白や赤、紫や黄色など、さまざまな色の種類やユニークな花の形があるクレマチスは、ガーデニングで人気の植物です。つるを支柱やアーチに絡ませるとより魅力的で、お庭のアクセントにもなりますよ。今回はそんなクレマチスを上手に育てて、たくさんの花を咲かせるコツをご紹介します。
初心者にもおすすめ!つる性植物の女王!「クレマチス」
クレマチスは、キンポウゲ科クレマチス属のつる性植物で、クリスマスローズやアネモネと同じ属性です。イギリスでは「つる性植物の女王」といわれているほど人気があり、北半球を中心に、その原種は300種類もあるといわれています。
日本では、原種のカザグルマやハンショウヅル、テッセンやインテグリフォリアなどが掛け合わされた、数多くの品種があります。色の種類や、花の形や咲く向きなど、さまざまな品種があるため、お庭の雰囲気や好みに合わせて選べるところが魅力です。
基本的な育て方に注意すればたくさんの鮮やかな花が楽しめるので、初心者にもおすすめですよ。
クレマチスは種類ごとに性質や育て方が異なる
クレマチスは主に3つの種類に分かれていて、花の咲き方や剪定方法が変わってきます。まずは、どの種類のクレマチスなのかをきちんと把握しておくことが大切です。
新枝咲きのクレマチス
初心者にもっともおすすめで、剪定も比較的簡単なのが、新枝咲きのクレマチスです。新しく伸びた枝に花芽がつく種類で、剪定をすると新しく伸びた枝に再び花芽がつきます。
適切な剪定をすることで年に3回花を咲かせます。代表的な系統は、ビチセラ系、ヴィオルナ系、インテグリフォリア系などです。
旧枝咲きのクレマチス
前年に伸びた枝が休眠し、春になるとその枝を伸ばして花を咲かせるのが、旧枝咲きのクレマチスです。年に1回の一季咲きで、アーマンディ系、モンタナ系、シルホサ系などの系統があります。
新旧両枝咲きのクレマチス
前年に伸びた枝と、剪定後に新しく伸びた枝の両方に花を咲かせる、新枝と旧枝が合わさった性質をもつタイプです。年に何度か花を咲かせたり、長期間花を楽しめたりする四季咲きの種類が多いです。主な系統は、遅咲き大輪系、フロリダ系、アトラゲネ系です。
クレマチスの植え方
クレマチスは鉢植えと地植え、どちらでも楽しめる植物です。クレマチスを植えるときに注意することは、品種を確認しておくことと、2年苗を使うことです。
2年苗は12月の寒い時期を二度越えたもので、一度しか越えていない1年苗よりも育てやすく開花も早いのです。葉が青々としていて茎が太い物を選ぶと良いでしょう。
植え付けの時期は、休眠中の12〜2月中旬頃までで、厳冬期は避けましょう。1日4時間以上日が当たる日当たり良好な場所で、風通しの良い場所を選びます。
また、アーチやフェンスなどつるが絡みやすい場所がおすすめです。夏の西日には弱いため、その時間は移動させるか、日除けの設置をすると良いでしょう。
用意するもの
始めに、クレマチスを植えるために必要な物を準備します。
- クレマチスの苗
- 用土
- 肥料
- 支柱
- 鉢やプランター
- 鉢底ネット
- 鉢底石
用土は、クレマチス専用の培養土か市販の培養土に少量の赤玉土や完熟腐葉土を混ぜて使います。また、クレマチスの根は縦に深く伸びるため、鉢植えにする場合は深さのある鉢がおすすめです。
植える手順
クレマチスは深植えをすることで、根元からもたくさんの枝が出て多くの花を咲かせます。植え付けの際は、根元から二番目の葉が出ているところまで深植えするのがコツです。
また、3〜4号の小さな鉢の場合はすぐに地植えするのではなく、一度5〜6号の鉢へ植え替えて一年養生してから地植えすると良いでしょう。
地植えや寄せ植えする場合は、旺盛な根が他の植物を傷めてしまうため、仕切り板や塩ビ菅を使って根が広がらないようにします。
鉢植えする手順
- 鉢にネットと石を入れる
- 肥料入りの土または、肥料を混ぜた土を鉢に入れ支柱を立てる
- 苗を深植えし、土を被せる
- たっぷりと水やりをする
地植えする手順
- 直径と深さが共に40cm以上になるよう穴を掘る
- クレマチス専用の土または、硬質赤玉土4:硬質鹿沼土3:完熟腐葉土3の割合にした土を半分入れる
- 苗を深植えし、残りの土を被せる
- たっぷりと水やりをする
たくさん花を咲かせるための育て方
たくさんの鮮やかな花を咲かせるためには、適切なお世話をする必要があります。
水やりのタイミング
年間を通して、土の表面が乾いてきたら水やりをします。特につぼみがついてから開花の時期までは、水切れを起こさないようこまめにたっぷりと水やりをしましょう。その際、鉢受けに溜まった水は捨てて、根腐れしないよう気をつけます。
