冬の食卓で大活躍するみかん、「美味しいけれど高い…」と感じたことはありませんか?実は、みかんは鉢植えを用意すれば、自宅で手軽に育てられる果樹です。この記事では、美味しいみかんを鉢植えで育てるためのポイントや、枯らさないためのコツをご紹介します。
みかんは鉢植えでも手軽に栽培できる果樹
りんごと並んで大人気のフルーツである「みかん」ですが、実は鉢植えでも育てられると知っていますか?畑の大きなみかんの木は見覚えがあっても、鉢植えで実をつける姿を見たことのある方は少ないでしょう。
みかんは非常に育てやすい果樹で、いくつかのポイントさえ知っておけば鉢植えでも育てられます。段々と実が色濃く大きくなる姿をじっくりと鑑賞できるため、最近では観葉植物のように楽しむ方も増えています。
みかんには健康に嬉しい栄養素が盛りだくさん
もちろん鑑賞するだけではなく、大きくなった実は美味しく食べられます。みかんには「βクリプトキサンチン」や「ヘスペリジン」と呼ばれる栄養素が豊富に含まれており、健康の維持にも役立ちます。
具体的な健康効果としては、骨粗しょう症の予防や血流の改善、抗酸化作用や美容効果を期待できます。
特に骨粗しょう症の予防については、2014年に日本食品科学工学会誌に掲載された「ミカンの摂取と健康に関する栄養疫学調査:三ヶ日町研究」にて、毎日4個程度のみかんを食べている人は骨粗しょう症のリスクが92%も低くなる、という驚きの結果が報告されています。(※)
甘くて美味しいだけでなく、みかんは身体にも嬉しいフルーツです。この記事で育て方を知って、楽しく健康にも役立つ趣味として、みかん育てに挑戦してみましょう。
※参考:杉浦 実(2014). ミカンの摂取と健康に関する栄養疫学調査:三ヶ日町研究 日本食品科学工学会誌 61, 373-381.
みかんを鉢植えで育てる方法!必要な生育環境と枯らさないコツ
それでは、みかんを鉢植えで育てるために必要な生育環境をご紹介します。
難しい手順は省き、初心者の方が簡単に育てられる内容にしていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
鉢植えに向いているのは温州みかん
まずは最初に、育てるみかん選びからです。
みかんにもいくつか品種があり、鉢植えに向いているのは「温州みかん」と呼ばれる種類です。苗探しでは、温州みかんと書かれたものを探しましょう。
本当は温州みかんと言っても幅広く、
- 極早生(ごくわせ)温州
- 早生(わせ)温州
- 中生(なかて)温州
- 晩生(おくて)温州
と、生育期間の長さに応じてさらに4種類に分類されます。
しかし、初心者の場合はそこまで気にせずとも大丈夫です。
通販ではどれかに厳密に該当しない「雑種」の温州みかんが売られているケースも多く、丁寧にチェックしようとするとかえって混乱してしまいます。
「温州みかんと書かれている苗ならOK」とだけ覚えておいてくださいね。
土は市販の「果樹用培養土」を
土は水はけが良く、それでいてある程度の保水力があるものが求められます。基本的には、ホームセンターや園芸ショップで市販されている「果樹用培養土」を使用しましょう。
土と苗を準備できたら、鉢底石や鉢底ネットを引いた鉢に土を入れ、苗を優しく植え付けます。もし難しそうだなと感じる場合は、最初からきちんと鉢に入った苗を購入し、そのまま育ててもOKです。
日当たりの良い環境が必要
みかん育てで非常に大切なのが、日当たりの良さです。
みかんは日光を好む果樹で、たくさん日の当たる場所に置くと元気に大きく育ちます。ベランダと室内どちらで育てるにしても、長時間日光が当たるように意識してあげましょう。
また、みかんはあまり風が強く吹きつける場所を好みません。マンションの高層階に住んでいるなど、風が強い環境の場合は、ベランダでなく室内で育てるようにしてくださいね。
水やりは季節に応じて調節する
日光同様に、水やりもみかんを健康に育てるうえで大切なポイントです。
みかんは水をたくさん必要とする果樹なため、土が白く乾いた段階でたっぷりと水を与えます。夏場はあっという間に土が乾いてしまうため、小まめなチェックが必要です。
ただし、10~12月の秋~冬の始まりにかけては、水を与える頻度を減らしましょう。この時期に乾燥気味に育てることで実の甘みが増し、美味しいみかんに育ちます。
冬には室内へ移してあげる
意外な落とし穴として注意しておきたいのが、みかんは寒さには強くないことです。寒い時期にこたつでみかんを食べる印象もあり、なんとなく寒さに強そうですが、実際には寒いと元気を失ってしまいます。
みかんは気温が5度を下回る環境では元気に育たないといわれています。
ベランダで育てる予定の方も、暖かい地域に住んでいる場合を除いて、冬にはできるだけ室内へ入れてあげると安心です。
「エカキムシ」などの害虫対策を万全に
みかんは果樹のなかでは虫に強く、育てやすい品種として知られています。しかしそれでも、ときには「エカキムシ」や「カイガラムシ」の被害に遭うケースも存在します。
