「観葉植物に何か光沢のある害虫が付いている…」という場合は、コガネムシの可能性が高めです。この記事では、初心者でもできるコガネムシの駆除方法(幼虫・成虫)や予防対策をご紹介します。駆除に役立つおすすめの薬剤とよくあるQ&Aも確認していきましょう。
コガネムシは幼虫も成虫も今すぐに駆除を!方法は3種類
光沢のある殻が印象的なコガネムシ(別名:黄金虫)は、園芸をしているとよく見かける害虫です。
名前のコガネムシとは「コガネムシ類コガネムシ科の虫」の総称を指しており、その数は日本だけでも約360種類、世界では約30,000種類にものぼるといわれています。
コガネムシは幼虫の段階では根を痛めたり、成虫の段階では葉を食べたりと、観葉植物に深刻な被害を与えます。放置すると大量に繁殖する性質もあるため、見つけた段階で速やかに駆除することが大切です。
コガネムシの駆除方法は成虫か幼虫かで異なり、以下の通りです。
- 【成虫】軍手をした手やテープなどで物理的に取り除く
- 【幼虫】新しい環境に植え替えをする
- 【成虫・幼虫】市販の薬剤や農薬の力を借りる
早速、順番に見ていきましょう。
【成虫】軍手をした手やテープなどで物理的に取り除く
成虫のコガネムシのもっとも手軽な駆除方法は、物理的に取り除いてしまうことです。
軍手をした手やガムテープなどを使って、苗に群がるコガネムシをすべて取り除いていきましょう。注意点として、コガネムシは足に小さなトゲを持つため、虫が苦手ではない方でも軍手をしておくのがおすすめです。
また、コガネムシは観葉植物の葉に糞をしますが、この糞にはほかのコガネムシを呼び寄せる効果があります。
駆除後には葉を眺めて、黒色の小さな粒が付着していた場合はそちらも綺麗に取り除いてあげてください。
【幼虫】新しい環境に植え替えをする
幼虫のコガネムシは土の中に潜んでおり、物理的にすべてを取り除くのは大変です。駆除のためには、観葉植物を新しい環境に植え替えて、古い土はまるごと処分してしまいましょう。
軍手をした手で苗を植え替えてしまえば、土の中にたくさんあるコガネムシの卵も気にする必要がなくなります。
植え替えの方法は育てている植物ごとに異なるため、右上の検索窓から植物名で調べてみてください。
【成虫・幼虫】市販の薬剤や農薬の力を借りる
とはいえ、「軍手をしていても、物理的に取り除いたり植え替えをしたりする勇気は出ない…」という方も多いはず。そのような方は、市販の薬剤や農薬を使用してコガネムシを駆除するのがおすすめです。
市販の薬剤を活用すれば、成虫のコガネムシはスプレーで一吹きするだけで退治できます。幼虫のコガネムシも、土の中に薬剤を混ぜ込む形で駆除することが可能です。
次の項目で、コガネムシの駆除に活躍する薬剤を見ていきましょう。
コガネムシの駆除に役立つおすすめ薬剤5選!
ここでは、コガネムシの駆除に役立つおすすめの薬剤をご紹介します。いずれも初心者でも扱いやすい便利な一品をセレクトしました。
【フマキラー】カダン お庭の虫キラーダブルジェット
最初にご紹介するのは、人気ブランド『フマキラー』のスプレー型殺虫剤“カダン お庭の虫キラーダブルジェット”です。
速効性がありつつも人体への影響は少ない「ピレスロイド系(イミプロトリン)」の殺虫剤で、この1本で200種類以上もの害虫の駆除に対応しています。地面を這う害虫も、空を飛ぶ害虫も吹きかけるだけで退治可能です。
駆除に加えて、害虫の住み着きを3ヶ月も防ぐ予防効果を期待できるのも嬉しいポイント。 コガネムシのいない園芸環境を取り戻せるでしょう。
【アース製薬】アースガーデン お庭の虫コロリ 速効撃滅ジェット
『アース製薬』の“お庭の虫コロリ 速効撃滅ジェット”は、コガネムシへの吹きかけやすさに強みを持つスプレーです。
最大6.5m先まで届く「ジェット噴射」と、風圧で害虫を吹き飛ばしにくい「ワイド噴射」の2パターンの噴射タイプを選ぶことができます。どうしてもコガネムシに近寄りたくない方も、遠距離から駆除を進められます。
フラニコチニル系・チオフェン系・ピレスロイド系と多様な有効成分を配合しており、吹きかけた瞬間に害虫をノックダウンさせやすいのも長所です。
「スプレーをかけたときにコガネムシが飛び回ったらどうしよう…」と心配な方にもおすすめできます。
【住友化学園芸】ベニカXネクストスプレー
『住友化学園芸』の“ベニカXネクストスプレー”は、5種類もの有効成分を配合した世界初の駆除スプレーです。
