家庭菜園でも栽培できる植物、ハーブとして人気のイタリアンパセリ。今回はイタリアンパセリの上手な育て方や特徴をご紹介します。イタリアンパセリは3つのポイントを押さえるだけで、初心者でも簡単に育てることができるので、ぜひチャレンジしてみてください。
イタリアンパセリってどんな植物?
イタリアンパセリは、地中海沿岸部が原産のセリ科の植物です。『フレンチパセリ』とも呼ばれており、ヨーロッパでは料理のアクセントとして使われています。2年草の植物であるイタリアンパセリは耐寒性、耐暑性も悪くないので初心者でも育てやすいでしょう。
花の色は白色で開花時期は6~7月。4~5月の春頃、または9~10月の秋頃がベストな植え付け時期です。
イタリアンパセリとパセリは違うの?
「イタリアンパセリは、パセリと何が違うの?」と思った人もいるかもしれません。まず私たちがよく見かけるパセリは、『カーリーパセリ』または『モスカール種』と呼ばれているものです。
結論から言うと、パセリはイタリアンパセリと同様セリ科の野菜ですが、見た目や食感、味わいが少し違います。
イタリアンパセリの葉は、平たく深い切り込みがあるのが特徴です。対してパセリの葉は、内側にくるっとカールしています。イタリアンパセリの見た目はパクチーや三つ葉の方が似ているので、違いは一目瞭然です。
食感や味わいについては、イタリアンパセリは柔らかく苦みが少なく、パセリの方は硬く、苦みやえぐみも強いという特徴があります。
イタリアンパセリは栄養満点!
パスタやスープなど洋食の添え物として活用されることが多いイタリアンパセリは、とても栄養価が高い野菜です。イタリアンパセリにどんな栄養素が含まれているか、以下で詳しくご紹介しましょう。
ビタミン類
ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2など多くのビタミン類が含まれています。特にビタミンCの含有量は野菜のなかでもトップクラスです。
鉄分
農畜産業振興機構が公表している『栄養成分別野菜ランキング』によると、イタリアンパセリはパセリと栄養価が同じぐらいなので、鉄分も豊富に含まれています。。
カルシウム
カルシウムもイタリアンパセリに多く含まれる栄養素です。100gあたりでいうと、カルシウム含有量が多いと有名なモロヘイヤよりも上をいきます。
その他にもβカロテンやマグネシウムなどのミネラルや、食物繊維やカリウム、葉緑素が含まれています。栄養価の高いイタリアンパセリは、疲労回復や消化促進、貧血防止など美容や健康に良い効果が期待できるのでおすすめです。
イタリアンパセリの育て方・栽培方法
イタリアンパセリの栽培方法は、地植え、鉢やプランター、水耕栽培の3通りあります。ここでは、それぞれの育て方・栽培方法をご紹介します。
地植えで育てる基本の栽培方法
イタリアンパセリを地植えで育てるには、まず水はけが良く養分の多い土づくりから始めます。イタリアンパセリは弱酸性の土壌を好むため、植え付けの2週間前には準備しましょう。
土は、1平方メートルあたり苦土石灰100g弱を混ぜるのが目安です。水はけが悪いときには、腐葉土を30%ほど混ぜて調整してください。イタリアンパセリの根は地中深くまで伸びるので、よく耕しておくと良いでしょう。
土の準備ができたら植え穴を掘り、苗を15cm間隔で並べます。最後に土をかぶせて固定してください。
鉢やプランターはベランダで育てるのにおすすめ
鉢やプランターでイタリアンパセリを育てるときは、ハーブ用または野菜用の用土を使いましょう。鉢の場合は直径15cm以上、プランターの場合は45cmの一般的なサイズがおすすめです。
鉢やプランターで育てるには、まず底に鉢底石(中粒~大粒)を敷き、その上に土を1/3ほど入れてください。その後苗を15cm程度の間隔で並べ、残った土で隙間を埋めれば完了です。鉢やプランターの場合、冬は室内に移しましょう。
水耕栽培なら室内でも育てられる
イタリアンパセリは、土を一切使わず水と肥料だけで育てる水耕栽培もできます。イタリアンパセリの水耕栽培は、トレーやガラスコップにスポンジまたはバーミキュライトなどの培地を置いて育てることもできますが、市販の水耕栽培キットを使えばより簡単にできます。
水耕栽培の場合は毎日水を替え、液体肥料を週に2~3回程度与えると良いでしょう。定植後はLEDライトにしっかり当ててくださいね。
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イタリアンパセリを上手く育てるポイント3つ
比較的栽培しやすいといわれているイタリアンパセリも、間違った育て方をすると思うように育てられなかったり、枯らせてしまったりする可能性があります。ここではイタリアンパセリを上手く育てるポイントを3つご紹介します。
ポイント1:日当たりは良すぎず、日陰にもなりすぎない場所がベスト
