サンスベリアは葉が多肉質で、乾燥に強く丈夫なので、育てやすいと人気の観葉植物です。丈夫な性質を持っている一方で、育て方を間違えてしまうと枯れてしまうこともあります。今回はサンスベリアが枯れる原因、注意すべき病気と害虫、正しい育て方のポイントをご紹介します。
サンスベリアが枯れるとどうなる?
サンスベリアが枯れてしまうと、上にピンと伸びていた葉が力をなくして、柔らかくなり垂れ下がります。
葉の色も深みのある緑から黄みがかった色に変わったり、厚みのある葉が薄くなったりして、最終的には葉の色が黄色から茶色に変わっていきます。
一度枯れてしまったサンスベリアの葉は、元の元気な姿に戻ることはありません。乾燥や暑さに強く、手入れも簡単なサンスベリアは育てやすい観葉植物ですが、注意して育てないと枯れてしまうこともあります。
サンスベリアが枯れてしまう主な原因を見ていきましょう。
サンスベリアが枯れる原因
サンスベリアが枯れるにはいくつかの原因が考えられます。当てはまるものがないかチェックしてみてください。
水をやりすぎている
サンスベリアが枯れてしまう原因として多いのが、水のやりすぎです。葉の中に水分を溜める性質を持っているサンスベリアは、水をやりすぎると根腐れを起こして枯れてしまいます。
土の表面が乾いていても、鉢の中の土が湿っている状態で水をやると、根が腐ってしまうことがあるのです。また、受け皿に水が溜まっているのもよくないので、こまめに捨てるようにしてください。
サンスベリアは、2~3週間程度なら水やりをしなくても問題なく育つ観葉植物なので、乾燥気味に育ててみましょう。
肥料をやりすぎている
サンスベリアは肥料のやりすぎでも枯れることがあります。「もっと元気に育てたい」と必要以上に肥料を与えてしまうと、肥料やけを起こしてしまう可能性があるのです。
また肥料を与えるタイミングだけでなく、量にも気を付けてください。適度なタイミングと、濃度と分量をしっかりと守って与えれば、サンスベリアが枯れることはないでしょう。
直射日光に当たり葉焼けした
サンスベリアは日光を好む性質を持っていますが、直射日光に当ててしまうと葉焼けしてしまい、枯れる原因となってしまいます。葉焼けを起こさないためにも、置き場所には気を付けてくださいね。
根詰まりしている
水やりをしているときに、水はけが悪くなったと感じたら、鉢の中で根詰まりを起こしていると考えられます。何年も植え替えをせずに同じ鉢で育てていると、鉢の中で根が密集してしまい、水はけが悪くなってしまうのです。
水はけが悪い状態でそのままにしておくと、水やりを適度に行っていても根腐れしやすくなり枯れる原因になってしまいます。また、根が密集するので酸素不足になり、株ごと元気がなくなり枯れたり、土の栄養素不足で葉の色が悪くなったりすることもあるのです。
サンスベリアを長く楽しみたいなら、適度なタイミングで植え替えを行いましょう。
寒い場所に置いていた
サンスベリアは寒さに弱く、気温が10℃以下になると冬を越すために冬眠します。冬眠中は水を吸い上げないため、たとえ土が乾いていても、冬には水やりが不要です。
冬眠中のサンスベリアに水や肥料を与えてしまうと、根腐れを起こして枯れてしまう原因になります。また、気温が5℃以下になると枯れてしまうので、寒くなる前に室内の温かい場所に移動させましょう。
サンスベリアを育てるときに注意すべき病気と害虫
サンスベリアは、病害虫には強いですが、立枯病・ハダニ・アブラムシ・カイガラムシの被害を受けることがあります。
立枯病
サンスベリアで注意すべき病気は立枯病です。立枯病の被害を受けると、寒い季節に枯れて葉が倒れてしまいます。寒さにやられたか、風通しが悪いのが原因です。
一部でも元気な葉が残っていればその部分を切り取り、葉挿しをすることで復活させることはできます。しかし完全に枯れてしまうと、元に戻すことはできません。
そのため風通しの良い場所に置くこと、また葉の上から直接水をかけないようにすることを意識しましょう。
