ハーブは、バルコニーなどスペースが限られていると、たくさんの数を育てることができません。そこでおすすめなのが、ハーブを寄せ植えにして育てる方法です。この記事では、ハーブを寄せ植えする際のコツや、おすすめの組み合わせ、寄せ植えに向かないハーブをご紹介します。
ハーブを寄せ植えする際のコツ
ハーブの寄せ植えは一見簡単に見えますが、ただ好きなハーブを組み合わせて、寄せ植えすると、傷んでしまう可能性もあります。そのため、いくつかのコツを押さえておくことが大切です。
まずはハーブを寄せ植えする際のコツを覚えましょう。
似た環境を好むハーブを組み合わせて寄せ植えする
ハーブには豊富な種類がありますが、その中には、乾燥した土を好む種類や、湿気のある土を好む種類があります。乾燥を好む種類と、湿気を好む種類を組み合わせて、寄せ植えすると、相性が悪くどちらか一方が弱ってしまいます。
そのため、寄せ植えをする際は、同じ土を好む種類同士を寄せ植えしましょう。まずはハーブが好む土の環境を知って、ハーブ同士の相性を考慮して、判断することが大切です。
またハーブには、直射日光を好む種類もありますが、直接強い日差しが当たると弱るハーブも存在します。土の状態ももちろんですが、ハーブの組み合わせを考えるときは、生育環境にも注目しましょう。
繁殖力が強いハーブを寄せ植えする場合は注意が必要
繁殖力が強いハーブを寄せ植えする場合は、注意が必要です。繁殖力が強いハーブは、一緒に植えたハーブを浸食してしまうことがあり、他のハーブを枯らす恐れもあります。そのため、繁殖力が強いハーブは、寄せ植えせずに単体で育てましょう。
また寄せ植えにしたい場合は、繁殖力の強いハーブだけをポットに入れたままで植える方法もあります。
繁殖力が強いハーブは、ミントやローズマリー、ラベンダー、セージ、レモングラス、バルなどです。
用途別に寄せ植えをする
ハーブの寄せ植えならでは楽しみ方ができるのが、用途別に寄せ植えをすることです。
たとえば、調理に使うならローズマリーやタイム、セージ、バジル、オレガノなどを寄せ植えしてキッチンの近くに置くと便利です。
またハーブティーに使うならレモンタイム、カモミール、スペアミントを寄せ植えして、その日の気分に合わせて好きなハーブを摘んでハーブティーにしても良いでしょう。
料理に使いたいのか、ハーブティーに使いたいのか、香りを楽しみたいのかなど、用途に合わせて、組み合わせるハーブを決めるのがおすすめです。
ハーブの寄せ植えの準備から作り方まで
ハーブの寄せ植えを作る際は、苗が出回る時期に合わせるのがおすすめです。年中何かしらの苗は売られているので、ハーブの種類にこだわらなければ、いつでも寄せ植えを作ることはできます。
たとえば、耐寒性のあるハーブなら秋~冬、春に出回ることが多い一年草なら春が植え替えの適期になります。
用意するもの
ハーブの寄せ植えで用意するものは、以下の通りです。
- ハーブ
- 植木鉢
- 肥料入りの培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- スコップ
- はさみ
- じょうろ
作り方
必要なものを用意したら、次はハーブを植えていきます。それでは、ハーブの寄せ植えの作り方を見ていきましょう。
ハーブの寄せ植えの作り方は、以下の通りです。
- 植木鉢の底に鉢底ネットを敷く
- 鉢底ネットの上に、植木鉢の5分の1程度、鉢底石を入れる
- 鉢植上の半分よりやや上くらいまで、培養土を入れる
- 苗をポットに入れたまま、鉢の中に置いて、レイアウトを決める
- 配置が決まったら、苗をポットから取り出す
- 根の底をハサミで十字に切って、軽くほぐす
- 端から順番に土の上に置いていく
- すべて置いたら、苗の隙間を埋めるように、植木鉢の縁1cm下まで土を入れる
- 土の表面を平らに整える
- 植木鉢の底から流れ出るくらいのたっぷりの水を与えたら完成
ハーブの寄せ植えで相性が良いおすすめの組み合わせ13選
