ科 / クリスマスローズ属(ヘレボルス属)
クリスマスローズは、日本でも「冬の貴婦人」という愛称で呼ばれる人気の高い多年草です。花色や花形のバリエーションが豊富で、好みの花を探す楽しみもあります。
耐寒性が強く、日陰でも育つ強健さで育てやすいのもクリスマスローズの特徴。鉢植え、庭植えどちらにも適しており、冬の庭を彩ってくれます。
多湿な環境は苦手としているため、庭植えの場合は、基本的に水やりは不要です。鉢植えの場合は、基本的に土の表面が乾いたタイミングで水をたっぷりと与え、6月から9月まではやや乾燥気味に管理しましょう。
形態 | 多年草 | 原産国 | ヨーロッパ、コーカサス、中国西部 |
開花時期 | 1月~3月 | 花色 | 白、ピンク、黄、緑、紫、茶、黒、複色 |
耐寒性 | 強い | 耐暑性 | 普通 |
スイセン
- 学名:Narcissus
- 分類:ヒガンバナ科スイセン属(ナルキッスス属)
スイセンは、地中海沿岸、特にスペイン、ポルトガルを中心に25〜30種が自生しており、日本にも冬から早春に開花する房咲きのものが自生しています。
RHS(英国王立園芸協会)には、1万を超える品種が登録されていますが、代表的な種類には、ラッパスイセン、房咲きスイセン、八重咲きスイセンなどがあり、12系統に分類されています。
開花時期は系統により異なり、早いものでは11月から開花しますが、いずれも夏には枯れて休眠期に入るのが特徴です。
スイセンは湿度の高い環境を嫌うため、水捌けの悪さが気になる場合は、パーライトや軽石を加えて土壌を改良しましょう。
形態 | 多年草 | 原産国 | 地中海沿岸 |
開花時期 | 11月中旬~4月 | 花色 | 白、オレンジ、黄、複色 |
耐寒性 | 強い | 耐暑性 | - |
ハボタン
- 学名:Brassica oleracea var. acephala
- 分類:アブラナ科アブラナ属(ブラシカ属)
ハボタンは花を楽しむ植物ではありませんが、緑や紫、クリーム色など鮮やかな葉を持つため、植えておくとまるで花が咲いているかのような彩りを与えてくれます。
日本には江戸時代に食用として入ってきましたが、現在は観賞用として用いられるのが一般的です。品種改良が進み、近年では可愛らしいサイズの矮性種も登場しており、鉢植えでも広く利用されています。
関東地方より西側では、戸外で冬越できますが、きれいな状態を維持したい場合は、冷たい風や霜を避けましょう。
形態 | 二年草、多年草 | 原産国 | ヨーロッパ |
開花時期 | - | 花色 | - |
耐寒性 | 普通 | 耐暑性 | 強い |
ツワブキ
- 学名:Farfugium japonicum
- 分類:キク科ツワブキ属
ツワブキは、日本の東北地方から沖縄にかけて分布する多年草で、海沿いの草原や岸の岩場などに自生しています。
10月〜12月になると、キクに似た3cm前後の黄色い花を咲かせます。元々は黄色い花ですが、品種改良により、白、オレンジなどの品種が登場。花だけでなく、班入りや獅子葉など葉の模様や色も魅力的です。
ツワブキは、明るい場所を好みますが半日陰でも育てられます。土質は問いませんが、水捌けの良い土壌で育てるのがベストです。
形態 | 多年草 | 原産国 | 東北地方から沖縄にかけて分布、台湾、朝鮮半島、中国 |
開花時期 | 10月~12月 | 花色 | 黄、白、オレンジ |
耐寒性 | 普通 | 耐暑性 | 強い |
ローズマリー
- 学名:Rosmarinus officinalis
- 分類:シソ科 / マンネンロウ属(ロスマリヌス属)
ローズマリーは、地中海沿岸地方が原産の低木です。爽快で力強い香りが特徴で、料理や化粧品、薬用まで幅広く利用されています。
