サンスベリアは、ツンツンとした葉がスタイリッシュな雰囲気の観葉植物です。葉の形や模様を鑑賞するのが主な楽しみ方ですが、上手に育てれば香りの良い花を咲かせてくれるのを知っていますか?サンスベリアの花の咲かせ方や、どんな花が咲くのかをご紹介します。
サンスベリアの基本の育て方については、こちらの記事をご覧ください。
サンスベリアとは
サンスベリアは、アフリカやアジアなどの乾燥地帯を原産とする観葉植物です。
上向きの剣状の葉や細長い棒状の葉、扇形の葉など、品種によって特徴的な葉の形を楽しめるのが魅力で、おしゃれなインテリアグリーンとして素敵な空間を演出してくれます。
肉厚な葉に水を蓄えられるので乾燥にとても強く、多肉植物に分類されることもあります。
あまり手間をかけなくても元気に育つため、初心者や忙しい人にもおすすめの植物です。
また、サンスベリアは空気清浄作用が比較的高いことでも知られており、空気中のホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着してくれるメリットもあります。
鑑賞したり育てたりする楽しみだけでなく、空気をきれいにする働きもあるサンスベリアは、まさに魅力に溢れた植物と言えます。
サンスベリアの花が咲くのは珍しい!色や匂いは?
「サンスベリアに花が咲くのを知らなかった!」という人も多いかもしれませんが、実際、サンスベリアが開花するのは数年に一度といわれており、とても珍しいです。
サンスベリアにはどのような花が咲くのか、色や形、匂いなどの特徴をご紹介します。
花の形・色
サンスベリアは、葉の根元付近から花芽を長く伸ばし、白やクリーム色のたくさんの小花を咲かせるのが特徴です。
花びらは一枚一枚が細長い形で、ユリのようにくるっと反り返って咲きます。
匂いは甘くてエキゾチック
サンスベリアの花の匂いは、ユリやジャスミンを連想させるような、甘くてエキゾチックな香りです。
人によっては、バナナのような芳香を感じることもあるようで、室内に置いておくと甘くて良い香りが漂ってきます。
自生地においては、この甘い香りによって花粉を運ぶ昆虫を引き寄せ、受粉を促していたと考えられています。
開花時期は春~夏
サンスベリアの花は、休眠明けの春頃から夏にかけて咲くのが一般的です。
ただし、開花時期は管理温度によっても異なり、なかには「冬に咲いた」というケースもあります。
花が咲く時間帯は夕方~夜
サンスベリアの花は夜行性で、夕方頃から夜にかけて開花し、朝になると花びらを閉じるのが特徴です。
サンスベリアが自生している熱帯や亜熱帯の地域では、昆虫は暑さの厳しい日中はほとんど活動せず、夜になって気温が下がると活動し始めます。
そのため、熱帯・亜熱帯に自生する植物の多くは、花粉を運ぶ昆虫の活動時間帯である夜に開花するという性質を持っています。
なお、花の甘い香りが漂うのも、開花している夕方~夜の時間帯のみです。
サンスベリアの花言葉
サンスベリアの花言葉は、「永久」「不滅」などです。
この花言葉は、サンスベリアの別名である「チトセラン」に由来するもので、チトセ = 千歳という長い年月を表す名前にちなんで付けられました。
縁起の良い花言葉なので、結婚や引っ越し、開店祝い、長寿のお祝いとしてもよく贈られます。
サンスベリアの花が咲くのは珍しいことから、不吉なイメージを持たれてしまうこともありますが、実際はそんなことは決してありません。
むしろ、花が咲くのはサンスベリアを上手に育てているからであり、数年に一度といわれる開花が見られるのはとても幸運なことです。
花言葉もポジティブで縁起が良いので、サンスベリアの花が咲いても不安に思う必要はありません。
サンスベリアの花を咲かせる育て方のポイント
珍しいサンスベリアの花を咲かせるには、株を大きく生育させることが重要です。
「長く育てているサンスベリアに花が付いた」というケースをよく耳にしますが、長い年月をかけてある程度株が大きくなれば、それだけ花が咲きやすくなるためです。
それでは、サンスベリアの株を大きく育てるためのポイントを見ていきましょう。
日当たり
熱帯などの乾燥地を原産とするサンスベリアは、耐暑性が強く日光を好みます。春から秋はできれば屋外で管理して、しっかりと日に当てるのがおすすめです。
日光をたっぷり浴びさせることで丈夫な株に育ち、花が咲きやすくなります。
ただし、真夏の直射日光や西日などの強い日差しは、葉焼けの原因になるので避けましょう。
室内で育てる場合は、レースカーテン越しに光が届く明るい日陰で管理するのがおすすめです。
