すくすくと育つシマトネリコは庭木として人気が高く、その大きさからシンボルツリーにもぴったりです。規則的に並ぶ小さな葉も美しく、初心者でも育てやすいのが魅力でしょう。今回は、そんなシマトネリコの特徴や、大きく成長させるための育て方などをご紹介します。
シマトネリコの基本情報や特徴
存在感抜群の立ち姿と、美しい緑の葉が魅力的なシマトネリコは、ぜひ庭木や鉢植えとして取り入れて家のアクセントにしてほしい植物です。
まずはシマトネリコのことを知るために、特徴など基本情報をチェックしてみましょう。
成長が早くシンボルツリーとして人気
シマトネリコは、タイワンシオジとも呼ばれるモクセイ科の植物です。中国やフィリピン、インドなどに分布し、日本では沖縄に自生しています。
丈夫で成長が早いことから初心者でも育てやすく、庭に地植えしたり大型の鉢植えにしたりと、シンボルツリーとして人気です。
ショッピングモールやおしゃれなカフェの店先などでも、飾られているのをよく見かけます。
高木のなかで、シマトネリコのような美しい葉を持つものは少ないでしょう。また、形も整えやすいので他の植物と寄せ植えせずに、独立させて育てるのがおすすめです。
半常緑性で寒さに弱い
シマトネリコは、緑の美しい葉を年中楽しむこともできる常緑樹ともいわれていますが、実際は寒さなどによって落葉することがあります。
そのため、半常緑樹と認識しておくと良いでしょう。温かい地域で自生する種類なので冬の寒さには弱く、関東以北での越冬には注意が必要です。
北風などに当たり続けると、多くの葉を落してしまうので、なるべく温かい環境で育てるようにしましょう。
雌雄異株なので花が咲くのは雌株のみ
シマトネリコは「雌雄異株」という、雌株と雄株が別株に分けられる植物です。そのため、雄株を育てていても花を咲かせることはできません。
雌株の場合は5〜6月頃に小さな白い花を咲かせます。その後、夏が終わる頃から秋にかけて鈴なりの実をつけるでしょう。
シマトネリコはモクセイ科なので、花からはキンモクセイと似た良い香りがするのが特徴です。
シマトネリコの花言葉
シマトネリコの花言葉には、「偉大」「荘厳」「高潔」「思慮分別」「服従」など神々しいイメージのある言葉が多いのが特徴です。
これは、北欧神話に出てくるセイヨウトネリコに由来しているといわれています。
9個の世界を繋ぐ「ユグドラシル」と呼ばれる大樹がセイヨウトネリコで、この木から最初の人類が作られたという伝説が残っているそうです。
シマトネリコの名前の由来
シマトネリコの「シマ」は沖縄のことを指していて、「沖縄」の「トネリコ」という意味です。「トリネコ」の由来については、2つの説があるといわれています。
1つ目は、枝や樹皮につくカイガラムシの分泌物、「白蝋(トネリ)」を練ると滑りが良くなるので、昔は敷居などに塗る習慣がありました。
これを「トヌリキ(戸塗り木)」と呼んでいて、現代にいたるまでになまったという説です。
2つ目は、写径に使うため、樹皮を煮詰めて墨を混ぜて練った「トモネリコ(共練り濃)」がなまったという説です。
シマトネリコの正しい育て方!大きく成長させるためのポイントをチェック
それでは実際に、シマトネリコの育て方をチェックしてみましょう。
比較的丈夫なので育てやすく、ポイントを押さえれば初心者でも健康的に大きく成長させられます。
シマトネリコの選び方
シマトネリコはホームセンターや通販などでも販売されていて、気軽に購入できます。
まずは、複数の幹からなっている「株立ち」か、幹が1本だけの「単幹」かを選んでください。
この2種類は立ち姿が異なり、庭で大きく育てたいという場合は「株立ち」がおすすめで、部屋の中で楽しみたいなら「単幹」の方が育てやすいでしょう。
次に置く場所に合わせたサイズを選びます。
シマトネリコは机の上などでも楽しみやすい20cm前後のものから、自分の背丈よりも高い2m近いものと、幅広いサイズが揃っています。
大きくなるほど値段も上がるので、財布と相談しながら決めましょう。
実際に店舗で選ぶ場合は、虫がついていないか、葉の色が黄色くなっていないかなど、株の健康面もしっかりチェックしてください。
用土や肥料について
シマトネリコを育てる用土は、水はけの良いものにしましょう。自分で配合するなら、赤玉土2:腐葉土1程度がおすすめです。
