お彼岸を迎える頃にあちらこちらで見かける彼岸花(ヒガンバナ)。道端で見かけることの多い彼岸花は、自宅でも育てられることをご存知ですか?この記事では、初心者でも育てやすい、彼岸花の植え方や管理方法をまとめて解説します。
彼岸花の基本情報・花言葉
まずは彼岸花についてご紹介します。
原産地
彼岸花の原産地は中国です。日本に入ったのは縄文時代といわれています。
開花時期
彼岸花の開花時期は8月から10月頃。全国的にほぼ同時期に見頃を迎えるのが彼岸花の特徴です。開花後は約1週間楽しめます。彼岸花の品種によっては早咲きや遅咲きもあるため、いくつかの種類の彼岸花を組み合わせれば長い間楽しませてくれるでしょう。
種類
彼岸花は、日本で最もなじみのある赤い花を咲かせる品種の他にもいくつか種類があります。ここではヒガンバナ科の3種類をご紹介します。
- キツネノカミソリ
- シロバナマンジュシャゲ
- ナツズイセン
日本原産の彼岸花です。8月から9月にオレンジ色で斜め上向きの花を咲かせます。
赤い彼岸花とよく似た形で白地にピンクや黄色のスジが入った花が特徴です。
彼岸花よりも小ぶりで、ピンク色の花を咲かせる種類です。人里に近い草地や道端などで自生します。
彼岸花は赤いイメージですが、ご紹介したように種類によって花色は白やピンク、オレンジなどさまざまです。
花言葉
彼岸花の花言葉を、花の色別にご紹介します。
植え方 | 特徴 |
赤色 | 情熱・独立・あきらめ・悲しい思い出・また会う日を楽しみに・転生 |
白色 | 想うはあなた一人・また会う日まで |
黄色 | 追想・元気な心・陽気 |
ピンク色 | 深い思いやり・快い楽しさ・あなたのためなら何でもします |
オレンジ色 | 妖艶 |
彼岸花は名前の中に「彼岸(ひがん)」が含まれます。またお墓の周りでも見ることがある花のため、花言葉の中にはポジティブではない言葉も含まれていますが、不吉な言葉はなく、落ち着いた花言葉が多いことが印象的ですね。
彼岸花の別名はいろいろ
彼岸花にはいろいろな別名があります。彼岸花の次によく聞かれるのが「曼殊沙華(マンジュシャゲ)」ではないでしょうか。曼殊沙華は、インドの古い言葉であるサンスクリット語から来ていて、仏典に登場する花に由来しているといわれています。
また、彼岸花を「リコリス」と呼ぶこともあります。これは、彼岸花の学名「リコリス・ラジアータ」から来た言葉です。
彼岸花の花びらが虫のクモに似ていることから、英語では「Red Spider Lily(レッドスパイダーリリー)」とも呼ばれたり、花の姿が仏具のひとつに似ているために「天蓋花(テンガイバナ)」ともいわれたり、彼岸花以外にも色々な呼び方があるのが特徴です。
- 死人花(しびとばな)
- 幽霊花(ゆうれいばな)
- 地獄花(じごくばな)
- 毒花(どくばな)
- 痺れ花(しびればな)
- 狐の松明(たいまつ)
- 狐のかんざし
- 剃刀花(かみそりばな)
- 葉見ず花見ず(はみずはなみず)
初心者もOK!彼岸花の植え方
彼岸花はガーデニング初心者向きの植物ともいわれています。ここでは彼岸花の植え方をご紹介します。
彼岸花を植える土の選び方
彼岸花が好むのは、通気性と水はけの良い土です。庭づくりが趣味の方は、「赤玉土の小粒・腐葉土またはたい肥」をブレンドした土を作っても良いでしょう。ガーデニング初心者の方は、市販の球根用培養土を買って準備するのがおすすめです。
彼岸花の球根の植え付け方法
彼岸花の球根は夏ごろに販売されます。開花時期の6月から8月に球根を受け付けるとその年の開花時期には花が咲くでしょう。
地植えする場合は以下の2ステップで植え付けを行います。
- 球根2個分の深さに穴を掘ります
- 球根を土に植え付けて土を被せましょう
彼岸花は深く根を張り、根が伸びやすいため土は深く耕しておきましょう。また、球根同士は10〜15cmの間隔で植えることがポイントです。
彼岸花は鉢植えでも育てられる?
