「ベゴニアを育ててみたいが、何から手を付けるべきかわからない」「そもそも、外と室内のどちらで育てるのが良い?」そんな悩みを抱えている方に向けて、この記事では初心者向けのベゴニアの育て方をご紹介します。知っておきたい豆知識やよくあるQ&Aと一緒に見ていきましょう。
色鮮やかな花が無数に咲き誇る園芸植物「ベゴニア」
ベゴニアは色鮮やかな花が無数に咲く姿が愛らしい人気の園芸植物です。
シュウカイドウ科シュウカイドウ属に分類され、オーストラリアを除く亜熱帯地域を主な原産地としています。
ベゴニアは開花期間が長い品種が多く、また育て方も比較的簡単です。いくつかのポイントを押さえるだけで、可憐な姿を長く見せてくれますよ。
まずは、ベゴニアを育てる前に知っておくとより楽しくなる、3つの豆知識から見ていきましょう。
15,000種類を超えるほど品種が豊富
ベゴニアの最大の特徴は、15,000種類を超えるともいわれるほどに品種が豊富なことです。
それぞれ花の色や苗の伸び方がまったく異なるため、どの品種を育てようかと悩む楽しさがあります。
ベゴニアの品種は、大きく以下の4種類に分類できます。
【ベゴニアの品種別の特徴】
育て方 | 特徴 |
四季咲きベゴニア | 名前の通り「一年中咲いているのでは」と思うほど、開花期間の長い品種。春先~11月の終わりごろまで花を楽しめる。一般的に、ベゴニアといえばこの四季咲きベゴニアを指すほど有名。 (例:ベゴニア・センパフローレンス) |
木立性ベゴニア | 茎が自ら立ち上がるようにして育つ品種。豪華なシャンデリアのように、無数の花がまとまって垂れ下がるように咲く姿が美しい。 (例:リッチモンデンシス) |
球根ベゴニア | 地面の中に球根を作るタイプのベゴニア。大輪の花が咲くものが多く、「世界でもっとも美しい花」などと称されることもある。 (例:ベゴニア・サザーランディ) |
根茎性ベゴニア | ぷっくりとした茎が地下で横に伸びていくベゴニア。花よりも葉の姿を楽しむものが多く、観葉植物としても扱われている。 (例:ベゴニア・ボウエレ・ニグラマルガ) |
この記事ではもっとも有名で手に入りやすく、初心者も世話をしやすい「四季咲きベゴニア(ベゴニア・センパフローレンス)」の育て方をご紹介します。
「雌雄異花(しゆういか)」という珍しい特徴を持つ
ベゴニアの面白い特徴に「雌雄異花(しゆういか)」という性質があります。
雌雄異花とは、雌しべだけがある花「雌花(めばな)」と、雄しべだけがある花「雄花(おばな)」がそれぞれ独立して咲く性質のことです。
雌雄異花の植物はこの雌花と雄花の咲き方が違うケースがあり、ベゴニアの場合は雌花が一重咲き、雄花が八重咲きに咲く傾向にあります。
普通に育てているだけで、まるで2種類の花が咲いているかのような贅沢な見た目を楽しめるのがベゴニアの魅力です。
花言葉は「愛の告白」や「幸福な日々」など素敵な内容
そんなベゴニアの花言葉は、「愛の告白」や「幸福な日々」といった素敵な内容が揃っています。
また、ベゴニアは花の色でも花言葉が変わるとされており、代表的なものには以下が挙げられます。
- 赤:公平
- ピンク:丁寧
- 白:親切、真実
- オレンジ、黄色:繁栄
自分の気になる花言葉から、育てるベゴニアの色を決めるのも楽しいですよ。ここからは、初心者向けのベゴニアの育て方をご紹介します。
【初心者】失敗しないベゴニアの育て方
ベゴニアは繊細そうな可憐な見た目でありながら、比較的育てやすい花です。
ここでは初心者も迷わず挑戦できるように、ゼロからの手順をご紹介します。
まずは「室内」か「外」か置き場所を決める
最初に行う作業は、ベゴニアの主な置き場所(「室内」か「外」か)を決めることです。
室内でも屋外でも育てられるベゴニアは、自分の理想に合わせて置き場所を決定できます。以下を参考に好きな方を選んでみてください。
【ベゴニアの置き場所(室内・外)の特徴】
置き場所 | 特徴 |
室内 | 室内の可愛らしいインテリアとしてベゴニアを育てる方法。台風などの自然災害を避けやすく、害虫の被害にも遭いにくい。 |
