土のないところで育つ不思議な植物「エアプランツ」は、花屋さんのほか、雑貨店やアパレルショップなどで飾られることも多いおしゃれな雰囲気を持つ植物です。今回は、エアプランツの特徴や魅力、日常的な管理方法やトラブルの対処法と人気品種をご紹介します。
エアプランツの特徴
まずはエアプランツの特徴について解説します。
エアプランツの特徴は、主に次の3つです。
- 南米や中米などに分布するブロメリア科の植物
- エアプランツにはさまざまな種類がある
- 葉が空気中の水分を吸収するため土なしで育てられる
それぞれ詳しく説明していきますね。
南米や中米などに分布するブロメリア科の植物
エアプランツは、北アメリカ南部〜メキシコの乾燥地帯に自生するブロメリア科の植物です。
エキゾチックな雰囲気があるエアプランツは、他の植物とは違う個性的な姿も魅力的で、インテリアグリーンとして高い人気を誇ります。
葉が空気中の水分を吸収するため土なしで育てられる
エアプランツの大きな特徴といえば、土なしで育てられるところでしょう。自生地では、雨の少ない乾燥した地域の岩石や樹木に根を張り、空気中に含まれる水分から養分を吸収しています。
そのため、土で育てるよりも岩石や水苔、流木やウッドチップで育てる方が、自生地の環境と近く元気に育ちます。
エアプランツにはさまざまな種類がある
エアプランツは、ブロメリア科ティランジア属の植物の総称です。種類は主に「エアータイプ」と「タンクタイプ」の2つに分けられます。
エアータイプはトリコームという繊毛を使って大気中の水分を吸着しますが、タンクタイプは葉の中心部にあるタンクに水を貯めてから水分を吸収します。
一般的にエアプランツとして流通しているのはエアータイプの方ですが、いずれも土を使わずに育てることが可能です。
記事の後半で、エアプランツの人気品種をご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
エアプランツを室内で上手に育てるポイント
エアプランツを枯らさずに上手に育てるポイントは、次の4つです。
- 直射日光を避けた日当たりの良い場所を好む
- 湿度に注意!風通しに気をつけよう
- 週に2回は霧吹きで水やりをする
- 月に1~2回ソーキングをする
このポイントを押さえておくことで、エアプランツを元気に育てられます。
直射日光を避けた日当たりの良い場所を好む
エアプランツは、日当たりの良い明るい場所を好む植物です。
しかし、直射日光に当ててしまうと、株が弱ってしまう可能性があるため、直射日光を避けた明るい場所に飾ることをおすすめします。
湿度に注意!風通しに気をつけよう
エアプランツには、ある程度湿度が必要ですが、風通しは気をつけておきたいポイントです。
特に梅雨や夏場に無風状態が続くと、蒸れて株が痛みやすくなるので、サーキュレーターや扇風機で優しい風を送って快適な環境を作ってあげてください。
週に2~3回霧吹きで水やりをする
エアプランツの水やりの目安は、週に2~3回程度。霧吹きを使って株全体が十分に湿るくらい、たっぷり濡らしてください。そして、濡らした後はしっかり乾かします。
ジメジメしやすい梅雨や真夏、成長がストップする真冬は、水やりは控えめにしましょう。夏は夕方以降の涼しい時間帯が、冬は昼間の暖かい時間帯にするのがおすすめです。
株の中央部分に水が溜まりやすいので、水を切って乾かしてから飾るようにします。葉っぱに水が付着したままでいると、腐ってしまうこともあるため要注意です。
風通しの良い場所で、逆さにしておくと水をしっかりと切ることができます。
月に1~2回ソーキングをする
ソーキングとは器などに水を張り、水に植物を漬け込むことです。エアプランツは月に1~2回程度ソーキングしてください。
ソーキング後も水やり後と同じく、しっかりと乾かすようにしましょう。風通しの良い場所で逆さまにしておくとしっかり乾かすことができます。
エアプランツを育てるときに起こりやすいトラブル&対処法
エアプランツを育てていると、トラブルが起こることもあります。
いざトラブルが起こったときに慌てないためにも、どのようなトラブルが起こり得るのか、そしてその対処法を知っておくことは大切です。
稀にハダニやカイガラムシが発生することも
エアプランツを育てていると、稀にハダニやカイガラムシが発生することもあります。
ハダニは、体長約0.3~0.5mmほどの小さな害虫で、植物を食害して弱らせてしまいます。高温で乾燥した環境で発生しやすくなり、多湿に弱いのが特徴です。小まめに霧吹きをして濡らしてあげると発生を防げます。
カイガラムシは、体長約2~3mmほどの綿のようなフワフワした姿をした害虫です。カイガラムシは葉から栄養を吸汁して株を弱らせてしまうので、発見次第すぐに駆除するようにしましょう。
エアプランツの人気の品種を7つ紹介
エアプランツは種類の多い植物ですが、ここではインテリアグリーンとして人気が高い品種を7つご紹介します。
アエラントス
ティランジア・アエラントスは、パイナップルのような硬質な葉が密集して生えている様がかっこいいエアプランツ。丈夫で育て方も簡単なため、エアプランツの中でも特に人気の高い品種です。
ティランジア・アエラントスの小型の栽培品種であるニグラは、シルバーグレーの葉が魅力的で“ティランジア・アエラントス・ミニパープル”とも呼ばれます。
ストレプトフィラ
ティランジア・ストレプトフィラは、カールした葉とつぼ型のボディが愛らしい人気の品種です。葉は乾燥しているとカールしますが、潤った状態だと葉がピンと伸びます。
ティランジア・ストレプトフィラは、暑さや乾燥に強いため、エアプランツ初心者にもおすすめです。
イオナンタ
ティランジア・イオナンタは変種も多いですが、イオナンタとして流通しているものは主にイオナンタ・メキシコかイオナンタ・グアテマラの2種類です。
メキシコは葉が肉厚で短く、グアテマラは葉が細く長いのが特徴で、グアテマラはメキシコにくらべて大きくなる傾向があります。
成長も早く、丈夫なので最初に育てるエアプランツ としてもおすすめです。
ストリクタ
ティランジア・ストリクタは、銀葉種のエアプランツの一種です。
ホームセンターや園芸店、100円ショップなどでも入手しやすく、枯れにくく育てやすいので初心者にもおすすめです。
テクトラム
ティランジア・テクトラムは、長いシルバーのトリコームがふわふわと輝く美しい草姿をしています。非常に乾燥に強いので、頻繁に水やりをできない人でも育てやすい品種だと言えるでしょう。
水をあげすぎてしまうと、トリコームが短くなってしまいますので、乾燥気味に育てるのがおすすめです。
ウスネオイデス
ティランジア・ウスネオイデスは、葉がとても細く一節一節が一株となった、長く垂れ下がる姿が個性的な品種です。
自生地の中南米ではポピュラーな植物で、緩衝材として利用されていたこともありました。ウスネオイデスとして一般的に流通しているのは、トリコームが濃く葉が太いのが特徴です。
育て方のポイントを押さえてエアプランツを元気に育てよう
エアプランツを元気に育てるには、「直射日光を避けた日当たりの良い場所に飾る」「風通しに気をつける」「週に2回は霧吹きで水やりをする」「月に1~2回ソーキングをする」という4つのポイントを押さえておくことが大切です。
一口にエアプランツと言ってもさまざま種類がありますので、好みやインテリアなどに合わせてぴったりなものを見つけてみてください。