「何か面白い観葉植物を育ててみたい!」という方にぴったりなのが、“金のなる木(カネノナルキ)”です。インパクト抜群な名前の金のなる木は、とても頑丈で育てやすく、初心者向けの観葉植物として知られています。この記事では、金のなる木の育て方と枯らさないコツをご紹介します。
インパクト抜群な多肉植物「金のなる木(カネノナルキ)」
金のなる木はベンケイソウ科クラッスラ属に分類される、緑色のプニプニした葉が魅力の多肉植物です。
主に南アフリカを原産地としており、日本でも観葉植物としてよく楽しまれています。
金のなる木の最大の特徴は、何といってもその名前にあります。
ニックネームかと疑いたくなる面白い名前ですが、正式な名称です。英語でも「Dollar plant」と呼ばれ、親しまれています。
日本で金のなる木と呼ばれるようになった由来は、ある植物販売業者が、金のなる木の芽がまだ小さいうちに5円玉を通し、大きくなるまで待って「まるで5円玉が自然に生えてきたかのような姿」になってから売り出したのがキッカケだといわれています。
もちろん、本当にお金が生えてくるわけではありませんが、そのユニークな姿が多くの方々に喜ばれたそうです。
現在でもお金が生えてくるイメージから、金運に関する縁起の良い観葉植物として受け入れられています。
花言葉は「一攫千金」「富」「幸運を招く」など
金のなる木の花言葉は、「一攫千金」や「富」などのお金に直接関係する言葉や、「幸運を招く」といったポジティブなものです。
風水でも金運アップに関連する植物だとされており、「楽しく観葉植物を育てるだけでなく、運気アップまで実現したい!」という方によく育てられています。
金のなる木は非常に頑丈で、日当たりなどのコツさえ押さえれば、初心者でも枯らしてしまう心配の少ない植物です。
興味のある方はこの記事で育て方を知って、ぜひ挑戦してみてくださいね。
同名のビジネス用語もある
ちなみに、金のなる木はその名前のインパクトからか、同名のビジネス用語(慣用句)も存在します。
ビジネス用語としての意味は、「それほど投資を行わなくても次々とお金を生み出す資産・資源」です。
なお、ビジネス用語の金のなる木を英語で表す際は、「Dollar plant」ではなく「cash cow(試訳:お金を生む牛)」と表記するのが一般的で、植物を表す英語とは異なります。
金のなる木の育て方!必要な生育環境と枯らさないコツ
それでは、金のなる木の育て方をご紹介します。
初心者がゼロから育て始められるように、必要な生育環境について順を追って解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
鉢のまま育てられるものを選ぼう
最初に行うのは、金のなる木の苗選びです。金のなる木は苗から育てるのが一般的で、まずは園芸ショップやホームセンター、通販などでお気に入りの苗を見つける必要があります。
金のなる木の苗は、植え付け前提の簡易的な鉢に入ったものと、そのまま育てるのにも向いたしっかりとした鉢に入ったものが販売されています。
初心者の場合は、そのまま育てられるものを選ぶと手間がかからず簡単です。
もし植え付けが不要な鉢なのか確信が持てない場合は、ショップの店員や通販のお問合せページから相談してみましょう。
たっぷりと日光の当たる場所へ置く
金のなる木の苗を手に入れた後は、置き場所を決めましょう。金のなる木は日光を好む植物ですから、たっぷりと日の当たる場所へ置いてあげる必要があります。
また、金のなる木は湿気を嫌うため、乾燥気味に育ててあげた方が元気に育ちます。風通しが良く日当たりの良いスペースを探してみてくださいね。
寒い冬は室内へ入れると安心
ちなみに、春~秋は室内・室外どちらで育てても良いのですが、冬は室内へ入れてあげると安心です。
金のなる木は耐寒性があり、寒さに弱い植物ではありませんが、それでも気温が5度を下回る日が続くと次第に弱ってしまいます。
また、霜が付着すると凍傷を起こし、枯れる原因にもなるため注意が必要です。リスクを避けるために、室内へ移動させておきましょう。
エアコンの風が直接当たらないようには気を付けながら、窓際など日当たりの良い場所を探してみてくださいね。
水やりは控えめに
置き場所を決めた後は、日々の水やりについて覚えておきましょう。
湿気を嫌う金のなる木は、乾燥気味に育ててあげるのが元気に育つためのコツです。
あまり水をやりすぎると、「根腐れ(根が酸欠で腐る現象)」などの異常のリスクが高まります。
水やりの頻度は、以下のように季節に応じて調節してあげましょう。
- 【春】土の表面が乾いたのを確認した後、鉢底から水が流れ出るほどたっぷりと与える。
- 【夏】早朝や夕方以降などの涼しい時間に、春同様の手順で水を与える。
- 【秋】春同様の手順で水を与える。
- 【冬】月に1、2回ほど水を与える。できるだけ暖かい日の昼間を選び、水の量自体は春と同じだけ与えるのがポイント。