外 | 庭やベランダを贅沢に飾る花としてベゴニアを育てる方法。室内よりも、土くずや花がらが落ちても気になりにくい。環境によってはのびのびと大きく育つことも。 |
外なら「鉢植え・プランター」か「地植え」かも選ぼう
もし、屋外でベゴニアを育てると決めたのなら、植え方(「鉢植え・プランター」と「地植え」)をどちらにするのかも選んでおきましょう。
鉢植え・プランターと地植えでは長所&短所が異なります。両者の特徴は以下の通りです。
【ベゴニアの植え方(「鉢植え・プランター」と「地植え」)の特徴】
置き場所 | 特徴 |
鉢植え・プランター | 植木鉢やプランターにベゴニアを植え付ける方法。場所を簡単に移動できるため、悪天候時には室内に入れるなどトラブルを避けやすい。一方で、地植えよりも小まめな世話は必要。 |
地植え | 庭の地面や花壇にベゴニアを直接植え付ける方法。普段は水やりが必要ないなど手入れが簡単。しかし、場所を移動させることができないため、トラブルへの対処は難しい。 |
手軽さ重視でベゴニアを育てたい方には地植えが、ときには室内に入れることも検討している方には鉢植え・プランターがおすすめです。
必要な道具を準備する
置き場所や植え方を決めた後は、必要な道具の準備を進めましょう。ベゴニアを育てるためには、以下の道具が必要となります。
- ベゴニアの苗もしくは種(自分の好きな色で咲くものを選べると◎)
- 遅効性肥料
- 水はけの良い土
- スコップ
- 育苗ポット(種まき時のみ。背が低めのもの)
- 受け皿(種まき時のみ)
- 植木鉢もしくはプランター(地植えでは不要)
- 鉢底ネット(地植えでは不要)
- 鉢底石(地植えでは不要)
道具はいずれも、園芸ショップや通販で簡単に手に入ります。
シーズンを見極めて「種まき」か「植え付け」をしよう
必要な道具が揃ったなら、いよいよベゴニアを育て始めましょう。
ベゴニアは種から始める「種まき」と、苗から育てる「植え付け」の2種類の方法でスタートできます。
種まき
ゼロから自分だけのベゴニアを育てられるのが種まきです。
ベゴニアの種は気温が20〜25度前後の環境で発芽します。そのため、種まきは自分の住む地域の気温も意識しつつ、2〜4月の終わりにかけて行いましょう。
ベゴニアの種まきの手順は以下の通りです。
- 育苗ポットに水はけの良い土を入れる
- 土を水で湿らせる
- 土の表面が平らになるように指でならす
- 種を重ならないようにぱらぱらと蒔く(※種に土は被せない)
- 受け皿に水を張り、育苗ポットを入れる
- 明るい日陰に置き、発芽するまで受け皿の水を小まめに取り替える
上手に育てていると、2週間ほどでベゴニアの芽が出てきます。大きめの葉が2〜3枚まで生えた後は、次の植え付けを行いましょう。
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植え付け
種まきしたベゴニアがある程度育った、あるいは園芸ショップなどで苗を手に入れた後は、植え付けを行いましょう。
ベゴニアの植え付けは真夏を避けて行います。4〜7月、もしくは9〜10月ごろに以下の手順で行いましょう。
- 新しい鉢の底に鉢底ネットを敷く
- ネットが隠れる程度にまで鉢底石を入れる
- 遅効性肥料を混ぜ込んだ土を、鉢の3割ほどまで入れる
- 現在の鉢からそっとベゴニアを取り出す
- 新しい鉢にベゴニアを植え付け、残りの土を入れる(鉢の上から3cmほどまで)
- 一度たっぷりと水をやり、ベゴニアを土の中に固定してあげれば完了!
なお、ベゴニアを地植えする場合は、以下の通り少し手順が簡単になります。
- 風通しが良く、夏の西日が当たらない半日陰を探す
- 見つけた場所(花壇など)の土を20cmほどスコップで掘る
- 遅効性肥料を混ぜた水はけの良い土を穴に軽く入れる
- 現在の鉢からベゴニアの苗を取り出し、優しく植え付ける
- 残りの土を入れて、一度たっぷりと水やりをしてあげれば完了!
