「観葉植物が病気にかかったのかもしれない」「今すぐ診断して対処法が知りたい」そのような方に向けて、この記事では症状別の観葉植物の病気種類診断リストと、かかりやすい病気の対策法をご紹介します。観葉植物を病気から遠ざけるためのポイントや便利な薬剤も確認していきましょう。
【症状別】観葉植物の病気種類診断リスト
観葉植物を楽しむときに問題となりやすいのが病気です。病気は観葉植物の見た目を悪くしたり、異臭を発生させたりとさまざまな問題を引き起こします。
病気の多くは放置すると症状が広がるため、速やかな対処が必要です。早速、自分の観葉植物の葉や根に出ている症状から、病気の種類を診断しましょう。
ただし、観葉植物の病気の診断は、専門家でも100%正確に行うことは難しいと考えられています。
大変だと感じた場合は病気の特定にこだわらず、症状が出ている部分を取り除き、後述の幅広い病気に効く薬剤を使いながら見守ってあげるのもおすすめです。
葉の症状:「白い」「ベタベタ」「斑点」など
観葉植物の葉に出やすい症状と主な病気の種類は以下の通りです。
【観葉植物の葉の症状と病気の種類】
- 黒色になる:根腐れ、灰色カビ病、すす病
- 白色になる:葉焼け、うどんこ病
- 斑点が出る:褐斑病、炭疽病、斑点病、さび病
- ベタベタする:ベト病、害虫被害
- パリパリになる:ベト病
それぞれの病気の概要と対策は後述の項目をご確認ください。
根の症状:「グラグラ」「異臭」「鉢から出てくる」など
観葉植物の根に出やすい症状と主な病気の種類には以下が挙げられます。
【観葉植物の根の症状と病気の種類】
- 異臭がする:軟腐病、根腐れ、肥料焼け
- 苗がグラグラする:軟腐病、食害、根腐れ、肥料焼け
- 根が鉢の底から出てくる:根詰まり
こちらも、各病気の概要と対策は後ほどご紹介します。
【対処法】観葉植物がかかりやすい病気まとめ
では、観葉植物がかかりやすい病気の概要と対処法を確認していきましょう。葉に症状が出やすい病気と、根に症状が出やすい病気に分けてご紹介します。
葉に症状が出やすい病気
観葉植物の葉に症状が出やすい病気には、以下の9種類が挙げられます。
- うどんこ病
- 褐斑病
- すす病
- 炭疽病
- 斑点病
- さび病
- ベト病
- 灰色カビ病
- 葉焼け
うどんこ病
うどんこ病は、観葉植物の葉が名前の通りうどん粉をまぶしたように白く染まる病気です。
花や野菜を含む多くの植物がかかる有名な病気で、光合成を阻害し、苗を栄養失調にしたり開花を妨げたりします。
うどんこ病の原因はカビ(糸状菌)です。このカビは涼しく乾燥した環境で動きが活発になり、苗の健康な部分へ次々と広がっていきます。
- 症状が出た葉は速やかに取り除く
- 1日1回葉水をして過度な乾燥を避ける
褐斑病
褐斑病(かっぱんびょう)は、葉に茶色系の斑点が生じる病気です。こちらもカビが原因で、症状が進むと斑点の数が増えていき、やがては葉が枯れて落ちます。
褐斑病は湿気が多い場所で発生しやすく、雨を通じてほかの葉にうつる特徴を持ちます。
- 症状が出た葉は速やかに取り除く
- 苗の大部分で症状が見られるときは殺菌剤を使う
- 風通しの良い場所で育てる
すす病
すす病は、カイガラムシやアブラムシといった害虫の排泄物にカビが生えた状態のことです。
厳密には病気ではないものの、すすが付いたように葉が黒く染まっていき、苗の光合成を阻害します。4〜10月の暖かい時期によく症状が見られます。
- 症状の軽い葉は水で優しくこすり洗う
- 症状の強い葉(例:真っ黒に染まっている)は取り除く
- 原因となる害虫の駆除・予防をきちんと行う
炭疽病
炭疽病(たんそびょう)は、主に葉へ円形の斑点が生じ、やがてはその斑点に穴が開いて枯れ始める病気です。
炭疽病もカビが原因であり、湿度と温度が高い環境で発生しやすいといわれています。
- 症状が出た葉は速やかに取り除く
- 症状が広範囲の場合、苗ごと処分するか殺菌剤を使う
- 風通しが良い環境で育てる
斑点病
斑点病は、葉に小さな褐色の斑点が生まれ、徐々にその範囲が広がる病気です。
幅広い植物がかかり、すぐに葉が枯れるのではなく冬を越えて春になってから葉が落ちる点に特徴があります。
こちらもカビが原因で炭疽病とよく特徴が似ていますが、炭疽病は斑点が穴になるのに対して、斑点病は穴が開くことはありません。
- 症状の出た葉は速やかに取り除く
