華やかで可憐なバラは「花の王様」といわれるほど、花束や切り花のメインになる美しい花です。そんなバラを庭で育ててみたいと思う方も多いでしょう。今回は、自宅の庭で育てられるガーデンローズの種類と育て方をまとめました。初心者にもおすすめな品種5選もあわせてチェックしてみてください。
ガーデンローズは自宅で育てるガーデン用のバラ
古くから栽培されてきたバラにはたくさんの種類があります。大きく分けると切り花として販売するプロの生産者用と、家庭でも育てられるガーデニング用に分けられます。
花屋さんで購入するような切り花用のバラは一般市場には出回っていないため、家庭で育てることはできません。家庭の庭で育てる場合は、ガーデニング用のガーデンローズの中から好みのバラを選ぶことになります。
ガーデンローズは種類が豊富で、庭植えに適したものも鉢植えに適したものもあるので、好みに合ったバラを選べるのが魅力です。ゴージャスな花を咲かせたり、うっとりしてしまうような香りを持つガーデンローズを、ぜひ自宅で育ててみませんか?
自宅でバラを育てると、庭を華やかに彩ることができるほか、摘み取って花瓶に飾ったり、ドライフラワーにして飾ったり、ブーケやリースにアレンジしたりと楽しみが増えるでしょう。
たくさんあるバラの花言葉
バラは昔から愛の象徴として花束などに使われてきました。バラの花言葉は「愛」や「美」であることは有名です。しかし、バラは花色や本数、花の状態によってもさまざまな花言葉を持っています。
例えば、赤いバラは「あなたを愛します」「愛情」「熱烈な恋」など、白いバラは「純潔」「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」、ピンクのバラは「上品」「可愛い人」、黄色いバラは「友情」「平和」「嫉妬」などです。
そして、1本なら「一目惚れ」、3本なら「愛しています」、99本なら「永遠の愛」、赤いバラの蕾は「純粋と愛らしさ」、白いバラの蕾は「恋をするには若すぎる」などたくさんの花言葉を持っています。
バラをプレゼントするときは、花色や本数、花の状態などに注意して贈るといいでしょう。庭で育てる場合は、好みの色のバラがどんな花言葉を持っているのかを調べてみると楽しいですね。
ガーデンローズ(バラ)の種類
バラの品種はとても多く、違う系統を掛け合わせた新種も年々増えています。大きく、生まれた時期による種類の分類と、樹形による分類で分けられています。
はじめに、生まれた時期による分類をご紹介します。
オールドローズ
原種のバラを含めた古代からある品種で、ダマスク系の香りが強いものが多いのが特徴です。また、多くは枝がつるのように伸びるつる性で、1年に1度だけ開花する一季咲きの性質を持っています。
モダンローズ
1867年に人工交配で生まれた品種である「ラ・フランス」以降に生まれたバラをモダンローズとして分類しています。現在出回っている多くのバラが、こちらのモダンローズに該当します。
ガーデンローズ(バラ)の樹形
ガーデンローズを選ぶときに重要なのが、そのバラの樹形をよく理解することです。どんな庭づくりをしたいのか、バラをどのように配置したいのかによって選ぶ樹形が変わってきます。
木立ち性
枝が上に向かって伸び、茎が自立するタイプが木立ち性のバラです。環境が良ければ春から秋まで花を咲かせるものが多く、花の大きさもさまざまなのが特徴です。花壇や寄せ植えにもぴったりで、コンパクトで室内でも育てやすいミニバラも人気があります。
つる性
つる性のバラは、枝をつるのように長く伸ばすため自立しません。朝顔やアイビーのように自らツタを絡ませるわけではないため、フェンスやアーチに枝を誘引して育てるのが一般的です。ボリューム感のある庭づくりができる、人気の種類です。
半つる性
木立ち性とつる性の両方の特徴を持つ半つる性のバラは、木立性のバラより高く生長しますが、つる性のように長く枝を伸ばさないタイプです。仕立て方によって好みの樹形に育てられるのが魅力です。
ガーデンローズ(バラ)の開花時期
ガーデンローズは品種によって開花の時期や回数が異なります。事前にどんな性質を持つバラなのかをチェックしておき、適切な管理をしましょう。
四季咲き性
四季咲き性は1年を通して開花する性質があります。しかし、日本の冬の環境で花を咲かせるのは難しいため、屋外で育てている場合は春から秋にかけて開花します。
一季咲き性
春に1度だけ花を咲かせるバラを、一季咲き性のバラとしています。オールドローズやつる性のバラに多い性質です。
返り咲き性
春に開花した後、花がらを摘み取ったり剪定をしたりすることで、夏や秋に再び返り咲きするバラです。