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置き場所は風通しと日当たりの良いスペースが◎
鉢・プランターに植え終えたベゴニアは、風通しと日当たりの良いスペースに置きましょう。
ポイントとして、ベゴニアは強い直射日光は苦手ですが、日光が不足すると花が綺麗に咲きません。
室内ならレースのカーテン越しに日が当たるスペースに、外の場合は明るい日陰に置くのがおすすめです。
水やりは土の表面が乾いてから
植え付けが完了した後は、水やりなどの日々のお世話を進めます。
ベゴニアは加湿状態を嫌うため、鉢植え・プランターで育てる場合の水やりは、土が完全に乾いているのを確認してから行います。
水の量自体は、鉢底からたっぷりと流れ出るほど与えて大丈夫です。
地植えの場合は、普段は水やりをする必要はありません。真夏に猛暑日が続くなど、乾燥気味なときのみたっぷりと水を与えてあげましょう。
ベゴニアの花を綺麗に咲かせるためのポイント
続いて、ベゴニアの花を綺麗に咲かせるためのポイントもご紹介します。大切なのは、以下の4点です。
- 適量の肥料
- 害虫対策
- 病気予防
- 「剪定(切り戻し)」と「花がら摘み」
適量の肥料を与えよう
ベゴニアは肥料を与えることで、色鮮やかな花を咲かせてくれます。
5〜10月の間は、2週間に一度のペースで液体肥料を与えましょう。ただし、気温が30度を超えるような真夏は、一時的に肥料を中断してください。
ちなみに、綺麗な花が見たいからといって多めに肥料を与えるのはNGです。過度な肥料はベゴニアを枯らす原因になるため、必ず用法・用量を守ってくださいね。
「ハダニ」などの害虫への対策が必要
可憐なベゴニアは、害虫への対策をしておきたい花でもあります。特に注意をしておきたい害虫は、ハダニとアブラムシです。
- ハダニ
- アブラムシ
植物の葉から栄養を吸う害虫。吸われた葉は色素が抜けてしまう。放置すると大量繁殖する。
同じく植物から汁を吸う害虫。こちらも大量繁殖するほか、甘い排泄物を出してほかの害虫も呼び寄せる
これらの害虫は、風通しの良い場所にベゴニアの苗を置くと発生を防ぎやすくなります。
また、1日1回ほどのペースで「葉水(葉の両面に霧吹きで水を吹きかけるケア)」をしてあげるとより効果的です。
「うどんこ病」などの病気の予防も大切
ベゴニアは害虫の対策とともに、病気の予防をしておきたい花でもあります。特に注意が必要なのは、うどんこ病と灰色カビ病です。
- うどんこ病
- 灰色カビ病
うどん粉をまぶしたかのように葉が白く染まる病気。カビが原因で健康な部分にうつる
葉が褐色や灰褐色に変色し、やがては腐ってしまう病気。こちらもカビが原因でうつる
病気の予防では、害虫対策と同様に風通しの良い場所に置くことが大切です。万が一、異変のある葉を見つけた際には、速やかに根元から切り取って除去してあげましょう。
「剪定(切り戻し)」と「花がら摘み」にも挑戦できると◎
そのほか、ベゴニアを育てることに慣れてきた方は「剪定(切り戻し)」と「花がら摘み」にも挑戦してみてください。
切り戻しと花がら摘みを行うと、ベゴニアはより元気に美しい花を咲かせてくれます。
剪定(切り戻し)
ベゴニアの苦手な加湿状態を避けるために行うのが、剪定(切り戻し)です。
生育が旺盛なベゴニアは、放置するとあっという間に葉が密集します。樹形も崩れやすくなるため、ときどきは切り戻しをしてあげましょう。
ベゴニアの切り戻しは、真夏を避けた5月中旬〜10月の頭ごろに以下の手順で行います。
【ベゴニアの剪定(切り戻し)の方法】
- STEP1:ベゴニアの苗の全体を眺め、葉が過度に密集している場所を見つける
- STEP2:邪魔になっている茎をたどり、脇芽を見つける
- STEP3:脇芽の上の辺りに狙いを定め、剪定ばさみで切り取る(脇芽を苗に残す)
- STEP4:同じようにカットを進め、全体の印象を自分好みに整えていく
