レモンのような爽やかな香りが魅力的なレモンバームは、ハーブティーや食事の香り付けに使用できるハーブです。生育旺盛で育てやすい性質なので初心者の方にもおすすめ。こちらの記事では、レモンバームの育て方とできるだけ多くの葉を収穫するためのコツをご紹介します。
レモンバームはハーブティーや料理に使用できるハーブ
レモンバームはレモンに似た爽やかな香りが特徴的な、シソ科の植物です。ハーブティーやお菓子、料理の香り付けに使用される他、入浴剤やアロマテラピーでも使われている人気のハーブです。
レモンバームは多年草なので、一度植えると数年に渡って楽しめます。
レモンバームは生長が旺盛で育てやすく、気軽にハーブティーも作れるので、初心者が初めて自宅で育てるハーブとしてもおすすめです。
また、初夏に咲かせる白い花や、明るいグリーンの葉色も美しく、観葉植物としても人気があります。
観賞用のレモンバームには、斑入りの葉がおしゃれな斑入りレモンバームや、黄色がかったグリーンの葉を持つゴールデンレモンバームなどがあります。
レモンバームの効能と花言葉
レモンバームには、レモンと同じシトラールという香りの成分が含まれています。
爽やかな香りはそれだけでも癒し効果がありますが、レモンバームには解毒作用や鎮痛作用、強壮作用や血圧降下作用などの嬉しい効能もあり、古代ギリシャの時代から薬用としても使用されています。
香りの成分はドライにすると抜けやすくなってしまうため、香りや効能を期待する場合はフレッシュなものを使用するのがおすすめです。
レモンバームには「思いやり」「共感」「同情」などの花言葉があることからも、薬用として私たちの身近で育てられてきたことが窺い知れますね。
レモンバームティーの作り方
レモンバームを育てるなら、ぜひハーブティー作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?とても簡単なレモンバームティーの作り方の手順は以下の通りです。
- フレッシュな葉をひとつまみ(5~10g)分ティーポットへ入れる
- 熱湯を注ぎ蓋をして5分ほど蒸らして完成
蒸らす際にティーコゼーなどがあれば使用すると良いでしょう。長く蒸らすほど苦味が出てくるため、スッキリとした味わいが好みの場合は蒸らし時間を少なめにするのがポイントです。
また、レモングラスやレモンバーベナ、ミントなど他のハーブとのブレンドもおすすめです。ハーブの強い香りが苦手な方は紅茶と合わせることで飲みやすくなりますよ。
レモンバームの基本的な育て方
レモンバームは生長が旺盛で育てやすい初心者にもおすすめなハーブです。地植えや鉢植えどちらにも対応できるため、ベランダや室内でも気軽に育てられるのが魅力です。
必要な生育環境
レモンバームは日光を好みますが、半日陰でも育てられます。
ただし光が足りないと徒長してしまうため、様子を見ながら育てて必要であれば場所を変えましょう。
逆に強すぎる日を浴びると葉焼けの原因になってしまいます。特に夏の西日には注意しましょう。
用土は、乾燥に弱いためなるべく保水性の高い土を使いましょう。
とはいえ、レモンバームは丈夫な性質なので用土にこだわらなくても元気に育ちます。アルカリ性から中性の土が適していますが、市販のハーブ用培養土や野菜用培養土であれば十分です。
水やりのコツ
レモンバームは蒸れと乾燥に弱いため水やりのタイミングが重要です。
鉢植えのレモンバームは、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。鉢受け皿にたまった水は蒸れの原因となるため必ず捨てます。
ここで大切なのは、水やりの回数を増やすのではなく一回に与える水の量をたっぷりにすること。水を与えない日をきちんと作ることがポイントです。
地植えのレモンバームは基本的に水やりは必要ありません。ただし、こまめな葉水は病害虫の予防にもなるため定期的に行うと良いでしょう。
肥料のタイミング
レモンバームの葉が変色してしまったら肥料不足の可能性があります。
元肥として緩効性化成肥料を与える他、生長期となる3〜6月頃の収穫や切り戻しのタイミングに合わせて、薄めた液体肥料を与えると良いでしょう。
レモンバームをたくさん収穫するためのポイント
観葉植物としても魅力的なレモンバームですが、せっかく育てるならたくさん収穫してハーブティーや料理に使ったり、お風呂に浮かべたりといろいろ活用したいもの。