ペルメトリンやクロチアニジンといった速効性のある殺虫成分に加えて、長期間の予防に役立つ成分も配合しています。雨が降っても予防効果が失われにくく、継続的にコガネムシから植物を守れる優れものです。
霧吹きのような馴染み深い形状をしており、直感的に扱いやすいのも◎。全体に吹き替えるワイド噴射のほか、狙った場所にスプレーしやすいフォーカス噴射にも対応しています。
【住友化学園芸】オルトランDX粒剤
幼虫のコガネムシの駆除に試したいのが、『住友化学園芸』の“オルトランDX粒剤“です。
土の中に混ぜ込んで使用する粒剤で、「アセフェート」と「クロチアニジン」の2種類の殺虫成分がコガネムシの幼虫を退治してくれます。
殺虫成分は根を通じて葉や茎にまで浸透するため、結果的に苗全体を守れるのも魅力です。約1ヶ月に渡って、大切な観葉植物を害虫被害から遠ざけられます。
【住友化学園芸】家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤3
数ある『住友化学園芸』の害虫駆除薬剤の中でも、コガネムシの幼虫退治に力を発揮してくれるのが“家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤3”です。
上記のオルトランと同じく土の中に混ぜ込む粒剤で、コガネムシの幼虫を退治&3〜4週間予防してくれます。
「ベーパーアクション」と呼ばれる効果により、有効成分が土の中で広く行き渡ってくれるのも◎です。植木鉢のすみっこに隠れているコガネムシの幼虫まで、しっかりと駆除してくれるでしょう。
繰り返さないために。コガネムシを寄せ付けない予防方法
コガネムシは一度駆除をしても、環境によっては何度でも苗に群がってしまいます。退治後は、もうコガネムシを寄せ付けないための以下の予防方法もお試しください。
- 木酢液の臭いで遠ざける
- 植え替え時は新品の土を使う
- 予防用の薬剤を散布する
- コンパニオンプランツを育てる
木酢液の臭いで遠ざける
木酢液(もくさくえき)とは、木炭を作る過程で発生する水蒸気を冷やし、液体にしたアイテムです。200種類以上もの多様な成分が含まれており、害虫被害の予防や植物の生育促進に活用されています。
木酢液には独特の臭いがあり、コガネムシはこの臭いを嫌うといわれています。
ホームセンターなどで市販されている木酢液を購入し、説明書の倍率の水を加えて希釈をしたうえで、観葉植物に吹きかけてあげてください。
植え替え時は新品の土を使う
植え替え・植え付け時のコガネムシの予防ポイントとして、新品の土を使うことも覚えておきましょう。
植え替えや植え付け時に中古の土を使用すると、土の中にコガネムシの幼虫や卵が隠れていて、観葉植物に被害を与えることがあります。
ときにはコガネムシ以外の害虫まで発生したり、病気がうつったりと、中古の土の再利用はさまざまなトラブルの原因になるため避けた方が安心です。
特に、室外でほかの植物を育てていた土の使い回しは辞めておきましょう。
予防用の薬剤を散布する
コガネムシの予防効果がある薬剤を散布することも、優れた対策となります。
駆除用のおすすめアイテムでご紹介した通り、市販の薬剤の多くはコガネムシの退治に加えて予防の効果も期待できます。
特に、土に混ぜるタイプの薬剤は隠れている卵まで対策できるため◎です。
また、コガネムシが発生しやすい環境なのか毎年被害に悩まされている方は、春先の植物の植え付け(植え替え)前に土へ粒剤を先に混ぜておきましょう。
土の中で成分が行き渡り、コガネムシの幼虫や卵を退治した後に植物を植え付ければ、被害を最小限に抑えられます。
コンパニオンプランツを育てる
メインの観葉植物と一緒に、コンパニオンプランツを育てることもコガネムシの発生予防につながります。
コンパニオンプランツとは、主役の植物の側で育てるのに向いた相性の良い植物のことです。植物同士の相互作用により、一緒に育てるだけで害虫が寄り付きにくくしたり、生育を助けたりしてくれます。
コガネムシが嫌がる植物には、マリーゴールド・スイセン・ニンニクなどがあります。
自分が育てている、あるいは育てる予定の観葉植物がこのような植物と相性が良い場合はぜひ試してみてください。
コガネムシの駆除に関するよくあるQ&A
最後に、コガネムシの駆除に関するよくあるQ&Aを見ていきましょう。以下の4点についてご紹介します。
- 放置したままだとどうなる?
