ラナンキュラスは、繊細でカラフルな花弁が特徴の美しい花です。多年草であり、春の庭園や花壇を彩るのにぴったりです。また、ラナンキュラスは切り花としても人気があります。今回は、ラナンキュラスの育て方のポイントをご紹介します。春の庭にラナンキュラスを植えようと考えている方は参考にしてください。
ラナンキュラスとは
ラナンキュラス(Ranunculus)はキンポウゲ科に属する多年草で、華やかな花を咲かせます。近年は切り花として人気があり、その魅力的な見た目は広く愛されています。
園芸品種のラナンキュラスの原産地は中近東からヨーロッパ南東部周辺です。ラナンキュラスの開花時期は3月から5月頃。気温が高くなる夏の間は休眠します。
ラナンキュラスは切り花用に品種改良がすすみ、さまざまな色や花の形の品種が出てきています。また、香りがするラナンキュラスもあります。
ラナンキュラスの花言葉
ラナンキュラスの花言葉をご紹介します。
ラナンキュラス全体の花言葉
「魅力的」「輝く魅力」など、その美しさと魅力を象徴する言葉が多いのが特徴です。
ラナンキュラス色ごとの花言葉
ラナンキュラスは色によって異なる花言葉があります。いくつかご紹介します。
- 赤:あなたは魅力に満ちている
- 白:純潔
- ピンク:飾らない美しさ
- 黄:優しい心遣い
ラナンキュラスの花言葉には、どれもポジティブな意味合いのものがつけられています。
ラナンキュラスの栽培方法のポイント
ここからは、ラナンキュラスを育てるのに大切なポイントをご紹介します。
ラナンキュラスの植え付け
ラナンキュラスは、秋から冬の間の、地中の温度が下がった頃に植え付けましょう。植え付け用の用土は水はけの良いものがおすすめです。市販の培養土を使用するのも良いでしょう。
ラナンキュラスを植え付ける際は、水はけがよく、夏には半日陰になる場所が適しています。花壇に植える場合は霜が当たらないところを選びましょう。
ラナンキュラスを鉢に植える場合は、7〜8cmの間隔で植えるようにします。
水やり方法
土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本の水やり方法です。ただし、水はけを良くして根腐れに注意しましょう。
水やりをする際、ラナンキュラスの花にはかけないように注意してください。
置き場所
日当たりが良く、風通しの良い場所が適しています。ラナンキュラスは寒さには弱いため、霜を避ける場所に植えるか、鉢植えの場合は軒下で管理するのがおすすめです。
暖かい時期は葉が茂るため、蒸れを防いで風通しの良い場所で育てましょう。花が咲いている時期は雨が当たらないようにすると、開花時期が長くなります。
肥料
ラナンキュラスに肥料が必要なのが開花中です。元肥におすすめなのが、緩効性化成肥料です。花が咲く前後には追肥しましょう。
花が咲いている間は液体肥料を定期的に与え、肥料切れを起こさないようにします。花が終わる頃は肥料を与えるのを中止しましょう。
剪定・切り戻し
枯れたラナンキュラスの花はこまめに取り除くと、繰り返し花を咲かせてくれます。花の選定は、花が終わったら葉の付け根のところを切り落としましょう。
全てのラナンキュラスの花が咲き終えた、あるいは開花時期が終わった頃には、茎が枯れる前に株元まで切り戻す作業を行います。切り戻しにより、花が種をつけるのを避けることで、翌年も花を楽しめます。
病害虫の予防
ラナンキュラスが被害に遭いやすい病害虫は以下の3つです。
- アブラムシ
- ハモグリバエ
- 灰色かび病
日当たりの悪い場所では灰色かび病にかかりやすくなります。ラナンキュラスは太陽の光を好むため、日当たりが良く、風が通りやすい場所で育てましょう。また、花に直接水をかけないようにすることで病気の発生を防げます。
アブラムシやハモグリバエなどの害虫にも注意。葉や茎から大切な栄養分を吸い取ってしまい、植物を枯らしてしまいます。
もしラナンキュラスの葉や茎に害虫の幼虫を見つけたらすぐに取り除きましょう。
花が咲いた後は花がら摘みをすること