また、夏は1日2回の水やりが必要ですが、花が咲いたら少し控えめにします。また休眠期も乾燥しすぎない程度に控えめに水やりをしましょう。
肥料を与えるタイミング
クレマチスを植え付けするときに元肥を、春から秋にかけては緩効性肥料を2ヶ月に1回、液体肥料を月2回ほど与えます。
夏は肥料を与える必要はありません。冬も肥料を必要とはしませんが、地植えの場合、寒肥を与えておくと新芽がつきやすくなるでしょう。
適切な量とタイミングで肥料を与えることで花付きが良くなります。
花のお手入れ&つるの誘引
クレマチスの花が咲くようになったら、色がくすんだり雄しべに元気が無くなったりした花は、花首からカットしましょう。そのままにしておくと株が弱くなる原因となってしまいます。
また、クレマチスはつるが伸びる植物なので、つるを誘引することで花をバランスよく咲かせ、株全体が健康に育つようになります。
つるが伸びてごちゃごちゃしてきたら、つるや枝が絡まないよう支柱やフェンスに絡ませてあげます。自然に絡まない場合は、紐などで優しく固定すると良いでしょう。
クレマチスが注意すべき病気や害虫
クレマチスがかかりやすい病気は、葉の表面が白くなるうどんこ病です。主に風通しが悪かったり、湿気が多すぎたりすると病気にかかってしまうため、適切な場所への移動や剪定をして予防します。白くなった葉を見つけたら取り除きましょう。
注意すべき害虫は、アブラムシやナメクジです。特に新芽の時期にアブラムシが発生しやすくなるため、株元に粒状の殺虫剤を置いて予防します。こまめに葉や茎を観察して、見つけたらすぐに駆除するようにしましょう。
クレマチスの剪定方法
クレマチスの花をたくさん咲かせるためには適切な剪定が必要です。種類によって剪定方法が異なりますので、ご自身のクレマチスがどの種類かを確認し剪定をしましょう。
新枝咲きのクレマチスの場合
新枝咲きのクレマチスは、2〜3月の冬の時期に、今年伸びた枝を1,2節残した状態で切り落とします。また5月頃一番花が終わったら、半分ほど残して切り戻しをすることで次の花がつきやすくなります。
そして夏が過ぎ開花シーズンが終わったら、地表から1~3節を残して剪定しましょう。
旧枝咲きのクレマチスの場合
旧枝咲きのクレマチスは、春から秋にかけて、花が咲き終わったら花首または花首より1節下で切り落とします。そうすることで、次の花が出やすくなります。
新旧両枝咲きのクレマチスの場合
旧枝咲きタイプと同じく、花が咲き終わったら花首か1節下あたりで剪定をします。そして開花シーズンが終わり地表部が枯れてきたら、新芽が出ていない枝と、新芽が出ている枝の芽より上部分をカットしておきます。
また、枯れたつるはフェンスや支柱から外しておきましょう。
クレマチスを増やす方法
クレマチスは挿し木で増やすことができます。4〜7月頃、伸びたつるの硬くなった部分を2節ほどでカットし挿し穂を作ります。下部の葉は取りのぞいておきましょう。
パーライトをベースにした清潔な培養土に、下の節が土に埋まるように挿します。水切れしないように管理すると、2ヶ月ほどで発根します。しっかりと根が出たら、小さめの鉢へ植え替えましょう。
クレマチスの植え替え方法
クレマチスの植え替えは1年中できますが、12〜2月中旬頃が良いでしょう。ただし厳冬期は避けるようにします。鉢底から根が出てきたら、一回り大きな鉢へ植え替えます。
クレマチスは根を切られたり、移植をされたりするのを嫌うため、植え替えするときは根を傷つけないように気をつけましょう。
植え替えのポイントは、水はけを良くするため鉢底に大きめの鉢底石や軽石を入れることと、根元から2節ほど深く植えることです。
植え替え後はたっぷりと水やりをし、緩効性化成肥料を与えましょう。
好みの品種や色を選んでクレマチスを取り入れたガーデニングを楽しもう!
種類によって花の特徴や育て方が変わってくるクレマチスは、選ぶときにどの種類のものか確認しておくことが大切です。
花の咲く向きや色が異なるさまざまな品種があるので、慣れてきたら他の種類のクレマチスを増やしていくのも楽しいでしょう。
クレマチスは適切な管理をしておけば、たくさんの花を毎年咲かせますので、お庭のアクセントとして活躍します。また、つるが伸びる性質を利用してアーチやフェンスを飾ると、お庭を素敵に演出してくれるでしょう。
ぜひ、お好みのクレマチスをお庭に取り入れて、ガーデニングをより楽しんでみてはいかがでしょうか。