ガジュマルは縁起が良く頑丈で育てやすいことから、初心者から上級者にまで愛されている観葉植物です。あっという間にグングンと育つ様子は圧巻で、育てていて楽しい植物ですよ。今回は、ガジュマルをより元気に大きく育てられるよう、必要な生育環境やお手入れのコツをご紹介します。
精霊の宿る木「ガジュマル」
ガジュマルは、クワ科・フィカス属(和名:イチジク属)に分類される観葉植物です。オーストラリア・インド・東南アジアを中心とする熱帯・亜熱帯地域に生育しており、暖かな環境と日光を好みます。
日本でも沖縄に自生していて、現地では「キジムナー」という精霊の宿る木とされています。キジムナーは、仲良くなった人間に金運や幸運を与えてくれる縁起の良い精霊です。ガジュマルもまた、縁起の良い観葉植物として多くの方から愛されています。
最大の特徴は、ツルが複雑に絡み合って一本の大木となったような外見です。
このツルは一本一本が自在に伸びるため、ほかの方が育てているガジュマルと外見が似通いにくく、“自分だけのガジュマル”に育つと人気があります。
単純な観葉植物としてはもちろん、ときには盆栽のように仕立てて鑑賞されることもあり、初心者からベテランにまで楽しまれています。
ガジュマルは別名が多い観葉植物
別名が多く、人により印象が大きく異なるのもガジュマルの特徴です。
もっとも有名なのは「多幸の木」とする別名です。キジムナーが宿ることから転じて、風水上でも運気の向上をもたらす縁起の良い木と考えられています。
小型のガジュマルをリビングや玄関にそっと置くだけで、家中の運気を好転させてくれるかもしれませんよ。
なお、キジムナーは友好的な精霊なのですが、ガジュマルを傷つけるなど無礼を働いた相手には、報復を行う一面もあります。キジムナーが怒らないよう、ガジュマルのことも大切に育ててあげましょう。
頑丈で生命力にあふれている
ガジュマルは非常に生命力にあふれた植物です。その強靭な根は、コンクリートを突き破ることすらあります。
天に向かって高く伸びる勢いもすさまじく、自然界で立派に育った個体は樹高20mにまで達する場合もありますから驚きです。
20mといえば6階建てのマンションにも相当する高さで、まさに圧巻ですよね。
ちなみに日本では、鹿児島県・国頭小学校に植えられた高さ8m樹齢110年以上のガジュマルが「日本一のガジュマル」とされています。高さ8mと20mの半分以下なのですが、それでも実物を見ると存在感に圧倒されますよ。
強靭な生命力は頑丈さにも表れており、ガジュマルは日光さえしっかりと浴びせてあげれば、ほとんど病気になりません。
今から観葉植物をはじめてみたい、という初心者の方にもおすすめの品種です。
ガジュマルの育て方!必要な生育環境と枯らさないコツ
ガジュマルは頑丈で生命力に満ちた植物ですから、枯らしてしまう心配はほとんどありません。最初に適切な環境を整えてあげるだけで、元気にグングンと育ちますよ。
ガジュマルが元気に育つための、必要な生育環境を見ていきましょう。
たっぷりと日光を浴びせよう!ガジュマルの置き場所について
何よりも重要なのが、日光を存分に浴びせることです。ガジュマルは熱帯・亜熱帯に原産する、「日光」や「温かさ」を大いに好む植物です。本来の環境同様に、太陽の光をたっぷりと与えましょう。
日当たりが良い場所であれば、屋外・屋内どちらでも元気に育ちます。ただし寒さは好まないため、屋外で育てる場合も冬場は屋内に入れてあげると良いでしょう。
室内では、エアコンの風が直接当たらないように気をつけてくださいね。
また、日光が大好きなガジュマルとはいえ、夏の猛烈に日差しが強い日には、直射日光を当てすぎると葉焼けのリスクがあります。葉焼けとは、強すぎる直射日光によって葉の細胞が死滅し、枯れ落ちてしまう現象です。
葉っぱの色が変わりはじめたなど、葉焼けの傾向が見られた際には、ホームセンターで市販されている遮光カーテンなどを使って、少し日光を遮ってあげましょう。およそ30~50%遮ってあげると安心です。
あまりにも猛暑日続きで葉っぱが弱るようであれば、一時的に日陰へ移してみてください。なるべく日光に当てるのを前提に、葉っぱを見ながら臨機応変に対応しましょう。
ガジュマルの水やりは季節に応じて
