葉に切れ込みや穴のあるモンステラは独特な観葉植物で、インテリア性が高く南国の雰囲気が演出できます。比較的丈夫なことから初心者でも育てやすいので、人気が高いです。今回はそんなモンステラを元気に大きく育てる方法や、日頃のケアのコツをご紹介します。
独特な葉っぱが印象的なモンステラの特徴
まずは、モンステラの特徴を見てみましょう。
モンステラの名前の由来
モンステラの語源はラテン語の『monstrum』で、“奇怪”や“異常”、“怪物”などという意味があります。
独特な葉の不思議さからこの名がつけられ、名前こそちょっと恐ろしいですが、多くの人を魅了するおしゃれな観葉植物として人気となりました。
つる性(または半つる性)の植物
モンステラはアメリカの熱帯地域に生息する、サトイモ科のつる性(または半つる性)の植物です。
そのため自生しているものは、岩や樹木などに絡みつきながら成長していき、大きいものだと2mを優に超えるほど育ちます。
また、生息地の気候は雨季と乾季があるため、耐陰性や耐寒性に優れているのが特徴です。そのため日本でも育てやすく、室内でも問題なく生育することができます。
モンステラの葉はかなり個性的
モンステラの1番の魅力と言っても良いのが、切れ込みが入ったり穴が空いたりしている葉でしょう。
成長する間にそれぞれが異なる形になるので、個性を楽しむことができます。どうしてこのような葉になったかは諸説ありますが、生息地である熱帯雨林の環境下で育つため、風や雨を葉から通し、根まで届けようとした結果とも言われています。
観葉植物として育てると、株が小さいうちは葉に切れ込みが入らないこともあります。しかし、成長すれば自然と切り込みのある葉が出てくるので、心配ありません。
茎からひょろっと出ているのは気根
モンステラには、土の中に埋まっている根のほかに、茎からひょろっと出ている気根という根があります。
空気を取り入れたり、大気中の水分を吸収したりする役割があり、大きくなると何かに巻きつくことで体を支える支柱のような働きもします。
気根はモンステラの特徴のひとつなので茎や葉と一緒に育てるのが面白いですが、邪魔になるようだったら切っても生育には問題ありません。
ごくまれに花を咲かせることが可能
モンステラに花を咲かせるのは難しいですが、極まれに白い花を咲かせることができます。
花の形はサトイモ科らしく、仏炎苞(ぶつえんほう)が肉穂花序(にくすいかじょ)を包んでいるタイプで、肉穂花序が花の本体です。
開花させるためには、モンステラを十分に大きく育てなければならず、鉢で育てる場合はかなり難しいでしょう。
モンステラの育て方!必要な生育環境と枯らさないコツ
それでは早速、モンステラの育て方を見てみましょう。基本的には育てやすい種類ですが、より元気に育てるためには、環境作りが大切です。
良いモンステラの選び方
モンステラは園芸店などで気軽に購入でき、専門店なら斑入りなど珍しい種類もあるでしょう。ネット通販なら、多くの種類を見比べることもできます。
株を購入するときは、すでに病気になっていたり、虫がついていたりしないかをチェックしましょう。そして、葉が大きく、茎も太くしっかりとしているものを選ぶようにしてください。
モンステラを育てるときの環境
モンステラの株が買えたら、育てやすい環境を整えます。
水はけの良い土を用意
モンステラは多湿の空間を好みますが、水はけの悪い土で育てると根腐れの可能性が高くなるので注意しましょう。観葉植物用の土なら、あらかじめ水はけが良くなっているのでおすすめです。
自分で土のブレンドをしたい場合は、観葉植物用の土2:鹿沼土1:赤玉土1の割合を基本にし、部屋の湿度や温度などで微調整して、水はけが良くなるように心掛けてください。
また、土が出ていると虫を引き寄せてしまうので、バークチップや化粧砂などで土表面を隠す、マルチングをするのがおすすめです。
耐陰性があるので室内OK
耐陰性に優れているので、置き場所は室内でも問題ありません。
しかし、モンステラは日光に当たるほど健康な株に育つので、なるべく窓際などに置いて日を当てましょう。
ただ、直射日光は刺激が強く葉を傷める可能性もあるので、レースのカーテンなどで遮光してください。
室内で育てる場合、気をつけたいのはエアコンの風です。直接当たると弱ることがあるので、気をつけましょう。
寒さは苦手なので冬場は注意
