ジャカランダの花を見たことはありますか?10m以上の高木に、青紫色の花をたくさん咲かせます。中南米原産のジャカランダですが、日本でも育てられるのです。この記事では、ジャカランダの特性や基本的な育て方、植え替え方法などをご紹介します。
ジャカランダってこんな植物
あまり聞き慣れないジャカランダですが、海外ではポピュラーな花木です。青紫色の花が満開になる季節には、ジャカランダの花を見に行く観光ツアーがあるほど、多くの花見客で賑わいます。
和名で紫雲木(シウンボク)と呼ばれ、まさに紫色の雲のように、枝いっぱいに青紫色の花を咲かせますよ。そして花だけでなく、羽のような葉も繊細で美しいです。
ここからは、日本では見る機会の少ないジャカランダを、詳しくご紹介します。
青紫色の花が美しい中南米原産の高木
ジャカランダは、中南米原産のノウゼンカズラ科キリモドキ属の落葉高木です。樹高は2mから、15mを超すものもあります。
中南米原産ですが、南アフリカやポルトガル、オーストラリアなど、世界中で親しまれている花木です。
初夏には、青紫色の鮮やかな花が、木を覆うほど咲き乱れます。その姿は、世界三大花木のひとつに数えられるほど、美しく華やかです。
枝の先に釣鐘のような青紫色の花が房状に咲くので、とても存在感があります。
太陽の光が大好き
ジャカランダは中南米原産のため、明るい太陽の光を好みます。たっぷり日光を浴びることで、元気に生長しますよ。
寒さに弱い
ジャカランダは暑さに強く、寒さには弱いです。中南米原産なので、日本の寒さは苦手で、0℃以下になると枯れてしまいます。
花が咲くのは高木のみ
美しい青紫色の花は、木がある程度大きくならないと咲きません。また、通常は桜のように葉が出る前に花が咲きますが、日本の気候では葉が先に出てしまいます。
そのため、花が咲いても、海外で見られるような花だけが満開の姿ではありません。
ジャカランダの育て方!必要な生育環境と枯らさないコツ
高木のイメージが強いジャカランダですが、小型のものや苗木も販売されています。
鉢植えの小さなジャカランダも、鮮やかな緑の葉を楽しむ観葉植物として人気です。
ここからは、ジャカランダを自宅で育てるために必要な生育環境と、基本的な育て方をご紹介します。
日当たりの良い場所で
日光を好むジャカランダは、日当たりの良い場所でたっぷりと光を浴びさせてあげましょう。特に春から秋にかけての生育期には、日照不足を防ぐため屋外で育てます。
寒い季節は室内へ
秋になり、葉の色が黄色く変化してきたら室内に取り込み、日当たりの良い窓辺に置きます。日本の冬は寒くて苦手なので、若木のうちは室内で越冬させましょう。
水やりは季節に応じて
鉢植えのジャカランダは、春~秋の生育期には、表土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。夏の暑い時間帯は避け、気温が上がる前の早朝や、涼しくなってくる夕方に水をやります。
秋になり気温が下がってきたら、徐々に水やりの頻度を減らしてください。冬は乾燥ぎみに育てるのがポイントです。表土が乾いてから2、3日後に水やりをするくらいでかまいません。
地植えの場合、しっかりと根付いていれば水やりの必要はありません。夏に高温が続き、乾燥してしまっているときのみで良いでしょう。
生育期には肥料を与える
生育期に、緩効性の化成肥料を1~2ヶ月に1回置き肥します。根に直接肥料が触れないように注意しましょう。真夏や冬の休眠期は、肥料を与えないよう注意してください。
摘心と剪定を行う
苗木のときは、摘心という新芽を摘み取る作業を行います。そうすることで脇芽が生長し、枝数を増やすことができるのです。
5、6月頃には、弱い枝や伸びすぎた枝を剪定して、樹形を整えましょう。ただし、ある程度大きく育ち開花が期待できそうな株は、花芽が確認できる7月頃まで待つと良いですよ。
花を咲かせた株の場合、翌年の花芽がすでに枝の中で作られているので、夏以降の剪定は避けましょう。
地植えの場合は防寒を
地植えをしているジャカランダは、冬になったら防寒をしてあげましょう。0℃以下になり霜が当たると枯れてしまいます。
木の根元をわらや落ち葉で覆い、根の温度を保ちます。また、幹全体に保護テープを巻き付けましょう。
ジャカランダの種まきと苗植えのやり方
ジャカランダは、種や苗から育てることができます。種は開花後についた実から採取するか、通販で購入することも可能です。苗も園芸店や通販で購入できます。
販売されている苗には、実生苗と接木苗があるため、好みでどちらかを選びましょう。実生苗とは、種から育てた苗で、開花するまでに長い時間を要します。
接木苗とは、台木となる別の木に、ジャカランダの枝を継ぎ合わせた苗で、花が咲きやすいのが魅力です。
種まきは4~5月、苗植えは春か秋の暖かい時期が適しています。
ここでは種から育てる場合と、苗を植える場合のやり方を解説します。
種まき
