「アジサイを育ててみたいが、どうすれば良いのかわからない」そんな方に向けて、初心者がゼロから挑戦できるアジサイの育て方を解説します。アジサイの地植えと鉢植えの違いや注意点、よくあるQ&Aまでご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
梅雨を象徴する日本の可愛らしい花「アジサイ(紫陽花)」
梅雨の花と聞けば、最初に「アジサイ(紫陽花)」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
小さな花びらが身を寄せ合って咲き誇るアジサイは、日本を原産地とする可憐な花です。アジサイ科アジサイ属に分類され、園芸でも多くの方に親しまれています。
まずはアジサイを育てる前に知っておきたい、4つの特徴を簡単に押さえておきましょう。
- 品種が豊富
- 鉢植えでも地植えでも育つ
- 一度植えると毎年素敵な花が咲く
- (ギフト時は)花言葉に要注意
品種が豊富で「自分のアジサイ」を見つける楽しみがある
アジサイは種類が豊富な花です。園芸では日本古来の伝統品種「ガクアジサイ」や、一度外国に渡り品種改良されて帰ってきた「西洋アジサイ」がよく活躍しています。
品種により花の形や色が大きく異なるため、「自分好みのアジサイ」を見つける過程を楽しめます。こだわりの庭やベランダ、玄関を作りたい方にぴったりです。
鉢植えでも地植えでも育てられる植物
アジサイを育てる場合、「鉢植え」と「地植え」の2つの方法があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
【アジサイの鉢植えと地植えの特徴】
より手軽なのは地植えですが、鉢植えでもそれほどの手間はかかりません。アジサイは咲きやすい花で、ときには小学校の授業で育てられることもあります。
自分のイメージや飾りたい場所にあわせて、好きな育て方を選択しましょう。
上手に育てると毎年素敵な花を咲かせてくれる
アジサイは上手に世話をしていると、何年にも渡って可憐な花を咲かせてくれます。開花時期は5~7月、私たちの想像する梅雨ごろがピークです。
アジサイは冬になると葉を落とし、まるで枯れたかのような元気のない見た目になります。
しかし実は、この間もアジサイは生きています。しっかりとエネルギーを蓄える時期であり、翌年にはまた開花してくれますよ。
花言葉が豊富なのでギフトに贈るときは要注意!
そんなアジサイは花言葉が豊富な植物でもあります。
花の色でも花言葉が変わるとされており、「寛容」や「元気な女性」といった明るいものから、「浮気」や「無常」のような暗いものまでさまざまです。
そのため、ギフトとしてアジサイを贈る前には、相手が花言葉を気にする方かどうか注意しておきましょう。
気心の知れた友達などが相手であれば、純粋に美しい姿を楽しんでもらえるはずです。
【地植え・鉢植え】初心者でも成功するアジサイの育て方
ここからは初心者の方向けに、成功させやすいアジサイの育て方をご紹介します。
今回はゼロからでも育てられるように、アジサイの苗を入手するところから順番に見ていきましょう。
園芸ショップや通販で鉢植えを入手しよう
アジサイの苗は園芸ショップやホームセンター、通販で市販されています。開花した状態で売られていることが多く、しばらくはそのまま飾るだけで可憐な花を楽しめます。
アジサイの鉢植えを選ぶときは、花の形や色からもっとも見た目の気に入ったものを選択して大丈夫です。
状態を直接確認できる店頭の場合は、活き活きとハリのある苗を選ぶと元気に育ってくれますよ。
花が終わったタイミングで植え替え(植え付け)る
苗を入手した後の最初の作業は「植え替え(植え付け)」です。地植え・鉢植えどちらかを選び、購入したアジサイの花が終わったタイミングで植え付けましょう。
地植え
アジサイを地植えにする場合の手順は以下の通りです。
- 風通しと日当たりが良い場所を探す
- 苗よりも一回り大きな穴を掘り、市販の腐葉土を3割ほど入れて馴染ませる
- 現在の鉢からアジサイをそっと取り出し、根を軽くほぐす
- 穴にアジサイを植え付け、地面が平らになるまで優しく土を戻す
- 一度水やりを行い、土の中でアジサイを固定すれば完了!
