観葉植物の手入れのひとつである剪定は、元気に育てるために大切な作業です。これから観葉植物を購入する人や育て始めたばかりの人にとっては、どのような作業かピンとこないかもしれません。この記事では、剪定の仕方やポイント、主な観葉植物の剪定例まで詳しく解説します。
観葉植物の剪定とは
観葉植物の剪定とはどのような手入れかを押さえていきましょう。剪定が必要な理由や時期などを詳しく解説します。
必要な理由
剪定とは、植物の枝を切って整える作業です。枝を伸ばしっぱなしにしていると見栄えが悪くなるので、定期的に剪定をする必要があります。
伸びた枝がそのままになっていると、風通しが悪くなり、害虫や病気が発生するおそれもあるのです。剪定によって枝と枝の間がすっきりすると、蒸れを解消でき、観葉植物のトラブルを未然に回避できます。
時期
剪定をする時期は、観葉植物が成長する春から夏にかけてがベストです。枝を切っても成長が続いているので、新芽が出やすくなります。
成長が止まる冬に剪定をすると、寒さで新芽が出ない場合があるので、この時期の作業は控えましょう。
作業に適した天気と時間帯
剪定する日は、なるべく晴れた日の午前中がおすすめです。
比較的乾燥していることが多く、切り口に湿気が付着して病気や害虫などのトラブルが起きるリスクを避けられます。
観葉植物の剪定の仕方
観葉植物の剪定の仕方は、いくつか方法があります。ここでは、4つの方法を解説しますので、植物の状態に合わせて正しく剪定していきましょう。
成長点を避けて枝を切る
観葉植物には、新芽が出てくる成長点という箇所があります。幹が小さく突起しているので、確認してみましょう。
成長点を取り除いてしまうと、新芽が出なくなる場合があります。剪定をするときは、成長点を残して枝を切るのがポイントです。
バランスを考慮する
剪定をするときは、観葉植物の全体のバランスを意識しましょう。一部を切りすぎたり、残しすぎたりすると、不格好になってしまいます。
全体のシルエットを考えて剪定を行うと、すっきりとキレイにまとまった姿になるでしょう。植物の種類によっては、シルエットを丸くしておしゃれに整えるのもおすすめです。
切り戻しをする
切り戻しとは、形が乱れてきたり、花が少なくなってきたりしたときに、すべての枝を思い切って切る剪定の方法です。
一度寂しい状態になりますが、1ヶ月ほど経過すると、切り戻し前よりも多くの花が付いたり、形が整ったりします。
注意点は、株元に葉がある状態で行うことです。葉がないと新芽が出てこないため、枯れてしまいます。
茶色になった葉先を切る
観葉植物が新芽を出そうとしたり、株を大きくしようとしたりする際にエネルギーを使い切ってしまうと、葉の先まで栄養が届かない場合があります。
このとき葉先が茶色くなるので、茶色の部分をハサミで切るのがおすすめです。茶色になったところがなくなり、全体が緑に統一されるので、見栄えが良くなります。
観葉植物の剪定で気をつけるポイント
観葉植物の剪定は、少なからず植物に負担がかかるので、いくつか気を付けるポイントがあります。適切な準備をし、植物を労わりながら剪定を進めましょう。
消毒したハサミを使う
剪定をするときは、園芸用のハサミを使用し、しっかりと消毒しましょう。消毒をしないと、ハサミに付着した細菌がトラブルの原因になるかもしれません。
ハサミを火であぶるなど、できるだけ清潔なハサミで枝や葉を切りましょう。
手袋を付けて作業する
ハサミだけではなく、手に細菌が付いていることもあります。手をしっかり洗うことと合わせて、手袋を付けるとトラブルの予防に効果的です。
手元が動かしやすいように、軍手よりもゴム手袋を着用すると良いでしょう。
切り口に癒合剤を塗るのがおすすめ
剪定した後の切り口は、人間でいうところの傷口です。ハサミや手を清潔していても切り口から細菌が入ることもあるので、癒合剤を塗りましょう。
癒合剤は植物に塗る軟膏のような薬剤で、切り口の乾燥や湿気の付着などを防いでくれます。
観葉植物の剪定で切った枝を使った増やし方
観葉植物の剪定で切った枝はそのまま捨てるのもありですが、せっかくなら育ててみませんか?上手に扱えば、枝から新しい株を育てられます。ここでは、2つの増やし方と手順を解説します。
水挿し
水挿しとは、切った枝を水につけて発根を促す方法です。上手くいくと、1週間ほどで小さな根が出てきて、1ヶ月ほどで土に植えられるほど根の数や長さが充実してきます。
根がしっかり出たら、新しい土に植え付けて、通常通り育てると、株を増やすことができるのです。
枝をつける水は、数日ごとに入れ替えましょう。キレイな状態を保つと、根が出やすくなります。
取り木
取り木とは、幹に途中から発根させる方法です。取り木をするときは、以下のアイテムを揃えましょう。
- 水苔(水分を含ませておく)
- 小さめのビニールポット(切れ込みを入れておく)
- ホッチキス
- カッター
- ゴム手袋
必要なアイテムを用意したら、以下の手順で作業を行います。
- 切り取りたい枝の樹皮をはがす
- 樹皮がはがれた部分に水苔を巻く