ガジュマルは、日光同様に水も好む植物です。基本的にはたっぷりと水をあげるべきなのですが、季節によって調整を行いましょう。
ガジュマルが活発に育つ春~秋、特に夏場にかけては大量の水を与えます。土が乾いた段階で、鉢の底から水が流れ出るほどたっぷりと水やりを行いましょう。
ただし、勢いよく水をやりすぎて、土をこぼしてしまわないように注意が必要です。
一方の冬場は、ガジュマルの成長が緩やかになるため、ほとんど水を必要としません。土が乾いたのを確認したあと、2~3日経ってから水やりをする程度で大丈夫です。
冬場にたくさん水をやると、ガジュマル内の樹液の濃度が下がり、耐寒性が落ちてしまいます。また根腐れ(根っこが呼吸できず腐り落ちる現象)のリスクも急激に高まりますので、注意が必要です。
可愛い観葉植物ですから、ついつい積極的にお世話をしたくなりますが、グッとこらえることも愛情のひとつですよ。
ガジュマルには水はけの良い土を選ぶ
ガジュマル育てでは、土についてはあまり重要視しなくても大丈夫です。ホームセンターや観葉植物ショップで市販されている土のなかから、水はけの良いものを選びましょう。
水はけの悪いものを使うと根腐れが起きやすくなりますから、要注意です。
ハイドロカルチャーでも育つ
ちなみにガジュマルは、「ハイドロカルチャー(水耕栽培)」にも対応しています。ハイドロカルチャーとは、自然の土を使わない栽培方法です。ハイドロボールという栄養のない人工的な石と水を使って、育てていきます。
ハイドロカルチャーのメリットは、土を使わないため周辺を汚しにくいこと、そして虫が極限まで発生しにくいことです。
自然の土を使わないことで虫が繁殖するための栄養や場所が存在せず、皆無といって良いほど虫を見かけません。虫が苦手で観葉植物に手を出していない方も、安心して楽しめます。
【ハイドロカルチャーでの栽培方法】
- 通常のガジュマルを鉢からそっと抜き、根っこについた土を取り除く
- 市販の根腐れ防止剤とハイドロボールを、新しい鉢の4分の1ほどまで入れる
- ガジュマルを入れ、ハイドロボールをいっぱいまで追加する
上記の方法でOKです。水やりは容器の5分の1ほどまで行い、なくなったタイミングで再び水を追加しましょう。
ハイドロカルチャーの場合は土に栄養が含まれていませんから、月に何度か液体タイプの肥料を与えると安心です。
ガジュマルに肥料は必要?
ガジュマルは日光や水があればグングンと育つ植物ですから、ハイドロカルチャーでない通常の栽培では肥料を必要としません。しかし肥料を与えることで、より大きく育てることも可能です。
肥料を与える場合には、ガジュマルの成長が活発になる春~秋にかけて液体タイプか置きタイプを与えます。どちらも市販の肥料を、商品の説明書通りに与えるのみで問題ありません。
注意すべきは「冬と状態不良の時には肥料を与えないこと」と「規定量を必ず守ること」です。
ガジュマルの生育スピードが緩む冬に肥料を与えたり、大きく育って欲しいからと多めに肥料を与えたりすると、「肥料焼け」が引き起こされます。
肥料焼けとは、摂りすぎた栄養がかえって毒となり、根や葉に異常が表れ枯れるおそろしい現象です。
状態不良の時に肥料をあげようとする方が非常に多いです。
弱っている時に成分の強い肥料を与えてしまうと根を痛めてしまいます。
胃が弱っている人間にステーキをあげるようなものですね…
大きく健康に育って欲しいから肥料を与えるのに、枯らしてしまっては本末転倒ですよね。
水やりもそうですが、観葉植物はあまり構いすぎてもよくありません。適切な頻度や量は必ず守りましょう。
より元気に!ガジュマルを大きく健康に育てる秘訣
ガジュマルは頑丈で生育スピードが早く、日光や水を適切に与えるだけでも元気に育ちます。
しかしせっかくですから、より大きく・健康的に育つようポイントを意識してみましょう。自分の背丈より大きく成長させることも、夢ではありませんよ。
虫対策は万全に
ガジュマルの健康な生育のために、もっとも気をつけたいのは「害虫」です。
あまり虫がつきやすい植物ではありませんが、それでも何の対策も行わないと、カイガラムシ・ハダニ・アブラムシなどが繁殖するときもあります。