鉢植え
アジサイの鉢植えへの植え付けは、以下の道具と手順により行います。道具はいずれも通販や園芸ショップで市販されているもので大丈夫です。
- 現在の苗よりも一回り大きな鉢
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- 水はけが良く、保水性も高い土
- 割り箸
- 新しい鉢の底に鉢底ネットを敷く
- ネットが見えなくなる程度に鉢底石を入れる
- 鉢の7割ほどまで土を入れる
- 現在の鉢からアジサイを優しく取り出し、新しい鉢に移す
- 残りの土を入れ、割り箸で軽くつつくようにして土の隙間をなくす
- 一度たっぷりと水をやり、鉢の中でアジサイを固定すれば完了!
水やりは小まめにたっぷりと
鉢への植え付け後のアジサイは、たっぷりと水を与えながら育てます。
アジサイは梅雨のイメージ通り湿気が大好きです。1年を通じて、土の表面が乾いた段階で鉢底から勢いよく水が流れ出るほど水やりをしましょう。
夏のような乾燥しやすい時期には、朝・夕と1日2回水やりをするのもおすすめです。
一方、地植えのアジサイは雨で十分な水分を確保しやすいため、基本的に水やりはしなくても構いません。
晴れの日が続き土が完全に乾燥してしまいそうなときのみ、一時的に水をあげてください。
日光もたっぷりと当ててあげよう
アジサイは水に加えて日光も大好きな植物です。鉢植えの場合も、できるだけ半日以上は陽が当たる場所に置いてあげましょう。
ただし、夏の西日のような強すぎる日差しは逆効果になることがあります。
葉の色が変わるなど様子がおかしいときは、少し陽の当たらない場所へ移してあげてくださいね。
肥料は「花が終わったとき」と「冬」の2回に分けて
アジサイは「花が終わったとき」と「冬」の2回に分けて肥料を与えることで、大きく美しく育ちます。
特に鉢植えで育てているアジサイは、そのままでは栄養不足になりがちです。適切に肥料を与えてあげる必要があります。
肥料は園芸ショップなどで市販されている固形肥料を入手し、用法・用量を守って土に混ぜ込むのみでOKです。
初心者は「アジサイ用の肥料」として販売されているものを選ぶと簡単に成功します。
アジサイを育てるときに注意したいポイント
続いて、アジサイを育てるときに知っておきたい注意点を見ていきましょう。大きく以下の3点が大切です。
- 病気対策
- 害虫対策
- 剪定
「うどんこ病」などの病気を予防する
アジサイは育てやすい植物ですが、ときには病気にかかってしまうこともあります。アジサイのかかりやすい病気は以下の通りです。
- うどんこ病:白い粉をまぶしたように変色する病気。カビが原因であるため、放置すると症状が広がってしまう
- 灰色カビ病:灰色のカビが花や葉に広がり枯れる病気。梅雨に多く、アジサイが被害を受けやすい
- 炭そ病:褐色や灰色の円形の模様が生まれ、やがて穴が空く病気。ほかの病気との見極めが難しい
対策として、日当たりや風通しの良い場所に置くことを徹底しましょう。
また、トラブルが見つかった段階で速やかにその部分を切り取り、症状をアジサイ全体に広げないことも重要です。
「ハダニ」などの害虫も対策する
アジサイは「ハダニ」や「カイガラムシ」といった園芸でよく見かける害虫に狙われやすい花です。
これらの害虫はほんの数ミリ程度と小さいですが、放置するとアジサイを病気にかからせたり、栄養失調に陥らせたりします。
害虫は放置すると繁殖して手が付けられなくなるため、一匹でも見つけた段階で速やかに取り除きましょう。ガムテープや割り箸で物理的に退治するのが簡単です。
また害虫予防として、1日に1回ほど「葉水(アジサイの葉の両面に霧吹きで水を吹きかける手入れ)」を行うのもおすすめです。
花が咲き終わったときは剪定でケアをしよう
アジサイは花が咲き終わったタイミングで剪定をすると、翌年以降も綺麗に開花しやすくなります。清潔な剪定ばさみを用意し、以下の手順で行いましょう。
- アジサイの花の「節(別の茎が出ている部分)」を確認する
