ハエトリソウは、見た目や名前のインパクトから、興味を持つ方が多いでしょう。園芸店などでも販売されているため手に入りやすいですが、特性や育て方についてはよく分からないですよね。本記事では、ハエトリソウの特性や元気に育つための方法をまとめました。
ハエトリソウってどんな植物?
ハエトリソウは、モウセンゴケ科・ハエトリグサ属の植物です。学名はディオネア スマシプラで、ハエトリグサやハエジゴクとも呼ばれています。
日本のように四季の変化がある場所が原産なので、比較的育てやすいと言えるでしょう。
二枚貝のような葉に鋭いトゲが生えている独特な姿は、とてもインパクトがあり観葉植物として楽しめます。
まずは、ハエトリソウが持つ特性を詳しくチェックしていきましょう。
ハエトリソウは食虫植物の一種
ハエトリソウは、北アメリカの湿地帯に自生する食虫植物です。食虫植物とは文字通り、虫を捕食する習性を持っています。
感覚毛といわれるセンサーに虫が触れると、二枚貝のような葉を素早く閉じて捕食します。しかしこの運動は、一度に多大なエネルギーを消費してしまうため、確実に捕食できるようセンサーに2回触れたら葉が閉じる仕組みになっています。
虫(エサ)を与えなくても大丈夫
虫を食べるハエトリソウですが、虫だけでエネルギーを得ているわけではありません。食虫植物も光合成をしているので、虫を捕食しなくても枯れることはないのです。
わざわざ虫を取って、エサとして与える必要はありません。
日光を好む
ハエトリソウは、日光が大好きです。地植えができないため、鉢植えにして日当たりの良い場所で育てましょう。
乾燥に弱い
湿地帯が原産のハエトリソウは、多湿を好み乾燥に弱い特徴があります。湿地帯は、定期的に冠水する低地なので、常に湿った状態です。そのためハエトリソウを育てる際は、用土が乾燥しないよう注意しましょう。
寒さに強い
耐暑性の低いハエトリソウですが、寒さには強いです。凍結しない限り、枯れることなく越冬できます。
ハエトリソウの育て方!必要な生育環境と枯らさないコツ
ここからは、ハエトリソウの育て方をご紹介します。
日当たりの良い場所で
ハエトリソウは日光を好むので、できるだけ日当たりの良い場所で育てましょう。ただし、暑すぎて土中が蒸れたり、葉焼けしたりしてしまうのを防ぐために直射日光は避け、レースカーテンなどで遮ってください。
屋外でも同様に、日の良く当たる場所に置きましょう。真夏は風通しの良い半日陰に置くことをおすすめします。
腰水で管理をする
腰水とは、受け皿に2~3cmほど水を張り、そこに鉢を置いて吸水させる栽培方法です。この方法であれば、常に土を湿った状態で保てます。
真夏は水の温度が上がってしまうため、こまめに交換するようにしてください。
水苔か保水性の高い土を使う
ハエトリソウは、水苔を使うと簡単に育てられます。または、保水性が高く通気性の良い鹿沼土やパーライト、ピートモスを使用しましょう。
冬は屋外で管理する
ハエトリソウは、冬になると休眠します。春からの生育期に備え、エネルギーを蓄えておくためです。枯れたようになりますが、しっかりと生きているので、水切れしないようきちんと管理しましょう。
また、寒そうに見えても、暖かい室内に入れないようにしてください。しっかり休眠できず、春からの生長が鈍くなってしまいます。
0℃以下にならなければ、屋外の霜が当たらない場所で管理しましょう。
肥料は特に必要ない
栄養分の少ない湿地帯が原産のハエトリソウは、肥料を必要としません。かえって生長の妨げになってしまうので、肥料を与えないようにしましょう。
ハエトリソウを育てるときのポイント
ハエトリソウを枯らしてしまわないためには、いくつかのポイントがあります。3つにまとめたので、参考にしてくださいね。
むやみに触らない
葉が閉じる様子を見たくてつい触ってしまいたくなりますが、むやみに触ってはいけません。この運動はとてもエネルギーを使うため、何度も行うと株が弱くなり、葉が黒くなってしまいます。
葉が黒くなってしまったら
ハエトリソウは、日が当たりすぎると葉やけし、黒くなってしまいます。とくに夏場の強すぎる日差しには気を付けましょう。
ただし、11月頃から黒くなってきたのであれば、それは休眠するサインなので特に問題ありません。
花茎は切り取る
ハエトリソウは、5~7月頃になると白い花を咲かせます。しかし、種を実らせると株が弱ってしまうおそれがあるため、早めに切り取ってしまいましょう。
種を収穫したいのであればそのままでも構いません。
ハエトリソウの植え替え方法と時期
腰水で管理するハエトリソウは、土中が腐ってしまい根を傷めてしまうこともあります。そのため、定期的に植え替えを行う必要があります。
ここでは、ハエトリソウを元気に育てるための植え替え方法と、増やし方を見ていきましょう。
1年に一度は植え替えを
ハエトリソウの植え替えは、1年に一度、12~2月の休眠期に行います。真夏や休眠前の秋は避けましょう。
ハエトリソウの植え替え方法
- 水苔
- 軽石
- 植え替え用の鉢
- 軽石を植え替え用鉢の1/4ほどまで入れる
- ハエトリソウをゆっくりと鉢から出し、土を1/3ほど落とす
- 水を吸わせた水苔で、根を包む
- 植え替え用鉢に入れる
- 隙間に水苔を詰める
- 上から水をたっぷりかける
「株分け」か「種まき」で増やせる
株分けの場合は、大きくなった株を上記の方法で分けます。1株に3枚程度の葉がつくように分けましょう。
種まきの場合は、採取した種を12~4月にまきましょう。春に種をまく場合は、濡らした種を1ヶ月ほど冷蔵庫に入れてからまくと、発芽しやすくなりますよ。
こんなにたくさん!ハエトリソウの種類3つ
ハエトリソウは、実は1種類だけではありません。園芸品種として改良されたものが、100種類ほども存在します。
大きく分けると、葉が地を這うように生長する「ロゼッタ系」と、葉が上を向く「エクレタ系」の2種類です。
ここからは、人気の高い3種類をご紹介します。
マスシプラ オールドタイプ
原種に近い、日本ではポピュラーな品種です。地を這うように生長し、葉を多く生やします。
シャークティース
見た目がサメの歯のように見えることから、「シャークティース」と名付けられました。三角形の短いトゲが特徴です。
ソウトゥース(ソウティース)
葉のトゲが細くギザギザしているのが特徴で、のこぎりの歯に見えることから「ソウトゥース」の名が付いています。
ハエトリソウのおしゃれな飾り方
ハエトリソウは、そのインパクトのある見た目から、シンプルに鉢植えするだけでも十分観賞が楽しめます。
その個性的な見た目に負けないような、変わった容器に入れるのも良いですね。
他にも、ガラス製の容器で育てるテラリウムも、おしゃれに飾れることから人気が高まっています。容器に蓋をすれば湿度が保ちやすいため、管理もしやすくおすすめです。
個性的なハエトリソウを育ててみよう
ハエトリソウは、食虫植物ですが虫を与える必要はなく、比較的育てやすい観葉植物です。緑と赤紫のコントラストが美しく、独特な雰囲気を醸し出し、インテリア性が高いと言えます。
今回ご紹介した方法を参考にして、ぜひハエトリソウの栽培にチャレンジしてください。