カイガラムシは、取りついた株から栄養を吸収する3mm程度の粒のような害虫です。栄養失調となったガジュマルは、生育スピードが落ちるのはもちろん、まだ大きくない段階では枯れてしまうことさえあります。
あのパワフルなガジュマルを3mmほどの虫が枯らしてしまうなんて、驚きですよね。
ハダニやアブラムシもまた、ガジュマルの栄養を吸ったり、ウィルスを媒介して病気に感染させたりする小型の虫です。こちらも枯れ落ちることにつながりますので、放置できません。
虫対策で大切なのは、「大量繁殖を防ぐこと」と「できるだけ寄りつかせないこと」です。特に大量繁殖が起こると、初心者が完全に駆除するのは難しくなります。
大量繁殖を防ぐためには、虫を見つけ次第必ず取り除きましょう。ピンセットや爪楊枝で取り除く、水を使って流してしまうなどの方法があります。
できるだけ寄りつかせないためには、「化成肥料の使用」や「頻繁な葉水」が効果的です。
化成肥料とは、有機を使わない化学成分の肥料です。有機肥料に比べて栄養価は劣る場合も多いのですが、代わりにほとんど虫が寄りつきません。
有機肥料を化成肥料に切り替えるだけでも、虫の激減を期待できます。
葉水は葉っぱ一枚一枚に対して、霧吹きなどで優しく水を吹きかけてあげるお手入れです。ハダニを筆頭に観葉植物に湧く虫は水に弱い種類が多く、葉水を行うと嫌がって寄りつかなくなります。
もちろん、葉水はガジュマルが喜ぶ効果もあります。化成肥料を使い、ガジュマルを鑑賞するついでに葉水を行うように、習慣づけましょう。
時々は剪定を行う
ガジュマルを大きく育てるためには、剪定も欠かせません。古くなった葉っぱや不要な枝を剪定してあげると、健康な部分に栄養が行きわたり、より大きく育つことにつながります。
剪定は5~7月の比較的暖かい時期に行ってください。時期によってはダメージが残りやすくなったり、軟腐病(傷口からウィルスが侵入し枯れ落ちる病気)のリスクが高まったりしますので注意しましょう。
準備は簡単で、消毒したハサミと軍手を用意するのみです。まずは黄色くなったり萎れていたりする葉っぱを、チョキチョキと切り離していきましょう。
葉っぱを剪定したあとは、過度に伸びすぎていると感じる枝があれば切り落としていきます。枝の「節(関節のような部分)」を目安に切断しましょう。
もし切断後に白い樹液が出てきた場合は、水でしっかりと洗い流してください。
初めての剪定は、間違って枯らしてしまわないか不安になるものです。しかし、ガジュマルは生命力が強いですから、多少間違えて切った程度ではビクともしません。
あまり心配せずとも、気楽な気持ちで行って大丈夫ですよ。
ガジュマルの植え替え方法と増やし方
幹や葉がグングン育つガジュマルは、普段は目に見えない根っこの部分も次々と成長しています。
適切な頻度で植え替えを行って、しっかりと成長をサポートしてあげましょう。
1~2年に一度は植え替えよう
ガジュマルの最適な植え替え頻度は1~2年に一度です。剪定同様に5~7月ごろの暖かい時期に行います。
植え替えは簡単で、ガジュマルを現在の鉢から優しく取り出し、一回り大きな新たな鉢に移してあげるのみです。移したあとは水をあげて、ガジュマルを鉢のなかで固定しましょう。
増やしたいなら「挿し木」がおすすめ
ガジュマルを増やしたいのであれば、「挿し木」を行いましょう。挿し木とは、切り離した枝を新たな植木鉢に植えて、根が生えるのを待つ方法です。
こちらも方法は単純で、剪定のときに切り離した枝を、土へ半分ほど埋まるようにして新たな鉢へ移します。あとは風通しの良い明るい日陰で、たっぷりと水をやりつつ育てていけばOKです。3週間ほど経過したあとは、液体タイプの肥料も加えましょう。
ガジュマルの場合はおよそ3ヶ月で根張りが完了しますので、気長に水をやってくださいね。
初心者もガジュマルを上手に育てて幸運を引き寄せよう
縁起の良い木として知られるガジュマルは、生命力が強く頑丈な観葉植物として知られています。ツルが絡まって木になったような外見も見ていて楽しく、初心者が最初に育てる種類としておすすめです。
日当たりや水やりにさえ気を配ってあげれば、想像以上の勢いで育ちます。本記事を参考に、ぜひ挑戦してみてくださいね。