爽やかな緑の葉と長く伸びるつるが特徴のシュガーバインは、インテリアグリーンとして人気です。初心者でも育てやすい種類ですが、より元気に見栄え良く成長させるため、正しい育て方や植え替え方法をチェックしましょう。トラブル時の対処法もあわせてご紹介します。
シュガーバインの基本情報&特徴
まずは、シュガーバインにどのような特徴があるのか、基本情報を確認しておきましょう。
シュガーバインは5枚の葉がかわいいつる性の植物
シュガーバインは、ブドウ科のつる性の植物です。常緑なので、1年中緑を楽しむことができます。
5枚の葉が花のように広がり、いくつも連なっているのがかわいらしく、鮮やかな緑は部屋のアクセントに最適です。
また、つるが伸びると垂れ下げて鑑賞することもでき、飾り方の幅が広いのも人気のひとつでしょう。
ごくまれに花が咲くことも
緑の葉やつるを楽しむシュガーバインですが、まれに花を咲かせることもできます。3~6月頃、十分な日光や温度などの好条件が揃えば開花しますが、まれなことです。
小さな花が丸く密集して咲くので、まるでボールのように見えかわいらしいですよ。花を咲かせることにチャレンジをしてみるのも、楽しみが増えそうですね。
ちなみにシュガーバインの花言葉は、「すこやか」です。丈夫に育つことや、通年緑を楽しめることから、この花言葉がつけられたといわれています。
シュガーバインの名前の由来は?
学名ではパーセノシッサスと呼ばれるシュガーバインですが、名前の由来も気になりませんか?
実は、葉の裏に甘い樹液をつけることからとから、『sugar(砂糖)』と『vine(つる性植物)』を合わせ命名されました。名前にもかわいさが滲み出ていますね。
シュガーバインは初心者でも育てやすい!
シュガーバインは自生している植物ではなく、オランダで園芸用の植物として品種改良されたものです。
そのため、丈夫で育てやすい性質を備えていて、日陰、寒さ、乾燥OKという強さがあります。初心者でも枯らすことなく育てられるでしょう。
また、小ぶりなものは比較的価格も安く、100円ショップなどでも売られています。ネット通販でもさまざまな種類を取り扱っているので、好みのタイプを見つけることができますよ。
観葉植物を初めて育てる、という方にもおすすめできる種類です。
シュガーバインの育て方!育成環境を整え正しいケアをしよう
それでは実際に、シュガーバインの育て方を見てみましょう。シュガーバインを元気に育てていくには、適切な育成環境と正しいケア方法が必要になります。
まずはシュガーバインの苗の選び方
シュガーバインを育てることを決めたら、まずは苗選びから始めましょう。
正しい方法で育てていても、初めから弱い苗や病気を持っている苗を選んだら、元気に育てるのは難しくなってしまいます。
選び方のポイントは、葉の緑の発色が良くツヤ感があるものを選びましょう。また、株元からからしっかりと生えていて、葉に窮屈さのないふんわりとした雰囲気があるものがおすすめです。
病害虫の心配がないかもチェックしてから購入してくださいね。
シュガーバインを育てる環境を整えよう
苗が決まったら、次は育てる環境を整えます。シュガーバインは室内で育てられる植物なので、快適に過ごしやすいよう調整してあげましょう。
基本の土作り
シュガーバインはあまり土を選ばないので、市販の観葉植物用の培養土を使用して問題ありません。
こだわった土作りがしたいなら、赤玉土5:腐葉土4:ピートモス1をベースにして配合してみましょう。
シュガーバインは肥料を与えなくても良いですが、より大きくしたいときなどは生育期に与えてみましょう。
4~10月頃の間、2週間~1ヶ月に1回のペースで、観葉植物用の液体肥料を与えます。
肥料の与えすぎは栄養過多になり、肥料やけを起こして根が傷んでしまうこともあるので注意が必要です。また、成長が緩やかになる冬の時期も、肥料を与えるのを避けるようにしてください。
置き場所
室内で育てる場合、なるべく日の光が入る明るい部屋に置くのがおすすめです。シュガーバインは耐陰性があるので、日光に当てなくても育てることはできます。
しかし、葉の色が悪くなったり、成長の速度が遅くなったりすることもあるので、1日数時間でも日光に当てましょう。