- 窒素が多い肥料を避ける
- 風通しが良い環境で育てる
さび病
さび病は、観葉植物がかかりやすいメジャーな病気のひとつです。
葉に白色や黄色の斑点が生まれ、次第に金属が錆びるように橙色や褐色へと染まっていきます。こちらもカビが原因です。
- 症状の出た葉を速やかに取り除く
- 適切に肥料を与えて観葉植物を健康な状態に保つ
- 風通しの良い環境で育てる
ベト病
ベト病は、葉の表に黄褐色で四角形に近い形の斑点が生じ、葉の裏には灰色のカビが広がる病気です。
ベト病の症状が出た葉は湿度が低いとパリパリに、湿度が高いとベトベトになります。観葉植物が急にベトベトしたときは、このベト病か害虫の分泌物が原因のケースが大半です。
- 症状が出始めたばかりであれば、葉の両面にベト病に有効な薬剤を使う
- 症状が進行した葉は速やかに取り除く
- 風通しの良い場所で育てる
灰色カビ病
灰色カビ病は、葉に灰色の粉のようなものが見られたり、黒く変色したり、花やつぼみに染みのようなものができたりする病気です。
ときおり症状が葉ではなく実に出て腐らせることがあり、果実を育てる際に恐れられています。なお、灰色カビ病はさび病の一種として扱われることもあります。
- 症状の出た葉は速やかに取り除く
- 症状が全体に広がってしまったときは苗を処分する
- 風通しの良い場所で育てる
葉焼け
葉焼けは、主に強すぎる日差しにより、葉が茶色になったり白く色が抜けたりする現象です。
病気というよりはトラブルの一種で、観葉植物を育てているとよく見かけます。単純に日差しが強いとき以外にも、置き場所を急に変えると症状が出ることがあります。
- 急に観葉植物の置き場所を変えない
- 日差しの当たり方を弱めてあげる(例:遮光ネットで覆う)
- うつりはしないが、症状が出た葉は基本的に治らないため取り除く
根に症状が出やすい病気
観葉植物の根に症状が出やすい病気やトラブルには、以下の5種類が挙げられます。
- 軟腐病
- 根詰まり
- 根腐れ
- 肥料焼け
- 食害
軟腐病
軟腐病(なんぷびょう)は、観葉植物の根・葉・茎などが突然柔らかくドロドロになり、異臭とともに腐ってしまう病気です。
細菌が原因で、特に土の中の害虫が根を傷つけてその傷口から感染するケースがよく見られます。
- 症状が出た部分は速やかに取り除く
- 害虫対策をきちんと行う
- 剪定など苗を傷つけるときは、傷口がすぐ乾く乾燥した日に行う(癒合剤を使うのも◎)
根詰まり
根詰まりは、鉢やプランターの中で根が伸びるスペースがなくなった状態のことです。鉢の底で根がグルグル巻きになったり、底穴から根が飛び出してきたりします。
根詰まり自体は大きなトラブルではありませんが、放置すると鉢から水がうまく排出できなくなり、次の根腐れのリスクが高まるため注意が必要です。
- 1年に1度など、育てている観葉植物に適切な頻度で植え替えをする
- 植え替え時は、現在育てている鉢よりも一回り大きい鉢を選ぶ
根腐れ
根腐れは、水のやりすぎなどにより根が腐ってしまう現象のことです。
初心者が観葉植物を枯らす際の最大の原因ともいえるトラブルで、苗がグラグラしたり、葉が黒く染まったり、何かが腐ったような異臭がするなどの症状が出ます。
- 腐った根を取り除きつつ、植え替えを行う
- 水やりの頻度を守り、水はけの良い土を使う
- 日当たりや風通しの良い場所で育てる
肥料焼けは、肥料を与える頻度や量を間違った際に、浸透圧がおかしくなり苗が脱水症状を起こしてしまうトラブルです。
肥料焼けの症状が進行すると、次々に根や葉が枯れてしまいます。
- 肥料は与えれば与えるほど良いものではないと知っておく
- 購入した肥料の説明書の用法&用量を厳守する
食害
食害は、観葉植物の根や葉を害虫が食べてしまう被害のことです。
観葉植物は葉を食べられると光合成が、根を食べられると土からの栄養吸収が難しくなり、元気を失いやすくなってしまいます。
- 害虫被害に遭いにくい風通しの良い場所で育てる
- 害虫駆除&予防用の薬剤を使う
【初心者】観葉植物を病気から遠ざけるためのポイント
ここまでの有名な病気の特徴を踏まえたうえで、続いて観葉植物を病気から遠ざけるためのポイントを見ていきましょう。大切なのは、以下の4点です。
- 風通しの良さと水はけの良さを意識する
- 症状が見られた段階ですぐに対処する
- 肥料は用法・用量を厳守する
- 専用の薬剤で予防をする
