オリヅルランは、曲線を描いた細長い葉を持つスタイリッシュな印象の観葉植物です。オリヅルランは土に植えて育てるのが一般的ですが、水栽培で育てることもできます。この記事では、オリヅルランを水栽培する方法や上手に育てるポイント、トラブルの対処法などをご紹介します。
オリヅルランは水栽培でも育てられる
オリヅルランは熱帯地域に自生する植物なので、暑さに強く日光を好みます。しかし、耐陰性があるため、多少日当たりが悪くても育てることができるため、水栽培に適しています。
また、常緑性多年草のため、1年を通して生き生きとしたグリーンを楽しむことが可能です。
そもそも水栽培とは?
水栽培とは、その名のとおり植物を水や必要な養分を溶かした水溶液につけて栽培する方法で、水耕栽培(すいこうさいばい)と呼ばれることもあります。
水栽培では土を使用しないため、衛生的なのも嬉しいポイント。部屋を汚さず手軽にグリーンを楽しみたい方にとっても、水栽培は大変おすすめです。
オリヅルランを水挿しで水栽培をする方法
ここでは、オリヅルランの株分けした苗を使う場合の水栽培の方法について解説します。まずは、以下のものを用意しておきましょう。
- オリヅルランの子株
- 透明な容器(空き瓶やペットボトルなど)
オリヅルランは、次の2つの方法で水栽培ができます。
- ランナーの先端に付いた子株を使う
- 株分けした苗を使用する
それぞれ解説していきますね。
ランナーの先端に付いた子株を使う場合
オリヅルランはランナー(匍匐茎)と呼ばれる細い茎を葉の間から伸ばし、その先端に子株を付けます。
子株を付けた姿が折り鶴のように見えることから、オリヅルランと名付けられました。
子株から根が出ると繁りすぎてしまうので、時おり剪定して親株から切り離すことが必要です。オリヅルランは、剪定した子株を使って数を増やすことができます。
水栽培で使う子株は、葉が8~10枚ほど付いたある程度成長しているものを選びましょう。子株を使った水栽培の方法は、次の通りです。
- 容器に水を入れておきます。
- オリヅルランの子株を容器に入れます。
- 根が出るまで2週間ほど明るい日陰の室内で管理します。このとき、2~3日に1回は水換えをしながら管理してください。
- 容器の底が隠れる程度の根腐れ防止剤を入れましょう。
- 挿し芽を容器に入れます。
- 最後に容器に根が3分の2浸る程度の水を入れたら完了です。
2の根が出るまでの間は、2~3日に1回は水換えをしながら管理しましょう。
株分けした苗を使用する場合
オリヅルランには、ランナーを出さない品種もありますが、株分けをすることで水栽培をスタートすることも可能です。
株分けする際は、しばらく水やりを控えて土を乾いた状態にしておいてください。
- 鉢植えのオリヅルランを取り出し、根についた土をほぐして落とします。
- 清潔なハサミを使い株を切り分けます。
- 子株の土を全て落とし、根についた土を水で洗い流してください。
- 痛んだ根や、伸びすぎた根は清潔なハサミを使って切り落とします。
- 容器の底が隠れる程度の根腐れ防止剤を入れます。
- 挿し芽を容器に入れる。
- 最後に容器に根が3分の2浸かる程度の水を入れたら完了です。
子株を使用する場合と株分けした苗を使用する場合、どちらも水替えの頻度は1週間に1回程度です。根腐れ防止剤を使用しない場合は、2~3日に1回のペースで水替えをしましょう。
オリヅルランはハイドロカルチャーで育てることも可能
オリヅルランは、ハイドロカルチャーで水耕栽培することも可能です。
ハイドロカルチャーでは、土の代わりにハイドロボールと呼ばれる粘土を高温で焼き上げた人工の土を利用して植物を育てます。
ハイドロカルチャーはインテリア性が高いため、人気の栽培方法です。また、水だけで栽培する方法と違い、根の水分量をキープできる、植物を固定することができるといったメリットがあります。
- 発根したオリヅルラン
- ハイドロボール(水捌けの良い大きめのものがおすすめ)
- 底に穴が開いていない容器
- 根腐れ防止剤
- 液体肥料
- 根腐れを防ぐために、事前に容器に根腐れ防止材を入れておきます。
- 根腐れ防止材を容器に敷き詰めたら、ハイドロボールを容器の3分の1を目安に入れます。
- オリヅルランをハイドロボールの上に設置します。
- オリヅルランを設置したら周囲にハイドロボールを敷き詰めて固定していきしょう。容器をゆすってハイドロボールを隙間なく行き渡らせてください。
- ハイドロボールを敷き詰めたら、容器の6分の1程度水を注ぎます。
- オリヅルランの植え替えが終わったら、直茶日光を避けた半日陰の環境で1週間ほど管理します。
オリヅルランの水栽培を管理する際のポイント
オリヅルランの水栽培を管理するときは、以下4つのポイントを押さえておきましょう。
- 明るい日陰で管理する
- 冬の寒さには要注意
- 水の管理を徹底する
- 定期的に液体肥料を与える
このポイントを押さえておけば、オリヅルランを水栽培で元気に育てられます。