ガーデンローズ(バラ)選ぶときのポイント
ガーデンローズを育てる場合は、苗を購入するのが一般的です。同じ品種でも、購入する時期によって選べる苗の種類が変わり、それぞれ性質が異なるため注意が必要です。
庭にガーデンローズを取り入れる場合は、まずどんなバラをどんな風に育てたいのかを考え、育てる環境に合った、好みの樹形のバラを選びます。
それから苗の種類を選びましょう。どんな苗がいいのか迷ってしまったら、お店の方に相談して購入すると安心です。
新苗
春頃に店頭に並ぶ新苗は、冬に接ぎ木して作られた苗のことです。価格が安い反面、花が咲くまでには数年掛かります。ある程度バラの栽培に慣れている方におすすめです。
枝や葉が太くしっかりしていて、葉が土の近くまで生えているものを選びましょう。植える時期は4月〜5月頃が適しています。
大苗
秋から春にかけて販売されている大苗は、根がしっかりとしていて株が充実しているため、その年から花を咲かせます。10月〜2月の真冬を避けた時期に植え付けましょう。
大苗は新しい土に根付くのは難しいとされていますが、新苗よりも失敗が少なく初心者向けです。どっしりと重く、枝がしまっているものを選びましょう。
ガーデンローズ(バラ)の育て方
ガーデンローズの育て方のポイントを解説します。難しいイメージがあるバラ栽培ですが、基本的なポイントを押さえて適切な管理をすることで、初心者でも美しい花を咲かせることができますよ。
バラの花を咲かせるために必要な生育環境は、日当たりと風通しのいい場所です。基本的には戸外が適していて冬越しも可能です。鉢植えのほか、庭植えにすることも可能です。
土の状態を確認して水やりを
バラの水やりは、土の表面が乾いたら株元にたっぷり水を与えます。泥はねは病害虫の原因になるので注意しましょう。鉢植えの場合は鉢底から水が流れ出るくらいが目安です。
乾燥すると枯れてしまうため、春から秋にかけては1日1回、日当たりが強い場所や夏は朝と夕の2回を目安にしましょう。ただし水のやりすぎは根腐れの原因となるため、土の状態を観察して水やりをするのがポイントです。
バラに適した用土・肥料
バラを育てる土は、水はけが良いものを使います。市販のバラ専用培養土か小粒の赤玉土と堆肥または腐葉土が7:3の割合になるようブレンドして使用しましょう。
バラを上手に育てるためには、肥料が欠かせません。まず、植え付け時に元肥としてバラ用の化成肥料を与えます。さらに、地植えのバラには1月〜2月頃に寒肥を与えておくと良いでしょう。
生育期の3月から9月にかけては、地植えのバラも鉢植えのバラも追肥を行います。1回目は3月〜4月頃、2回目は6月頃、3回目は9月頃と分けて与えます。特に四季咲き性のバラは、追肥を行うことで花付きが良くなります。
庭植えのバラに肥料を与えるときは、株元から一歩離れた場所をぐるりと囲むように溝を堀り、その中に肥料を施します。
鉢植えのバラの追肥は液体肥料を使うことができます。4~9月の間に水で希釈した液体肥料を週に1度のペースで与えると良いでしょう。
バラは綺麗な花を咲かせるために肥料が欠かせない植物ですが、与えすぎると肥料やけを起こしてしまうこともあります。芽や枝葉が全体的に黄ばんで枯れてしまうため、症状を見つけたらすぐに肥料の入っていない新しい用土に植え替えます。
基本的な肥料の与え方を参考に、実際にはバラの様子を良く観察しながら量やタイミングを調整しましょう。
バラを植え付けるときのコツ
バラは種類によって鉢植え向き、庭植え向きのものがあります。庭植え向きのものは寒さに強い品種が多く、鉢植えほど水やりや植え替えの手間がかからないのが魅力です。
バラを庭に植え付けるときの手順
- 苗より2回り以上の直径・深さの穴を掘る
- 穴の底に牛糞かバラ用の化成肥料を入れる
- 土で肥料を覆う
- 根についた土は崩さないよう苗を植える
- 株元が地表に出る高さにして土を入れる
- たっぷりと水をやり、土を平らにならす
鉢植えのバラは年に1度植え替えを
鉢植えのバラは毎年植え替えが必要です。花が終わった頃には根がいっぱいに伸びているので、休眠期の12月〜2月に行いましょう。
枯れた葉は摘み取り、茶色や褐色になった根は切り落とします。根にコブができていたら切り落としてから殺菌剤をつけておきます。
一回り大きな鉢にネットと鉢底石を入れ植え付けましょう。植え付けから1週間ほど経ってから鉢の縁に肥料を施します。
こまめな花がら摘み&夏と冬には剪定を
たくさんのバラの花を咲かせるためには、こまめな花がら摘みをしましょう。また、四季咲き性のバラは花がら摘みだけでなく、花が終わった枝先を5cmほど切り戻しすることで、返り咲きしやすくなります。