モンステラは熱帯地域原産の植物なので、日本の冬は厳しい環境となります。ベランダなどに置いている場合、冬場はなるべく室内に入れるようにしましょう。
耐寒温度は5℃程度ですが、株に負担をかけないためにも気温が15℃を下回り始めたら室内に避難させるのがおすすめです。
モンステラの水やりの仕方
モンステラは、季節によって水やりのタイミングを調整する必要があります。
夏場の水やり
モンステラの生育期は5~7月なので、春から夏にかけてはたっぷりと水をあげる必要があります。
土の表面が乾燥していたら水やりのタイミングなので、鉢底から溢れるほど水をあげましょう。
冬場の水やり
気温が下がる冬場はモンステラの成長が緩やかになるので、あまり水が必要なくなります。
土の表面が乾燥してもすぐには水をあげず、2~3日待ってから水やりをしましょう。
モンステラは乾燥させることで、樹液の濃度を高めることができ、耐寒性を上げます。水やりを調整することで、寒さの負担が減らせるでしょう。
乾燥時は葉水をしよう
モンステラは多湿を好むので、乾燥が気になるときは葉に水をかける“葉水”をします。霧吹きなどを使って水を吹きかけ、葉を湿らせましょう。
潤いが保てるほか害虫から守ることもできるので、乾燥が厳しいときは毎日、そうでなくても数日に1回は行ってみてください。
モンステラの肥料の与え方
生育期である春から夏にかけて肥料を与えれば、モンステラをより元気に大きく育てる手助けができます。
葉にツヤが出て根の張り方が良くなるので、液体肥料を10日に1回程度の目安で与えてみましょう。
しかし、モンステラは肥料がなくても育つ丈夫さがあるので、肥料の与えすぎは負担をかけ逆効果になることもあります。成長が弱まる冬の時期は、肥料は与えないようにしください。
モンステラは適度に剪定する
モンステラはどんどん大きく成長するので、ある程度育ったら葉や枝を切る剪定が必要になります。
置くスペースや株全体のバランスなどを考えながら、余分な茎や葉を切り落としましょう。
剪定する時期やタイミング
剪定は、生育期である春から夏の間に行うようにしましょう。
また、剪定するタイミングとしては、「葉が広がり見栄えが悪い」、「鉢が倒れるようになった」など、不満を感じるようになったときです。
日頃からモンステラをチェックし、良いタイミングで行いましょう。
切り方&切る場所のポイント
モンステラは丈夫なのでそこまで繊細にならず、気になる葉や茎を生え際から切ってしまって大丈夫です。
ただ、切ってしまうと元には戻せないので、まずは完成形を想像してから切る葉や枝を決めましょう。部屋の高さに合わせて、伸びすぎないよう上部を切り、横とのバランスもとります。
また、絡まっていたり、枯れていたりする部分があれば切り落としましょう。このとき気根が邪魔だと感じるなら、切り落としても構いません。
葉や茎を切りすぎると株が弱まってしまうことがあるので、その点にだけは気をつけながら、自分が理想とする形に剪定してみてください。
カットした際の透明の樹液には注意
モンステラの葉や茎を切ったときに、切り口から出る樹液には注意が必要です。
肌が弱いとかぶれてしまうことがあるので、なるべく触らないようにします。
赤ちゃんやペットにもつかないよう、剪定する場所にも注意してください。
モンステラを育てるときに気をつけたい病害虫
モンステラは丈夫な植物なので、病気になりづらく虫にも強いのですが、条件が揃うと病害虫の心配が高まります。
気をつけたい病害虫についてチェックしましょう。
夏場はカイガラムシや黒すす病に注意
夏に発生しやすいのがカイガラムシです。成虫のカイガラムシは薬剤が効きにくく、見つけたら歯ブラシなどでこすり落とすしかありません。
放っておくと葉が枯れてしまうこともあるので、すぐに駆除しましょう。
そして、カイガラムシのフンによって、すす病が発生することもあります。葉に黒い粉上状ものが付着していたらすす病の可能性があるので、剪定するなどして除去しましょう。
初期の段階なら水拭きするだけでも落とせるので、日頃のチェックを怠らないようにしてください。
乾燥しているときはハダニに注意
肌には乾燥した環境を好むので、冬場に気をつけたい害虫です。特に暖房が効いた部屋は乾燥しやすいので、注意深く観察しましょう。
ハダニは葉の裏に寄生し、緑葉素を吸い取ってしまうので、成長不足を招き最悪の場合枯れてしまうこともあります。