イタリアンパセリは日当たりの良い場所を好みますが、日当たりの良すぎる場所はNGです。理由は、日当たりの良すぎる場所に置いてしまうと葉が硬くなり、生食には不向きになってしまうからです。
日光が全く当たらないと生育に影響が出てしまうので、「日当たりが良すぎず日陰にもなりすぎない場所」か「明るい日陰」を目安にしましょう。
ポイント2:水やりは土の表面が乾いてきたなと思ったら
種まきから発芽までは、霧吹きを使ってしっかり水やりをします。成長後は土の表面が乾いてから水やりをしてください。土が完全に乾いてしまうと味がガクッと落ちてしまうので、土が乾いてきたなというタイミングがベストです。
ポイント3:風通しが良いところに置こう
風通しの悪い場所にずっと置いておくと病気になる恐れがあるので、イタリアンパセリは風通しの良い場所で育てましょう。
注意が必要な害虫や病気
イタリアンパセリの生育過程で注意が必要なのが害虫と病気です。
注意が必要な害虫
イタリアンパセリは虫の被害が多い植物ではありませんが、アブラムシやハダニ、キアゲハの幼虫、ヨトウムシなどは寄ってきてしまいます。
キアゲハの幼虫やヨトウムシは目につきやすいので、見つけたらすぐに取り除いてください。アブラムシは小さく、ハダニは葉の裏につきやすいため、見つけにくいかもしれません。手で叩き落とすことも可能ですが、天然の木酢液や防虫ネットを活用すると未然に防ぐことができるのでおすすめです。
気を付けたい病気
うどんこ病や軟腐病、立枯病などの病気にかかる恐れがあります。そのまま放っておくと全体が枯れてしまうので、病気にかかっている箇所を見つけたらその部分を除去して対処しましょう。
イタリアンパセリを植え替える方法
イタリアンパセリを種から育てる場合、間引きのタイミングで植え替えるのがおすすめです。
植え替えは、地植えでなくても大きめの鉢やプランターでOK。大きめの鉢の場合は苗1本、プランターや地植えの場合は15cm程度間隔を取って植え替えしてください。
イタリアンパセリを増やしたい!2つの方法
イタリアンパセリは、種まきか挿し木の方法で増やすことができます。
種まきで増やす方法
夏から秋にかけて採取した種を使い、イタリアンパセリを増やしていきます。種を取る株と食べる株を分けておき、種を取る株は乾燥させておきましょう。種まきで増やす場合は土をしっかりと濡らし、深さ1cmの穴に4~5粒種を入れるようにします。
挿し木で増やす方法
挿し木といっても、株の一部を切りとって赤玉土に植えて…という方法ではありません。イタリアンパセリの場合は葉が数枚ついた茎を切り取り、水の入った容器に入れる「水挿し」という簡単な方法でできます。
水が腐らないよう、容器の水を毎日入れ替えるのがポイントです。
イタリアンパセリの収穫方法、保存方法は?
最後にイタリアンパセリの収穫方法と保存方法をご紹介します。イタリアンパセリが順調に成長し、葉をたくさん収穫できたら正しく保存して長く楽しみましょう。
イタリアンパセリの収穫方法
イタリアンパセリが草丈20cmになったころが収穫のタイミングです。茎の根元2~3cmのところを園芸ハサミでカットして収穫しましょう。
冷蔵保存
イタリアンパセリを生で保存する場合、常温よりも冷蔵庫での保存がおすすめです。
冷蔵保存する場合は、まず葉をキレイに水洗いします。その後、水を張った容器にイタリアンパセリの茎を下に向けて入れてください。そのまま野菜室に入れて、毎日水を替えれば1~2週間程度保存できます。
冷凍保存
2週間以内の消費が難しそうな場合は冷凍保存しましょう。冷凍保存は、葉をキレイに水洗いしたあとキッチンペーパーなどで優しく水気を取ります。
その後、冷凍保存可能な袋に入れて冷凍庫に入れれば完了です。保存は1ヵ月程度できるので、期間内に消費するようにしましょう。
ドライ保存
いろいろな料理に活用したい場合は、ドライパセリがおすすめです。ドライパセリにして保存する場合は、冷凍保存と同じく葉を水洗いしたあとに水気を取ります。その後、キッチンペーパーを敷いた耐熱容器にイタリアンパセリを乗せ、電子レンジで1~2分程度加熱してください。
水気が飛び乾燥したら手で握って細かくするか、調理用ハサミで小さくカットします。細かくなった乾燥イタリアンパセリを、シリカゲルと一緒にビンや密閉袋に入れたら完成です。ドライパセリは2~3ヵ月ほど保存できますよ。
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イタリアンパセリを上手に育てて長く楽しもう!
今回はイタリアンパセリの特徴や上手な育て方、注意点などをご紹介しました。日当たりや水やりなどのポイントを押さえれば、イタリアンパセリを長く楽しむことができます。
栄養満点のイタリアンパセリは生の状態で洋食のアクセントに使用したり、肉料理や魚料理の臭い消しとして活用したりできます。冷凍や乾燥させれば、さらにいろいろな料理に使うこともできますよ。
植物やハーブを育ててみたいと思っている方は、まずイタリアンパセリからはじめてみてはいかがでしょうか。