エカキムシは「ハモグリガ」や「ハモグリバエ」の幼虫で、2mm程度の小さな害虫です。この虫に食害されると葉っぱに白い線が描かれることから「絵描き虫(エカキムシ)」と呼ばれています。
見つけた段階で速やかにテープ等で駆除するか、被害が大きい場合は葉っぱごと取り除きましょう。
カイガラムシは観葉植物に付きやすいメジャーな害虫で、こちらも数ミリ程度の小型な虫です。放っておくと葉っぱからドンドン栄養を吸い取るため、こちらも見つけた段階で駆除する必要があります。
大切なのは、小まめに葉っぱをチェックして虫が付いていないか確認することです。みかんの実を眺める際に、一緒に葉っぱも確認するように習慣づけてくださいね。
みかん栽培では「剪定(せんてい)」と「摘果(てきか)」が大切
みかんの栽培では、日々のお世話のほかに「剪定(せんてい)」と「摘果(てきか)」と呼ばれる手入れも重要です。
難しいことはなく、どちらも初心者でもササッと行えるのでご安心ください。
剪定は3月上旬に行う
剪定は不要な枝や葉っぱを切り取るお手入れです。園芸ショップなどで売られている園芸用のハサミを使って、根元からチョキチョキ切り落としていくだけで良く、難しい手順は必要ありません。
剪定を行うと栄養を元気な枝や葉っぱにのみ送れるようになり、みかん全体がより元気に育ちます。美味しい実をつけるためにも、大切なお手入れです。
みかんは主に4月の下旬ごろから実をつけるため、剪定はそれまでに行います。以下のような枝・葉っぱを切り落としましょう。
- 昨年実をつけた枝(翌年は実がつかないため)
- 真っすぐ空に向かって伸びた枝
- 枯れてしまった枝
- 同じ場所から複数枝分かれして、ゴチャゴチャした枝
ゴチャゴチャした枝に関しては数本だけ残してカットします。それ以外の枝は、いずれも根元からバッサリと切り落としてしまって大丈夫です。
摘果は8月中旬~9月の間に行う
摘果は剪定とよく似ており、こちらは不要な“実”を取り除くお手入れです。栄養を行き渡らせる、という目的は剪定と共通しています。
みかんは一度にたくさんの実をつけると負担が大きく、翌年以降に悪影響が出てしまいます。
毎年みかんを楽しみたいのであれば、ひとつの枝に実が1~2個ほどに抑えておくと安心です。8月中旬~9月の間に、育ちが悪そうなものを選んで取り除きましょう。
10月以降にはいよいよみかんを収穫できる
品種により異なりますが、10月以降になればいよいよ収穫時期です。実が綺麗に色づいたものから収穫すれば、美味しく味わえますよ。
みかんは収穫を遅らせるほど甘みが増し、美味しくなります。
そのため、できるだけ収穫を遅らせたいところですが、あまり長く収穫せずに置いておくと、枝に負担がかかり翌年以降にダメージが残ってしまいます。
12月中にはすべての実を収穫しておきましょう。
みかんは2年に一度は植え替えが必要な果樹
最後に、みかんの植え替えについてご紹介します。
みかんは根っこもグングンと育つ、植え替えが必要な果樹です。植え替えを行わないと、「根腐れ」と呼ばれる根っこが腐る現象の原因になってしまいます。
根腐れが起こると、異臭がしたり、場合によってはみかんの木全体が枯れてしまったりしますので、要注意です。
元気に美味しいみかんを育てるためにも、2年に一度は植え替えてあげましょう。
3月下旬から4月中旬が植え替え時期
みかんの植え替えは3月下旬から4月中旬ごろに行います。
こちらも難しい手順は何も必要なく、現在よりも一回り大きめな鉢を用意して土を盛り、現在の鉢からそっとみかんを引き抜き、根っこごと優しく移し替えていくのみです。
移し替えた後は水やりを行い、新しい鉢のなかでみかんをしっかりと固定しましょう。しばらくの間は、水やりを多めにすると元気を保ちやすいです。
なお、誤った時期に行うとみかんがダメージを負ってしまいやすいので、時期は必ず守るようにしてくださいね。
増やしたいなら追加で苗を用意するのが簡単
ちなみに、みかんの木は「接ぎ木」か「挿し木」で数を増やせます。それぞれの特徴は以下の通りです。
- 接ぎ木
みかんとよく似た「からたちの木」の幹に、みかんの枝をつなげて大きく育てる
- 挿し木
みかんの枝を土に植え、根っこが生えてくるのを待つ
しかし接ぎ木は非常に大がかりで、挿し木は成功率が低い、とどちらも初心者が挑戦するには難易度が高めです。
もしみかんの数を増やしたいのであれば、新たに苗を購入してくることをおすすめします。前回とは違ったお店から買ってみると、味に違いが出てきて楽しいですよ。
鉢植えで手軽にみかんを育てて美味しく食べよう
みかんは鉢植えで手軽に育てられる果樹です。ご紹介したポイントさえ押さえておけば、枯れてしまうことも滅多になく、初心者でも大きな実をつけられます。
自分で育てたみかんは愛着も湧きますので、食べるときも楽しいですよ。興味のある方は、ぜひこの記事を参考にしながら挑戦してみてくださいね。
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