植物を育てていると、大切に育てている庭の草花や野菜、樹木の葉裏などに、びっしりと赤や黄色をしたハダニが寄生していることがあります。ハダニは幅広い植物に寄生してしまうため、ハダニの駆除方法について悩む人も多いのではないでしょうか?そこで今回は、家庭にあるものでできるハダニの駆除方法と、即効性のあるおすすめの薬剤や殺虫剤をご紹介します。
駆除前に押さえておきたいハダニの特徴
ハダニは体長およそ0.3mmから0.8mm程度。非常に小さく、よく動き回ります。
一口に「ハダニ」と言っても、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニなど、さまざまな種類があり、日本にはおよそ70種類程度のハダニが存在しています。
ハダニは植物の葉裏に寄生して吸汁します。ハダニに吸汁された葉は、葉緑素が抜け白い斑点が生じるのが特徴です。
吸汁され葉緑素が不足してしまうと、光合成ができなくなってしまうため、植物は成長不良になり最悪枯れてしまいます。
ハダニを駆除する前に、まずはハダニの特徴や駆除する際の注意点について解説します。
繁殖力が高く発見したら早めの駆除が必要
ハダニのオスとメスが交尾をすると全てメスが生まれ、メスはオスがいなくても産卵(単為生殖)することが可能です。単為生殖で生まれたハダニは全てオスになります。
1匹のメスは50から100個ほど産卵し、10日ほどで成虫になるため、放っておくとあっという間に数が増えてしまいます。
ハダニは放置せずに、発見したらすぐに駆除するようにしましょう。
高温で乾燥した時期に数が増えやすい
ハダニは高温乾燥を好むため、梅雨明けから秋にかけてもっとも繁殖が盛んになります。
水には弱いため、梅雨の時期は台風など雨が続くといったん数が減少しますが、雨が上がるとすぐに繁殖して数が増えてしまうため、早めの対処が必要です。
オルトランやキンチョールなど殺虫剤はあまり効かない
害虫を駆除する薬剤と言えば、オルトランやキンチョールなど「殺虫剤」をイメージする方も多いと思います。
しかし、ハダニに対して殺虫剤はあまり効き目がありません。
ハダニに薬剤を使う際は、必ず「殺ダニ剤」を使います。薬剤でハダニを駆除する際は、必ずこのポイントは押さえておきましょう。
【無農薬】家にあるものでハダニを駆除する方法
「犬や猫がいるし安全な方法でハダニを駆除したい」「できるだけ薬剤を使いたくない」ということでしたら、家庭にあるものを使って無農薬でハダニを駆除することもできます。
無農薬でハダニを駆除する方法は、大きく以下の7つです。
- セロハンテープやガムテープで取り除く
- 勢いのあるシャワーを吹きかける
- 酢・木酢液・クエン酸を使う
- 牛乳を使う
- コーヒーを使う
- 重曹を使う
- 油と石鹸水を使う
それぞれ順番に見ていきましょう。
セロハンテープやガムテープで取り除く
ハダニの数が少ない場合は、セロハンテープやガムテープを使ってハダニを取り除くこともできます。
ただし、この方法はあくまでハダニの数が少ない場合にのみ有効な方法です。数が多い場合は他の方法を試してみてください。
水をかける、水に浸す
ハダニは水を嫌うため、水を使った方法でも駆除することができます。
ハダニは植物の葉裏に寄生していることが多いため、霧吹きを使って葉裏にたっぷり水をかけましょう。
このとき、植物から水がしたたり落ちるほどしっかりと株全体にかけてください。
また、鉢植えの植物限定の方法になりますが、株全体を水に浸すことも効果的な方法です。
桶やタライなどを用意し、鉢植えごと株全体を20分ほど浸水させると、ハダニの数を大幅に減らせます。
酢・木酢液・クエン酸を使う
お酢は安全性や防除効果が確認された特定農薬のひとつです。木酢液やクエン酸をお酢の代わりに使っても良いでしょう。
【用意するもの】
- 酢(または木酢液、クエン酸)10ml
- 水1ℓ
- ペットボトルなどの容器
- 水1カップに酢(または木酢液、クエン酸)10mlを加え混ぜ合わせる
- 1を霧吹きに入れる
これでお酢スプレーは完成です。ハダニのいる部分に吹きかけるとハダニを窒息死させることができます。
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重曹を使う