ハダニを見つけたら霧吹きで水を吹きかけるなどして、水分で退治してみましょう。数が多い場合は、殺虫剤を使うのが効率的です。
モンステラのトラブル対処法
モンステラに次のようなトラブルが起こったら、しっかりと対処しましょう。
茎や幹が弱っているなら根腐れを疑う
茎や幹がぶよぶよとしていたり、柔らかさを感じたりするようなら、弱っている証拠です。
これは根腐れによる症状の可能性があるので、放っておくと全体が腐って枯れてしまうことがあります。
初期症状なら、柔らかくなってしまった茎だけを切り、対処してください。また、一度土から引き抜いて、根の状態も確認してみましょう。
黒くなっている根があれば腐っているので、これも切り落としてください
葉が弱っているなら水不足を疑う
葉が下を向いてしおれているように感じたら、水不足の可能性があります。
その場合はたっぷりと水をあげれば解消できることが多いので、受け皿に水が溢れるほど水やりをしましょう。
受け皿に水が溜まったままだと、根腐れを招くことがあるのでこまめに捨て、回復の様子を見てください。
葉の変色は直射日光が原因かも
緑色の葉が黄色や白に変色しいたら、直射日光が当たっていた可能性があります。葉焼けを起こしてしまった葉は元には戻らないので、見栄えが悪いようなら切り落としましょう。
そして、モンステラの置き場所を変え、直射日光が当たらないところで育てるか適度に遮光してください。
葉が広がり間延びしているなら支柱で支える
日光が足りないモンステラは、茎や葉が日光を求めてどんどん伸びてしまい、間延びして見えてしまいます。
その場合は、支柱を立てて幹を支えるようにしましょう。
支柱は幹を支えるだけでなく、風通しが良くなったり、新芽が傷つかないよう守ったりすることもでき、つる性の植物にはメリットが多くおすすめです。
支柱の立て方
- モンステラのサイズに合わせた、太さと高さの支柱を選びます。高く成長させたいなら、その高さまであるものを選んでください。
- 支柱が安定するよう、鉢底までしっかり土の中に挿し込みましょう。
- 茎と支柱を、紐でクロスするよう8の字に結びます。ただし、幹は太く成長するので、ゆとりを持って結ぶようにしてください。
- 茎は自由に伸びていくので、支柱を立てれば必ず巻きついてくれるというわけではありません。理想の形に収まるよう、ある程度支柱に誘引するよう紐で結び、整えてください。
モンステラは適度に植え替えして環境をリセットしよう
モンステラを育ててある程度の期間が経ったら、環境をリセットする意味も込めて植え替えをしましょう。
同じ鉢でずっと育てていると、成長が鈍ることがあるので、適度な植え替えが必要です。
モンステラの植え替えの目安
モンステラに次のような症状が出たら、植え替えをするサインです。
- 鉢の底穴から根が出てきている
- 土の乾燥が早くなっている
- 土の水の染み込みが悪くなった
- 植木鉢が倒れるほど大きくなった
- 鉢と株のバランスが悪い
モンステラの植え替えの時期
モンステラの植え替えは、生育期の春~夏が適しています。植え替えは少なからず植物に負担がかかるので、なるべく回復の早い生育期が失敗なく植え替えをするタイミングです。
もしモンステラの植え替えのタイミングだとしても、冬場の植え替えは避け、春が来るのを待つようにしましょう。
モンステラの植え替えに必要なもの
- 今よりも一回り大きな鉢
- 観葉植物用の土
- 鉢底ネット
- 鉢底石か軽石
- スコップ
- 軍手など
- 1m以上に成長する場合は支柱
モンステラの植え替え方法
それでは、モンステラの植え替え手順を見てみましょう。
- モンステラの植え替えを決めたら、数日前から水やりを控え、土を乾燥させます。
- 新しく用意した鉢の底穴鉢穴ネット、その上に鉢底石か軽石を敷きましょう。
- 観葉植物用の土を、鉢の1/3程度まで入れます。
- モンステラを鉢から引き抜き、根についている余分な土を優しく落としてください。このとき黒ずんいる根があれば、カットしておきます。
- モンステラを新しい鉢の中心に置き、鉢のふちから4cm程度下まで土を加えましょう。根の隙間にしっかり土が入るよう、馴染ませてください。
- 必要であれば支柱を立て、幹を支えます。
- 最後に水をたっぷりあげて終了です。
モンステラを増やしてみよう
モンステラは、家庭でも気軽に増やすことができる植物です。
特に簡単な、挿し木、茎伏せ、株分けという3つの方法をご紹介します。
