ユーカリは、見た目が可愛らしいイメージで人気の観葉植物です。小さな葉っぱの生い茂る様子が見ていて楽しく、愛着を持って世話をしている方も多いでしょう。しかし「枯らしてしまった!」という声もよく聞きます。今回は、ユーカリが枯れる原因や対策、復活方法まで一挙にご紹介します。
ユーカリの基本的な育て方については、以下の記事をご覧ください。
ユーカリが枯れる原因と対策
ユーカリはそれほどデリケートな植物ではなく、適切な環境さえ整えてあげれば、枯れる心配はほとんどありません。
いくつかのポイントを押さえるだけで、初心者でも安心して楽しめる観葉植物です。早速、ユーカリを枯らしてしまう場合にありがちな原因と、その対処方法を見ていきましょう。
水やりの過不足
ユーカリを枯らしてしまう場合に、もっともありがちなのが水やりの過不足です。ユーカリは、水やりの調整が難しい植物として知られています。
ユーカリは観葉植物のなかでも乾燥を好む植物です。そのため、ほかの観葉植物を育てた経験のある方が、以前と同じ要領で水やりを行い、水のやりすぎで枯らしてしまうことがよくあります。
一方で、「乾燥を好むから」と水やりを控え、水不足で枯らしてしまう方もいます。
ユーカリを元気に育てるためには、まずは水やりについてしっかり知っておきましょう。
ユーカリの水やりは、土が完全に乾き、白っぽくなってきたタイミングに行います。まだ初心者で、見るだけでは土が乾いているのかうまく判断できない方は、端の方の土を手で触れて確認すると良いでしょう。
水やりは鉢の底から水が流れ出るほど、たっぷりと与えてください。一般的な観葉植物と比べて水やりの頻度は少ないですが、量はある程度十分に与えるイメージです。
日当たり・風通しが悪い
もっとも意識するべきは水やりですが、ほかにもユーカリを枯らす原因は存在します。日当たりや風通しの悪さもまた、ユーカリが枯れてしまう原因です。
ユーカリは日光を好む植物ですから、最低でも1日の半分以上は日向に置いてあげましょう。
乾燥を好むので、ジメジメした印象のない、風通しの良い場所を選ぶのも大切です。特に夏場は、油断するとすぐに蒸れてしまいます。
根詰まり
水やりと日光・風通しのあとに注意したいのが、根詰まりです。ユーカリは生長が早く、自然界で育つと20mにまで成長するケースもあります。
地植えではなく植木鉢で育てている場合は、気がつかないうちに根っこが鉢のなかでグングン育ち、窮屈になって根詰まりを起こしていることも少なくありません。
植え替え時に、鉢の底の方で根っこがグルグルと渦巻いていたら、根詰まりを起こしていたサインです。優しく根っこをほぐしたあとに植え替え、次回はより早く確認するように意識してみてくださいね。
クロロシスなどの病気
ユーカリは病気に弱い観葉植物ではありませんが、それでもときには病気にかかり、枯れてしまうケースもあります。
特に注意したいのが、「クロロシス」と呼ばれる病気です。クロロシスとは、葉っぱの色が黄色や白色に変色する病気で、土のなかの栄養(特にマグネシウムや鉄分)が不足すると引き起こされます。
変色した葉っぱは見た目が美しくないだけではなく、光合成の効率が下がるため、死活問題です。光合成がうまくできないと植物は栄養失調に陥りますので、ユーカリの場合もやがては枯れ落ちてしまいます。
対策としては、葉の色が変わり始めた段階で、速やかに土へ栄養を与えましょう。
カイガラムシなどの害虫
病気同様に、害虫に対してもユーカリは比較的強い植物で、それほど心配する必要はありません。
ただし環境によってはカイガラムシが湧いてしまった例もありますので、慌てずに済むよう対策方法を知っておきましょう。
カイガラムシが湧くと、ユーカリの葉っぱへ白い小さな点が表れます。そのまま放置すると、カイガラムシがユーカリの栄養を吸収して栄養失調に陥らせたり、すす病などほかの病気を誘発したりと、さまざまな悪影響を及ぼします。
対策は、見つけた段階で水を使い洗い流す、あるいはピンセットで取り除いて駆除することです。本格的に繁殖させてしまうと、専用の薬剤が必要になるなど、初心者が対処するのは難しくなります。
観葉植物にとって、葉っぱは健康状態を確認できる重要なバロメーターです。
虫や病気の兆候にいち早く気づけるよう、ユーカリの葉っぱを楽しむ際には、異常がないかについてもしっかりと確認しましょう。
枝・葉の育ちすぎ
ユーカリが枯れる原因として最後に覚えておきたいのが、枝や葉の育ちすぎ、すなわち剪定のしなさすぎです。育ちすぎと聞くと、「大きく育ったらダメなの?」と意外な印象を受けますよね。
早く大きく育つユーカリは、適切に選定を行わなければ栄養失調となり、枯れ落ちてしまいます。健康に大きく育てるためには、不要な枝葉を随時取り除かなければいけません。
剪定の時期や方法については、以下で詳しくご紹介します。
枯れたユーカリは剪定で復活することも
上記のように、ユーカリを健康に育てるためには剪定が必須です。また、実は枯れてしまったユーカリも、剪定によって復活する可能性があります。
手元のユーカリが枯れてしまった方も、諦めるのはまだ早いかもしれません。
さらに、「ユーカリが枯れた」と思っている方のなかには、実は枯れていないのに枯れたと勘違いしている方もいます。
まずはミスがないように、ユーカリの枝・葉が枯れているかどうかの見分け方から見ていきましょう。
ユーカリの枯れた枝・葉の見分け方
ユーカリの枝・葉が枯れているかどうかの見分け方は、「葉っぱが茶色でボロボロになっているか」です。
葉が茶色に変色しており、手で少し触るとボロボロと崩れ落ちるようであれば、残念ながらその枝は枯れています。
ユーカリの赤い葉は枯れていない?
