おしゃれに観葉植物を楽しむ方法として「苔玉(こけだま)」が人気を集めています。綺麗に整った苔玉を見ると作るのが難しそうに思えますが、実はコツさえ掴めば初心者でも簡単に作れますよ。今回は苔玉の作り方と育て方、よくあるトラブルと対処法までご紹介します。
苔玉ってどんなもの?
最近、観葉植物界隈で耳にする機会の増えた「苔玉」、皆さんはどんなものか知っていますか?
苔玉とは、観葉植物の根っこ部分に作る「丸い苔の固まり」です。丸く固めた土に苔を塗って作り、盆栽のように愛でて楽しみます。
別名「モスボール」とも呼ばれているこの苔玉は、なぜこれほどまでに人気を集めているのか、まずはふたつの理由を見ていきましょう。
インテリア効果が高い「育て方の一種」
ひとつ目の理由は、インテリア効果の高さです。観葉植物の育て方の一種である苔玉は、ほかの育て方と比べて、おしゃれな見た目に仕立てられます。
苔玉は根っこの部分に作って飾るため、通常の育て方と異なり、器に「根っこを十分に張るための深さ」を必要としません。そのため植木鉢を使わずに、平らな器の上にちょこんと乗せて飾れます。
平らな器に乗せると、植木鉢特有の重さを感じないため、おしゃれなテーブルなどに置いてもよく馴染みます。
もちろん器自体の選択肢も広がりますから、とことんまで自分好みのインテリアにできますよ。
観葉植物と苔玉の両方を楽しめる
ふたつ目の理由は、観葉植物と苔玉という2種類を同時に楽しめることです。
複数の観葉植物を育てようとすると、どうしても相応の手間がかかってしまいます。鉢を植物の数だけ用意して、育てる植物ごとに適した環境を整えなければいけません。
ときには「こっちの観葉植物は日光に当てて、こっちは日陰に置いて……」とふたつの鉢を別々の場所に置く必要もあります。
水やりも気温に応じて片方にはあげて、もう片方にはあげず、と非常に気を使いますよね。
苔玉の場合、観葉植物とワンセットになっていますから手入れがとても簡単です。
また手軽に作れるため、万が一トラブルが起きてしまっても、一度崩して苔を貼りなおすだけで綺麗な苔玉に戻せます。
インテリアとして大活躍し、観葉植物と同時に丸々とした緑も楽しめる育て方として、苔玉を試してみてはいかがでしょうか?
苔玉の作り方!初心者でも簡単な手順をご紹介
苔玉はおしゃれで飾る場所を選ばないことから、人気があります。「普通に育てるよりも、よりおしゃれに観葉植物を飾りたい!」という方へぴったりですね。
それでは苔玉の作り方を見ていきましょう。手順はとても簡単ですから、初めての方でも手軽に作れますよ。
必要なもの
まずは必要なものを一通り揃えましょう。苔玉を作るためには、以下が必要です。
【苔玉を作るために必要なもの】
- 土台となる土3種類(ケト土・赤玉土・ピートモス)
- 植え付ける観葉植物
- 苔(ハイゴケ)
- 器(平らなものがおすすめ)
- ラップ
- 縛るための糸(目立たせたくないなら黒色のもの)
すべてホームセンターや園芸店で手に入ります。植え付ける観葉植物は、自分の好みで選んで大丈夫です。「これだ!」と思う観葉植物を探してみてくださいね。
ちなみに、まだ観葉植物にこだわりがなく、気軽に苔玉を試してみたい方には“ガジュマル”がおすすめです。生命力が強く頑丈でよく育ちますから、初心者でも安心して楽しめますよ。
まずは土を作る
必要なものを揃えたら、土から作っていきましょう。
土はケト土・赤玉土・ピートモスの3種類をすべて1:1の割合で混ぜ合わせます。
あくまでも基本の作り方ですから、ふたつ目以降の苔玉を作る際には、比率を変えたりほかの土を混ぜたりと、アレンジもOKです。
全体を混ぜたあとはラップに乗せ、少し水を加えながらよくほぐします。水を加えるのがポイントで、後ほど土が固まりやすくなる効果を期待できます。
土の分量は観葉植物の大きさにもよりますが、最終的にソフトボールほどの球体ができるようイメージしながら作りましょう。