明るい日陰で管理する
オリヅルランを直射日光に当ててしまうと葉焼けしてしまったり、最悪枯れてしまうこともあるので、強い光には当てないよう注意することが大切です。
例えば、窓際のレースカーテン越しに日光が当たるような明るい日陰の環境がベストです。
どうしても直射日光が当たってしまう場合は、遮光ネットを使って日光を遮ることもできます。
冬の寒さには要注意
オリヅルランには耐寒性がありますが、寒くなりすぎると枯れてしまうので要注意です。
冬場は窓辺の気温が下がりやすいので、時おり気温をチェックして下がりすぎている場合は、室内の暖かい場所に移動させましょう。
水の管理を徹底する
水栽培をする場合は、土で育てるときよりも根から酸素を吸収しにくくなります。水の温度が上がると水の中の酸素量が少なくなるため、特に夏場は注意が必要です。
週に1回ほどは水替えをするようにし、水が濁っていたらすぐに交換してください。
定期的に液体肥料を与える
水栽培をする際は、土から栄養が取れないため定期的に肥料を与えるようにしましょう。
固形のタイプは水を汚してしまったり、微生物が分解するまでに時間がかかり植物が上手く吸収できないためおすすめできません。
水栽培のオリヅルランは、春から秋まで月に2回ほど液体肥料を薄めて使います。冬は基本的に肥料は必要ありませんが、新芽が出ている場合は同じように与えてください。
肥料は水の交換のタイミングで与えます。ハイドロカルチャーの場合は、水やりのときに規定量より薄めて水代わりに与えましょう。
水栽培のオリヅルラン植え替えは必要?
植え替えは、現在よりも大きな器に植え替えて「根が成長する余裕を持たせる」ために行います。
水栽培のオリヅルランも、容器いっぱいに根が広がってしまったり、植物の元気がなくなったと感じたときは植え替えをしましょう。
また、水栽培でオリヅルランを長期間育てることは難しいので、ある程度茎が伸びてきたらハイドロカルチャーもしくは土栽培へ植え替えてあげてください。
【水栽培から土栽培に植え替える方法】
水栽培から土栽培に植え替える際は、鉢やプランター、鉢底ネット、新しい土(培養土など)を用意しておきましょう。
植え替えの手順は次の通りです。
- 鉢やプランターなどに鉢底ネットを敷いて、新しい土を入れます。
- ①に水栽培していたオリヅルランを植えてください。
- 鉢の9分目くらいまで水を張り、その中に②の鉢を入れましょう。
- そのままの状態で1週間ほど置いておきます。
- 新しい芽が出たら、少しずつ水位を下げていってください。
- 生き生きとした芽や葉が出てきたら、通常の管理方法に切り替えてOKです。
水栽培のオリヅルラントラブル対処法
水栽培でオリヅルランを育てていると、「枯れる」「根腐れする」「伸びすぎてしまった」「外注や病気が発生した」というトラブルが発生することがあります。
トラブルが発生してから慌ててしまわないよう、対処法をチェックしておきましょう。
枯れてしまった
水栽培のオリヅルランが枯れてしまう主な原因は、水切れ、酸素不足、肥料の濃度などが挙げられます。
水栽培は土栽培よりも土中の酸素量が少ないため、酸素が不足しがちです。植物に必要な酸素を補うためにも、週に1度は水替えをしましょう。
特に夏場は、水温が高くなり酸素の溶け込む量が少なくなりやすいので要注意です。
水位は根の半分から3分の2が浸かる程度がベストです。少なくとも根元から3cmは空気に触れさせるようにしましょう。
肥料の与え過ぎも枯れる原因になりますので、必ず適量を守ってください。
根腐れしてしまった
水栽培のオリヅルランは、根腐れを起こすことがあります。気温が高くなるほど水が腐りやすくなるので、週に1度は容器内の水を全部捨てて新しい水に交換しましょう。
このとき、容器の内部のヌルヌルもしっかりと洗って、根が黒ずんでいたら優しく流水でこすり落としてください。
害虫や病気が発生した
オリヅルランを育てていると、カイガラムシやアブラムシがつくことがあります。
これらの害虫を発見したら、ピンセットでつまみ取ったり、歯ブラシでこそぎ落としてください。
また、オリヅルランは炭そ病にかかることがあります。炭そ病の原因はカビで、梅雨など雨が続く高温多湿の時期に発生しやすい病気です。
炭そ病にかかると、葉が灰色や黒色に変色し最悪枯れてしまうことも…。葉に炭そ病が発生したら、枝ごと切り取って処分するか、全て処分し新しい株と交換しましょう。
オリヅルランを水栽培して手軽にグリーンを楽しもう!
オリヅルランは耐陰性があり、多少日当たりが悪くても育てることができるので、水栽培でも育てることができます。
水栽培は土を使わないため、部屋を汚さず気軽に育てられるのがメリットです。
オリヅルランの水栽培は難しくありませんが、オリヅルランの好む明るい日陰の環境で管理し、小まめに水替えをしたり、定期的に液体肥料を与えるなど、適切な管理をする必要があります。
ぜひ、今回の記事の内容を参考にしてオリヅルランの水栽培に取り組んでみてくださいね。