タイム(ハーブ)の育て方!初心者でも失敗しない鉢植え栽培のコツ

タイムの鉢植え

独特の清々しい香りで人気のハーブ、タイムをご存知ですか?小さな葉が密集して生えるタイムは姿がかわいらしいうえ、とても使い勝手のよいハーブです。比較的丈夫で育てやすいので、初めてハーブを育てる方にもおすすめです。今回はタイムの育て方やタイムの持つ魅力について、詳しくご紹介します。

目次

タイムの特徴

タイム

タイムは硬くて小さな葉が密集して生えるシソ科の常緑性植物です。南ヨーロッパが原産で、春から初夏にかけて白、ピンク、紫色のかわいらしい花を咲かせます。

タイムの1番の魅力はなんと言ってもその香り。ハーブのなかでも香りの強いタイムは、心洗われるような清涼感のある香りが特徴です。この清々しい香りを利用して料理の香り付けや臭み消しなど、さまざまな用途に使われます。

「魚のハーブ」とも呼ばれる爽やかな香り

タイムは煮込み料理や蒸し料理に使われるだけでなく、具材と一緒に炒めたりピクルスの液に一緒に漬けたりと、いろいろな料理に使うことができます。肉にも合いますが、その爽やかな香りは魚との相性が抜群で、「魚のハーブ」と呼ばれることもあります。

タイムには殺菌効果も

爽やかな香りだけでなく、殺菌効果を持っているということもタイムの特徴のひとつです。タイムにはチモール、リナロール、フラボノイドなどさまざまな成分が含まれていますが、特にチモールは幅広い抗菌性に加えて殺菌力をあわせ持つ成分です。

そのためタイムを利用することで料理の保存性を高めることができますし、濃いめに煮出したものは天然のうがい薬としても使うことができるでしょう。

タイムの種類

タイムは、大きく分けて立性のタイプと匍匐(ほふく)性のタイプにわけることができます。立性のタイムは通常20~40cm程度の高さまで成長します。

立性のタイムで代表的なのが、香りが強く料理でもよく使われるコモンタイムです。他にもレモンのような爽やかな香りで人気のレモンタイムなどがあります。

一方で地面を這うように育っていくのが匍匐性のタイムです。高さは通常10cm程度で、その性質からグランドカバーとしてもよく使われています。

匍匐性のタイムには、かわいらしい薄ピンクの花が球状に集まって咲くクリーピングタイムや、ほんのり甘いジャコウのような香りのするイブキジャコウソウなどがあります。

タイムの花言葉

タイムの花言葉は「勇気」と「活動力」です。特にヨーロッパで古くから重宝されてきたタイムですが、その強く清らかな香りは古代ギリシャ・ローマ時代においては勇気、活力をもたらすものだとされていました。

古代ギリシャ・ローマ時代には戦士たちへの勝利のお守りとしてタイムの枝を渡すという習慣がありましたが、このような習慣はのちに「戦いに赴く愛する人へタイムの刺繍をしたハンカチーフを贈る」という形へ変化し、受け継がれていったとされています。

ハーブのなかでも丈夫で育てやすいタイム

タイムを剪定する人

前述した通りタイムはたくさんの魅力を備えているうえにとても使い勝手の良いハーブです。ぜひ育ててみたいと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?それではいよいよ、タイムの育て方について詳しく説明していきます。

タイムは比較的丈夫で育てやすいハーブなので、初めてハーブを育てる方にもおすすめですよ。

種をまくなら春か秋に

種から育てる植物は愛着もひとしおです。タイムを種から育てたいときには、春か秋に種まきをしましょう。タイムの種まきに適しているのは、4~5月、9~10月頃だといわれています。

このときに大切なのが、土をかぶせないことです。種が重ならないように気をつけてパラパラと種をまいたら、霧吹きなどで水をやってそのまま日当たりのよい場所へ置いておきます。大体3日前後で発芽が始まるでしょう。

ハーブ専用の土を使えば安心

寒い地方でタイムを育てる場合は、冬場は室内に移す方が安心です。したがって鉢やプランターで育てることをおすすめします。このとき市販のハーブ専用の土を使うようにすると育てるのがグッと楽になりますよ。pH調整済みで、水はけもよく調整されています。