硬い部分がなくなるまでラップ越しにほぐしたあとは、観葉植物を受け入れるために、20cmほどの大きさへ平たく広げておきます。
固めて観葉植物を植え付ける
土の準備が完了したあとは、観葉植物を現在の鉢からそっと取り出します。
根っこ部分の土を、少し取り除きつつ丸い形にしましょう。形を整えたあとは先ほど広げた土の上に置き、ラップを使って丸く包んで固めてください。
苔を貼り付ける
ここまでくれば、あとは苔を貼り付けるのみです。
新たにラップを広げた上に、苔を反対向きにして敷き詰めていきます。観葉植物を中心に置いてラップでギュッとまとめる形になりますから、受け入れやすいよう苔は円形に配置しましょう。
充分に苔を配置できたあとは、実際に観葉植物を置き、ラップで握って一気に貼り付けます。土が崩れない程度に力を加えて、固めましょう。
最後に糸の出番です。ラップを外した状態で、苔玉の部分を糸でグルグル巻きにしていきます。コツはしっかりと力を込めた状態で、全体にまんべんなく糸を回すことです。
20週ほど巻いたあとは、ほどけないように苔玉へ長めに糸を巻き込み、完成です。
文字では少し難しく見えるかもしれませんが、実際に行うと驚くほど簡単に作れます。ぜひ試してみてくださいね。
苔玉の育て方!必要な生育環境と枯らさないコツ
次に、苔玉の育て方をご紹介します。
綺麗な緑色を楽しめるように、そして植え付けた観葉植物を枯らしてしまわないために、しっかりと生育環境を整えましょう。
日光に当てて光合成を
苔玉はそれほど日光が必要な植物ではありませんが、時々は光合成をさせてあげないと弱ってしまいます。
2~3日に一度ほどを目安に、できれば屋外で半日ほど日に当てましょう。屋外に出すことが難しい場合も、できるだけ日当たりの良い場所に置いてあげると安心です。
ただし、夏などの暑い時期に直射日光を当てすぎると、本体の観葉植物ごと傷ついてしまいます。レースのカーテンや遮光ネットを使って、調節してあげてくださいね。
また、ジメジメした場所に生えているイメージの強い苔ですが、実はあまり湿気が得意ではありません。湿気の多い場所ではカビが生えてしまいますので、なるべく風通しが良い場所に置きましょう。
水やりは適切な量を厳守して
苔玉を枯らさないためには、水やりに気をつける必要があります。
常にほんのり湿っているように見える苔玉ですが、内部は乾燥していることも多く、土のなかに水が少ない時間が続くと観葉植物ごと枯れてしまいます。
逆に水をやりすぎてしまっても根が傷み、こちらも枯れることにつながります。水やりでは適切な量を厳守しましょう。
水をやるべきタイミングはおよそ2~3日に一度、「苔玉を手で持ち上げて軽くなったと感じるとき」です。水を張ったバケツなどに苔玉を優しく沈めて、5~10分ほど放置します。
最初はブクブクと泡が出ますが、充分に水が浸透するとこの泡が出なくなります。泡が出ていないのを確認してから、引き上げましょう。
観葉植物の水やりも忘れずに
忘れがちですが、苔玉だけではなく観葉植物の水やりについても気をつけましょう。
苔玉で育てる際には、観葉植物へは霧吹きを使って水を与えます。水やりの頻度や量は、育てる観葉植物に合わせて調整してくださいね。
生育期の観葉植物は水が不足しがちです。葉っぱの様子を小まめに確かめて、水が足りないようであれば適時与えてあげましょう。
肥料は観葉植物に合わせて
肥料は植え付けた観葉植物に合わせて与えましょう。
苔玉自体には肥料を与えなくても大丈夫なのですが、植え付けた観葉植物が肥料を好む種類の場合は、与えた方が元気に育ちます。
気をつけなければいけないのが、肥料を与える量です。
苔玉で育てている観葉植物の場合、市販の肥料をそのまま説明書通りの量で与えると、「根腐れ(土のなかで根が腐り落ちる現象)」につながります。
植木鉢と比べて、苔玉には根が伸びるためのスペースが少ないためです。肥料が必要な場合は、液体タイプの肥料を通常の2倍以上に薄めてから与えましょう。
こんなときどうする?苔玉によくあるトラブルと対処法