風通しの良さと水はけの良さを意識する
観葉植物がかかる病気の多くはカビが原因で、これらのカビの大半は過湿を好みます。ジメジメとした梅雨時期に観葉植物が病気にかかりやすいのはそのせいです。
そのため、風通しの良い場所に観葉植物を置き、水はけの良い土を使うように意識するだけでも、病気を大きく減らすことができます。
症状が見られた段階ですぐに対処する
観葉植物の病気の多くは、放置すると健康な部分にまで症状が広がります。病気の可能性を感じた時点で、速やかに対処しなければいけません。
発症した部位を切除するのはもちろんですが、苗の周囲の落ち葉も取り除いておきましょう。落ち葉を放置すると、病気や害虫の被害に遭うリスクが高まってしまいます。
肥料は用法・用量を厳守する
観葉植物に肥料を与える際には、説明書の用法・用量を厳守することが重要です。
過度な肥料は肥料焼けの原因となるほか、肥料の栄養成分を好むほかの病気も引き起こしてしまいます。
専用の薬剤で予防をする
ここまでの対策を行ったうえで、観葉植物を病気からパワフルに守りたいときには、専用の薬剤の力を借りるのがおすすめです。
たとえば、スプレータイプの薬剤を苗に一吹きしてあげれば、それだけで一定期間病気から観葉植物を守りやすくなります。手軽かつ効果の期待できる対策です。
次の項目で、観葉植物の病気やトラブル対策に役立つ薬剤を確認していきましょう。
観葉植物の病気&トラブル対策に役立つおすすめ薬剤5選!
ここでは初心者視点での扱いやすさにこだわりながら、観葉植物の病気やトラブル防止に重宝する薬剤をご紹介します。
【住友化学園芸】ベニカXネクストスプレー
『住友化学園芸』の“ベニカXネクストスプレー”は、世界初となる5種類の成分を配合したスプレータイプの薬剤です。
ボトルに薬剤が入っており、そのままシュッと吹きかけるだけで、うどんこ病をはじめとする多くの病気を予防してくれます。
アブラムシやカイガラムシなど害虫の駆除・予防にも効果があり、屋外で観葉植物を育てているときにもぴったりです。
【住友化学園芸】家庭園芸用 カリグリーン
同じく『住友化学園芸』の“家庭園芸用 カリグリーン”は、うどんこ病やさび病、灰色カビ病が発症した後の治療に役立つ薬剤です。殺菌剤に分類され、適量を水で希釈して与えます。
本アイテムは、人間や環境に害の少ない炭酸水素カリウムを有効成分として用いているのが特徴です。野菜やハーブなど、人の口に入る植物にも使用できます。
【アース製薬】BotaNice 植物の虫・病気対策
うどんこ病やハダニの発生など、観葉植物を育てていて直面しやすい問題をまとめて対策できるのが『アース製薬』の“BotaNice 植物の虫・病気対策”です。
扱いやすいスプレータイプの薬剤で、一度吹きかけると約1ヶ月に渡って殺虫効果が持続します。ボトルを逆さにしてもスプレーができるため、葉の裏側に吹きかけるのも楽々です。
【アース製薬】アースガーデン いろいろな植物つよし
室内で観葉植物を育てている方の害虫対策には、“アースガーデン いろいろな植物つよし”が向いています。
嫌な臭いがしないタイプのスプレーで、これ1本で500種類以上の植物に対応しています。アブラムシ、カイガラムシ、コナジラミなど駆除&予防できる害虫も多種多様です。
また嬉しい特徴として、有効成分が葉から吸収されるため、直接スプレーがかかっていない害虫もやっつけることができます。
【住友化学園芸】MY PLANTS 長く丈夫に育てるタブレット
最後に、薬剤ではなく観葉植物の健康をサポートするための肥料として、こちらの“MY PLANTS 長く丈夫に育てるタブレット”もおすすめです。
珍しいタブレットタイプの肥料で、土の上に置くだけで肥料成分が溶け出し、観葉植物を元気に育てやすい環境を整えられます。病気にかかりにくい健康な苗を作れるでしょう。
肥料特有の臭いもなく、室内で観葉植物を楽しむ方も気軽に利用できるのが魅力です。
大切な観葉植物を病気から守ってあげよう
この記事では観葉植物の病気について、症状別の診断リストやかかりやすい病気の特徴&対処法、病気を遠ざけるためのポイントとおすすめの薬剤をご紹介しました。
観葉植物はさまざま病気にかかることがありますが、その多くは風通しの良さを意識する、薬剤で予防するなどの工夫で発症を避けられます。
ご紹介した内容を参考に、ぜひ大切な観葉植物を守ってあげてくださいね。