レモンバームの葉をたくさん収穫するためのポイントを3つ紹介します。
積極的な収穫&摘芯をする
レモンバームの葉をたくさん収穫するためのコツは、こまめに収穫や摘芯を行うことです。
先端の葉や芽を摘み取ることで、脇芽が育ち葉がたくさん茂るようになります。手で摘み取るかハサミを使ってカットしましょう。
剪定と切り戻しを定期的に行う
定期的な剪定とシーズン後の切り戻しを行うことも大切なポイントです。
レモンバームの草丈が約20cmほどになったら、収穫を兼ねて半分程度になるくらいにカットしましょう。葉が混み合っているところは風通しが良くなる程度に減らします。
カットしたところから脇芽が育ち葉がこんもりと茂ります。剪定は蒸れ防止にもなるため、梅雨前などは積極的に行うのがおすすめです。
レモンバームの地表部は冬には枯れてしまいます。シーズン最後には春の芽吹きを促すためにも、地表から3〜5cmのところで切り戻しておくと良いでしょう。
収穫重視なら花を咲かせない
レモンバームの葉の収穫を目的で育てている場合は、花を咲かせないようにすることが大切です。
初夏に咲く白い花は可愛らしい見た目ですが、花を咲かせてしまうと葉が硬くなり香りも落ちてしまい食用には向かなくなってしまいます。
また、株も弱ってしまうため葉の収穫量が落ちてしまうでしょう。
開花前に花芽を含めて切り戻しておくことで、葉の収穫量をアップさせることができます。花の後にできる種を収穫したい場合は、その分のみ残し他は切り戻しておきましょう。
レモンバームの花はミツバチが好むため、受粉が必要な果樹の近くに植えることで受粉の成功率が高くなります。
レモンバームは病害虫に強いハーブ
レモンバームは病害虫に強いハーブなので、基本的には注意すべきことはありません。
ただし蒸れには弱いため、ジメジメが続くとすす病を発症したり、アブラムシやハダニが発生する可能性もあります。
葉が茂りすぎているところは剪定し、草丈が伸びてきたら切り戻しを行うことで、病害虫の発生を防ぐことができます。
鉢植えのレモンバームは定期的に植え替えを
鉢植えで育てているレモンバームは、2年に1度くらいの頻度で植え替えをしましょう。
ひと回り大きな鉢に根鉢をほぐしてから植え付けます。植え替え後はたっぷりと水やりをしましょう。
レモンバームの増やし方
レモンバームは生長が旺盛なので簡単に増やすことができます。
種まきと株分け、挿し木で増やせるのでそれぞれの手順をチェックしておきましょう。生長が旺盛な3〜5月または9〜10月に行うのが適しています。
種まき
レモンバームはこぼれ種でも増えるため、種まきでも簡単に増やすことができます。
- 育苗箱や底に穴の開いた容器を用意する
- 赤玉土小粒やピートモスなどを容器に入れる
- 床全体に均一になるように種をばら撒く
- 種を流さないように霧吹きで水やりをする
- 乾かないように新聞紙を被せ水やりをしながら管理する
- 発芽したら葉が触れ合わないように間引きする
- 本葉が4〜5枚ついたら鉢や地面に植え付ける
株分け
大きくなったレモンバームは株分けでも増やすことができます。
株を掘り上げて自然に分かれそうなところからハサミやナイフで切り分けましょう。それぞれの株に茎が数本付くようにするのがポイント。それぞれ鉢や地面に植え付けましょう。
挿し木
レモンバームを挿し木で増やす手順は以下の通りです。
- 元気の良い茎を8〜10cmの長さで切る
- 先端の葉を数枚残し下葉は取り除く
- 茎の切り口を斜めにカットして30分以上水に挿しておく
- 赤玉土小粒を入れた育苗箱に茎を挿す
- 発根するまでは日陰で管理する
- 新しい葉が出てきたら鉢や地面に植え付けて日当たりの良い場所へ
レモンバームを自宅で育ててハーブのある生活を楽しもう!
レモンバームはハーブティーや料理の香り付けに使用できる育てやすいハーブです。半日陰でも育つのでキッチン脇で育てて、必要なときに収穫できるのも魅力的。
上手に育てるポイントは、乾燥と蒸れに注意すること、こまめな収穫と摘芯、切り戻しをすることです。
花を咲かせると食用には向かなくなってしまうため、収穫を目的とする場合は花を咲かせないように切り戻しましょう。
レモンバームは初心者でも簡単に育てられて、株分けや挿し木で増やせるので、適切なお世話をすることで何年もハーブのある暮らしを楽しめます。
食用としても観賞用としても万能なレモンバームを、ぜひご自宅で育ててみてはいかがでしょうか?