- ほかの昆虫との見分け方は?
- 土に潜む幼虫を見つける方法は?
- 駆除に適した時期はある?
放置したままだとどうなる?
コガネムシを駆除せず放置すると、卵を産んで大量に繁殖し、手がつけられない状況になります。コガネムシは見つけた段階で速やかに駆除することが大切です。
また、コガネムシは大量に繁殖する以外にも、幼虫と成虫のそれぞれの段階で観葉植物に被害を与えます。
幼虫が起こす被害
土の中にいる幼虫のコガネムシは、知らないうちに観葉植物の根を食べてしまいます。
根を食べられた観葉植物は栄養の吸収ができなくなり、被害が深刻化すると苗全体が枯れてしまいます。噛まれた根のキズが原因で、病気にかかってしまうこともあるようです。
また、幼虫のコガネムシはウネウネとしており、成虫と比べて見た目が気持ち悪いと感じる方が多い点も問題です。「成虫のコガネムシは物理的に駆除できるが、幼虫は…」という方も多いのではないでしょうか?
成虫が起こす被害
土から出てきた成虫のコガネムシは、葉を食べて観葉植物に被害を与えます。その食欲は、葉のスジ(葉脈)しか残らないほどに食べ尽くしてしまうケースもあるほどです。
さらに、成虫のコガネムシはたびたび葉へ糞を出し、その糞は新たなコガネムシを呼び寄せる原因となります。
夏を迎えると大量の卵も産み始めるため、コガネムシが嫌いな方ほど今すぐに駆除を進めておきましょう。
ほかの昆虫との見分け方は?
コガネムシと見た目の似た虫にはカナブンとハナムグリがいますが、実は彼らは益虫です。
カナブンは土壌の改善を、ハナムグリは受粉のサポートをしてくれるなど、コガネムシと異なり観葉植物を助けてくれます。
カナブンやハナムグリなら見逃してあげても良い方は、羽の付け根の形と模様を参考に見分けましょう。
- ・コガネムシ
楕円形に近く丸っこい
- ・カナブン
二等辺三角形のように角張っている
- ・ハナムグリ
カナブンに近い形で白色などの斑点がある
土に潜む幼虫を見つける方法は?
コガネムシの幼虫は、土に潜んでいて見つけにくいのが難点です。
しかし、観葉植物に以下のような症状が見られた場合、コガネムシの幼虫がいる可能性があると判断できます。
【コガネムシの幼虫がいる場合の症状】
- 土の表面の一部が、妙にふかふかとしている
- 苗が不安定で、少し触っただけでもグラグラと揺れる(根が食べられている)
- 葉が黄色や茶色に変色したり、枯れ落ちたりしている
ただし、上記の症状は「根腐れ」や「葉焼け」などのほかの病気でも見られます。
上記はあくまでもキッカケとして、コガネムシだと断定する前には土を少し掘り返し、幼虫がいるか確認してみてください。
駆除に適した時期はある?
コガネムシは5〜10月ごろに活発に活動する害虫ですが、駆除はどの時期に行っても構いません。
むしろ、姿を見かけたのに放置してしまっては、大量に繁殖するなど大変な被害が発生します。「コガネムシは見かけた瞬間が駆除のタイミング」だと覚えておいてくださいね。
コガネムシは速やかに駆除することが大切
この記事ではコガネムシの駆除について、方法やおすすめの薬剤、予防の手段、よくあるQ&Aをご紹介しました。
コガネムシは幼虫の時期には根を、成虫になると葉を食べてしまう害虫です。観葉植物を守るためには、速やかに駆除する必要があります。
もっとも手軽な駆除方法は、軍手をした手などで物理的に取り除くことです。しかし、難しい場合には、ご紹介した薬剤を活用して上手に対策を進めてみてくださいね。