次のシーズンも綺麗な花を咲かせるためには、剪定が必要です。全体の樹形を整えたり、風通しを良くする効果もあるので、タイミングと方法を確認してしっかりと剪定しましょう。
バラの剪定は夏と冬に行います。夏の剪定は、四季咲きで木立ち性のバラの剪定です。8月頃に枯れ葉を取り除き、弱い枝や長すぎる枝をカットします。全体の3分の1程度を目安に剪定しましょう。
また、株元から出る太い芽は、伸びすぎると株を弱らせるので、秋にかけて定期的に切り取ります。
冬の剪定はすべての種類のバラで行います。12月〜2月頃に、花を咲かせたい枝のみ残し、枯れ枝や古くなった枝、細い枝を切り落とします。全体の3分の2程度を目安に切り詰め、形を整えておきましょう。
ガーデンローズ(バラ)注意すべき病害虫
バラは生育環境が悪いと病害虫の被害を受けやすくなります。風通しが悪くないか、過湿がないか、泥の跳ね返りがないかなど、定期的に様子をチェックして病害虫の被害を防止しましょう。
バラがかかりやすい主な病気は、灰色カビ病とうどん粉病です。
灰色カビ病は、花びらにカビが発生する病気です。蕾にカビが発生すると咲かずに枯れてしまいます。花がらを定期的に摘み取り、病気が出ている花はすぐに取り除きましょう。
うどん粉病は、葉のうらに白い粉のようなものが付き株を弱らせます。発見したら薬剤散布をして対処します。
バラが注意すべき害虫は、カイガラムシ、テッポウムシ、チュウレンバチです。
貝殻のようなカイガラムシやチュウレンバチの幼虫を見つけたら、すぐに駆除をして薬剤を散布します。テッポウムシの幼虫は根や茎に寄生するため見つけにくいですが、根元あたりに茶褐色の糞を見つけたら、近くの巣穴から薬剤を注入して対処します。
ガーデンローズ(バラ)初心者におすすめな品種5選
たくさんの品種があるバラの中から、比較的育てやすく、花も美しいおすすめ品種を5つご紹介します。
ラ・パリジェンヌ
オレンジと黄色のグラデーションが華やかでかわいらしい品種です。丈夫で育てやすく、花付きも良いため初心者に特におすすめです。
半つる性で枝の扱いがしやすく、フェンスに誘引して仕立てるほか、鉢植えにもできるのでベランダでも育てられます。四季咲き性の大輪のバラなので、庭やベランダを彩る華やかなアクセントになるでしょう。
ナエマ
柔らかなソフトピンクの花が咲く、見た目もエレガントな品種です。つる性なので、パーゴラやアーチに絡ませて庭をコーディネートすると素敵でしょう。四季咲き性でたくさんの花が咲き、甘く爽やかな香りが強いのも魅力です。
丈夫で育てやすく、長い期間花が楽しめるので、バラを初めて育てるという方にもぴったりです。
ラ・マリエ
「花嫁」を意味する名前を持ち、幾重にも重なるウエディングドレスのような花びらが特徴的なバラです。四季咲き性で、春は桜色、秋にはライラックが入ったピンク色と、花色の変化が楽しめるのも魅力です。
樹高は約1mほどと大きくならないため、鉢植えにも適しています。ボリュームのある花びらと、フレッシュな香りの両方が楽しめるバラです。
アンナプルナ
上品で清純なシルキーホワイトの花を咲かせる、フランスでも人気の高いバラです。凛とした綺麗な花形だけでなく、強く香る爽やかな香りも特徴的です。
木立ち性で四季咲き性なので、地植えでも鉢植えでも育てやすく、1年に何度も素敵な花が見られるのも嬉しいポイントです。
アレゴリー
ワインレッドのような濃い赤紫色の花が美しいバラです。花びらがくしゅくしゅと集まったロゼット咲きなので、ボリューム感があり庭植えにしても鉢植えにしても見栄えがします。
ダマスクの香りが強く、四季咲き性で花付きも良いので、バラを育てる魅力を存分に味わえるでしょう。
ガーデンローズ(バラ)を上手に育てて庭を可憐に彩ろう!
エレガントで美しいバラは、自宅の庭でも育てることができます。ガーデンローズはたくさんの品種があるので、好みのバラがきっと見つかるはずです。
選ぶときのポイントは、鉢植えにしたいのか、アーチに絡ませたいのかなど、どんな風に育てるかを決めることです。目的に合った性質のバラを選び、環境や時期に適した苗を選びましょう。
上手に育てるコツは、適切な肥料やりと定期的な剪定です。日頃からバラの状態をよく確認して行うことで、花付きが良くなり何度も花を咲かせてくれるでしょう。こまめな花がら摘みや切り戻しをして、丁寧に育てましょう。
庭でバラを育てることは、庭を美しい花や香りで彩るだけでなく、切り花にしたりドライフラワーやリースにしたりなど、暮らしの楽しみが増えるのも魅力のひとつです。
庭を可憐に彩るガーデンローズを上手に育てて、バラのある生活を楽しみましょう。