ここでは、ハーブの寄せ植えで相性が良いおすすめの組み合わせをご紹介します。
チャイブ×チャービル
チャイブは根から出る分泌液で、病害虫を寄せつけない効果があり、土を清浄化してくれる効果が期待できます。チャービルは、チャイブの生長を促してくれ、風味を良くする効果が期待できるハーブです。
チャイブとチャービルを寄せ植えすることで、双方に良い効果をもたらしてくれるので、相性が良い組み合わせのひとつです。直射日光が当たらない室内などで育てると良いでしょう。
シソ×ミツバ
シソは薬味として使われたり、天ぷらの素材として使われたりし、ミツバは付け合わせやお吸い物に入れるなど、和食で使われることの多いハーブです。
シソは1種類でも良いのですが、赤ジソと青ジソを一緒に植えれば、シソ同士が成長をサポートする働きにも効果が期待できます。
日陰や半日陰で育てることで、葉や茎が柔らかくなるので、美味しく食べられます。シソもミツバも、湿気を好む性質を持っているため、土の乾燥には注意しましょう。
ローマンカモミール×クレソン
ローマンカモミールは、「植物のお医者さん」とも呼ばれるハーブです。コンパニオンプランツとして、害虫予防や弱った植物を元気にしてくれる効果が期待できます。
ローマンカモミールと特に相性が良いハーブは、ルッコラとクレソンで、寄せ植えするとハーブの風味が良くなります。
ただカモミールとルッコラは乾燥を好み、クレソンは多湿を好むため、寄せ植えをする際は、仕切り版などを用いるのがおすすめです。
サラダバーネット×パセリ×ルッコラ
サラダ―バネットとパセリ、ルッコラは、サラダやスープに使えるハーブです。そのため、寄せ植えをして、キッチンなどの日陰や半日陰になる場所に置くのがおすすめです。
サラダバーネットは、互いの成長を促進する働きが期待できますが、その中でもルッコラやパセリと相性が良いといわれています。パセリは夏の強い日光に弱いため、夏場は半日陰に置いて、乾燥しないように水やりをしましょう。
サラダバーネット×マジョラム
マジョラムもサラダバーネットと相性の良いハーブです。マジョラムはキッチンの窓辺に置けば、冬から春にかけて柔らかい葉が育つので、そのまま料理に使えます。
サラダバーネットとマジョラムの寄せ植えは、日当たりが良く、風通しの良い場所に置きましょう。
セージ×ローズマリー
セージとローズマリーは、高温多湿に弱いため、あまり水やりをしなくても良いハーブです。
セージもローズマリーも丈夫で、繁殖力が強いため、本来はハーブの寄せ植えに向いていません。ただ同じくらいの強さを持っているハーブを組み合わせれば、共存することが可能です。
ベルガモット×アニスヒソップ
ベルガモットもアニスヒソップも、15~25度程度が生育しやすい気温で、湿っていて栄養豊富な土を好むハーブです。ベルガモットとアニスヒソップは、生育環境が似ているので、寄せ植えするのに相性が良いです。
ベルガモットは爽やかな香りがあり、アニスヒソップは風邪の初期症状を抑えてくれる効果が期待できます。そのため、ハーブティーとして楽しみたい方におすすめです。
コリアンダー×レモンバーム
コリアンダーは、パクチーまたはシャンツァイとも呼ばれるハーブです。独特の香りがするので、害虫が飛来するのを防ぐ効果が期待できます。
さらにカメムシが寄り付きにくいレモンバームをコリアンダーと寄せ植えすることで、害虫駆除の効果が高くなります。
コリアンダーもレモンバームも、日当たりの良い場所を好みますが、乾燥には弱いので、土の表面が乾いたらたっぷりの水を与えましょう。
ローズゼラニウム×アロマティカス
バラの花のような香りを持つローズゼラニウムは、ホルモンバランスを整えたり、ストレスを解消したりする効果が期待できる、アロマでもあるハーブの一種です。
ローズゼラニウムと、ミントのような香りのアロマティカスを寄せ植えすると、爽やかな香りがプラスされます。
ハーブの寄せ植えをして、香りを楽しみたい人におすすめの組み合わせです。
