灰色カビ病は、野菜や果物、花などの植物に被害を与える病気のひとつです。この病気を放置してしまうと被害が広がり枯れてしまうことも珍しくありません。本記事では、灰色カビ病の原因や対策、治療方法について解説し、身近なアイテムや薬剤を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
灰色かび病とは?
植物の果実や花、葉などに小さな斑点が現れたら「灰色かび病」かもしれません。灰色かび病に感染すると徐々に灰色の部分が広がり、最終的には植物が枯れてしまいます。
カビ(糸状菌)が原因の病気
灰色カビ病とは、植物を中心に発生するカビ(糸状菌)が原因で引き起こされる病気です。
胞子が風に運ばれて植物に付着し、植物の表面や傷口などから侵入して発症します。
発生しやすい時期や植物
灰色かび病はジメジメした環境を好む病気です。4月下旬頃から発生しますが、6月から7月の雨量の多い時期に最も多く見られます。
【灰色カビ病が発生しやすい植物】
灰色カビ病が発生しやすい植物には、以下のようなものが挙げられます。
- 草花:バラ、パンジー、ビオラ、ペチュニア、ニチニチソウ、クリスマスローズ、コスモス、ゼラニウム、キンギョソウ、シクラメン等、花き類全般。
- 野菜:キュウリ、カボチャ、スイカ、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、レタス、玉ねぎ、サヤインゲン、サヤエンドウなど
- 果樹:柑橘類、ブドウ、モモ、ウメなど
- 庭木:ツツジ、サツキなど
灰色カビ病は、草花、野菜、果樹、庭木など、幅広い植物に感染する病気です。上記に該当しない場合も、灰色かび病の発生には十分注意しておきましょう。
灰色カビ病病の原因と対策
灰色カビ病が発生する原因は、大きく分けて以下の通りです。
- 日当たりや風通しが悪い
- 梅雨や気温差が激しい気候
- 植物が弱っていた
それぞれ詳しく解説していきます。
日当たりや風通しが悪い
カビ(糸状菌)が原因で発症する灰色カビ病は、多湿な環境で発生しやすくなります。日当たりが悪い、植物同士の間隔が狭い、葉や茎が茂っているといった環境でも発生しやすくなるため注意が必要です。
日当たりの良い場所を選び、植物と植物の間隔を保つ、枯れた花や葉、雑草を小まめに取り除くなど、風通しに気をつけて灰色カビ病の発生を抑えましょう。
梅雨や気温差が激しい気候
灰色カビ病は、ジメジメした環境を好むため、梅雨の時期や春や秋の長雨、気温差の激しい時期などで発生しやすくなります。
雨の続く時期や気温差の激しい時期に限らず、腐葉土や堆肥などの有機質を混ぜ込むことで、土壌の水はけが良くなり、多湿による被害を小さく抑えることが可能です。
また、土に残っている病原菌の影響を受けやすくなるため、連作は避けましょう。
植物が弱っていた
ひょろひょろとした軟弱な株は、灰色カビ病にかかりやすい傾向があります。
苗を購入する際は、元気な株を選ぶことも灰色カビ病の発生を防ぐために大切なポイントです。
元気な株を選んだら育てる環境や土作り、肥料や水の与え方にも配慮し、丈夫な株に育てましょう。
灰色カビ病対策に役立つ身近なアイテムと薬剤
灰色カビ病が発生したら薬剤を使用するのが効果的です。また、重曹や酢など自宅にあるアイテムを使用して病気を予防することもできます。
重曹
重曹には、灰色カビ病の原因となる病原菌の胞子形成や発芽を抑える働きがあるといわれています。
重曹スプレーの作り方は、水500〜1,000㎖に対して1gの重曹を加えて溶かしスプレーボトルなどに入れて散布します。
木酢液・竹酢液
木酢液とは、木炭を作る際に発生する水蒸気を冷やし、不純物を取り除いてから蒸留した液体です。竹酢液は、原料が木か竹かというくらいの違いで、基本的には木酢液と同じような成分が含まれます。
木酢液・竹酢液どちらも殺菌作用があるため、灰色かび病のようなカビや細菌による病気の発生を防ぐことができます。
木酢液・竹酢液を植物に散布する場合は、木酢液2ccを水1ℓで薄めて、よく混ぜたものをスプレーボトルなどに入れて散布しましょう。
酢と焼酎(ストチュウ)
ストチュウとは、酢、焼酎、糖を混ぜ合わせたものを、水で希釈した液体です。酢の防除効果や焼酎の殺菌・消毒効果を得られるほか、糖分を加えることで、葉の光沢が増す効果も得られます。
糖分は加えず、木酢液や竹酢液を加えて作ることも可能です。
散布する1週間ほど前から、酢100㎖、焼酎10㎖、果糖もしくは黒糖を30g混ぜ合わせ、直射日光の当たらない場所で保管しおいてください。
ストチュウの原液を水で150倍〜500倍ほどに薄め、噴霧器やスプレーボトルに入れて散布します。
カリグリーン
カリグリーンは、人と環境に優しい炭酸水素カリウムを主成分とする殺菌剤です。灰色かび病の予防効果はあまり期待できませんが、発病後の治療効果に優れた効果を発揮します。
薬剤によっては、散布後しばらく収穫できないこともありますが、炭酸水素カリウムが主成分のカリグリーンであれば、散布した翌日には収穫可能です。
使用する際は、500倍から1000倍程度に薄めて植物に散布します。
STダコニール
STダコニールは、かび類(糸状菌)によって引き起こされる灰色カビ病や斑点病など葉が変色するタイプの病気に効果を発揮する殺菌剤です。
殺菌効果に加えて耐光性と耐雨性に優れているため成分が残留し、病気から植物を守ります。また、病原菌に対して抵抗性がつきにくいのも魅力のひとつです。
水で500倍から2000倍程度に薄めて散布します。
灰色カビ病は被害が広がる前に早めに対処しよう!
灰色カビ病は、カビ(糸状菌)が原因で引き起こされます。多湿の環境で発生しやすくなるため、日当たりや風通しの良い環境を選ぶ、水はけを良くするという配慮を行うことが大切です。
また、灰色カビ病は、薬剤を使用するほか、重曹や酢、焼酎など自宅にある身近なアイテムでも予防することができます。
ぜひ、今回の情報を参考にして植物を灰色カビ病から守り元気に育てましょう。