ただし、長時間直射日光に当たると葉焼けを起こし変色するので、レースのカーテン越しなどに置いてください。
シュガーバインは耐寒性があるので、気温が0℃以上あれば冬越し可能です。なるべく過酷な環境に置かない方が良いので、冬場は外に出さず温かい室内で管理するようにしましょう。
乾燥にも強い性質があるので、気をつけたいのは湿度の高い場所です。多湿な場所では病害虫が発生しやすく、土の状況も変わってしまい根腐れが心配になります。
浴室などに飾るとおしゃれですが、なるべく湿度が安定した場所に置くのがおすすめです。
反対に、乾燥が厳しい場所ではハダニが発生しやすくなるので、スプレーなどで適度に葉水を行うと良いでしょう。
シュガーバインの水やりは季節によって変える
植物を育てるうえで重要なのが、水やりです。植物にとって大切な栄養源なので、適切なタイミングや頻度で行いましょう。
ポイントとしては、土の状況を見ながら季節に合わせて水やり方法を変えることです。それぞれのベストな水やり方法を見てみましょう。
夏の水やり方法
夏場はシュガーバインの育成期であり、さらに水分が蒸発しやすい環境なので、たっぷりと水をあげる必要があります。
土が乾いていたら水やりのタイミングなので、鉢底から溢れるほど水を与えましょう。
鉢皿に溜まった水は、こまめに捨てるようにしてくださいね。
気温などによっては毎日水が必要になるので、土の状態を日々チェックしましょう。また、葉水も数日に1回は行うようにして、水切れに注意してください。
冬の水やり方法
冬場は生育が緩やかになるので、水やりは控えめにします。
土が乾燥素したら、数日待ってから水やりをする程度で大丈夫でしょう。シュガーバインはどちらかというと乾燥を好むので、冬場の水のあげすぎは負担になります。
多湿な状態を作らないよう注意して、水やりを行いましょう。
シュガーバインの剪定方法
シュガーバインの生育が順調だと、つるがどんどん伸びていきます。つるの仕立て方次第でおしゃれに飾ることができるので、見栄えが悪くなったら適度に剪定するようにしましょう。
剪定は見た目のためだけでなく、密集しすぎた部分に施すことで、風通しを良くしたり、栄養を行き渡らせやすくしたりと、メリットも多くあります。
シュガーバインの場合、強剪定は必要ないので、枯れてしまった葉や、密度が高い部分を少し切る程度で良いでしょう。
剪定した部分から新しい芽が出るので、さらに大きくしたいときにも有効な方法です。
シュガーバインに元気がない!?トラブル対処法
シュガーバインがしおれたり、葉や茎が変色してしまったりしたら、トラブルが起こっている証拠です。
そのサインを見逃さず、原因を突き止め早急に対処しましょう。葉先やつる先が枯れた程度なら簡単に復活できますが、株自体が枯れてしまうと手遅れになってしまいます。
真夏の暑さや強い日差しに注意
耐寒性の高いシュガーバインは、夏場のトラブルが多くなっています。厳しい暑さや強い日差し、日本特有の湿度の高さは、シュガーバインにとって過酷な環境です。
30℃以上の気温のときは外に出さず、涼しい部屋で管理しましょう。日光の入る密室の部屋も気温が上がりやすいので注意してください。
直射日光は葉を茶色く変色させる葉焼けの原因なので、窓際には置かないようにするか、日を軽く遮るものを置くようにしましょう。
水のあげすぎは根腐れの原因になる
シュガーバインが枯れてしまうよくある原因に、水のあげ過ぎが挙げられます。特に観葉植物初心者に多く、世話をしたい一心で水を多くあげてしまい、根腐れを起こしてしまうのです。
根腐れは土の中で起こるので気がつきにくく、株自体を枯らしてしまう危険性もあります。
土が湿っている状態が続いたり、鉢皿に水の溜まった状態になっていたりしないよう、注意してください。
シュガーバインが気をつけたい害虫
基本の世話はしっかりできているのに元気がない場合は、害虫の仕業かもしれません。
シュガーバインが気をつけたい害虫をご紹介するので、発生しやすい時期は特に注意しましょう。
アブラムシ
春になると多発するアブラムシは、新芽や若葉を食害する害虫です。
数匹程度ならさほど問題ではありませんが、繁殖力が旺盛なので、気がついたら群れをなしていることがあります。そうなる前に見つけ、早急に駆除しましょう。