量ではなく、頻度によって水やりを調節していくイメージです。
なお、上記はあくまでも目安で、ふさわしい水やりの頻度・量は実際に育てている環境に大きく左右されます。
葉が萎れている様子なら水やり頻度を増やすなど、状態を見ながら工夫してあげてくださいね。
肥料は与えなくても大丈夫
金のなる木は肥料を与えずともよく育つ植物です。むしろ、たくさん肥料を与えると弱りやすい植物に分類されるため、基本的には肥料なしで育てましょう。
どうしても肥料を与えたいときには、春~夏にかけての生育が活発な時期に、「緩効性肥料」と書かれた市販の肥料を与えます。
時期や用法・用量を必ず守るようにしてくださいね。
病気や害虫にも強い
金のなる木は頑丈で、病気にも害虫にも強い植物です。
ほかの観葉植物のように病気・害虫対策を取らずとも、大きな生育環境のミスがない限りは元気に育ちます。初心者が初めて育てるのにもぴったりな植物です。
葉が落ちるときは「根腐れ」を疑おう
万が一、金のなる木の葉が落ちたときには根腐れを疑いましょう。
日当たりの不足や水のやりすぎによって土が湿りすぎた状態が長く続くと、根が酸欠を起こし腐り落ちてしまいます。
適切な置き場所や水やり頻度を守れているか、あらためて確認してみることが大切です。
大きくなってきたら剪定を
無事に金のなる木が大きく育ってきた後は、剪定して風通しを良くしてあげましょう。湿気がこもりにくくなり、元気に育つことにつながります。
剪定は簡単で、園芸ショップや通販などで市販されている剪定ばさみを使って、不要な枝葉を切り落としていくのみです。
元気のない様子の枝葉や、明らかに込み合いすぎて枝葉同士が邪魔をしあっている部分を選びながら切っていきましょう。
金のなる木は頑丈なので、多少切り間違えたとしても問題ありません。気軽な気持ちで挑戦してみてくださいね。
金のなる木は2~3年に一度植え替えが必要な植物
上述の通り、金のなる木の育て方は簡単で、普段は置き場所と水やりにさえ気をつけてあげれば元気に育ちます。
最後に将来のお手入れとして、2~3年に一度必要な「植え替え」を覚えておきましょう。
4~6月の暑すぎない時期に植え替える
植え替えとは、現在の鉢から一回り大きい新しい鉢へ移し替えるお手入れです。根っこが伸びるためのスペースをしっかりと確保することを目的として行います。
金のなる木の場合は、4~6月の暑すぎない時期に植え替えます。必要な道具と、手順は以下の通りです。
- 現在よりも一回り大きい鉢
- 水はけの良い土、あるいは多肉植物用の土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 軍手
- 新しい鉢に鉢底ネットを敷き、ネットが見えなくなるまで鉢底石を入れる
- 鉢底石の上に、新しい土を7~8割ほど入れる
- 現在の鉢から金のなる木を優しく取り出す
- 古くなった根(黒ずんだものなど)と土を取り除き、新しい鉢へ植える
- 残りの土を入れて、金のなる木の根っこを完全に隠す
- 一度水やりをして、金のなる木を鉢の中で固定してあげれば完了
文章にすると難しそうにも見えますが、要するに新しい鉢へ移動させてあげるだけですから、想像よりも簡単です。
剪定同様に、こちらも気軽な気持ちで試してみてくださいね。
増やしたいときは「挿し木」か「葉挿し」を
もし、金のなる木を増やしたいのであれば、現在の金のなる木を使って増やす「挿し木」か「葉挿し」がおすすめです。
挿し木
挿し木は、現在の金のなる木から元気そうな枝を切り取り、新たな金のなる木として育てる方法です。4~10月ごろに、以下の手順で行います。
- 剪定ばさみを使って、現在の金のなる木から元気そうな枝を切り落とす
- 枝の下の方に付いている葉をすべて取り除く
- 3、4日放置して切り口を乾燥させる
- 水はけの良い土(あるいは多肉植物用の土)に、切り口部分を指すようなイメージで植え付ける
- 1ヶ月ほどで根が出てくれば完了
葉挿し
一方の葉挿しも、挿し木とよく似ていますが、こちらは枝ではなく葉っぱから新しい金のなる木を育てる方法です。以下の手順で行います。
- 剪定ばさみを使って、現在の金のなる木から元気そうな葉を切り取る(根元をつぶさないように注意)
- 2日ほど日陰で乾かす
- 水はけの良い土(あるいは多肉植物用の土)へ根元が軽く隠れるように置く
- 3、4日ほどで根が出てくれば完了
金のなる木は生命力が強いため、挿し木、葉挿しどちらもそれほど難しくありません。お試し感覚で挑戦してみてくださいね。
金のなる木を大切に育てて金運を呼び込もう!
ユニークな名前とプニプニした葉っぱが魅力的な金のなる木は、頑丈で育てやすい観葉植物です。
この記事でご紹介した、置き場所・水やりなどのポイントさえ押さえておけば、スクスクと元気に育ちます。
金のなる木の名前の通りお金を招いてくれることを祈りながら、趣味として育ててみてはいかがでしょうか?