脇芽を苗に残しながら切ることで、再び花や葉が付きやすくなります。
なお、じわじわと剪定ばさみに力を込めると切り損じをしやすくなるため、切ると決めたときには思い切り良くカットしてあげてくださいね。
花がら摘み
これから咲くつぼみに栄養を集中させてあげられるのが、花がら摘みです。花がら摘みとは、咲き終わった花を人為的に取り除く手入れを指します。
ベゴニアの花がら摘みの方法は簡単で、終わった花(咲いた後に萎んだ花)の根元を剪定ばさみで切り落とすのみです。
なお、ベゴニアの根元に自然に落ちている花がらも一緒に拾って捨ててあげてください。放置すると病気の原因になることがあります。
ベゴニアは2年に一度は植え替えをしてあげたい植物
鉢植え・プランターでベゴニアを育てる場合、2年に一度ほどのペースで植え替えをしてあげられると◎です。
植え替えを怠ると、鉢の中でベゴニアの根が伸びるスペースがなくなり、根腐れを起こしてしまいます。
植え替えの時期は春か秋がおすすめ
ベゴニアの植え替えは真夏を避け、5〜6月や9〜10月ごろに行います。
なお、ベゴニアは寒さの厳しい地域では一年草として割り切って楽しまれることもあります。一年草扱いとする場合は、植え替えは不要です。
必要な道具と手順
ベゴニアの植え替えに必要な道具と手順は以下の通りです。
- 遅効性肥料
- 水はけの良い土
- 植木鉢もしくはプランター
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 植え付けと同様の手順で新しい鉢の準備をする
- 現在の鉢から優しくベゴニアを取り出す
- 根に付いている土を軽く落とし、変色している根を剪定ばさみで取り除く
- 新しい鉢に植え付け、残りの土を入れる
- 一度たっぷりと水やりを行い、土の中でベゴニアを固定してあげれば完了!
植え付けと流れはほとんど同じですが、根の悪い部分を取り除く作業が加わります。
数を増やしたいなら「挿し木」が◎
もし、ベゴニアの数を増やしたいのであれば、挿し木を行いましょう。挿し木とは、苗の一部を切り取って新しい苗として育てる園芸手法です。
ベゴニアの挿し木は4〜6月か9〜10月ごろに、以下の手順で行います。
- 苗を眺め、特に元気の良さそうな茎を見つける
- 先端から20cmほどの長さで切り取り、葉を3枚ほどだけ残して取り除く
- 残した3枚の葉をそれぞれ横に半分の大きさに切る
- 切り口(葉ではなく茎の)を水に漬け、2~3時間ほど放置する
- 切り口に発根剤を塗り、挿し木用の土に挿す
- 日陰に置いて乾燥しないように水やりを続ける
ベゴニアの育て方でよくあるQ&A
最後に、ベゴニアの育て方に関するQ&Aをご紹介します。
冬越しはできる?
ベゴニアは一年草としても扱われる花ですが、室内では冬越しができます。
気温が7度を下回る時期よりも前に室内へ取り込み、窓際(レースのカーテン越しに日が当たる場所)に置いてあげましょう。
なお、エアコンの風を直接当ててしまわないように気を付けてくださいね。
どの品種が一番おすすめ?
前述の通り、ベゴニアは15,000種類を超えるともいわれるほど品種が豊富な花です。
品種は大きく4タイプに分かれており、「四季咲きベゴニア(特にベゴニア・センパフローレンス)」がもっとも育てやすくおすすめです。
まずは四季咲きベゴニアを育ててみて、来年は違うベゴニアを…なんて毎年違う品種に挑戦するのも楽しいですよ。
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ベゴニアの育て方を知って美しい花を鑑賞しよう
この記事ではベゴニアの育て方について、重要ポイントや知っておきたい特徴、よくあるQ&Aをご紹介しました。
ベゴニアは繊細な見た目をしていますが、日当たりや水やりなどのポイントさえ押さえれば、初心者でも綺麗に咲かせられます。
ご紹介した内容を参考に、ぜひ美しい姿を楽しんでくださいね。