ハダニ
ハダニはあらゆる植物に寄生する害虫で、クモの仲間です。体長は0.1~0.8mmほどで、黄緑色や茶色をしています。小さいため肉眼ではなかなか見つけることは難しいですが、クモのような糸を吐き出す習性をもっています。
もし、サンスベリアにクモの糸を見つけたら、ハダニが発生している可能性があるでしょう。主に葉の表や裏に寄生して、サンスベリアの養分を吸い取ってしまいます。ハダニは、1匹のメスから100個以上の卵を産むことがあり、繁殖力がとても強い害虫です。
また、卵から成虫になるのも早ければ1週間程度なので、すぐに繁殖してしまいます。見つけたらすぐに駆除するようにしましょう。
駆除方法は数が少ないなら、テープで剥がしとるのが効果的ですが、繁殖力が強く肉眼でなかなか見つけられないため、専用の殺虫剤を使うのがおすすめです。
アブラムシ
アブラムシは、主に植物の新根やつぼみに群生する害虫です。植物の汁を吸い取って、生育の邪魔をします。
さらに、体の中にウイルス病を持っているため、植物の汁を吸うときに口針から植物にウイルスが移ってしまい、植物にダメージを与えてやがて枯れてしまいます。
アブラムシが発生する原因は、窒素分の多い肥料を与えすぎていることかもしれません。窒素分が多い肥料を与えすぎると、葉が作り出すアミノ酸が多くなり、そのアミノ酸を好むアブラムシが寄ってくるのです。
また、風通しが良くないのもアブラムシが発生する原因です。窒素分を多く含む肥料を与えすぎずに、風通しを良くしてアブラムシが発生しないようにしましょう。
アブラムシが発生したときの駆除方法は、テープか歯ブラシを使う方法があります。どちらも葉を傷つけないように注意して行いましょう。
また、専用の殺虫剤を使って一気に駆除する方法もありますよ。
カイガラムシ
カイガラムシは体長2~10mmほどの小さい害虫です。日本で発見されているだけでも、400種類以上が確認されています。主に植物に寄生して、汁を吸って成長して植物を枯らせてしまいます。
また、カイガラムシの排泄物は、白くベタベタしているのが特徴なので、もし見つけたらカイガラムシが発生している可能性が高いでしょう。カイガラムシは1年中発生しますが、特に5~8月にかけて動きが活発になるので、よく観察しておくと良いですよ。
カイガラムシの駆除方法は、幼虫または成虫かで異なります。幼虫なら殺虫剤などで駆除することもできますが、成虫になると貝殻のような硬い殻を体にまとうため、殺虫剤の薬剤が効きにくくなってしまうのです。
そのため成虫を駆除する場合は、歯ブラシやヘラなどでこすり落とすか、思い切って剪定しましょう。
枯れてしまったサンスベリアを復活させる方法
完全に枯れたサンスベリアを元に戻すことはできませんが、元気な部分が一部でも残っていれば、葉挿しか株分けで復活させることができます。
ここでは、葉挿しと株分けのやり方をご紹介します。
元気な葉を使って「葉挿し」にする
まだ枯れていない葉を葉挿しすることで、復活させる方法です。1枚でも元気な葉があればできます。葉を土に挿すことで新しい苗を作れます。
【葉挿しのやり方】
- 1枚の葉を地面と平行に約10cmに切り分ける
- 切り口を日陰で1日程度乾燥させる
- 葉の先端が上になるように、半分程度の深さまで赤玉土小粒に挿す
しばらくすると、土に挿した葉の下側から発芽して新根が伸びてきます。直射日光が当たらない明るい日陰に置いて、水やりをせずに様子を見ましょう。
また、葉挿しには葉を水に挿す方法もありますよ。水に挿す場合は、水に葉を入れて発芽させます。葉の成長する部分を上に向けて水に浸けてください。葉を挿した水は毎日入れ替えるようにしましょう。
根が伸びてきたら、そのまま水耕栽培としても育ててもOK、土に植え替えてもOKです。
「株分け」で元気な仲間を増やす
サンスベリアは株分けで、元気な新芽を増やして復活させることができます。
【株分けのやり方】
- サンスベリアを鉢から抜き出す
- 手で根をほぐしながら古い土をよく落とす