また、サンスベリアは寒さに弱いので、冬の間は基本的に室内で管理します。サンスベリアを置いている場所の温度が10℃以下にならないよう注意してください。
特に、窓際で管理している場合、夜間は0℃を下回ることもあります。日が暮れたら、寒さをしのぎやすい場所に移動させるなどの対策を取りましょう。
水やり
サンスベリアは多肉質な葉に水分を蓄えられるので、水やりは控えめにして乾かし気味に管理するのがポイントです。
水やりを頻繁に行うと、根腐れして枯れてしまうので注意しましょう。
春から秋は、鉢土がしっかりと乾いてから水やりをします。鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えるようにしましょう。
水をたっぷりあげることで、鉢内の空気の入れ替えにもなります。
受け皿に溜まった水は、根腐れやコバエ発生の原因になるので必ず捨てるようにしてください。
冬は休眠期にあたるので、水やりはほとんど必要ありません。特に、10℃を下回る環境ではサンスベリアの成長がいったん止まるので、断水してOKです。
ただし、10℃以上の温度を保てる場所で管理していると、休眠しないケースもあります。その場合は、冬場でも様子を見ながら、1~2ヶ月に1回程度の頻度で水やりを行いましょう。
肥料
肥料はサンスベリアの生育期である春から秋の時期に与えます。緩効性の置き肥を1ヶ月に1回程度、または液肥を2週間に1回程度与えるようにしましょう。
肥料を与えることで株が丈夫に育つため、花が付きやすくなります。
休眠状態になる冬は肥料を与える必要はありません。
植え替え
サンスベリアは根がよく成長する植物です。品種にもよりますが、2年ほどで鉢いっぱいに根が回り、場合によっては鉢が割れてしまうこともあります。
そのため、1~2年に1回は植え替えを行い、根がすくすくと成長できる環境を整えてあげましょう。
植え替えの適期である5月~9月に、一回りほど大きい鉢に植え替えてください。
鉢のサイズが大きすぎると、根の張り方が薄くなって株が貧弱になってしまうので気を付けましょう。
増やし方
サンスベリアの増やし方には「株分け」と「葉挿し」の2種類の方法がありますが、花を咲かせるためには株を大きく育てる必要があるので、株分けはしないようにしましょう。
サンスベリアを増やしたい場合には、ぜひ葉挿しにチャレンジしてみてください。
虫がついてしまった場合の対処法
サンスベリアは害虫被害にあいにくい植物ですが、長く育てていると虫がついてしまうこともあります。
サンスベリアにつきやすい虫は、主に、ハダニ・カイガラムシ・アブラムシです。
それぞれ次の方法で予防・駆除が可能です。
- ハダニ
- カイガラムシ
- アブラムシ
サンスベリアにつく代表的な害虫です。水に弱いため、定期的に葉水をすることで予防できます。葉の裏側に住みつくので、葉裏までしっかりと水を吹きかけてあげてください。
もしハダニが発生してしまったら、牛乳と水を1:1で混ぜたものを吹きかけましょう。ハダニを窒息させて駆除できます。乾いたら、葉を丁寧に拭いてください。
夏場に発生しやすい害虫です。葉がべたべたしていたら、カイガラムシがついている可能性が高いので注意しましょう。
幼虫なら薬剤で駆除できますが、成虫になると体が硬い殻で覆われるため、薬剤による駆除が困難になります。成虫の場合は、歯ブラシでこすり落とすなどの方法で駆除しましょう。
植物に寄生して吸汁し、ダメージを与える害虫です。粘着テープなどを使って取り除くか、数が多い場合は市販の殺虫剤を使って駆除しましょう。
花が咲いた後のお手入れ方法
サンスベリアが開花したら、花芽を根元からハサミでカットしましょう。
「せっかく咲いたのにもったいない!」と思うかもしれませんが、花をそのまま残しておくと、種子を作るために体力を消費してしまいます。
株の負担を減らすためにも、ある程度花を鑑賞したら、早めに花芽を切り取るのがベターです。
ただし、種を採取してみたいという場合は、花をそのまま残しても構いません。
うまく受粉できていれば、花の咲いた後にオレンジ色の実がなり、その中にある種を採取できる可能性があります。
サンスベリアの花を咲かせてみよう
サンスベリアはスタイリッシュな葉を楽しめるのはもちろん、上手に育ててあげれば、やがてたくさんの小花を咲かせてくれる観葉植物です。
株がしっかりと成長するまである程度時間はかかりますが、気長に育てていれば、良い香りのするかわいらしい花が見られますよ。
今回ご紹介した育て方のポイントを参考にしながら、ぜひサンスベリアの花を咲かせてみてください。