ローズマリーは、乾燥した痩せ地でも育つほど強健な植物です。ほふく性であるため、グランドカバーとしても人気があり、春から秋にかけて、青、薄紫、白、ピンクの小さな花を咲かせます。
耐寒性もありますが、寒冷地では防寒対策が必要です。また、ローズマリーは、乾燥気味の環境を好むため、鉢植えの場合、土の表面が乾いてから2〜3日後にたっぷりと水を与えてください。
形態 | 低木 | 原産国 | 地中海沿岸地方 |
開花時期 | 11月~5月 | 花色 | 青、薄紫、白、ピンク |
耐寒性 | 普通 | 耐暑性 | 強い |
シクラメン
- 学名:Cyclamen persicum
- 分類:サクラソウ科シクラメン属
シクラメンは、ピンクや白、赤などの定番色に加えて、黄色や紫、複色など花色が豊富です。花形も八重咲きやロココ咲きなど、次々と新品種が登場しています。
また、大輪系、中輪系、小輪系など株と花の大きさによってタイプ分けされ、さらに寒さに比較的強く庭植えも可能なガーデンシクラメンがあり、それぞれ耐えられる最低温度が異なります。
一般的なシクラメンの場合、冬場は日当たりの良い室内の窓辺で管理します。ガーデンシクラメンは、耐寒性があり屋外で育てることもできますが、軒下などに避難させて直接寒風や霜が当たらないよう注意しましょう。
形態 | 多年草 | 原産国 | 北アフリカから中近東、ヨーロッパの地中海沿岸地域 |
開花時期 | 10月~3月 | 花色 | 白、ピンク、赤、黄、紫、複色 |
耐寒性 | やや弱い | 耐暑性 | 普通 |
ツバキ
- 学名:Camellia japonica
- 分類:ツバキ科ツバキ属(カメリア属)
ツバキは日本を代表する常緑高木です。花の美しさはもちろんのこと、光沢のある濃い緑の葉も人気。ツバキは常緑高木であるため、美しい葉を年中楽しめます。
昔から品種改良も盛んで、花色や花形、葉の形など多様な品種があるのも魅力のひとつ。また、ツバキは、種子から採れる「椿油」が髪や肌に良い作用があるとされ、さまざまな化粧品に用いられています。
ツバキは耐寒性・耐暑性が強く、明るい日陰でも育ちます。冬越させる際は、寒風に当たると蕾が落ちてしまったり、枯れてしまう原因になるため、北風に当たらないよう注意しましょう。
形態 | 高木 | 原産国 | 日本、台湾、朝鮮半島南部、中国 |
開花時期 | 11月~12月、2月~4月 | 花色 | 赤、ピンク、白、複色 |
耐寒性 | 強い | 耐暑性 | 強い |
ウメ(花ウメ)
- 学名:Armeniaca mume
- 分類:バラ科 アンズ属サクラ属
ウメは中国原産の花木です。バラ科アンズ属またはサクラ属に分類され、食用や薬用に使用する実を採取する目的で育てる「実ウメ」と花を楽しむ「花ウメ」の2種類があります。
ウメの品種は非常に多く、開花期も早咲きから遅咲きまでさまざまです。庭植え、鉢植えともに日当たりと水はけのよい場所であれば元気に育てられます。
美しい姿を保つためには、定期的な剪定が欠かせません。6月から7月には、伸び過ぎた枝を切り戻し、不要な枝を間引きます。また、整った樹形で開花させるために、11月から開花までの期間に、樹形を整えるために切り戻しをしましょう。
形態 | 庭木・花木 | 原産国 | 中国 |
開花時期 | 1月~3月 | 花色 | 白、ピンク、赤、複色 |
耐寒性 | 強い | 耐暑性 | 強い |
冬に咲く花を植えて寒い時期もガーデニングを楽しもう!
冬の庭と聞くと「寂しげな花壇や庭」をイメージするかもしれませんが、寒さに負けず美しい花を咲かせてくれる植物は意外と多いもの。
冬に咲く花は、花色や花形が豊富なものが多いため、寒さ厳しい冬であっても充分にガーデニングを楽しめます。
今回ご紹介した植物のほとんどは、園芸初心者の方でも育てやすいものです。ぜひ冬に咲く花を育てて、冬もガーデニングを楽しみましょう。