南ヨーロッパ原産のタイムはアルカリ性の土を好み、酸性の土では十分に育つことができません。地植えで育てる場合には石灰をまいて、アルカリ性に調節しましょう。ただし、もともとの土が酸性の場合は時間がたつにつれて再び酸性に戻っていくので、適宜pH調整をする必要があります。

日当たり、風通しのよい場所を選ぼう

タイムの種が発芽するには日光の力が必要なので、必ず日当たりのよい所へ置くようにしましょう。日の光が大好きなタイムは、苗から育てる場合でも同様に日当たりのよい場所で育てることが大切です。ただし、強過ぎる直射日光や西日には注意してください。

また、タイムは湿気が多くなりすぎると弱ってしまいます。風通しの良いところで育てるようにしましょう。密集して育てると風の通りが悪くなるので、苗から育てる場合は20cm程度の間隔をあけて植えるようにします。

水やりのタイミングは?

タイムは南ヨーロッパが原産なので、乾燥に強く湿気に弱いという特徴があります。水やりは毎日せず、土が乾いたらあげるという程度にとどめるほうが、かえって丈夫に育ちます。特に冬はあまり水を吸わないので、水のあげ過ぎに注意しましょう。

肥料を与えすぎないように

タイムは丈夫な植物なので特に肥料は必要ありませんが、元気がないと思ったときには薄めた液体肥料をやります。固形肥料をやるときには緩効性のものを選びましょう。いずれにしても、肥料を与えすぎるとせっかくの香りが弱くなってしまうので覚えておきましょう。

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タイムを育てるときの注意点

タイム

比較的育てやすいタイムですが、注意すべき点もいくつかあるので紹介します。

夏の暑さと冬の寒さ

タイムを育てるのに適切な温度は5〜20℃といわれています。いかに日光が好きなタイムといえども強い直射日光で鉢の温度が上がり過ぎると弱る原因になってしまうので、真夏は日陰に置くようにするとより良いでしょう。

また、できれば冬は室内へ移して寒さから守ってあげましょう。適切な温度を頭に入れて都度置き場所を変えてあげることで、丈夫に長生きしてくれます。

根づまり

タイムは生育意欲が旺盛な植物で根が伸びるのも早いので注意しましょう。いつのまにか根づまりを起こしていたという話もよく聞きます。根づまりを起こすと葉が黄色っぽく変色してくるので、そうなる前に大きい鉢に植え替えたり株分けをしてあげましょう。

鉢やプランターの底から根が飛び出してきたら、それが植え替えや株分けをするタイミングです。ただし、真夏と真冬は避けるようにすると良いでしょう。

風通し

タイムは湿気に弱いので、風通しにも注意を払います。枝や葉が茂り過ぎると、風の通りが悪くなって蒸れてしまい、株を弱らせることにつながります。

特に梅雨にはそのような危険性が高まるので、梅雨に入る前にある程度剪定して風通しをよくしておくと良いでしょう。剪定した枝は料理などに使いましょう。また、風通しの良い場所に置けば、夏に鉢の温度が上がり過ぎることも防げます。

タイムを上手に増やすには

タイム

ここまでの内容を参考にタイムを育てれば、あなたのタイムも元気にスクスクと育ってくれることでしょう。ここからは、タイムの株を増やしてさらに楽しみたいという方のために、タイムを増やす方法についてご紹介します。気になる方はぜひ以下の方法を試してみてください。

圧条法のやり方

まずは最も気軽な増やし方をご紹介しましょう。あまりなじみのない言葉かもしれませんが、圧条法は茎伏せとも呼ばれ、園芸の世界では一般的な方法です。圧条法は枝を倒して土に埋めて固定するだけの簡単な方法なので、初心者にもおすすめと言えます。

まずは長めの枝を選び、横に倒して浅く土に埋めます。そのままだと浮いてくるので、U字型の金具など(ゼムクリップを伸ばして利用しても良い)で留めておきましょう。

しばらく置いておくと、横に倒した枝から新しい根が出てきます。しっかりした根がたくさん出てきたら、親株から切り離して違う鉢やプランターに植え替えます。根が十分に出てくるまで少し時間はかかりますが、焦らずゆったりした気持ちで待ちましょう。

圧条法はタイムが元気なあたたかい時期(真夏は除く)に行うのがおすすめです。

挿し木のやり方

挿し木は真冬や真夏以外ならいつでもできます。挿し木にする枝を選ぶときには、まだ根元が木のように硬くなっていない今年伸びたばかりの新しい枝を探しましょう。もし春ならつぼみの付いていない枝を選びます。