肥料がなくても元気に育てられますが、より大きくしたい場合は適度に与えましょう。
地植えの場合、有機質肥料を元肥として2月頃に株本に与えてください。
鉢植えなら4月~10月までの間、2~3ヶ月に1回のペースで緩効性の化成肥料を与えましょう。
最適な栽培場所
シマトネリコは庭などの屋外で育てるのが人気ですが、鉢植えにして屋内で育てることも可能です。
それぞれの環境の整え方をチェックしてみましょう。
屋外の場合
シマトネリコは寒さに大変弱く、-5℃を下回ると枯れることがあるので注意してください。
関東より以西の地域なら、季節を気にせずに屋外で育てることができるでしょう。日光をとても好むので日当たりの良い場所に植え付けしたいですが、半日陰でも育ちます。
植え付けの時期は、3月中旬~4月頃がおすすめです。
屋内の場合
鉢植えとして屋内で育てる場合は、冬の寒さを気にしなくて良いので越冬しやすいでしょう。
それでも日当たりの良い窓際に置くようにすると、葉を落としにくくなります。
窓際に置く際注意したいのは、夏場の直射日光です。強い日差しに当たり続けると、葉が黒く変色してしまう“葉焼け”を起こします。
一度葉焼けを起こすと、黒くなった葉の色は元に戻らず、見栄えが良くありません。窓にはレースのカーテンをするなどして、直射日光が入らないよう工夫してみましょう。
水やりのタイミング
水やりのタイミングは、土が乾いたらたっぷりあげるようにしてください。
特に植え付けをしたばかりは、根の活着の為にもこまめに水やりをするのがおすすめです。
また、夏場などもすぐに土が乾くので、水やりを怠らないようにしてください。
地植えの場合は、2年ほど経過したら雨水だけでも成長できるようになるので、水やりの必要はありません。
シマトネリコをかっこよく仕立てる
シマトネリコは幹や枝をぐんぐん伸ばし、葉もよく茂ります。そのため、しっかりとイメージを持って仕立てないと、収拾がつかなくなります。
株立ちと単幹どちらを選んだかでも仕立て方が異なるので、おすすめの仕立て方を見てみましょう。
株立ち
迫力が出る株立ちは人気が高く、値段も高い傾向にあります。
株立ちは幹が1本1本細いのが特徴で、全体的に枝葉のボリュームが出るのが特徴です。特に存在感を出したいというときにおすすめで、庭のシンボルツリーにする方が多いようです。
地植えの際は大きくなることを想定し、しっかりとスペースを確保しておきましょう。
また、定期的に余分な枝葉をカットし、庭に合ったサイズに仕立てることが重要です。葉も多すぎると病害虫の心配が高くなるので、適度な隙間を意識しましょう。
足元の下枝は切り落として、株を見せるようにするデザインがおすすめです。
単幹
単幹は栄養が1株に集中するので、太く大きく育つのが特徴です。成長スピードも株立ちより早いので、幹の上部が茂りやすいでしょう。
大きくしたくない場合は、数年に1度高さが出ている部分を切り落として、コントロールする必要があります。
スラッと伸びた姿が魅力でもあるので、短くしすぎないよう注意してください。
シマトネリコは剪定が大切
シマトネリコは見栄えを整えるだけでなく、より健康に育てるためにも適度な剪定が必要です。
茂りすぎた枝葉を間引くことで、樹形が整うのとあわせて病害虫から守ることもできます。
剪定をするタイミングは11~3月頃が適期で、芽吹く前に行うようにしましょう。
剪定のポイントは、バランスよく見える最低限の幹だけを残すようにして、向こう側が透ける程度の軽さに整えることです。
シマトネリコは中側が茂りすぎていると、特有の清涼感が出ないので、年に1回程度は全体のバランスを見て剪定してください。
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シマトネリコのトラブル対処法
シマトネリコを育てる上で、起こりやすいトラブルと対処法をご紹介します。
気をつけたい病害虫
シマトネリコは病害虫の被害にあいにく種類なので、そこまで神経質にならなくても大丈夫でしょう。
気をつけたいのはハダニやアブラムシ、カイガラムシ、イモムシなどの害虫です。
アブラムシやカイガラムシなどの排泄物から、すす病になる可能性もあるので見つけたら殺虫剤などで駆除しましょう。
また、これらの害虫は風通しの悪い環境を好むので、適度な剪定が重要になってきます。
葉が落ちる原因は?
