暑さでバテてしまいがちな夏も、華やかな寄せ植えを見ると気分が明るくなりますね。今回はおしゃれで夏らしい寄せ植えの作り方や、寄せ植えを長く楽しむための管理のポイントなどを紹介します。あなただけのお気に入りの寄せ植えを作るために、ぜひ参考にしてみてください。
季節ごとに楽しめる寄せ植え
鉢やプランターなどに数種類の植物を組み合わせて植える「寄せ植え」。寄せ植えは、それぞれの花や葉の色、特徴などを考慮しながら、どうすれば美しく仕上がるかを考えて作ります。
春、夏、秋、冬、それぞれの季節に合わせて自由に想像力をふくらませて作り上げるのが、寄せ植えを楽しむコツと言えるでしょう。
「寄せ植え」は小さなひとつの芸術です。額縁の中にあなただけの世界を描くように、自分を信じて思い切ってチャレンジしてみましょう!
夏の寄せ植えはこんな風に
自由に楽しみたい寄せ植えですが、気をつけたいポイントもいくつかあります。特に夏は暑さや乾燥に気を配り、直射日光に配慮することが大切です。
夏の寄せ植えに挑戦するときにはその植物の特徴を十分に考慮し、あらかじめ夏の気候に強い丈夫なものを選んだり、直射日光に弱いものは置き場所に工夫したりするなどの気配りが必須と言えるでしょう。
夏の寄せ植えを作るタイミング
5月~6月が夏の寄せ植えに挑戦するタイミングです。このとき気をつけないといけないのが「梅雨」の存在。長期にわたる雨や高い湿度は若い苗を弱らせます。
梅雨に備えて、植えるのは梅雨入りの数週間前までに終わらせておくのが良いでしょう。そうすることによってしっかりと根付いた状態で梅雨を迎えることができ、梅雨の悪環境に耐えることができます。
夏らしい組み合わせとは?
一口に「夏らしい」と言っても、人それぞれ思い浮かべるイメージは違います。どのようなイメージで寄せ植えを作るのか、それをふまえて組み合わせを考えていきましょう。
例えば「爽やかなイメージ」「涼し気なイメージ」で仕上げたいのなら、青や白の花を組み合わせると思い描いたイメージに近づけることができます。カラーリーフを用いるのも良いでしょう。
逆に「情熱的なイメージ」に仕上げたいときには、ビビットな色の草花を選ぶのがポイントです。特に赤と緑、青と黄色などは補色の関係にあたるので、よりインパクトのあるイメージになるでしょう。
夏の寄せ植えに挑戦しよう!おすすめの植物9選
それではいよいよ、夏の寄せ植えに挑戦です!あなただけのお気に入りの寄せ植えを作るために、ステップをふんで考えていきましょう。
寄せ植えは小さな芸術!まずはイメージを膨らませて
まずはどのような寄せ植えを作りたいのか、イメージを膨らませてみましょう。そのイメージが花を選ぶためのヒントになります。
「爽やか」「情熱的」「海辺のイメージ」「太陽のイメージ」といった夏にかかわるものの他にも、「和風」「洋風」「田舎風」「都会風」などがあるので、イマジネーションの翼を羽ばたかせて自由に思い浮かべてみてくださいね。
また、置き場所や使う鉢やプランターが先に決まっている場合には、それに合ったイメージにすることも大切です。
イメージに合う花を決めよう
イメージがある程度かたまってきたら、使う花を選んでいきましょう。これから夏の寄せ植えにおすすめの植物をいくつか紹介するので、選ぶときの参考にしてみてください。
初心者でも育てやすいナス科の多年草『ペチュニア』
夏の寄せ植えに使われる植物のなかでも、特に人気なのがペチュニアです。
ペチュニアは色の種類が豊富で、赤、ピンク、黄色、白、紫などのさまざまなものがあります。垂れるタイプや八重咲きのものなど、その姿もさまざまなので自分のイメージに合うものを見つけやすいでしょう。
ペチュニアは比較的丈夫で初心者にもおすすめの花です。多年草ではありますが、寒さに弱いために日本では一年草として扱われます。梅雨の長雨も苦手なので、早めに植えて株を強くしておきましょう。
寄せ植えの主役にふさわしい華やかな花を咲かせるペチュニア。開花時期は長く、3月から11月までといわれています。
日陰でも花を咲かせてくれる『インパチェンス』
アフリカホウセンカとも呼ばれるインパチェンスは、高温多湿を好むので夏の寄せ植えにぴったりの花です。
明るめの日陰でも育てることができるので、日当たりの良い場所に置くのが難しい場合にはぜひ考慮に入れてみてください。
花の色は赤、ピンク、オレンジ、白などがあり、一重で咲くのものからバラのように八重で咲くものなど種類もさまざまです。