種を一晩、もしくは発根するまで水に浸けます。種まき用の細かい土を浅い容器に入れ、種に軽く土をかぶせて植え付けてください。
1週間ほどで発芽するので、本葉が4枚ほどになったら鉢に植え替えましょう。
苗植え
苗木よりもひと回り大きな鉢に植えましょう。根を傷めないように、1/3ほど土を落としてから植え付けます。赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜた、水はけの良い土を使いましょう。植え付けたらたっぷりと水をあげてくださいね。
幹の太さが3~5cm以上あれば地植えが可能です。日当たりが良く、水はけも良い土壌の場所に植え付けます。幼い苗は耐寒性が低いので、防寒対策をしっかりと行いましょう。
しかし、ある程度大きくなるまでは、鉢植えでの管理をおすすめします。
ジャカランダの植え替えと増やし方
ジャカランダは生長が早いため、植え替えが必要な植物です。そして、挿し木で増やすこともできます。
ここでは、植え替えの方法と、挿し木で増やす方法をチェックしておきましょう。
1~2年ほどで植え替える
生長が早いジャカランダは、根詰まりを防ぐため1、2年に一度植え替えましょう。鉢底から根が出てきたら、植え替えのサインです。
大きくしたくない場合は、全体的に根を切り詰めて、同じ大きさの鉢に用意した新しい土に植え替えます。
挿し木で増やせる
挿し木で増やすときは、しっかりした枝を7cmほどの長さに切り取り、下部の葉を取り除いて挿し穂にします。残した葉が大きいようなら、半分に切りましょう。
葉が大きいと、水分が蒸発し、根が出る前に枯れてしまうおそれがあります。
鉢に入れたバーミキュライトに挿し、明るい日陰で管理しましょう。根が出るまで、乾いてしまわないように注意が必要です。
十分に発根したら、新しい土に植え替えます。日当たりの良い場所に移動して育てましょう。
ジャカランダの花を見るためには
写真だけでも十分に美しいジャカランダの花ですが、実物を見てみたくはありませんか?
苗を育てれば、必ず花は咲くのでしょうか。また、海外のように、日本でも満開の姿を見ることができると良いですよね。
ここからは、日本では珍しいジャカランダの花を見る方法をご紹介します。
あまりよく分かっていない開花の条件
ジャカランダの原産地である中南米では、乾期に落葉し、その後雨期の初めごろに花を咲かせます。しかし、気候が違う日本では、ジャカランダの花を確実に咲かせる方法は分かっていません。
冬に落葉するよう、ある程度の寒さに当てたり、秋から冬に乾燥させたりすると、春ごろに花が咲くといわれています。原産地と条件を近づけると良いようです。
花付きの鉢植えを購入する
「できれば早く簡単に、ジャカランダの花を見たい」という方には、花付きの鉢植えをおすすめします。小さなジャカランダに、数輪の花が咲いているものも販売されていますよ。
ただし、花の付いた枝を台木に仕込んだ接ぎ木なので、残念ながら一度限りの花です。花が咲き終わったら、観葉植物として繊細な葉を楽しみましょう。
わい性の品種を購入する
わい性とは、一般的な大きさよりも小型のまま成熟する性質のことで、ジャカランダにもわい性で大きくならない品種があります。
このわい性の品種を購入すれば、栽培管理がしやすいため、開花も期待できるでしょう。数種類ありますが、比較的手に入りやすい“ブルーブロッサムビューイング”をご紹介します。
ブルーブロッサム ビューイング
ブルーブロッサム ビューイングは、日本で育成された管理のしやすい品種です。花は、従来のジャカランダに比べ濃い青紫色をしていて、1~1.5mの高さで花を楽しめます。
また、冬になると落葉しますが、5~6月には新芽が出るので心配いりません。低木とはいえ2~4mほどまで大きくなるので、十分楽しめますよ。
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日本でジャカランダが見られる名所
実は、日本国内にもジャカランダの花の観賞スポットがあるのです。
宮崎県日南市には、約1,000本ものジャカランダ群生林を見ることができる、“ジャカランダの森”があります。
これだけ多くのジャカランダを一気に見られるのは、日本ではここだけです。一面に広がる海と、ジャカランダの花のコントラストは、息を呑むほど美しい絶景ですよ。
また、静岡県熱海市には、熱海駅にほど近い海岸沿いに、“ジャカランダの遊歩道”があります。
高木・幼木合わせて約110本ほどが植えられていますよ。温泉に入ったあとに散歩するのも良いですね。
どちらも5月下旬~6月中に見頃を迎えます。
珍しいジャカランダを育ててみよう
ジャカランダは、青紫色の花がとても美しい植物です。花が咲くまで育てるのは根気がいりますが、羽のような葉も繊細で美しく、観葉植物として楽しめます。
園芸店などで苗木を見つけたら、ぜひ育ててみてください。どんどん大きくなって、花が咲くかもしれませんよ。