- 水苔を包むようにビニールポットをかぶせる
- ビニールポットの上下をホッチキスなどで止める
イメージとしては、枝にビニールポットを取り付ける感覚です。1ヶ月ほど経過し、上手く樹皮から発根していると、水苔の周りに根が回っています。
根が出ているすぐ下から枝を切り取り、土に植え替えれば、新しい株を育てることができますよ。
主な観葉植物の剪定方法
観葉植物の種類によって成長の仕方や性質などが異なるので、剪定方法が変わることもあります。ここでは、人気の観葉植物の剪定方法をご紹介します。もし自宅にある植物でしたら、そのまま剪定の参考にしてください。
ゴムの木
ゴムの木の剪定は、3~6月、9~10月頃に行うのがおすすめです。枯れている葉や枝、重なっている枝などを優先して、剪定していきましょう。
ゴムの木の切り口からは白い樹液が出てきます。素手で触れてしまうとかぶれるおそれがあるので、手袋をつけ作業しましょう。
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ウンベラータ
ウンベラータは、成長速度が早いため、手入れを怠ると樹形が乱れてしまいます。葉が増えすぎると、風通しが悪くなったり、株に負担がかかったりするので、定期的な剪定が必要です。
4~9月頃に、成長点を避けて枝を切りましょう。成長点の上から新芽が伸びてくるので、どこから枝が増えていくかをイメージしながら剪定すると、全体のバランスを整えられます。
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ガジュマル
ガジュマルを剪定する時期は、5~6月がおすすめです。生育期の4~9月の中でも、真夏を避けられて、再び成長する時間を確保できます。
基本的には、徒長した枝葉や密集した枝葉を剪定しましょう。7月に入る前に、思い切って切り戻しをすることも可能です。
ゴムの木と同様に、切り口から白い樹液が出てきます。必ずゴム手袋をはめて作業を行いましょう。
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パキラ
パキラは、小ぶりなサイズのものもありますが、基本的には大きく成長する観葉植物です。放っておくと枝葉が不揃いになったり、風通しが悪くなったりするので、こまめな剪定が必要になります。
剪定を行う時期は、真夏に入る前の5~6月がおすすめです。枝葉が密集して風通しの悪い場所や徒長した枝葉から切っていきましょう。
生命力が強いので、生育期であれば一度丸坊主にしても、新芽を伸ばしてくれます。
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モンステラ
モンステラは、一つひとつの葉が大きく成長します。葉が大きくなりすぎて邪魔になっているときや古くなってきたときに剪定を行いましょう。
切り取った枝は、土や水に入れると増やすことができます。
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観葉植物を剪定した後の育て方
観葉植物を剪定した後は、気を抜かずにしっかり手入れしましょう。正しく手入れすれば、また元気に育ってくれます。どれも基本的な手入れですので、忘れずに実践しましょう。
日当たりの良い場所に置く
剪定した後に新芽を出してもらうためには、適度な日当たりが必要です。カーテン越しの窓辺など、直射日光の当たらない明るい場所に置きましょう。直射日光に当てすぎると、葉焼けを起こしてしまうので注意が必要です。
観葉植物の中には、日光を好まない植物もあります。その場合は、明るい日陰など日光が当たらない場所に移動しましょう。
正しく水やりをする
水やりは、土が乾燥したら鉢皿にあふれるくらいあげるのが基本です。乾燥を好む植物は土が乾いてから日を開け、湿気を好む植物は土が乾燥してすぐあげると良いでしょう。
水やりの時間帯は、気温の高い時間を避けるのがポイントです。土の中で水が温まって根を傷める可能性があるので、気温が上がる前に水やりをしましょう。
適度に肥料を与える
適度に肥料を与えると、観葉植物の成長を促すことができます。ゆっくり効く緩効性肥料を置肥し、成長期に入ってから1~2週間おきに液体肥料をあげるのが一般的です。
肥料の量は、使用する肥料のパッケージなどに記載されている量や濃度を守りましょう。肥料を与えすぎると、肥料焼けを起こしてしまいます。葉の色などを見ながら、肥料を適切な量・頻度で与えましょう。
観葉植物を剪定して見た目をすっきりさせよう
観葉植物は、風通しを確保したり、見た目のバランスを整えたりするために、定期的な剪定が必要です。剪定は、成長点を残して、バランスを見ながら枝を切っていくと、上手く手入れできます。
切り口から細菌などが入らないように、消毒したハサミを使用し、手もしっかり洗いましょう。ゴムの木やガジュマルの樹液はかぶれるおそれがあるので、手袋が欠かせません。
成長した枝葉を剪定して、すっきりとした姿で元気に成長できる状態を維持しましょう。