低木で果実や紅葉が楽しめるブルーベリーは、家庭でも育てやすく人気の果樹のひとつです。せっかくブルーベリーを植えるなら、たくさんのおいしい実を収穫したいもの。今回は初心者でも失敗しないブルーベリーの育て方と、実つきをよくするコツをご紹介します。
庭木でもベランダでも育てやすいブルーベリー
ブルーベリーはツツジ科スノキ属に分類される北アメリカが原産の果樹です。低木なので管理もしやすく、春から初夏にかけては白やピンクの鐘型の花、夏には青紫色の果実、秋には紅葉も楽しめる人気の庭木です。
庭に植えるだけでなく、鉢やプランターでも栽培できるので初心者の方にもおすすめです。
ブルーベリーの実はそのまま食べるのはもちろん、ジャムにしたりお菓子作りに使ったりもできるので、せっかくならたくさんのおいしい実を収穫したいですね。
ブルーベリーは、1本だけだとなかなか結実が難しい品種もあります。そのため、同じ系統の別品種を一緒に育てると、実つきが良くなり果実が大きく育つことが期待できます。
生育環境と主な品種
ブルーベリーは100種以上もあるといわれていて、系統によって生育環境も異なります。基本的な生育環境と主な品種をご紹介します。
基本的な生育環境
ブルーベリーの耐寒温度は約-20℃〜-10℃です。寒さに強く家庭でも育てやすいですが、雪の重さで枝が折れてしまうこともあるため、鉢植えの場合は雪が積もらない場所に移動しましょう。
日当たりの良い場所を好み、日がたくさん当たると果実も美味しく育ちます。また土は、酸性を好みpH5.0前後に調整が必要です。
日本で栽培するブルーベリーは、大きく2系統に分かれていて、1本でも受粉し結実する種類もあるハイブッシュ系、自分自身の花粉では受粉しにくいラビットアイ系に分類されます。
北アメリカに自生しているローブッシュ系は夏の暑さが苦手で日本では栽培が難しいといわれていますが、一部、北海道などで栽培されています。
それぞれ生育条件や実の大きさや味も変わりますので、育てる環境によって好みの種類を選ぶと良いでしょう。
ハイブッシュ系
寒さに比較的強く、高さが約1.5~3mになるものが多いのがハイブッシュ系です。さらに、より寒さに強いノーザンハイブッシュとやや寒さに弱いサザンハイブッシュに分かれます。
ノーザンハイブッシュ
耐寒気温は-20℃と寒さに強く夏の暑さにはやや弱いため、冷涼地や高冷地での栽培に適しています。北関東以北での栽培がおすすめです。
主な品種は、甘味が少なく淡白で大きな実のなるブルーチップ、自家受粉しやすく大きな実が取れるデューク、生食向けの大きく甘い実がなるウェイマウスなどです。
サザンハイブッシュ
耐寒気温は-10度なので、関東南部から沖縄地方にかけての栽培に適しています。
果肉がしっかりとしていて甘みの強いオニール、小さな実をたくさんつけるサンシャインブルーなどが特に人気の品種です。
ラビットアイ系
耐寒温度は-10度で、耐寒性がやや低く東北以北での栽培は向いていません。高さは1~2mほどになるものが多いです。
主な品種は、晩生で甘く柔らかい実がなるブライトウェル、たくさんの果実がなるティフブルー、ラビットアイの代表品種で小〜中粒の甘い実がなるホームベルなどです。
ブルーベリーの植え付け方法
ブルーベリーの苗を植え付ける時期は、11~3月の落葉期です。ただし寒さの厳しい時期は避けましょう。
鉢植えやプランターで育てる場合
手軽に始めるなら鉢植えやプランターでの栽培がおすすめです。
コンパクトに育てたい場合は小さめの鉢へ、大きく育てたいなら大きなプランターを選びましょう。ただし、大きすぎると移動や植え替えが大変になるので注意が必要です。基本的には7〜10号の鉢が望ましいでしょう。
ブルーベリーは、酸性の土を好むため、市販のブルーベリー用の土か、野菜用の土にpH無調整のピートモスを同量混ぜて使います。
植え付けの手順
