サフィニア(ペチュニア)は、その鮮やかな色合いと豊富な花形で、春の庭を華やかに彩る人気の花です。以下に、サフィニアの基本情報や育て方のコツ、花をたくさん咲かせるためのポイントなどについてご紹介します。サフィニアを育てたいと思っている方はぜひ参考にしてください。
サフィニアの基本情報
サフィニアは、ナス科ペチュニア属の植物です。春から初夏にかけて、鮮やかな色の花を咲かせます。非常に育てやすく、庭植えや鉢植えに適しています。
サフィニアは多年生植物ですが、一般には一年草として扱われます。これは、一般的な栽培環境では冬を越せないためです。
ただし、サフィニアを育てている土地の気象条件によっては冬越しできる場合もあります。
花の形は筒形で、色は白、ピンク、紫、赤、青、黄色など多彩です。特に、栽培品種によっては複数の色が混ざったり、縁取りがあったりするなど、非常に多様な色彩を持っています。
花のサイズも品種によって異なり、大輪から小輪までさまざまです。サフィニアの葉は緑色で、やや粗い質感を持ち、茎は柔らかく伸びやすい特徴があります。
サフィニアはペチュニア属の品種です。ペチュニアは南米がルーツの植物のため、日本の気候条件で育つのは難しいといわれていました。
そこで、1980年代にサントリーが京成バラ園芸と共同で品種開発を開始。日本の気候でも花をたくさん咲かせるサフィニアが誕生したのです。
サフィニアは、その華やかな見た目から庭植え、鉢植え、ハンギングバスケットなど、さまざまな場面で利用されます。
花壇の主役としてだけでなく、他の植物との組み合わせにも適しており、ガーデニングにおいて多用されています。
サフィニアはその扱いやすさと美しさから、初心者から上級者まで幅広い層に愛されています。
サフィニアの花言葉
サフィニアの花言葉は「咲きたての笑顔」。これは、サフィニアが発売されて20年を機に公募で決まった花言葉です。
サフィニアが次々に花を咲かせる姿が笑顔が咲いているように見えることから選ばれたそうです。
サフィニアの育て方のコツ
ここからは、サフィニアの育て方のコツを見ていきましょう。
適した用土
サフィニアを育てるための土は、排水性と保水性に優れたものが適しています。園芸品やホームセンターで探すなら、サフィニア専用や草花用の土を使うと、自分で土をブレンドする必要がなく便利です。
もし自分で土を配合する場合は、赤玉土と腐葉土を6対4の割合で混ぜて使いましょう。
肥料
サフィニアの魅力はこぼれんばかりの花を咲かせることです。サフィニアの植え付け時には、緩効性化成肥料または有機質肥料を与えます。
植え付けから秋にかけては、草花用の肥料を与えましょう。また、1ヶ月に1回追肥もします。リン酸が多めの肥料にすると開花が進み、たくさんの花を咲かせてくれます。
サフィニアの花が咲き始めたら液体肥料を適量与えるのも良いでしょう。
日当たり
サフィニアは日当たりが良い場所を好みます。十分な日光を浴びることで、豊かな花を咲かせるため、一日の半分は直射日光が当たる場所に置いてあげましょう。
サフィニアの花は雨にあたると傷んでしまう場合があるため、鉢植えのサフィニアは、雨の日は軒先など雨を防げる場所に移動させてあげてください。
水やり方法
土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。鉢植えの場合は、鉢底から水が流れ出るまで与えると良いでしょう。
水やりの際は花に直接水をかけないように、株元に与えるようにします。
注意したい病害虫
サフィニアは育てやすく強い植物ですが、花がたくさん咲くために、蒸れによる病害虫に注意が必要です。特に以下のような病害虫に気を付けましょう。
- ・アブラムシ
新芽や花に集まり、植物の汁を吸います。数が少ない場合はセロハンテープなどで除去しましょう。多く発生している場合は薬剤を使用します。酢を使うのも効果的です。
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- ・オンシツコナジラミ
葉裏に寄生して、葉の色を悪くします。夜に活動が止まるため、夜になったらチェックし、少ない場合はセロハンテープで除去します。
- ・灰色かび病
花びらに斑点がつき、進行すると全体が灰色のカビで覆われます。日当たりや風通しの良い場所に置くことで予防になります。発生後症状が広がったら薬剤を使用しましょう。
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- ・うどんこ病
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サフィニアの花をたくさん育てるためのポイント
サフィニアの花をたくさん咲かせるためには大切なポイントが2つあります。それは、花がら摘みと切り戻しです。詳しく解説します。
花を咲き終えたら花がら摘みが必須
花がらとは、花が咲き終わった後に残る枯れた花のことです。
花がら摘みの主な目的は、枯れた花を取り除くことで見た目を良くするほかに、枯れた花を通してサフィニアの株に病気やカビがつくことを防ぐためです。
サフィニアの種を採りたいと考えているなら花がらはそのままにしておきますが、必要がなければ花がらを摘んでしまいましょう。