彼岸花は鉢植えでも育てられます。鉢は深さのあるものを選び、球根を植える際には根が伸びることを考慮して、浅めに植え付けるようにしましょう。
彼岸花の管理方法
植え付けが終わった後の彼岸花の管理方法をご紹介します。
彼岸花の置き場所
彼岸花は日当たりの良い場所、または半日陰程度の場所に植え付けるとよく育ちます。鉢植えの彼岸花の場合でもなるべく日当たりのよい場所に置くようにしてください。
水やり方法
彼岸花の花が咲くまでの間は、土が乾かないように注意しましょう。鉢植えの彼岸花は、球根を植え付けたときに水をたっぷりとやり、その後は土の表面が適度に湿り気が保てるようにしておきます。
地植えの場合は球根を植えた後に水やりをした後の水やりはほとんど必要ありません。ただし、日照りが続いて土が乾燥しすぎる場合は水を与えても良いでしょう。
彼岸花は、花が落ちて葉が枯れたら休眠期に入ります。土の中の球根のみが生きていますが、この時期は水やりは行いません。水をやりすぎると球根が腐る原因につながります。長く彼岸花を咲かせたい場合は、休眠期は断水しておきましょう。
彼岸花の花が咲き終えた後の管理方法
彼岸花の花が咲き終えたら、花房の下で切り取っておき、株周りに落ちた花を片づけておきましょう。
彼岸花は花が咲いた後に種をつけますが、種が球根の養分を使うため、花をそのままにしておくと、株が弱ってしまう原因になります。
お庭の彼岸花を長い期間咲かせたいなら、花が枯れ始めたら茎の付け根から切り取りましょう。これを「花がら摘み」と言います。
花を切り取ると同時に、葉っぱと茎も切り取りたいと思うかもしれませんが、葉っぱや茎は球根に栄養を与える役割があるため、残しておきましょう。
彼岸花の花が咲き終えたら、固形肥料を土に混ぜておきます。球根が大きくなり、来年以降も美しい花を咲かせてくれます。
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彼岸花の病気や害虫のトラブルは?
彼岸花の球根には「リコリン」や「ガラタミン」などの毒性物質が含まれていて、ネズミやモグラなどにも害を及ぼします。そのため、彼岸花が害虫や病気にかかるリスクはほとんどありません。
まれに、ハマオモトヨトウというヤガ科の幼虫が彼岸花をエサとして食べることもあるようですが、これ以外の害虫に襲われる心配はないでしょう。
ただし、水はけの悪い環境で彼岸花を育てると、「軟腐病(なんぷびょう)」という、葉や根が腐敗する病気にかかる可能性があるため注意が必要です。
彼岸花の増やし方と植え替え
最後に、彼岸花の増やし方と、大きくなった彼岸花の植え替え方法をご紹介します。
分球で増やす
彼岸花は「分球」といって、球根が分裂しながら増えていきます。球根を植え付け球根が育つと、小さな「子球」が自然に増えていくため、時期になれば花を咲かせるでしょう。
植え替え
球根が分球を繰り返すことで球根同士が狭くなる場合は植え替えをしてあげましょう。球根の植え付けと同じで、6月から8月頃に球根を土から掘り起こし、乾燥させないようにすぐに植え替えます。
彼岸花は頻繁に植え替えをしないよう、植え替える際は場所をよく選ぶようにしましょう。
ガーデニング初心者もおすすめの彼岸花を植えて庭を彩ろう
あまり多くの花が咲かない秋の季節の中で、美しく赤い彼岸花は庭を彩ってくれます。数種類の彼岸花を庭に植えれば、カラフルな彼岸花を長く楽しめるでしょう。
お彼岸が来る前に、ガーデニング初心者にもおすすめの彼岸花の植え付けに挑戦してみてはいかがでしょうか。