重曹もお酢と同様に、安全性の明らかな特定農薬として認められています。
小さじ1杯の重曹を水1カップに溶かし、植物性の油カップ3分の1と合わせて重曹スプレーを作りましょう。あとは、寄生しているハダニに吹きかけるだけです。
- 重曹小さじ1
- 水1カップ(200ml)
- 植物油(サラダ油、菜種油など)1/3カップ
- ペットボトルなどの容器
- スプレーボトル
- 水1カップに重曹小さじ1と植物油1/3カップを混ぜ合わせる
- 1を霧吹きに入れる
これで重曹スプレーは完成です。ハダニのいる部分に吹きかけてお使いください。
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コーヒーを使う
コーヒーに含まれるカフェインを利用した駆除方法もあります。濃い目に作ったコーヒーの熱を冷まして、霧吹きで散布しましょう。
- 濃く入れたコーヒー(インスタント、ドリップなど)
- スプレーボスプレ
- コーヒーをいつもより濃く作る
- 冷ましてスプレーボトルに入れる
牛乳を使う
ハダニに2倍程度に薄めた牛乳をスプレーすると、吹きかけられた牛乳が薄い膜となり、ハダニを窒息死させることができます。
- 牛乳1/2カップ(100ml)
- 水1カップ(200ml)
- スプレーボトル
- 牛乳1/2カップと水1カップを混ぜ合わせる
- 1をストレットボトルに入れる
この方法は牛乳が乾くことで効果を発揮するため、雨やくもりの日は避け、晴れている日に散布することで効果を実感することができます。
ただし、スプレーした牛乳をそのままにしておくと、カビや腐敗の原因になってしまいますので、翌日にはしっかり洗い流すようにしましょう。
油と石鹸水を使う
油と石鹸水を使った方法も、牛乳の場合と同様、ハダニにスプレーした液が乾くことでハダニの体が薄い膜に覆われ、窒息死させることができます。
牛乳の匂いが気になるという場合などは、こちらを試してみてください。
- 植物油(サラダ油、菜種油など)10ml
- 水1ℓ
- 石けん5g
- ペットボトルなどの容器
- スプレーボトル
- ペットボトルなどの容器に1ℓの水を入れ、石けん5gを溶かして石鹸水を作る。
- 石けん水1ℓに対して、植物油を10ml加える。
- 2を強く振って、水と油をしっかり混ぜ合わせる。
これで完成です。必要なときにスプレー容器に移し替えて、ハダニに吹きかけてください。
手軽にハダニを駆除したいなら薬剤の使用がおすすめ
ハダニは家庭にあるもので駆除することもできますが、安全性が高い分効果がイマイチという場合もあります。
広範囲のハダニを一気に駆除したい場合は、薬剤の使用がおすすめです。ぜひ、ご自分の都合やハダニの数に応じて使い分けてみてください。
ハダニの発生を予防する方法
ハダニは一度発生してしまうと、あっという間に数が増えてしまい駆除するのが大変です。ハダニは以下の方法で発生を予防することができます。
- 植物に水を吹きかける
- 鉢植えは水に浸してもOK
- アルコールをスプレーする
- アロマスプレーを使う
- 定期的にダニ剤を散布する
順番に見ていきましょう。
植物に水を吹きかける
ハダニは水を苦手とするため、葉水をすることでハダニの発生を抑えられます。
葉水をする際は、葉の裏まで株全体をしっかり濡らすことがポイントです。
ハダニはとても体が小さいため、どこに潜んでいるかわかりません。できるだけ毎日葉水をして、ハダニの発生を抑えましょう。
アルコールをスプレーする
植物にアルコールをスプレーすることで、ダニの餌となるカビを取り除くことができ、結果的にハダニの数を減らすことができます。
なお、アルコール単体で使うよりも、レモンやライムを加えるとより効果的です。
レモンやライムには、ハダニが危険を感じた際に発するサインと同じ働きをする「シトラール」という成分が含まれているため、ハダニが嫌がり逃げていきます。
- 植物用アルコール
- レモンかライム
- ペットボトルなどの容器
- スプレーボトル
- レモンの皮を剥き1cm程度に切る
- レモンの皮に切れ目を入れておく
- アルコールを入れたボトルに2を入れる
- 3を軽く振ってから15分待てば完成