- ブルーベリーの苗を取り出し根を優しくほぐす
- 鉢やプランターに鉢底ネットを敷き鉢底石を入れる
- 3分の2程度の土を入れ、苗を植える
- 鉢やプランターの縁より3cm下まで土を入れ、苗木の株元と土の表面が揃うようにする
- たっぷりと水やりをし、必要に応じて支柱を立てる
庭に地植えする場合
庭に地植えする場合は、まず日当たりの良い場所を選ぶことが大切です。また、酸度を調整していないピートモスを事前に十分湿らせて準備しておきます。
- 深さと直径が共に40~50cmになるように穴を掘る
- 湿らせたピートモス40~50L、腐葉土40L、庭土を混ぜ半分の量を穴に埋める
- 苗木の株元が地面の高さになるよう調整しながら苗を植える
- 必要に応じて支柱を立てたり、枝先を切り戻したっぷりと水やりをする
- バークチップやワラで株元を覆い、乾燥を防ぐ
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ブルーベリーの水やりはどうする?
鉢やプランターで育てている場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。なるべく午前中に水やりをし、夏場はさらに夕方にも水やりをしましょう。
庭植えの場合は、水やりはそんなに気にしなくても大丈夫です。ただし、植え付け直後や夏は、株元だけでなく枝葉の広がりの下まで水やりをします。表面だけでなく根まで水が十分届くほどたっぷりと与えましょう。
ブルーベリーの肥料の与え方
ブルーベリーを元気に育てて、実つきを良くするためにも肥料を与えましょう。
肥料を与えるタイミングは、新しい芽が出てくる前の2月中旬から3月中旬にかけてです。一般的な化成肥料を使うと土壌が中和され生育不良を起こす場合があるため、ブルーベリー専用の肥料を使います。
さらに、実のなる初夏に追肥、実を収穫した後にお礼肥として即効性の化成肥料を与えましょう。
ブルーベリーの実つきをよくするコツ
ブルーベリーが、たくさんの美味しい実をつけるようにするコツを3つご紹介します。
複数の苗をなるべく近くに植える
ブルーベリーは1本だけではなかなか受粉しにくいため、同じ系統の別品種を一緒に育てるのがコツです。別系統では生育不良になるため、必ず同じ系統の中で別の品種を選びます。日当たりの良い場所で、2mほど離してできるだけ近くに鉢を置いたり植えたりしましょう。
人工授粉をしてみる
基本的には、ミツバチなどの昆虫が受粉を手助けしてくれますが、マンションのベランダや虫の少ない場所では、人工授粉をしてみるのもおすすめです。
受粉木の花粉を筆につけるか、黒い紙に花粉を落とし、収穫する品種の雌しべに花粉をつけます。ブルーベリーは花が小さいため大変な作業ですが、受粉をしないと実がならないので、実つきを良くするために必要な作業です。
摘心する
5〜6月にかけて摘心をすると、実つきが良くなります。摘心とは、20cm以上伸びた新梢の枝先を3分の1程度切り返しすることです。枝が外側に向かって伸びるように外芽の上で切りましょう。
ブルーベリーの病気と害虫
ブルーベリーは病気にかかりにくいのでほとんど心配ありませんが、灰色カビ病になる場合もあります。花や実に灰色のカビのようなものがついていたら要注意です。周辺を枝から切り落としましょう。
枯れた花びらが残っていると発生しやすいため、受粉後の花びらは摘み取っておくと良いでしょう。また、株元の雑草を取り除いたり、剪定をして風通しを良くするのも予防になります。
ブルーベリーが注意するべき害虫は、コガネムシ、カイガラムシ、アブラムシなどです。見つけたらブラシなどを使って取り除きましょう。また、コガネムシの幼虫は根を食べてしまうため、植え替えをおすすめします。
日当たりや風通しの良い場所で栽培し、適切な剪定をすることで、病気や害虫の発生を予防することができます。
