セージは「不老長寿のハーブ」とも呼ばれ、食用、観賞用、薬用など目的に応じたさまざまな品種があります。今回は、そんなセージのプランターでの育て方や剪定の仕方、種から育てる方法など、初心者でも失敗しない育て方のコツをお伝えします。セージの育て方の参考にしてみてくださいね。
「不老長寿のハーブ」とも呼ばれる神聖なセージ
セージはヨーロッパ地中海原産のシソ科のハーブで、「尊敬」、「知恵」、「家族愛」などの花言葉があります。
セージの代表でもある「コモンセージ」は、古代ギリシャ・ローマ時代から免疫力を助ける薬草として用いられてきました。そのため、「不老長寿」の異名を持つ神聖なハーブといわれています。
目的に応じた品種がある
セージは、コモンセージのように薬用としてだけではなく、観賞用や食用など目的に応じたさまざまな品種があります。
観賞用セージの代表「アメジストセージ」
アメジストセージはコモンセージよりも背丈が高く、紫色の花が咲きます。丈夫でよく育ち、明るく可愛い花がたくさん咲くことから観賞用として人気です。
庭先に咲いているのをよく見かけますね。
食用セージの代表「クラリーセージ」
クラリーセージは甘い香りがするハーブで、花と葉から精油を取ります。
アロマセラピーでは、月経不順やPMS、更年期障害など、女性のための精油として用いられます。ただし、子宮の収縮作用があるといわれているため、妊娠中や月経中の使用は控えた方が良いでしょう。
他のセージよりも大きい葉は、スープの具など料理に使われ、ハーブティーを楽しむのにも向いています。生で食べるよりは、加熱する方が良いとされています。
薬用セージの代表「コモンセージ」
コモンセージの和名は「ヤクヨウサルビア」で、その名の通り薬用として使われます。
殺菌・抗菌作用や消化促進、解熱作用があるといわれています。喉の炎症を抑え、口内炎や歯肉炎にも効果があるので、うがい薬としても重宝します。また、香りが強いコモンセージは肉の臭みを消してくれるので、料理にも人気です。
美しいカラーリーフは観賞用としても楽しめることから、コモンセージは万能ハーブと言えるでしょう。
セージの育て方のコツは生育環境を整えること
ではここからは、セージの育て方について解説していきます。セージは鉢植えでも地植えでもどちらでも育てることができますが、その生育環境を整えることが大切です。
水はけの良い土を選ぼう
セージを育てる際、最も重要なことは土選びです。セージに適した土作りが、セージを上手く育てるコツへの第一歩と言えます。セージは多湿を嫌うので、水はけの良い土を選びましょう。
鉢植えの場合は、市販のハーブ用培養土や草花用培養土で問題ありません。しかし、製品により水はけが悪い場合もあるので、そのときはパーライト(人工用土)や砂を足すことで改善されます。地植えの場合は、植える場所に堆肥や腐葉土を混ぜて耕しておくと良いでしょう。水はけが悪いときは、川砂も加えると水はけが良くなります。
セージは酸性の土壌が苦手なため、苦土石灰をまくなどして、土壌を調整することをおすすめします。成長を促す暖効性肥料を仕込んでおくのも有効的ですよ。
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日当たりの良い場所で育てよう
セージは、じめじめしたところが苦手なので、日当たりと風通しが良い場所を選びましょう。真夏の強い日差しは避け、できれば半日陰にすると良いです。高温多湿にならないように注意しましょう。
プランターで育てるときの準備物と注意点
プランターで育てるときは、以下のものを準備します。
- セージの苗、もしくは種
- プランター
- 培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石(あればで良い)
注意点は下記の通りです。
- 水はけの良い土を選ぶ
- 日当たりと風通しの良い場所に置く
- 根詰まりを防ぐため、1〜2年に1回、ひとまわり大きな鉢に植え替えが必要
種からセージを育ててみよう
セージは、市販の苗を購入し育てることもできますが、今回は種から育てる方法をお伝えします。苗から育てた場合でも、種を採取しセージを増やすことができるので、種から育てる方法は知っておいて損はないですよ。
種まき
セージの種の発芽適温は20℃前後のため、種まきには3〜4月、もしくは9〜10月が適しています。
ゴマ粒ほどの大きさの種を、厚紙に乗せてパラパラと蒔くか、ピンセットや湿らせた爪楊枝の先を使いひと粒ずつ蒔いていきます。発芽率が低いので、多めに蒔くと良いでしょう。発芽するには光が必要なので、種まき後は種の上に土をふりかけるように薄く覆います。
発芽
種まきから2週間ほどで発芽しますが、発芽するためには水分が必要なので、芽が出るまでは種が乾かないようにしましょう。
そのために、上からキッチンペーパーをかぶせて保湿する方法もあります。ただし過湿には注意が必要です。発芽したら、芽が混んでいるところは間引きをし、本葉が3〜4枚になったら植え替え(定植)します。
水やりと肥料
鉢植えの場合、「土が乾いたらたっぷりと水やりをする」のが基本です。日が高くなる前の午前中にしましょう。セージは過湿を嫌うので、まだ土が湿っているのに、漠然と毎日水やりをすることがないように注意が必要です。
地植えした場合、定植の際にたっぷりと水やりをし、苗が根付いたら基本的には水やりは不要です。あまりにも地面が乾いている場合にのみ水やりをするようにしましょう。
その際、真夏の強い日差しの中に置いていたジョウロやホースの中は、予想以上に高温になっている場合があるため注意が必要です。一度ジョウロやホースの中の水を捨て、水が冷たくなってから水やりをするようにしましょう。