完成したらスプレーボトルに移し替え、ハダニが気になる箇所にスプレーして使います。
アロマスプレーを使う
植物の香り成分を凝縮したエッセンシャルオイル(精油)のなかには、害虫に対して忌避効果を持つものも存在し、古くから農業でも取り入れられてきました。
忌避効果とは、植物自身が香りによって害虫などを遠ざけ、害虫による被害にさらされることなく育つための作用のことです。
虫除け効果のある精油に含まれる成分を代表するものには、「シトロネラール」や「シトロネロール」があります。
シトロネラールが含まれる精油は、レモングラスやシトロネラ。シトロネロールが含まれる精油には、ゼラニウムやローズ、シトロネラなどが挙げられます。
これらの精油を使用することで、手作りの虫除けスプレーを作ることも可能です。
- 精油(レモングラス、シトロネラなど精油を1~3つ)
- 無水エタノール5ml
- 水45ml
- ペットボトルなどの容器
- スプレーボトル
- 無水エタノールを容器に入れる
- 油を合計10滴(単体の場合も複数使う場合も同様)加える
- 水を加え、蓋をしてしっかり混ぜ合わせる
精油を使用した虫除けスプレーは、冷暗所で保存し2週間程度で使い切るようにしましょう。
ハダニ駆除効果が高いおすすめの薬剤5選
最後に、ハダニの駆除や予防におすすめの手軽かつ即効性の高いおすすめの薬剤をご紹介します。
【住友化学園芸】GFモストップジンRスプレー
“GFモストップジンRスプレー”は、草花や観葉植物のアブラムシ・ハダニの退治に効果的な薬剤です。
使用方法は、そのままスプレーするだけととても簡単。害虫の退治だけでなく、病気の予防・治療効果も得られます。
ハダニの退治に加えて、病気の予防もしたい方におすすめの商品です。
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【住友化学園芸】アーリーセーフ
“アーリーセーフ”は、野菜類やハーブのハダニ、アブラムシ、コナジラミなど害虫やうどんこ病の防除に効果的です。
天然のヤシ油由来の有効成分配合で、有機農産物の栽培にも使えます。臭いも少なく、収穫前日まで使用できるため、家庭菜園での使用にも便利です。
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【住友化学園芸】粘着くん液剤
“粘着くん液剤”は、化学殺虫成分を含まない環境に優しい薬剤です。有効成分に食品である澱粉を使用しているので安全性が高く、安心して利用できます。
ミカンハダニ、カンザワハダニ、ナミハダニなどハダニ類を始め、アブラムシ、オンジツコナジラミ、ワタアブラムシ、タバココナジラミといった害虫にも有効です。
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【住友化学園芸】ダニ太郎
“ダニ太郎”は、植物に寄生するハダニやサビダニを効果的に退治できる薬剤です。
成虫だけでなく、卵、幼虫など各生育段階でも作用し効果が持続します。
ミツバチやマメコバチなど有用昆虫や、カブリダニ、ハネカクシといったハダニの天敵への影響が少ないのが特徴です。
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【フマキラー】カダンセーフ
“カダンセーフ”は、病害虫の退治や病気の発生を予防できる薬剤です。
ハダニやアブラムシなどの害虫や、うどんこ病や灰色かび病などの病原菌を食品成分由来の膜が包んで退治します。
植え付け時や、病気発生前にあらかじめ散布することで、病気の発生を抑えることも可能。使用回数に制限はなく、収穫して食べる当日まで野菜や果樹などに何度でも使えます。
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ハダニを駆除して植物の元気を取り戻そう!
本記事では家庭にあるものでできるハダニの駆除方法と、効果的な予防方法、即効性のあるおすすめの薬剤をご紹介しました。
ハダニは繁殖力が高く、放置してしまうとあっという間に数が増えてしまいます。
家庭にあるものや薬剤を使って駆除できますので、ぜひ今回紹介した情報を参考に上手に駆除してみてくださいね。