枯れた花やしおれた花を見つけたら、花びらだけではなく花茎を指でつまみ、軽く引っ張って摘み取ります。ハサミを使って摘むこともできますが、植物に傷をつけないように注意してください。
花が枯れ始めたら定期的に行います。季節によっては週に1回以上の頻度で行うこともあります。できるだけこまめに行いましょう。
切り戻しすると花の数が増える
切り戻しは、花の数を増やすために行います。特に長く伸びすぎた枝を切り戻すことで、植物がより多くの枝を生やし、結果として花を多く咲かせることができます。
サフィニアは丈夫な植物ですが湿気にはあまり強くないため、梅雨の時期に切り戻しを行うことで、風通しが良くなり蒸れを防げます。
まだ花が残っているのに切り戻しはもったいないと思うかもしれませんが、切り戻しをしないと以前のように満開になる可能性が低くなってしまいます。
サフィニアは株元にまだ葉があるうちに思い切って切り戻しましょう。鉢の外に出ている葉や花は、鉢の外回りと同じくらいの大きさに切り戻しします。
切り取ったサフィニアの花や葉は切り花にして飾ればしばらくの間楽しめます。
花がら摘みと切り戻しの作業を適切に行うことで、サフィニアはより健康的に成長し、長期間にわたって美しい花を楽しむことができます。
摘み取った花がらや切り戻した枝は、病気の原因となることもあるため、なるべく早く処理してください。
サフィニアは挿し木で増やせる
サフィニアを植え付けた後、2〜3週間後に株のボリュームを出すために「摘芯」という作業を行います。
摘芯は、間延びした枝を10〜15cmほどにカットしますが、この切った枝を挿し木にして増やすことができます。
挿し木に最適な時期は、春から初夏にかけてです。この時期は成長が活発なため、根付きやすいでしょう。
挿し木用の土は、排水性と保水性が良いものを選びます。市販の挿し木用土や腐葉土と赤玉土の混合土が適しています。
土を湿らせたポットに、切った枝を挿します。その後は土が乾かないように適度に水やりをしながら日陰で管理しましょう。
挿し木から約2〜4週間で根が生え始めます。軽く茎を引っ張ってみて、抵抗が感じられたら根付きのサインです。
サフィニアの種類
サフィニアにはいろいろな種類があります。その中から人気の種類を4つピックアップしました。
サフィニアアート
サフィニアアートは、花びらにユニークな模様が入る姿がアート作品のように見える品種です。サフィニアアートの種類には以下のようなものがあります。
- ブルーモーメント:気温上昇と共に紺色の面積が増えるように色が変わる
- ももいろハート:花びらにピンク色のハートが入る
- あずきフラッペ:咲き進むとあずき色の花びらに白色が出てくる
- いちごシェイク:ピンク色に白い縁取りが入る
- 小梅ちゃん:梅の花に似た丸みのある花びら
これらのサフィニアアートは、サントリーフラワーズが開発した品種です。ほかにもいろいろなサフィニアアートの種類があります。
サフィニアフリル
フリル状で小ぶりの花が八重に重なり合って咲くのが特徴で、豪華な印象を与えます。
耐暑性のある品種のため、春から夏まで花を楽しめます。サフィニアフリルの花色は、濃いピンク、白、ライラックブルーなど。2色のサフィニアフリルをひとつの鉢に植えると、さらにゴージャスな咲き姿になります。
サフィニアフリルは園芸店やホームセンター、ネット通販で苗を購入できます。多湿が苦手なため、水はけが良い土に植えてあげましょう。
花の咲き方が少なくなり、株が乱れてきたら切り戻しをすると、切ったところから新芽が出てきます。
サフィニアブーケ
小さな花が密集して咲くことから、ブーケのような見た目になるのが特徴です。コンパクトに育てられるため、置き場所を選ばないのが魅力。サフィニアブーケの色は、ローズやゴールド、バイオレットなどの鮮やかな色合いや、淡い桃色、ホワイト系もあります。
サフィニアブーケは、こまめに花がら摘みをすることで、摘芯をしなくてもドーム状にまとまってくれます。
花が満開を過ぎたな、と感じたら思い切って切り戻しをすることで再び花を咲かせてくれるでしょう。
サフィニアブーケをはじめとするサフィニアシリーズは、花がたくさん咲き育てやすいため、ガーデニング初心者の方も楽しめます。
サフィニアプチ
小さめの花が特徴で、繊細な美しさを持つ品種です。サフィニアプチの花びらは、桜の花にも似ていて、色は淡いピンク色をしています。花は極小輪でまとまって咲きます。
サフィニアプチの種類の「さくらもこもこ」は、ギュッとまとまるように咲く姿が可愛らしく、思わず触りたくなってしまうかもしれません。
さくらもこもこを上手に育てれば満開を迎える頃には鉢が見えなくなるほど丸く大きくなります。切り戻しをすると再びかわいいピンク色の花をたくさん咲かせてくれるでしょう。
小さな花がまとまって咲くことで葉や花の間の蒸れが心配ですが、さくらもこもこは蒸れや暑さに強く、育てやすいのがポイントです。
サフィニアの育て方を知って春の庭を彩ろう
サフィニアは初心者でも育てやすい植物です。種類や色も豊富で、寄せ植えしたり、いくつかのサフィニアの鉢を飾ったりすることで、春の庭がパッと明るくなるでしょう。
ご紹介した育て方のポイントを参考に、ぜひサフィニアの栽培に挑戦してみてくださいね。