シマトネリコは半常緑性なので、葉を落してしまうことは珍しくありません。
主な原因としては、冬の寒さに耐えられなかった場合や、日光が足りなかった場合でしょう。
葉が落ちても翌春には新芽がたくさん顔をのぞかせるので、そこまで心配する必要はありません。
鉢植えで葉を落す場合は、根詰まりの可能性があります。その場合は一回り大きい鉢への植え替えが必要なので対処しましょう。
花が咲かない原因は?
雄株の場合、どれだけ成長させても花は咲きません。
雌株なのに花が咲かないのは、6~7月に剪定を行ってしまったことが大きな原因です。
その時期はちょうど花が咲く直前なので、切り落とすとその年は花が咲きません。花を咲かせたくないという場合には、この時期に剪定するのがおすすめです。
シマトネリコを鉢植えで育てるなら植え替えが必要
地植えの場合はそのままどんどん大きくできますが、鉢植えの場合は1〜3年に1回のペースで植え替えが必要です。
成長が早いため、根が伸びすぎて鉢の中で詰まっていることがあります。その場合根腐れの原因となり枯らしてしまうこともあるので注意しましょう。
- 一回り大きな鉢(大きくしたくないなら同じサイズの鉢)
- 鉢底ネット
- 観葉植物用の培養土
- 鉢底石
手順
- 植え替えをする少し前から水やりを控え、土をよく乾かしておく
- 新しい鉢の底に、鉢底ネットと鉢底石を入れ、鉢の1/3ほどまで培養土を入れる
- 古い鉢から、シマトネリコを優しく引き抜く
- 根を揉みほぐして軽く土を落とす
- 根の状態をチェックし、黒ずんでいるものはカットする(シマトネリコを大きくしたくない場合は、全体の根の1/3ほどをカットしておく)
- シマトネリコを新しい鉢へ移し、鉢の淵から5cm下くらいまで培養土を入れる
- シマトネリコがぐらつかないよう、しっかりと固定したら水やりをして完了
シマトネリコの増やし方は簡単
シマトネリコは、「種まき」や「挿し木」で簡単に増やすことができます。それぞれの方法をチェックしてみましょう。
種まきでの増やし方
花が咲いた後、10月頃に茶色くなった実から種を取りだしましょう。密閉容器などに入れておき、冷蔵庫で保管するとより鮮度が保たれます。
その種を翌年の4月に用土に植え、水やりをしていくと芽を出します。
種が地面に落ちたまま春を迎えると、勝手に発芽する場合もあるので、適切な場所でない場合は早めに抜き取るようにしてください。
挿し木での増やし方
シマトネリコの挿し木は、生育が盛んな6~7月が適期です。
まず、枝を10cmほどカットして挿し穂を作ります。剪定で出た枝を使用しても問題ありませんが、春に芽吹いたばかりのまだ緑色のものがおすすめです。
その挿し穂を、培養土を入れた鉢に挿し、たっぷりと水やりをします。挿し木後は直射日光を避けた明るい場所に置き、なるべく高い湿度を保ちましょう。
水切れしないよう、こまめな水やりが大切です。しっかりと根が張ったら、庭や新しい鉢に植え付けをしてください。
シマトネリコの挿し木はなかなか根付きが悪いので、一度に複数本試してみて、準長に育ったものを厳選していくのがおすすめです。
シマトネリコの育て方は簡単!大きくしてシンボルツリーにしよう
シマトネリコは丈夫で病害虫にも強く、初心者でも育てやすい種類です。
成長スピードが速いので育てている実感も沸きやすく、存在感もあるので広いスペースに置くのにぴったりです。
庭に地植えすれば、高さを生かした存在感のあるシンボルツリーとして活躍しますし、鉢植えでも高さをコントロールすれば、室内で楽しめる美しいインテリアにすることができます。
寒さが苦手なのが弱点なので、冬の時期は注意して管理しましょう。それ以外は特に難しい育て方はないので、剪定や鉢植えのポイントを押さえて、大きく成長させてみてください。
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