5月から10月にかけて美しい花を咲かせるインパチェンスは、主役としても脇役としても使えるため、寄せ植えをするときにはとても重宝する花です。
乾燥に強く丈夫な『ニチニチソウ』
ニチニチソウは暑さや乾燥に強く、夏の花壇には欠かせない存在。
寄せ植えの主役としても大活躍してくれます。花の様子はハワイでレイ(花の首飾り)に使われる「プルメリア」にどことなく似ていますが、それより小ぶりの2~3cmの花を咲かせます。
背の高いもの、這うタイプのものなどさまざまなタイプがあるので、自分の寄せ植えに合うものを選ぶことが可能。一重咲きのものが一般的ですが、八重咲きのものもあります。
ニチニチソウは、5月~11月にかけて長く楽しめる花です。赤、ピンク、白、紫などがあるので、あなたのイメージに合うものを探してみましょう。
虫よけ効果も持っている『マリーゴールド』
存在感のある黄色やオレンジの花がとても華やかなマリーゴールド。太陽のような明るいパワーを醸し出すマリーゴールドは、夏の寄せ植えの主役にぴったりと言えるでしょう。
開花時期が4月から11月と長く、少しの手入れでたくさんの花を咲かせるマリーゴールドは初心者にも挑戦しやすい花です。マリーゴールドの香りや分泌液は「センチュウ」という虫の虫除け効果も持っています。
オレンジや黄色だけでなく、赤や白、褐色のものもあります。やや背の低いフレンチ・マリーゴールドと、背の高いアフリカン・マリーゴールドが有名です。
星型の花を咲かせる『ブルースター』
春から秋にかけて、水色の小さな花を咲かせるブルースター。5枚の弁を星のように広げて咲く姿から、その名前がついたと言われています。
ブルースターの花は咲き始めは水色ですが、しばらくすると青みが強くなり、咲き終わりにはややピンク色を帯びるため、その変化も楽しめます。
ブルースターは丈夫な多年草で、5℃くらいまでなら寒さにも耐えられます。「来年も楽しみたい」という人は、ブルースターを鉢に植え替えて室内に置き、冬越しさせましょう。
白やピンクのものもありますが、特に水色のものは爽やかな夏の寄せ植えにおすすめです。
雨に強くカラーバリエーションが豊富な『サフィニア』
サフィニアはペチュニアを品種改良したもので、ペチュニアよりも雨に強く、花つきがさらに良くなっているのが特徴です。
横に広がりながら成長し、枝が垂れ下がる性質があるサフィニアは、ハンギングにもおすすめです。4月から10月にかけて美しい花を楽しませてくれます。
赤、ピンク、黄色、などの明るい色から、白、青、紫などの落ち着いた色までカラーバリエーションが豊富なサフィニア。自分のイメージに合うものを選びやすいのも良いですね。
小さく可憐な花を咲かせる『ぺラルゴニウム』
ぺラルゴニウムは、4月から7月にかけて花を咲かせます。開花時期は少し短めですが、小花タイプのぺラルゴニウムは夏の寄せ植えのなかで名脇役として活躍してくれるので、人気の品種です。
花びらにまだら模様やストライプの模様が入るもの、縁がフリルのようになっているものなどさまざまな種類があり、どれも華やかです。
ただし、夏の直射日光には弱いので、日差しが強くなってきたら半日陰の場所に移しましょう。
ハンギングにぴったりな『アイビー』
つる性植物の代表格、アイビー。観葉植物としても人気なので、みなさん一度は目にしたことがあるでしょう。
アイビーはハンギングバスケットにあつらえるとかわいらしく仕上がります。特に斑入りのものは涼しげな印象で、夏の寄せ植えにぴったりです。丈夫で育てやすいので、初心者にもおすすめです。
アイビーは生命力が強いため、放っておくとアイビーだけが繁り過ぎてしまう場合もあります。バランスが悪いと感じたら、その都度しっかり刈り込みましょう。
様々な葉の色を楽しむ『ヒューケラ』
ヒューケラはカラーリーフプランツとして寄せ植えやグラウンドカバーによく使われる植物です。
葉の色は赤、黄色、緑の他にブロンズ色などもあり、自分のイメージに合うものを選ぶことができるので寄せ植えをするときに重宝します。
ヒューケラは丈夫で育てやすい植物ですが、真夏の直射日光は苦手。日差しが強いときは日陰に移動させてやると良いでしょう。
その代わり日陰でもしっかり育つ植物なので、寄せ植えを日陰で楽しみたい場合には特におすすめと言えます。
葉が美しいヒューケラですが、5月から7月にかけて小さなかわいい花も咲かせます。葉だけでなく花も楽しみたい場合は、適度に日に当てることも大切です。
どのように植えるかも大切