- 2節目(先端からふたつめの節)の2cmほど上でカットする
ポイントとして、剪切り損ねないためにパチンと勢いよくカットするように意識しましょう。じわじわと切るよりもアジサイの負担を少なくできます。
また、アジサイの背丈を小さくしたいときには「強剪定」が役立ちます。
同じく剪定ばさみを使って、アジサイの苗を半分、あるいは1/3ほどの高さで切ってしまうのみでOKです。ただし、強剪定をした翌年は花が咲きにくくなります。
アジサイの増やし方は「挿し木」がおすすめ
アジサイの数を増やしたいのであれば、「挿し木(アジサイの一部を切り取り、新しい苗として育てる方法)」がおすすめです。
挿し木は梅雨~7月下旬ごろまでに、以下の道具と手順で行います。
- 挿し木用の鉢(ポット)
- 水はけの良い土(挿し木用の土として市販されているものでOK)
- 剪定ばさみ
- できるだけ健康そうな枝を見つけ、根元からカットする
- 下の方の葉はすべて取り除き、先端側に2~3枚だけ葉が付いた状態にする
- それぞれの葉を半分の高さで横向きにカットする
- 枝の切り口を1時間以上水に漬ける
- 水に漬けている間に、新しい鉢に土を入れる
- 新しい鉢の土の中心に指で軽く穴を空け、枝の切り口側を挿す
- 明るい日陰におき、一度たっぷりと水を与えれば完了!
数日間は毎日水やりを行い、それ以降は土が乾いた段階で水を与えます。上手に成長すると1~3ヶ月ほどで大きくなるため、その後は通常の鉢や土に移して育てましょう。
アジサイの育て方に関するよくあるQ&A
最後に、アジサイの育て方でよくあるQ&Aをご紹介します。
花が終わったかどうかを見極める方法は?
アジサイは花が勝手に散らない特徴を持ち、終わりを自分で見極める必要があります。
品種により見極め方は異なりますが、「花に見える部分が裏返ってうつむく」あるいは「中央の小さな花が開き、全体的に色褪せる」ときが花の終わった合図です。
ポイントとして、アジサイの花を早めに切ることと長く放置することでは、長く放置する方が苗の負担になります。迷うときは切ってしまいましょう。
好きな色の花を咲かせるためには?
アジサイは品種だけでなく、土壌のph(酸性・アルカリ性)によっても花の色が変わります。酸性の場合は青、アルカリ性の場合はピンクに変わる品種が一般的です。
初心者の場合は「アジサイを○○色に咲かせる土」として市販されているアイテムを活用すると、簡単に好きな色を目指すことができますよ。
室内で育てることはできる?
前述の通り、アジサイは日当たりの良い場所を好みます。そのため、残念ながら常に室内で育てることは難しい花です。
咲いた状態のアジサイを購入した後に、花が終わるまで(植え付けるまで)室内で育てる程度であれば問題ありません。
また、苗は室外で育てつつ終わりそうな花を選んで切り取り、数日だけ花瓶に入れて楽しむのも良いでしょう。
冬越しはどうすれば良い?
アジサイの冬越しでは、特に必要なケアはありません。
ただし、葉が落ち枯れたような見た目になっても、冬のアジサイは生きています。鉢植えで育てているときは、水やりをかかさないようにしましょう。
花が咲かない年があるのはなぜ?
残念ながらアジサイの花が咲かなかったときは、前年の剪定が遅すぎた、あるいは切ってはいけない部分まで切ってしまった可能性が考えられます。
また、日当たりが悪い場合にもアジサイは咲きにくくなります。
ご紹介した内容を参考に、もう一度アジサイの生育環境と世話方法を確かめてみてください。来年こそは綺麗な花を咲かせてくれるはずです。
アジサイを育てて庭やベランダを美しく飾ろう!
この記事では、アジサイの特徴や初心者でも成功させやすい育て方、よくあるQ&Aをご紹介しました。
アジサイは可憐な見た目ほどデリケートではなく、初心者でも簡単に楽しめます。品種や土壌から花の色を選べるなど、育てていて楽しい植物です。
次の梅雨は、ぜひアジサイで庭やベランダをおしゃれに飾ってくださいね。