被害が小さいときは、水をかけて窒息させてしまうのがおすすめです。大量繁殖している場合は、殺虫剤を撒いて駆除しましょう。
カイガラムシ
カイガラムシは5~7月に繁殖のピークを迎えますが、温かい室内では年中発生の可能性があります。
小さいので窓から入ってきたり、衣服についていたりしたものが、そのまま繁殖してしまうということもあるでしょう。
シュガーバインについてしまったら、葉や茎から養分を吸い取ってしまい、枯らすおそれがあります。
カイガラムシの幼虫は殺虫剤で駆除できますが、成虫になると硬い殻に覆われてしまい、殺虫剤も効かなくなってしまいます。その場合は歯ブラシなどで小根気強くこすり落とす必要があるので、なるべく幼虫のうちに駆除しましょう。
枯れかけたら挿し木や水挿しで増やす
もしシュガーバインの株が弱ってしまい、枯れている部分が多くなったら、元気な部分で増やすのがおすすめです。
シュガーバインは簡単に増やせるので、新しい株を育てることができます。
挿し木で増やす方法
一番オーソドックスな増やし方は、挿し木でしょう。
剪定した茎を植えるだけの方法なので、初心者でも簡単に増やすことができます。挿し木を行うのにおすすめの時期は、4~6月、9~10月頃です。
- 元気な葉がついている茎を、6〜7cm程度の長さでカットします。
- 根元部分に近い葉は邪魔なので取り除きましょう。
- 栄養分のない土を入れた新しい鉢を用意し、そこにカットした茎を挿します。
- 直射日光が当たらない場所に置き、水をたっぷりあげましょう。
- 1ヶ月程度で新芽が出るので、観葉植物専用の土に植え替えて完了です。
水挿しで増やす方法
挿し木よりも簡単なのが、水挿しで増やす方法でしょう。水挿しも挿し木と同じく、4~6月、9~10月頃に行うのがおすすめです。
- 元気な葉がついている茎を、6〜7cm程度の長さでカットします。
- 根元部分に近い葉は邪魔なので取り除きましょう。
- 水を入れたグラスや器を用意し、そこにカットした茎を挿します。
- 雑菌が発生しないよう毎日水を替え、発根するのを待ちましょう。
- 発根したら、観葉植物用の土を入れた鉢を用意し、植え替えをして完了です。
シュガーバインは2~3年に1回は植え替えをしよう
シュガーバインは生育が旺盛なので、2~3年に1回は植え替えをしましょう。
植え替えをしないと根が詰まって栄養が送れなくなったり、土の状態が悪いまま育ててしまったりと成長を妨げることになります。
植え替えの目安としては、鉢よりシュガーバインが大きくなった、鉢穴から根がはみ出している、水やりをしても土が吸い込まなくなった、などです。
植え替えのサインを見逃さないよう、日々チェックしましょう。
植え替えの時期は5~6月がおすすめ
植え替えのタイミングは、生育期の5~6月がおすすめです。
真夏や真冬の植え替えは株に負荷をかけてしまい、枯らす原因にもなります。
必ずシュガーバインが元気なときに行うようにしましょう。
用意するもの
- 一回り大きな鉢
- スコップ
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 観葉植物用の培養土
植え替え手順
- 用意した鉢に鉢底ネットを敷き、鉢底石を鉢の深さの1/5〜1/6程度入れます。
- さらにその上に観葉植物用の培養土を1/3程度まで入れておきましょう。
- シュガーバインを古い鉢から引き抜きます。
- 根についている土を1/3程度落としましょう。このとき、黒ずんでいる根は根腐れしているので、カットしておいてください。
- 新しい鉢に株を移し、鉢の上部5cm下くらいまで培養土を入れ、株を安定させます。根の隙間などにもしっかり土が入るよう、スコップなどで整えましょう。
- 株が安定したらすぐにたっぷりと水をやり、植え替え完了です。
植え替え時の注意点
植え替えは植物に負担をかけるデリケートな作業で、失敗すると簡単に枯れてしまいます。注意したいポイントをしっかり押さえましょう。
力任せに行わない
株を引き抜く際は、力任せに引っ張らず優しく行います。株本を持ってゆっくりと引き抜きますが、どうしても引き抜けない場合は鉢を割るなどしましょう。
また、根についた土を払うときも、優しくほぐすように行うことで根を傷つけません。
株に刺激を与えないよう、すべてを優しく行うのが基本です。