ラナンキュラスの花を健康に保つために必要なのが花がら摘みです。咲き終えて枯れた花のことを花がらといい、そのままにしておくと病害虫の発生につながる恐れがあります。
咲き終わった花は花壇や植木鉢に放置しておくのではなく、その都度取り除くようにしましょう。
咲き終わる前の花をカットして、切り花として花瓶に入れて楽しむのもおすすめです。
ラナンキュラスの植え替え方法
鉢植えのラナンキュラスは、鉢の中での根詰まりを防ぐために数年に一度植え替えを行うことをおすすめします。
植え替えのサインは、葉が早く変色するようになったら。また、鉢から葉があふれるようになるのも植え替えを必要としている合図です。
植え替えは10月〜12月頃が適期です。現在ラナンキュラスを植えている植木鉢よりも一回り以上大きめの鉢を用意して植え替えましょう。
そのほかにも、植え替えの際には以下の物を準備しておくと良いでしょう。
- 植え替え用の土
- 鉢底ネットと鉢底石
- 肥料
- スコップ
次は植え替えの手順です。以下を参考にしてください。
- 新しい鉢の底に鉢底ネットと鉢底石を敷きます
- 植え替え用の土を1/3程度入れます
- 今の鉢からラナンキュラスを引き抜きます
- 抜いた株の周りの土をやさしく落としましょう
- 新しい鉢の中心の苗を置き、苗の周りに土を被せます
- たっぷり水を与え、日当たりの良い場所で管理しましょう
苗を新しい鉢に移した後、土はすき間がでないように入れるのがポイントです。スコップで土を入れ、細長い棒などでやさしく土を埋めていきましょう。
もし、植え替え前のラナンキュラスの根が黒ずんでいたら、その部分はカットしても問題ありません。元気な根は傷つけないように注意して植え替えてください。
ラナンキュラスの球根の掘り下げ方法
「球根を掘り下げる」とは、翌年も花を楽しめるように、土の中にある球根を掘り出すことです。ラナンキュラスも球根を掘り下げて適切に管理することで、翌年も同じ球根から花を咲かせることができます。
ラナンキュラスの球根の掘り下げは、花が完全に咲き終えて、葉が枯れたタイミングで行います。ここからラナンキュラスは休眠期に入ります。
球根の掘り下げの手順を見ていきましょう。
- 葉が枯れるのを待つ:球根を掘り下げる前に、葉や茎が完全に枯れて乾燥するまで待ちます
- 球根を掘り出す:ラナンキュラスの球根はそれほど深く植えられていないため、掘り出すのは比較的簡単です。小さめのシャベルを使うことで、球根を傷つけずに掘り出すことができます
- 球根を乾燥させる:掘り下げた球根を数日間乾燥させます。その後、枯れた葉や根を切り取り、余分な土を取り除きましょう
次に、ラナンキュラスの球根の保存方法です。
- 適切な場所を見つける:冷暗所で球根を保存します
- 風通しの良い場所で保存する:プラスチック袋は避け、メッシュバッグや紙袋、古いストッキングなど、通気性の良い材料を使用します。これにより、球根が乾燥した状態を保ち、カビや腐敗を防ぐことができます。
- 月に一度球根をチェックする:保存中はときどき球根を点検し、カビや腐敗、害虫が発生していないか確認します
掘り下げた球根の植え付け方法
掘り下げて適切に管理したラナンキュラスの球根を翌年も植えてきれいな花を咲かせましょう!球根の植え付け方法をご紹介します。
- 植え付けの準備:ラナンキュラスは水はけが良く、肥沃な土を好みます。鉢植えで植える場合は腐葉土や培養土を使用しましょう
- 球根の植え付け時期:最高気温が20度以下になる頃に植えることで球根が地中で腐るのを防げます
- 球根の先が細くなっている方を下向きにして土に乗せ、土を2~3cm程度かぶせましょう
- ラナンキュラスの球根をいくつか植える場合は、株の間を20~30cm開けるようにします
- 水やり: 植え付け後は、土が乾かないように定期的に水をやりますが、水はけを良くし、水がたまらないように注意してください
- 肥料: 植物が成長する間、定期的にバランスの良い肥料を与えます
- 害虫・病気の予防:アブラムシやナメクジなどの害虫がつくことがあります。害虫が見られた場合は、取り除くか薬剤を使用しましょう。