枝を選んだら10cm程度の長さで切り取ります。それから上の方の葉を残して下の方の葉だけを取り除き、1~2時間水につけておきましょう。切り口は斜めに切ることで、給水しやすくしておきます。

その後バーミキュライトを入れた鉢に挿し、たっぷり水をやります。根が出るまでは直射日光を避けた明るい日陰に置き、土が乾かないように気をつけてしっかり水をやりましょう。葉が数枚育って来たら、鉢やプランターに移し替えます。

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株分けのやり方

立性のタイムは挿し木や圧条法で増やすのが一般的です。ただし、地面を這うように育つ匍匐性のタイムなら挿し木や圧条法の他にも、株分けを行うことが可能です。

特に、今、使っている鉢の大きさを維持するためにこれ以上大きくしたくないという場合には、株分けを行うと良いでしょう。

株分けも圧条法と同じく真夏を除いたあたたかい時期にするのがおすすめです。また、土が乾き気味の方がやりやすいでしょう。タイムをスコップで掘り出したら硬くなった土を手で優しくほぐし、株をねじりながら左右に引っ張り、2つに分けます。

鉢やプランターに移したら、たっぷり水をやります。株分けをすることで多少なりともタイムにダメージを与えることになるので、株分け直後は注意して様子を見守りましょう。

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タイムを使って生活を豊かに

タイム

タイムは見て楽しむことだけでなく、生活のさまざまな場面に取り入れることができる使い勝手のよいハーブです。タイムの清涼感のある爽やかな香りはあなたの暮らしを彩り、心地よいものに整えてくれることでしょう。

タイムはこんな料理にぴったり

タイムは食材と共に煮込んだり、蒸したり炒めたりなどさまざまな料理に取り入れることができます。肉にも合いますが、特に魚との相性が抜群。どんな料理に使うか迷ったら、まずはカルパッチョに使ってみましょう。

みじん切りにしたタイムをカルパッチョのソースに加えて味を調えます。また、食べる直前にお好みでパラパラと振りかけてみてください。とても良い香りがするのでおすすめです。

他にもピクルス液に入れるという方法もあります。ピクルスを漬ける時に一緒に入れるだけで、清涼感のある上品な香りが立ち込めるうえ、保存性もぐんと上がります。この場合、切らずにそのまま入れましょう。

また、ハーブを使った料理に少し慣れてきたら、パセリやローリエなどと一緒に木綿糸などで縛ってブーケガルニを作ってみるのも良いでしょう。スープやシチューを煮込むときにブーケガルニを一緒に入れれば、いつもの料理がワンランク上の味になること請け合いです。ぜひ試してみてくださいね。

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ハーブティーやサシェにするのもおしゃれ

爽やかな香りを利用してハーブティーにしてみるのもステキです。乾燥させれば甘みのある落ち着いた香りに、生のままで使えば清涼感の強い香りになります。やや苦みがあるので、苦手な方は蜂蜜やミルクを加えても美味しくいただけます。

さらに、タイムの殺菌効果を利用して天然のうがい薬として利用しても良いでしょう。ただし、うがい薬として使う時にはハーブティーよりも濃いめに煮出すようにしてください。

他にもタイムを乾燥させて可愛い袋に入れ、リボンで結べば手軽にサシェを作ることもできます。洋服ダンスに入れておけば天然の防虫剤になってくれますよ。

丈夫で育てやすいタイムなら初心者にもおすすめ

タイム

今回はタイムの育て方や魅力についてご紹介しました。

料理に使うのにぴったりの香りの強いコモンタイム、爽やかなレモンの香りがするレモンタイムなど、さまざまな種類があるので好みのものを選ぶことができます。どの種類のタイムも丈夫で育てやすいので、初心者でも簡単に育てることができます。

「勇気」と「活動力」が花言葉のタイムは、心洗われるような清涼感のある香りが魅力の人気のハーブ。「勇気」や「活動力」が欲しいなと思ったら、ぜひタイムを生活に取り入れてみてください。タイムの香る生活は、きっとあなたをポジティブで軽やかな気持ちにしてくれることでしょう。

タイムを育ててみたくなった方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。

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