苔玉は作るのも育てるのも簡単で、初心者でもポイントを押さえれば簡単に楽しめます。
しかし状態によっては、色など見た目が大きく変わることもあるため、ビックリしてしまうかもしれません。
いざというときに慌てないために、苔玉によくあるトラブルと対処法も知っておきましょう。
カビが生えてしまった
苔玉のよくあるトラブルとして、カビが生えてしまうことが挙げられます。
湿った外見とは裏腹に、苔玉は湿気に対して強くありません。ジメジメした場所に置くとすぐにカビが生えてしまいます。
カビを発見した場合、まずは日当たりの良い場所に苔玉を置いて表面を乾燥させてください。
充分に乾燥させたあとは、市販の木酢液(もくさくえき)を染み込ませた柔らかい布(ティッシュなど)で、カビを優しく拭き取りましょう。
カビが広がりすぎて駆除が難しい場合は、より効果の強い殺菌剤を吹きかけるか、あるいは一度苔玉を崩して作り直すのもおすすめです。
観葉植物本体と違い、気軽に作り直せるのも苔玉の魅力ですよ。
茶色になってしまった
苔玉が茶色くなった場合、大半は「休眠期に入った」か「枯れてしまった」のどちらかが原因です。
休眠期に入ったのであれば、一時的に成長がストップしているだけですから、そのまま育て続けて大丈夫です。気温が上がり休眠期を抜け、成長が活発になるとまた緑色に戻ります。
枯れてしまったのであれば、苔玉を作り直して生育環境を見直しましょう。日光・風通し・水やりのいずれかに問題のあった可能性が高いです。
特に苔がよく黒ずむ方は、水やりが多すぎる兆候ですから、少し控えてあげると安心です。
苔は生命力が強いため、枯れたと思っても休眠期に入っただけだった、というケースがよくあります。すぐに解体せず、しばらくはそのまま育ててあげると良いですよ。
虫が湧いてしまった
苔玉にコバエなどの虫が湧いてしまった場合は、一度解体して作り直すことをおすすめします。
苔玉に虫が湧くケースでは、内部で観葉植物が根腐れを起こしている可能性が高いです。そのため虫のみを駆除したとしても、いずれは観葉植物が枯れてしまうかもしれません。
一度苔玉を解体したあとは、根腐れを起こしている根っこを優しく取り除きます。土も新しいものを用意して、正常な環境を整えてあげましょう。
苔玉は植え替えが必要
最後に苔玉の植え替え方法をご紹介します。
苔玉は定期的に植え替えが必要な育て方です。適切な頻度で植え替えを行わないと、植え付けた観葉植物の根が育つスペースがなくなり、根腐れを起こしてしまいます。
2~3年に一度は植え替えを
苔玉の最適な植え替え頻度は「2~3年に一度」です。観葉植物の種類にもよりますが、一般的に植物の生育が活発な3~4月に行うことをおすすめします。
植え替えは「苔玉を大きくする」のか「植物を苔玉のサイズに合わせる」のかで少しだけ方法が異なります。
苔玉を大きくしたいのであれば、一度解体して、初めて苔玉を作るとき同様の手順で苔玉を作成すれば大丈夫です。変色した古い根っこがあれば、ついでに取り除いてあげてくださいね。
植物を苔玉のサイズに合わせるのなら、根・葉・枝の長さを短く整える必要があります。
一度解体したあとに、根っこを短くカットしましょう。できるだけ白い健康な部分を残すと、ダメージが最小限で済みますよ。
あとは通常通りに苔玉を作成し、伸びすぎた葉と枝を剪定します。
もし難しければ、葉と枝に関してはあまり手を加えなくても大丈夫です。明らかに一本だけ伸びているなど、極端に邪魔なものだけ取り除きましょう。
根っこの方はしっかりカットしないと、苔玉内にスペースがなくなり根腐れの原因になります。落ち着いて、大胆に切ってあげてくださいね。
苔玉で室内を楽しくおしゃれに飾ろう
苔玉を使えば、植木鉢が馴染みにくい場所にもおしゃれに観葉植物を飾れます。作り方も育て方も簡単で、日光・風通し・水やりなどのポイントを意識すれば、初心者でも簡単に楽しめますよ。
少し変わった形で観葉植物を育てたい方は、本記事を参考にぜひ挑戦してみてくださいね。