- このときに傷んだ根があれば取り除く
- ハサミやナイフを使って地下茎を切る
- 日陰で1日程度乾燥させる
- 乾燥させた株を植え込む
植え込みをしたら、明るい日陰に置いてあげてください。すぐに水を与えてしまうと切り口から腐ってしまうことがあるため、2週間ほど経ってから水やりをしましょう。
サンスベリアを枯らさない正しい育て方のポイント
サンスベリアが枯れても復活させる方法はありますが、できるだけ枯らさないように元気に育てたいですよね。サンスベリアを枯らさないために、正しい育て方のポイントをご紹介します。
日当たりの良い場所に置く
サンスベリアは日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。耐陰性もあるため、日陰などの暗い場所でも育ちますが、日光を当ててあげることでより元気に育ってくれますよ。
直射日光は葉焼けの原因になるので注意が必要です。直射日光が当たらないように、レースのカーテン越しに置くと良いでしょう。
土が乾いてからたっぷりの水を与える
サンスベリアの水やりは、土が乾いてから2~3日後に与えるのがベストタイミングです。
水分不足になると、葉に縦ジワでサインを出してくれます。サインが現れてから水やりをしても枯れる心配はないので、よく観察してみてサインを見逃さないようにしましょう。
また10℃以下になると、サンスベリアは冬眠状態に入るため、冬には水やりをする必要がありません。冬眠状態で水を与えると、根腐れを起こして枯れるので注意しましょう。
肥料を与えた方が元気に育つ
サンスベリアは、肥料を与えた方が元気に育ってくれます。肥料を与える場合は、5~9月の成長期に行いましょう。緩効性肥料を2ヶ月に1回の程度で与えます。
肥料を与えすぎると枯らせてしまう原因になるので、土の量や株の大きさに適した規定量から、やや少なめにするのがおすすめです。
10℃以上が保てる場所に置く
サンスベリアは寒さに弱いため10℃までしか耐えることができず、5℃以下になると枯れてしまいます。冬場には室内の暖かい場所に移動させましょう。冬の窓際は、昼夜の温度差が激しいため、置き場所を変える必要があります。
昼間は日光の当たる窓際に置いて、寒くなる夕方以降には窓側から離すように移動させてください。
しかし、1日中暖房が効いていて、10℃を下回ることがない室内で育てる場合は、冬眠しないことがあります。冬眠していないサンスベリアには、季節に関係なく水やりを行いましょう。
2年に1度植え替えをする
サンスベリアは生長が早いため、定期的に植え替えをしないと根詰まりを起こしてしまいます。2年に1度は植え替えするようにしましょう。植え替えをするのは、5~9月が適期なので、この間に行ってください。
【用意する物】
ひと回り大きい鉢植鉢・土・鉢底石・鉢底ネット・はさみ
※あると便利:新聞紙(またはビニールシート)・手袋
【植え替えのやり方】
- 水やりを控えて、土を乾かしておく
- サンスベリアを鉢から抜き出す
- 手で根をほぐしながら古い土をよく落とす
- 根腐れを起こしている部分があるなら、ハサミで切り落す
- 新しい植木鉢の鉢底にネットを敷いて、鉢底石を敷く
- 鉢の3分の1程度まで新しい土を入れる
- サンスベリアを鉢の中央に真っ直ぐ置く
- 隙間を埋めるように土を入れる(上からサンスベリアを手のひらで軽く押さえておくとやりやすい)
- 土を馴染ませる
植え替えが終わったら、たっぷりの水をまんべんなく与え、日陰に置いて様子を見ましょう。
育て方に気を付けて元気なサンスベリアを育てよう!
サンスベリアは乾燥に強く丈夫なので、比較的育てやすい観葉植物です。しかし環境が悪く、間違ったお手入れをしてしまうと、枯れてしまうことがあります。サンスベリアを枯らさないためにも、正しい環境下と育て方でお手入れをしましょう。
もし枯れてしまっても、葉挿しや株分けで復活させる方法はあります。しかし、まずは枯らさないように元気に育ててくださいね。