コモンセージ×パクチー×スープセロリー
コモンセージは爽やかな香りで、料理のニオイ消しやハーブティーなどに活躍するハーブです。抗酸化作用の効果も期待でき、紫の花を咲かせます。高温多湿を嫌うのですが、同じような環境を好むパクチーとスープセロリと相性が良いです。
コモンセージとパクチー、スープセロリーを寄せ植えすれば、料理に活躍するでしょう。
レモンバーム×レモンバーベナ×ジャーマンカモミール
ハーブの中でも柑橘系の香りがする、レモンバームとレモンバーベナ、ジャーマンカモミールを寄せ植えすれば、ハーブティーとして楽しめます。摘みたてのハーブを熱湯で煮出せば、ハーブティーを堪能できます。
レモンバームとレモンバーベナ、ジャーマンカモミールの寄せ植えは、特別な手入れは必要はありません。弱さに弱いので、冬場は室内で育てると良いでしょう。
レモンバーム×ロイヤルミント×レモンタイム
レモンバームとロイヤルミント、レモンタイムは、柑橘系やミント系なので、ハーブバスとして楽しめます。夏の暑い日にお風呂に入れれば、スッキリしそうです。
ただミントは、他のハーブを浸食したり、交雑してしまうおそれもあるので注意が必要です。ポットのまま植えるのも良いでしょう。
寄せ植えに向かない6つのハーブ
ハーブの中には、寄せ植えに向かない種類もあります。ここでは、寄せ植えに向かないハーブを6種類ご紹介します。
ローズマリー
ローズマリーは移植するのが難しく、根に触れることを嫌うハーブです。他の種類に比べると、繁殖力が強いので、寄せ植えには向いていません。ローズマリーを育てる際は、単体で育てましょう。
ミント
ミントは、ローズマリーより繁殖力が強いため、寄せ植えをすると、他のハーブを弱らせてしまいます。ミントは地下茎の成長が早いので、他のハーブに地下茎が巻き付いて、そのハーブの生長を邪魔してしまうため、寄せ植えには向いていません。
ただ、ミントは虫よけの効果が期待できるハーブなので、防虫予防として使いたい方もいるでしょう。そんなときは、ポットのまま土に植えると良いです。
ラベンダー
ラベンダーは、根に傷がつくと枯れてしまうため、寄せ植えで楽しむには向いていません。また乾燥した環境を好み、高温多湿の環境は嫌うので、寄せ植えした場合、水やりのタイミングが難しくなります。
またラベンダーは、梅雨の時期には花をそのままにしていると、株が弱ってしまうため、剪定する必要があります。寄せ植えにした場合、ラベンダーの部分だけ見た目が寂しくなってしまうこともあるため、単体で植える方が良いでしょう。
バジル
バジルは比較的湿気や肥料を好みます。他のハーブが好む乾燥した肥料の少ない環境では元気に育たない可能性があるため、寄せ植えに向いていません。
また同じシソ科のハーブと寄せ植えすると、交雑するおそれもあります。さらに、湿気と肥料を好み成長が早いので、他のハーブの生育を邪魔することも考えられます。
タイム
タイムも繁殖力が強いため、他のハーブと一緒に寄せ植えをすると、一緒に寄せ植えしたハーブの成長を阻害する可能性があるため、寄せ植えに向いていません。
レモングラス
レモングラスは、生長すると1m近く育つため、植える際は場所を選びます。地植えの場合は、近くの植物との間隔をあける必要があるので、寄せ植えには不向きです。
ただ草丈が短いレモングラスは、寄せ植えすることができるので、こまめに収穫するなどの工夫をしましょう。
ハーブの寄せ植えは相性が良いものを組み合わせよう!
ハーブは香りを楽しんだり、料理に使ったり、ハーブティーに用いたりなど、さまざまな楽しみ方ができます。
ハーブの寄せ植えをする際は、似た環境を好むハーブを組み合わせて、繁殖力が強いハーブには注意することがコツです。この2点を押さえれば、好きなハーブを組み合わせられます。
またハーブは基本的に丈夫で育てやすいため、植え付けた後はそこまで手間がかかりません。自分の好きな植木鉢やプランターで、自分好みのハーブを組み合わせて、寄せ植えに挑戦してみてください。