寄せ植えをどのように植えるかも、おしゃれに仕上げるために大切な要素です。美しい絵画に美しい額縁をあつらえるように、あなたの寄せ植えの世界観にぴったり合うステキな入れ物を探してみましょう。
主に次のようなタイプがあります。
鉢やプランター
庭や玄関先、窓辺など、水平な場所ならどこでも置くことができて、使いやすいやすいのが鉢やプランターです。好きなところに置けるので、置く場所も考慮に入れながら素材を選ぶと良いでしょう。
室内に飾る場合は、カビにさえ注意すればどのような素材を使っても大丈夫です。
屋外に飾る場合、紫外線の強い夏におすすめなのが「合成樹脂」でできた鉢やプランターです。合成樹脂のなかでも特に「ポリプロピレン」と「FRP」は劣化しにくいといわれています。
また、「日差しが強いときには半日陰に移動させたい」と考えている場合でも、合成樹脂でできたものなら素焼きや陶器のものより軽いので、比較的楽に移動させることができるでしょう。
屋外でも日陰で育てる場合は、素焼きや陶器も独特の存在感があっておすすめです。
素焼きは洋風で華やかなアレンジにぴったりですし、陶器は洋風にも和風にも合いやすく落ち着いた大人っぽいアレンジにぴったりです。
陶器よりも素焼きの方が、釉薬を塗っていない分通気性が高く、根腐れしにくいといわれています。
ハンギングバスケット
ハンギングバスケットは置いて飾るのではなく、吊り下げて飾るためのものです。
植物を植えた鉢のふちにフックをかけてワイヤーで吊るすものが一般的ですが、鉢自体に隙間があいていて側面からも植物を植えこめる仕様のものもあります。
ハンギングバスケットを使えば「鉢やプランターを置くのにちょうどいい場所がない」という人も寄せ植えを楽しむことができます。
さらに、目線の高さで寄せ植えを楽しむことができるのでより存在感が高まり、華やかな空間を演出することができるでしょう。
空中に吊るすことで風通しが良くなるので、湿度が高く蒸れやすい夏にこそ挑戦してみたい飾り方でもあります。
ただし、風通しが良い分乾燥しやすくなるので、マメに水やりをすることで美しい花々を元気に保ちましょう。
夏の寄せ植えを長く楽しむための管理のポイント
夏の寄せ植えを楽しむときには、紫外線の強さ、湿度や温度の高さへの配慮は欠かせません。
夏の気候に強い種類の植物を選ぶことは当然ですが、植えた後も植物が育ちやすいようにこまめなケアを心がけることで、夏の寄せ植えをより長く楽しむことができます。
具体的には次のような点に気をつけましょう。
花の特性を考慮して置き場所を決める
風通しが良い日なた、または半日陰に置くのが基本です。それに加えて植物の特性を考慮して置き場所を決めたり、タイミングによっては移動させたりすると良いでしょう。
「日なたを好むけど真夏の直射日光には弱い」「日陰でも育つけど日なたの方がより花付きが良い」「長雨にあたると弱ってしまう」など植物によってさまざまな特性があります。
日なたが良いのか日陰が良いのか、または屋根のある場所に置くのが良いのか、その植物の特性をしっかり知ったうえで置き場所を決めましょう。
水やりのタイミングに注意
植物の特性もありますが、真夏には涼しい朝と夕方の1日2回水やりをすると良いでしょう。夏は気温が高く土が乾燥しやすいため、注意が必要です。
ただし、水をやり過ぎても根腐れの原因になるので、雨が降った日の翌日は水やりを控えるなどして調整するようにします。
また、気温の高い昼間に水やりをすると逆に植物を弱らせることになってしまいます。涼しい時間帯に水をやるようにしましょう。
花がらを摘んで風通し良く
夏は蒸れにも注意が必要です。枝が密集し過ぎていたり、咲き終わった後の花がらがそのままになっていたりすると、蒸れて病害虫が発生する原因になってしまいます。
風通しをよくするためには、しっかり剪定してこまめな花がらを取ることが大切です。手間と愛情をかけることで、あなたのお気に入りの寄せ植えを長く楽しむことができるでしょう。
夏の寄せ植えであなただけの世界を表現してみよう
寄せ植えは季節ごとに楽しむことができますが、夏には夏ならではの寄せ植えポイントがあります。ポイントを押さえて寄せ植えをより美しく、より長く楽しみましょう。
寄せ植えは小さな芸術です。想像力をふんだんに使って、あなたにしか作れない寄せ植えを作ってみてください。童心に帰って思い切ってチャレンジすることが大切です。
心を込めて作ったお気に入りの寄せ植えは、きっとあなたの生活を明るくし、暑い夏を乗り切るパワーの源になってくれることでしょう。