一方で、ユーカリの葉が赤色に変色している場合は、枯れていない可能性が高いです。常緑樹であるユーカリは、1年を通じて葉が落ちない代わりに、寒い時期には葉っぱが赤色に変色します。
赤色に変色した葉っぱは、春を迎え暖かくなると自然に元通りの緑色になりますので、放置しておいて大丈夫です。
ユーカリの剪定方法
それでは、ユーカリの剪定方法をご紹介します。枝を切ると聞くと難しそうに思えますが、ポイントさえ押さえれば、初心者でも簡単です。
剪定のコツは、枯れた枝を落とすのはもちろん、反対側が見えるほど葉っぱの密度を減らすことです。園芸用語で「透かし剪定」と呼びます。
ユーカリはこの透かし剪定に適した植物ですから、バッサリと切り落としていきましょう。
枯れた枝以外に優先して切り落とすのは、「直接幹と繋がっていない枝分かれした枝」です。園芸用のハサミなどを使って、できるだけ分岐部分の根元から切り落としましょう。
枯らさないだけであれば、上記の剪定で大丈夫です。もし自分好みにユーカリの樹形を整えたいのであれば、続けて「摘心(てきしん)」という剪定を行います。
ユーカリは、枝先にある細く小さな「新芽」を根元から切り落とすと、その部分から「脇芽」が発生し、葉っぱの密度が濃くなります。
自分の理想に合わせて濃くしたい場所を選び、新芽を切り落としていくのが摘心です。
枯れたユーカリを復活させたいなら「丸坊主」を
1本2本の枝ではなく、全体がほぼ完全に枯れたユーカリに対しては、「丸坊主」と呼ばれる剪定を行います。
丸坊主とは、その名の通りすべての枝葉を切り落として丸坊主にしてしまう荒療治です。ユーカリは生命力が強いですから、まだ幹に力が残っていれば、次々新芽が生えてきて復活します。
ただし元気が残っていない場合には、そのまま新芽がほとんど生えず、完全に枯れてしまいます。「望みが少なくても、このユーカリを復活させたい」という方は、最後の手段として行いましょう。
ユーカリの剪定は年に2回
グングン育つユーカリは、年に2回剪定してあげると安心です。暖かく蒸れやすい時期の前である4~5月と、成長が緩やかになる冬前の9~10月ごろに剪定しましょう。
間違った時期に剪定を行うとダメージが大きく、かえってユーカリを枯らしてしまう原因になりかねません。適切な時期を守るように、意識してみてくださいね。
剪定後はしっかりとケアを
剪定を終えたあとは、切り口のケアを行います。ホームセンターなどで市販されている「癒合剤」を購入し、説明書通りに切り口へ塗っていきましょう。
剪定直後の切り口は、人間でいうところの傷口が露出した状態です。人間が絆創膏を貼るように、ユーカリにも癒合剤を塗ってくださいね。
ユーカリが枯れる原因と対策を知っていつでも元気な状態へ
ユーカリは水やりにコツが必要ですが、一度覚えてしまえば枯れる心配は少ない観葉植物です。コアラを思い出す可愛らしい葉っぱは鑑賞効果も抜群で、育てていて楽しいですよ。
本記事でご紹介した枯らさないためのポイントを押さえて、安心して育ててみてくださいね。