もし、掘り下げた球根ではなく、市販のラナンキュラスの球根を使う場合は、吸水処理をします。保水性の高いバーミキュライトを湿らせて球根を包み、一晩置くと良いでしょう。
ラナンキュラスの品種一覧
ラナンキュラスにはさまざまな種類があります。人気の品種をご紹介します。
ラックスシリーズ
豊かな色彩と大輪の花が特徴です。比較的耐寒性があり、地域によっては地植えで翌年も花を咲かせる場合があります。
背の高さは50〜80cm程度。茎が太めのため、丈が伸びても倒れにくいのが特徴です。ラックスシリーズはスプレー咲きで次々と花を咲かせます。
花びらは一重や半八重などがあります。ラックスという名前は、ワックスのように花びらが光ることからつけられたそうです。
ラナンキュラスラックスシリーズは、咲き始めの花色は濃く、徐々に模様が現れてきます。花弁は柔らかく、光の加減で輝くように見えます。
ポンポンシリーズ
イタリアで開発された、ラナンキュラスポンポンシリーズ。名前の通り、球状のコンパクトな花が特徴です。
花びらはフリルのように波打っていて、重なり合うことで丸みのある花の形になります。ポンポンシリーズの花びらは咲きながら表情が変わるのがユニークです。花の大きさは大きいものでは18cmほどにもなるものもあります。成長したポンポンシリーズの草丈は45cmほどです。
太めの茎は大輪の花をしっかりと受け止めてくれるため、切り花としても楽しめるでしょう。
ポンポンシリーズは単色のほか、明るいオレンジや黄色にグリーンが入るバイカラー(複色)もあり人気です。
モロッコシリーズ
独特の色合いと形がエキゾチックな印象を持つ品種です。花びらは縮れていたり、花びらの数が多かったりと、ほかのラナンキュラスに比べて個性的な印象です。
モロッコシリーズの花は真ん中が盛り上がっていて、そこから花びらが細くねじれるように広がります。
花の色は黄色と黒や紫と白など、シックな色合いが人気です。ラナンキュラスの丸みのある形と重なり合う花びらはバラのようにも見えて、フラワーアレンジメントにしても存在感を示してくれるでしょう。
ゴールドコイン
ゴールドのように光る黄色い小花が魅力的な品種です。ラナンキュラスが球根植物なのに対して、ゴールドコインは、宿根草です。
特別なお手入れをしなくても元気に育つのが特徴で、親株から出た茎が地面を覆うように伸びて広がっていきます。草丈も低いため、鉢植えよりも地植えに向いていて、日陰の庭のグランドカバーにもなります。
ゴールドコインは野生化する性質のため土質を選びません。花びらはつやがあり、八重咲きタイプです。グランドカバーとして植えると黄金色のカーペットを楽しめるでしょう。
ルージュルージュ
大ぶりのラナンキュラスが多い中で、小ぶりで八重咲きタイプのルージュルージュ。中央が濃い色で、周りにフリルのような赤い花びらが広がります。黒っぽい中央の色と、鮮やかな花びらの赤い色のコントラストが美しく魅力的です。
シックで個性的な色合いのため、ほかの植物と寄せ植えにしても主役になるでしょう。
スプリンクル
鮮やかな色が美しいラナンキュラスです。花びらは真ん中に集まるように丸まって、互いを覆い合うように咲きます。八重咲きでバラのような、存在感が抜群の花です。
花びらのふちは色が濃かったり薄かったりと、個体差があるのも魅力。1株からたくさんの花を咲かせ、切り花としても楽しめます。
ゆずてまり
香川県三豊農協が開発した品種です。てまりとは、つぼみの形が手毬に似ていることから名づけられました。
ゆずてまりは、ゆずのような濃い黄色が特徴。花の大きさは通常のラナンキュラスよりも小さめです。茎と花の大きさのバランスも良く、フラワーアレンジメントの花材にしても良いでしょう。
春のガーデンにラナンキュラスを植えてみよう
さまざまな色や花びらの形があるラナンキュラスは、春の庭を彩るのにぴったりの植物です。
ラナンキュラスは日当たりと風通しの良い場所が好みです。ご紹介した育て方を参考に、ラナンキュラスを育ててみませんか?ラナンキュラスを植えて春の庭を楽しんでくださいね。