植え替え後はしっかりケア
植え替え後は、人間でいう入院中のようなものです。弱った状態なので、いつもより入念にケアする必要があります。
水はたっぷりと与え、風通しの良い場所に置きましょう。強い日差しは刺激になってしまうこともあるので、しばらくは明るい日陰に置くのがおすすめです。
また、早く元気になってほしいからと、肥料を与えるのはNGです。栄養が吸収しきれず肥料やけを起こしやすいので、しばらくの間肥料は避けてください。
シュガーバインは種類が豊富!おすすめ5選
シュガーバインはさまざまな種類があります。それぞれ特徴が異なるので、自分の好きなタイプを見つけてみましょう。
紅葉が見られるヘンリーヅタ
ヘンリーヅタは、5枚の葉がツタ先から生える定番のタイプです。葉脈に沿って白い模様が入り、秋には紅葉が見られます。そして黒い果実が実るので、楽しみ方が広いでしょう。
甘い香りのするパルテノキッスス・シュガーバイン(パルテノシッサス・シュガーバイン)
パルテノキッスス・シュガーバイン(パルテノシッサス・シュガーバイン)は、名前の通り、砂糖のような甘い樹液の香りがする種類です。水やりをしたときに強く感じられるでしょう。
ギザギザの葉がかわいいバージニアヅタ
バージニアヅタも、紅葉が楽しめる種類です。ギザギザとした5枚の葉が特徴で、薄い緑色が上品なタイプでしょう。
美しい紅葉が見られるツタ(ナヅタ)
ツタ(ナヅタ)は3枚ほどに割けた葉が特徴で、定番のシュガーバインより大ぶりなタイプです。ダイナミックに飾りたい方にぴったりでしょう。
シルバーがかった緑色の葉がかっこいいシッサス・アマゾニカ
シッサス・アマゾニカは、心臓や卵のような形をした葉が特徴です。
さらに刃の色が薄いシルバーで、裏面はワインレッドなのでとてもおしゃれですよ。珍しい見た目が人気の品種です。
シュガーバインのおしゃれな飾り方
シュガーバインは特徴のつるを生かし、他の観葉植物とはちょっと変わった飾り方をするのもおすすめです。
部屋の雰囲気などに合わせて、お気に入りの飾り方をしてみましょう。
つる性の醍醐味ハンギング
天井など、高い位置から吊り下げて飾るのをハンギングといいます。観葉植物のおしゃれな飾り方として人気が高く、特につる性の植物にはぴったりです。
また、机や棚などのスペースではなく、空いている空間を有効活用することもできます。
紐をつけた鉢を、フックなどに引っ掛けて吊るすだけで、一気に観葉植物上級者のような飾り方ができるでしょう。
トレリス仕立てでゴージャスに
シュガーバインをたくさん増やした場合や、大きく育てるのに成功したら、トレリスを使って庭に飾るのもおすすめです。
トレリスとは格子状のフェンスのようなもので、そこにつるを這わせることで、緑のカーテンを作ることができます。
トレリス自体のバリエーションも豊富なので、どの素材にするか、どんな形にするかなどを選ぶのも楽しいでしょう。
また、自分で材料を買い、好みのトレリスを作ることもできるので、DIYにチャレンジするのも良いですね。
寄せ植えにもぴったり
観葉植物をいくつか育てているなら、寄せ植えにするのもおすすめです。
単体で飾ってメインにするのも素敵ですが、多肉植物などの脇に添えるとゴージャスになります。花と一緒に飾ると緑が花の色を引き立て、おしゃれなインテリアになるでしょう。
シュガーバインをアクセントにすると、空間に奥行が出るのでぜひ試してみてください。
土を使わないハイドロカルチャー
ハイドロカルチャーとは、土を使わずに育てる方法です。ハイドロボールという人口培土を使うので、中が見える透明な器で育てるのがおしゃれですよ。
水やりのタイミングなどは難しいですが、デザイン性が高く、部屋のおしゃれさがぐんとアップします。トイレやキッチンなどに置くのにぴったりです。
シュガーバインを元気に育てるには環境作りとケアが大事
シュガーバインは丈夫で、生育も旺盛なので初心者でも扱いやすく育てる醍醐味が味わえる観葉植物です。
つる性なので飾り方もさまざまあり、部屋のワンポイントになるでしょう。
しかし、育てる環境やケア方法を間違えると弱らせてしまい、最悪の場合枯らしてしまうこともあります。
シュガーバインの丈夫さを過信しすぎず、なるべく過ごしやすい環境で育ててあげてください。