他に注意すべきことは、実がなった時の鳥害です。美味しそうに実った果実を狙って野鳥が食べに来ます。見かけたら追い払うか、防鳥ネットを株ごと包むように張ると良いでしょう。ふくろうや鷹の置物を置くのも効果があります。
ブルーベリーの植え替え方法
鉢やプランターで育てているブルーベリーは、2~3年に一度植え替えが必要です。厳しい寒さの間は避け、休眠期に入る11月か暖かくなり始める3月頃が適しています。
植え替えの手順はまず、鉢から苗を取り出し根をほぐします。鉢の大きさを変えない場合は、硬くなった根を切り落とし量を調節しておきます。
鉢に鉢底ネットと鉢底石、ブルーベリー用土を入れ、株元と用土の表面が同じ位置になるように植えます。水やりの際に水が溢れ出すのを防ぐため、土が鉢の縁より3cmほど下がるように調整しましょう。
植え替え後は、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。
ブルーベリーの剪定方法
剪定は植え付けして3〜4年経ってから行いましょう。
1~2月頃に、枯れた枝やクロスして混み合っている枝を優先的に剪定します。また、元気のない枝やシュートと呼ばれる勢いがありすぎる枝を切っておくことで、全体に栄養が回るようになります。
その時に注意するのは、花芽をなるべく残しておくことです。花芽とは花が咲き実がなる部分で、小さめの葉芽に比べて大きいのが特徴です。花芽がないと花が咲かず、実もならないので注意しましょう。
また、春夏頃には新梢がたくさん出てくるので、不要な新梢は取り除きます。適度に残した新梢が生長し果実がなるようになったら、近くの古い枝を株元から切り取りましょう。
新しい枝に更新することで、毎年安定して果実を収穫することができるでしょう。
ブルーベリーの増やし方
ブルーベリーは挿し木で増やすことができるので、栽培に慣れてきたらぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
家庭向けで一般的な方法が休眠挿しです。休眠挿しとは、休眠期の枝を使う方法です。
冬に剪定した枝のうち、真っ直ぐで上向きに勢いよく伸びた枝を乾燥させないように冷所で保管しておきます。濡らしたキッチンペーパーに包んで、冷蔵庫の野菜室などに保管しておくと良いでしょう。
芽吹き直前の3〜4月頃、保管しておいた枝の花芽を切除し、長さ10cmほどに切り分けます。そして、切り分けた挿し穂の元に近い側を良く切れるナイフで斜めに切り、乾燥しないよう水につけておきます。
大きめの平鉢に軽石と良く湿らせたピートモスを入れ、水をかけて馴染ませます。そこに挿し穂を葉芽が2芽埋まる程度に5cm間隔で挿していきます。
木漏れ日の当たる半日陰に置いておくと、1ヶ月ほどで新芽が出てくるでしょう。3ヶ月ほど経つと根が出てくるので十分根が伸びたらひとつずつ鉢に植え替えます。植え付け時期の休眠期まではその鉢で育てましょう。
育てやすく実や紅葉も楽しめるブルーベリーを育ててみよう!
ブルーベリーは実を収穫できるだけでなく、可憐な花を楽しんだり紅葉を味わったりできる、家庭でも育てやすい果樹です。
季節感のある庭木として育てるのもおすすめですが、ちょっとしたコツを取り入れるだけでおいしいブルーベリーをたくさん収穫できますよ。実つきを良くするコツは、同じ系統の別品種を一緒に育てることと、人工授粉や摘心をすることです。
また、日当たりが良く風通しの良い場所で育てることは、実つきを良くするだけなく病気や害虫の予防にもなります。
今回紹介した育て方や実つきを良くするコツを実践すると、初夏には青紫色に実った美味しいブルーベリーをたくさん収穫できるでしょう。
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