また、セージはあまり肥料を必要としません。苗の定植時や植え替え時に、ゆっくり長く効く「緩効性肥料」を施す程度で良いとされています。
それでも株を充実させたい、花つきを良くしたい場合は追肥をしても良いですが、4〜6月と9月ごろに月1回、固定肥料を施す程度にすると良いでしょう。
花が咲いたら種を採取しよう
セージは、一つひとつの花が小さいため、気付かないうちに種がこぼれてしまっていることがあります。確実に種を採取したい場合は、花がしぼむ前に不織布やネットで花穂ごと包んでおくか、種が熟す直前に花穂ごと切り取って乾かすと良いでしょう。
採取した種でセージを増やそう
種まきに適した時期が来たら、採取した種を蒔いてセージを増やすことができますね。
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セージの増やし方
セージの増やし方は種で増やす以外に、「挿し木」と、「茎伏せ」という方法があります。
挿し木
セージの挿し木に適した時期は、生育適温の20〜25℃になる4~5月か、9~10月です。地域によって若干異なる場合があるので、適温の時期に行うと良いでしょう。
挿し木とは、若くて元気な枝を先端から10cmほど切り取って挿し穂として土に挿し、発根させて育てることを言います。大きい葉は水分の蒸散を防ぐために半分に切り、土に埋もれてしまう葉は取り除いておきましょう。
切り取った挿し穂は、切り口を1時間ほど水に浸けて水あげをした後、肥料が入っていない用土に挿します。このとき、土が乾燥しないように注意が必要です。あらかじめ、用土を十分湿らせておくと良いでしょう。3週間ほどで根が出たら、根を傷めないように鉢上げをすると上手く育ちます。
挿し木を行うときは、「清潔に」を心がけることが成功のコツです。挿し床に使う土は新しいものを、枝を切り取るときは清潔な刃物を使いましょう。
茎伏せ
根が付いているセージの枝の一部を土に埋めることを「茎伏せ」と言います。若くて元気な枝を地面に引き寄せ、軽く土を被せておきます。このとき、枝が元に戻らないようにU字に曲げたワイヤーなどで枝を地面に固定しましょう。
根が出たら、親株から切り分けて、新しい個体として育苗します。
セージの植え替え
元気なセージを育てるためには、何度か植え替えが必要です。
植え替え時期
最初の植え替えは、発芽して間引きをし、本葉が3〜4枚になったときです。そして成長に合わせて植え替えをしていきます。植え替えに適した時期は春か秋ですが、特に新芽が伸びてくる春が最も適した時期と言えるでしょう。
鉢植えの場合、根詰まりを防ぐためにも1~2年に1回、ひと回り大きい鉢に植え替えをすると良いですね。
植え替えのポイント
植え替え時は、根を乱暴に扱わないようにしましょう。一度傷つけてしまうとその後の生育があまり良くありません。
苗の周囲に土を寄せるときも、力を入れて押し付けるのではなく、苗が安定する程度にそっと押さえましょう。優しく扱うのが植え替え成功のポイントです。
セージに必要な剪定
セージには、高さが1mを超えるものもあります。元気なセージを長く楽しむためには、必要に応じて随時剪定を行うと良いでしょう。
切り戻し
「切り戻し」とは、伸びすぎた茎をハサミで切り取り形を整えることを言います。傷んだ茎を取り除くとともに、風通しを良くするメリットがあります。
摘心
「摘心」とは、定植後にしっかり根付いたら、茎の先端を摘んだり、その頂芽をハサミで切り取ったりして剪定する方法です。脇芽を出させて枝数を増やすことが目的とされています。
剪定は散髪のようなもの
剪定は、人間でいう散髪のようなものです。常に清潔を保ち、健やかなセージを育てましょう。
気を付けたい病気と害虫
セージには注意すべき病気があり、害虫もいます。健康なセージを育てるために必要なことなので知っておくと良いでしょう。
うどんこ病
成長とともに混み合ってくる茎葉をそのままにしておくと風通しが悪くなります。その結果、茎や葉、花芽などに白い粉が付いた状態になることを「うどんこ病」と言い、成長できずに枯れてしまうこともあります。
白い粉がうどんの粉に見えることから名付けられ、湿度が高い時期は特に注意が必要です。
ハダニとカイガラムシ
ハーブは虫が付きにくいから大丈夫と思われることも多いですが、そうとは限りません。ハダニやカイガラムシといった害虫が付くと、葉が食べられ、枯れてしまうこともあります。特に新芽は柔らかく虫が付きやすいので注意しましょう。
葉の裏もこまめにチェックすると良いですね。
病害虫からセージを守ろう
できるだけ薬剤は使わずに、病害虫からセージを守る方法をお伝えします。
高温多湿は避けて清潔に
うどんこ病の原因は高温多湿なので、梅雨時期は特に注意が必要です。セージの状態をこまめに観察し、風通しを良くするためにも必要に応じて剪定を行いましょう。水のやりすぎも良くないです。
鉢を置いている場所が梅雨時期の日照不足などで湿っている場合は、鉢スタンドなどで工夫をしましょう。
病気や害虫を見つけたら早めの対処を
もしも病気や害虫を見つけたら、その部分を早めに切り取り、切り取った茎や葉もすぐ処分しましょう。
自分で育てたセージを自宅で楽しもう
今回は、食用、観賞用、薬用などさまざまな用途に役立つセージの育て方をお伝えしました。初心者でも失敗しない育て方のコツは、高温多湿を避けて清潔に保つことです。
自分で育てたセージはとても愛しい存在になります。愛情をたくさん注いで、自宅でセージを楽しんでくださいね。
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