挿し木で増やす方法
茎を切りって別の鉢に挿し、そこから新しい株を育てるのが挿し木です。
手順
- 新しい鉢を用意し、土を入れておきます。
- 気根のついた茎を剪定しましょう。
- 葉は上部にだけ2、3枚残し、あとは切り落としておきます。
- 茎を用意した鉢に挿し、たっぷり水をあげながら成長するのを待ちましょう。
- 1ヶ月ほどで発根するので、新しい葉が3、4枚出てきたら大きく育てる用の鉢を用意して、植え替えましょう。
茎伏せで増やす方法
切り取った茎を短くして、土の上に置く形で繁殖させるのが茎伏せです。挿し木より時間はかかりますが、多く増やせるのが特徴です。
手順
- 新しい鉢を用意し、土を入れておきます。
- 葉がついておらず、気根のある茎を剪定しましょう。
- 剪定した茎を土の上に寝かせるように置きます。
- 茎の表面が半分ほど出るようにして、土をかぶせてください。
- 土が乾燥しないように水やりをしながら、成長を待ちます。
- 新芽が出たら、大きく育てる用の鉢に植え替えをしましょう。
株分けで増やす方法
今ある株の根を分けて育てるのが、株分けです。予想より大きく成長して、育てにくくなってしまったものに最適で、生育環境を整えることもできます。
手順
- 新しい鉢を用意し、鉢底ネット、鉢底石、観葉植物用の土をセットしておきましょう。
- 茎や葉の枯れている部分、虫食いなどがある場合はあらかじめカットしておきます。
- モンステラを鉢から抜き取り、手で根をほぐしながら2つに分割してください。絡まりがひどく難しい場合は、はさみなどでカットしましょう。
このとき根が黒ずんでいたら、一緒にカットしておいてください。
- 一方は元の鉢に戻し、一方は新しい鉢に入れましょう。
- 鉢分けをしたら水をたっぷりあげ、しばらくは日陰で様子を見てください。
モンステラの有名な種類
モンステラの種類は20~40種類あると言われていますが、日本ではそこまで多くは流通していません。
今回は日本で購入できる、特に有名な3種類をご紹介します。
もっとも有名なモンステラ・デリシオーサ
『モンステラ・デリシオーサ』はモンステラの中でも代表的な品種で、日本で販売されているモンステラの多くがこの品種です。
葉に長めの切れ込みが入るのが特徴で、モンステラ界の王様ともいえるでしょう。大きさも2mを超えるものも多く、インパクトのあるインテリアとして育てたいときに最適です。
ただ、どんどん成長してしまうので、室内で育てるときは剪定などで上手に管理し、見栄えの良い状態をキープしましょう。
小ぶりなモンステラ・アンダーソニー
『モンステラ・アンダーソニー』は、ヒメモンステラの愛称でも知られている品種です。小ぶりのものが多くかわいらしい雰囲気なので、小窓やデスク周りなど、部屋のちょっとした場所に置きやすいのが魅力です。
葉が左右非対称になり、切れ込みが深いのが特徴で、個性的な雰囲気もあります。
デリシオーサよりも寒さに弱いので温度管理は徹底し、冬は暖かい室内で育てましょう。
モンステラらしくないハネカズラ
『ハネカズラ』は、モンステラの特徴である葉の切れ込みがない、剣状の葉が特徴です。
さらに、葉は厚みのある濃いグリーンなので、部屋のワンポイントなどにも最適でしょう。
小型の種類なので気軽に飾りやすく、成長もゆっくりです。そのため葉や茎が乱れにくく、初心者でも育てやすいタイプです。
モンステラはハワイで大人気
ハワイの気候はモンステラにうってつけの環境で、あちこちで栽培されています。
大型で迫力のあるモンステラも多く、モンステラの葉の穴から日光が届く光景から、「希望の光を導く植物」として愛されています。
ハワイで自生しているモンステラは花が咲くものもあり、実がなると収穫してトロピカルフルーツとして食べられているそうです。
また、モンステラはハワイのアクセサリーや衣類にデザインされることも多く、ハワイアンテイストを演出しています。日本でもボタニカル柄として流行し、ナチュラルに生活に溶け込んでいますよ。
モンステラは正しい育て方で葉の美しさを楽しもう!
モンステラは丈夫で、初心者でも育てやすい観葉植物です。
しかし、元気に育てるためにも、最適な環境下で正しい育て方を行いながら生育してあげましょう。そうすればより美しい葉を楽しめ、大きく育てて存在感のある観賞植物にすることもできます。
本記事を参考に、ぜひ人気のモンステラを育ててみてください。