イヌマキ(チャーギ)は強風や防雨にも強く、丈夫で育てやすい植物で、生垣として使われることが多いのが特徴です。また害虫に強く、特別手間のかかる手入れがないため、初心者にもおすすめです。今回は初めてイヌマキを育てる人にも無理なく簡単に扱えるコツを紹介します。
イヌマキは常緑性の針葉樹
イヌマキは沖縄ではチャーギとも呼ばれる常緑性の針葉樹で、マキ科マキ属の植物です。長さが10cm程の長細い葉を茂らせ、松に似ている見た目が特徴です。
日本では関東以南で見られます。高さ2~5m程度で、庭木や生垣、街路樹として植栽されることが多いです。
寒さには弱いですが潮風や大気汚染に強く、防風林としても活用できますので、畑や家を守る働きもしてくれます。
また、盆栽としても人気が高く、観賞用に育てて楽しめます。
イヌマキの果実には毒がある
イヌマキは串団子状に果実を実らせる植物です。上に種を付け、下に果実を付けます。
後ろ側に実っている果実は食べることができ、甘くておいしいのですが、先端についている種は毒があり、食べられません。
知識がないと、どちらが種でどちらが果実なのか見分けがつきにくいので、食べないことをおすすめします。
害虫に強い
イヌマキは成長スピードが遅く、他の植物と比べると害虫が付きにくいのが特徴です。
庭木の生垣に使われることが多い
庭木の生垣や、防風林として育てられることが多いです。何度刈っても新芽が育ち、隙間なく葉を茂らせるので防風に非常に適します。
イヌマキの育て方! 押さえておきたいポイントは?
イヌマキを育てるうえで、知っておきたいポイントについて紹介します。
適切な日当たり・置き場
イヌマキは温暖な地域に自生している植物なので、日当たりの良い場所を好みます。
日陰でも成長しますが、北海道や東北地域のような寒い地域で育てるのには向いていません。そのため、霜が降りる地域では、腐葉土や堆肥などを地面に撒くなどの工夫が必要です。
水やりはたっぷりと
地植えの場合は、雨で十分育ちますので、植え付けの時以外は水やりの心配はいりません。ただし、夏の時期に酷暑が続いて地面がカラカラになっているようでしたら、夕方ごろに水やりするようにしましょう。
鉢植えの場合、土を触り、乾いていることが確認できたら水やりをするようにします。
肥料
鉢植えの場合は、3月頃に化成肥料を株の根元に向かって与えます。化成肥料とは、土の中でも養を補えるように作られた化学的に化合された肥料です。
反対に窒素分の多い肥料を使ってしまうと、貧弱に育ってしまうので気をつけましょう。
こんなときどうする?イヌマキを育てる際に生じやすいトラブル
イヌマキを害虫から守るためにはどうしたら良いでしょうか。害虫や病気の症状の特徴や、対処方法を紹介します。
害虫対策は忘れずに
害虫を見つけ、弱っている葉を見つけたらすぐに取り除きましょう。放置してしまうと菌が増殖し、被害が広がる恐れがあります。
気を付けたいカイガラムシ
カイガラムシは樹液を吸うことで株を弱らせたり排泄物が、イヌマキを病気にさせてしまいます。薬剤での除去が難しい場合は歯ブラシを使ってそぎ落とし、駆除してください。
またアブラムシも寄ってきやすいので気を付けましょう。アブラムシの排泄物はアリを引き寄せてしまいます。
葉に灰色が混じりだしたら要注意
カビが原因の葉が灰色になってしまう、ぺスタロチア病にかからないようにしましょう。ペスタロチア病にかかってしまうと葉を枯らしてしまい、イヌマキの成長を妨げてしまいます。
葉にある傷に雨や風によって菌がついてしまい発症することが多いです。
イヌマキの増やし方
成長したイヌマキの増やし方を説明していきます。季節や成長段階によって、さまざまな方法があるので是非参考にして、実践してみてください。
種まき
イヌマキの種は市販されていません。そのため、10月ごろに実から直接種を採取して、翌年の3月に撒きます。種は赤い粒のついた雄株に付きます。発芽までには1~2ヶ月ほどかかるとされます。
苗植え
苗植えは3月~6月にかけての時期、もしくは9月ごろに鉢または地面に植えていきます。
鉢植えをする場合は苗よりも2回りほど大きめな鉢に入れて育てましょう。どうように地植えの場合も苗よりも2回り大きめの穴を掘って育てるのが良いです。
植え替え
苗植えの時期と同様の春または秋頃に植え替えを行います。苗より1回り大きい鉢に植え替えていきましょう。
植え替え後は水を多く与えるように心がけましょう。このようにして、生育の早いイヌマキは毎年成長していきます。
生垣の場合は剪定も大切
生垣の場合は5月~10月にかけて2回を目安に剪定をします。20センチから30センチ未満の厚さで整えていくのが見栄えが良いでしょう。
あまり刈り込み過ぎてしまうと、枝木が絡まり合ってしまい、生育に悪影響が出てしまうので注意しましょう。
また切り落とした枝や、枯れてしまった葉は早めに取り除き、風通しの良い状態にしておきましょう。防虫に繋がります。
挿し木
挿し木とは、植物の一部を切り取り、その植物を増やしていく方法のことを言います。
春は前年の伸びた枝を挿し木に使い、9月中旬~10月頃は、その年に伸びた枝を使用し挿し木にします。
直茶日光の当たらない場所で、土が乾ききらないよう、こまめに水やりを行います。根が生えてきたら、大きめの鉢や、地面に植え替えるようにしましょう。
イヌマキを大切に育てるためには環境に注目!
イヌマキは、主に春か秋に種まきや苗植えを行います。もともと暖かい地域で自生している植物なので、日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。定期的な水やりと、害虫がついていないか確認するために、葉の様子を見るようにしていれば順調に育ちます。大切に扱い、立派なイヌマキを育てましょう。